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Keplerの眠れる機能が真価を発揮? NVIDIA,ゲームストリーミング機能「GameStream」とプレイ動画録画機能「ShadowPlay」を披露
加えてこのイベントでは,「GameStream」と「ShadowPlay」という,以前から存在は知られていた2つの機能について,具体的な説明も行われた。
Keplerコア世代のGeForce 700/600シリーズが,「NVENC」と称するリアルタイムH.264エンコーダを内蔵していることは,あまり知られていないかもしれない。1920×1080ドット(以下,1080p)解像度の映像を,最大4倍速でエンコードできるという,いうなれば“超”リアルタイムのH.264エンコーダなのだが,今まで一般ユーザーがこれを使って何かをするという機会はまずなかった。
GameStreamは,このNVENCを使ったゲームストリーミング機能の名称だ。一方のShadowPlayは,2013年5月に「GeForce 320.18 Driver」がリリースされたときに予告されていた,プレイ動画の録画機能のことである。当初は今夏にリリースされる予定だったが,それがやや遅れて今回正式にお披露目されたというわけだ。
これらの機能は,北米時間10月28日に提供される予定の新版「GeForce Experience」で導入される予定である。NVENCを使って,ユーザーに新しい体験をもたらそうというこれらにより,一体何ができるようになるのか。イベントにおけるNVIDIAの解説を元にレポートしてみたい。
PCとSHIELDを使い,PCゲームを大画面テレビにストリーミング
NVIDIA製の携帯ゲーム機型Android端末「SHIELD」は,発表当時から「Ge
GameStreamの基本的な処理の流れは比較的シンプルだ。まず,PC上で動作しているゲームの映像を,Kepler世代のGeForceに統合されたNVENCでリアルタイムにエンコードする。エンコードされた映像は,ネットワークでつながったSHIELDにビデオストリームとして配信されるので,SHIELDはこれをデコードして表示するとともに,プレイヤーの操作をPC側に送り出す。この繰り返しで,PCゲームをSHIELD上でプレイできるという仕組みだ。
コンソールモードでは,まず,SHIELD本体にHDMI接続のテレビ(やディスプレイ)と
SHIELDが「コンソールモード」に入ると,画面左上に写真のようなSHIELDを模した小さなアイコンが表示される |
Bluetooth接続対応のNyko製ゲームパッド「Play |
現時点でのGameStreamは,有線LAN接続時には1080p/60Hz(60fps)でビットレート16Mbps前後,無線LAN接続時には720p/60Hz(60fps)でビットレート8Mbps前後の映像を表示できるという。ただし,SHIELD本体に有線LAN端子はないので,その場合は市販のUSB-LANアダプターを使う必要がある。
ちなみに,操作が表示に反映されるまでの遅延時間は,GameStream開発者いわく「ネットワーク帯域幅にもよるがおよそ160ms」とのこと。60fps時で10フレーム,30fps時では5フレーム程度になるようだ。
PCへの負荷が極めて低いプレイ動画録画機能「ShadowPlay」
PlayStation 4(以下,PS4)やXbox Oneでは,プレイ動画の録画機能が標準搭載されるが,このShadowPlayは,それと同種の機能をGeForce搭載PCで実現するものといえよう。
NVENCは,HDMIやDisplayPortなどに出力する映像を,そのままエンコードする仕様となっている。そのため,グラフィックスメモリ内で冗長なメモリコピーを行うことなく,H.264のビデオストリームを直接作り出せるので,PC全体にかかる負荷はごく小さくて済む。
エンコードされたビデオストリームは,メインメモリ上である程度バッファリングされてから,ストレージへと出力される。バッファリングで使うメインメモリは少量とのことなので,PCにかかる負荷といえば,PCI Expressへのアクセスとストレージデバイスへの書き込みがそれぞれ少々という程度である。
イベントでNVIDIAは,「ShadowPlayのオン/オフで,ゲームプレイの体験はほぼ変わらないといっていい」と豪語していた。たしかにShadowPlayの原理を考えると,システム負荷は非常に低いといえそうだ。
たとえば,対戦ゲームでスーパープレイや勝利の瞬間を録画しておきたいという場合は,ループ録画モードで十分だろう。一方,アクションアドベンチャーやRPGのウォークスルーを記録したいという場合には,手動録画モードを使うのが適当ではないだろうか。
映像品質はGameStreamと同じで,1080p/60Hzでは16Mbps前後,720p/60Hzでは8Mbps前後となるそうだ。下にNVIDIAが公開したShadowPlayのデモビデオを掲載しておこう。
ShadowPlayによるTwitch.TVでのプレイ動画配信デモ。右上が配信者の画面で,左側はTwitchクライアントから見た配信映像だ |
GeForce Experience上にある,Twitch.TVでの配信設定画面。Webカムの有効/無効や解像度の変更などができるらしい |
イベントでは実際に,「Splinter Cell: Blacklist」のプレイ実況をTwitch.TVで配信するデモが披露された。見たところ,プレイ画面と配信される映像の間には2秒程度の遅延があるだけで,高画質で低遅延の映像配信を実現できるようだ。
ShadowPlayのプレイ動画配信機能は,今のところTwitch.TVにしか対応しておらず,それ以外のビデオ配信サービスへの対応はまだ未定とのことだった。日本のユーザーとしては,やはり「ニコニコ動画」への対応を期待したいところだ。
GeForce 600ファミリーが発表された頃から特徴に挙げられていながら,これまで一般ユーザーには使い道のなかったNVENC。それがGameStreamとSha
残念なことにSHIELDが販売されていない日本では,GameStream機能は今のところ使えない。だが,たとえば無線LAN接続限定でもいいのでTegra 4搭載タブレットで利用できるようになれば,タブレット製品の魅力を引き上げる役にも立つのではないだろうか。
GeForce Driverが4K×3画面の「4K Surround」に対応
まずGeForce Driverのほうだが,10月28日提供予定の新バージョンでは,SLI環境で3840×2160ドット(以下,
今のところ,同キャンペーンの対象地域に日本は含まれていない。SHIELDが販売されていない日本で割引クーポンを配っても意味がないからかもしれないが,せめて3タイトルのダウンロードコード提供だけでも,日本で展開してほしいものだ。
GameStreamに関する公式blogの当該ポスト(英語)
ShadowPlayに関する公式blogの当該ポスト(英語)
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