つぶやく
2012/10/03 00:00イベント
電脳メガネや8Kディスプレイなど，日本のIT・家電業界から最先端技術が結集した「CEATEC 2012」開催
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ここでは，会場で見かけた展示からいくつかピックアップして紹介していきたい。日本の最先端技術の動向を確認してほしい。
「CEATEC 2012」公式サイト
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これまで夢物語だった情報表示型ヘッドマウントディスプレイ（以下，電脳メガネと表記）への関心が世間一般でも高まりつつある昨今，NTTドコモブースでは，ドコモ版の電脳メガネともいうべきコンセプトデモが参考出品されていた。
どういうものかというと，「ハンズフリービデオフォン」と題した，電脳メガネ時代のテレビ電話のあり方を提案するような展示だ。誰もが電脳メガネをかけて生活するような世の中では，電話は当然のように映像付きになっているかもしれないのだが，「じゃあメガネには何がどのように映るべきなのか？」と，ちょっと疑問に思ったことはないだろうか。それに対するドコモの回答は，相手の視界には「こちらが立っている状態を正面から見たような映像が映っているべきだ」というシンプルなものだった。具体的には，メガネに付いたカメラで，メガネをかけている人と背景を撮影して，リアルタイムCGで合成しつつ，話している人を正面から見ているような映像を作り出すというものとなる。
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さて，デモ機には合計7個のカメラが付いており，上方の左右，下方の左右，後方，左右から装着者の目のあたりを写すようになっている。上方のカメラについては「付けてみたけどあまり面白い絵は撮れなかった」（NTTドコモ）そうで，今回のデモでは上方を除いた5個のカメラを使っているとのことだった。
これらにより，ほぼ全周にわたって周囲を撮影し，背景を生成する。そこにあらかじめ作成しておいた装着者の3Dモデルに目の部分だけ実写テクスチャを合成して，キャラクターをレンダリングし，頭の動きやリップシンクなどを加えて合成することで，正面から見た通話中のキャラクターを表現するわけだ。
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同時に，電脳メガネ社会に向けて，いくつかの提案がされているので紹介しておこう。
まずはAR情報のフィルタリングだ。「将来的に電脳メガネが普及する世の中になってくると，視界はスパム情報で埋め尽くされる」というドコモの推測は，とても冷静な指摘といえるだろう。展示されていたコンセプトモデルでは，こめかみのあたりにダイヤル式のつまみがあり，そこを絞ることで重要な情報だけをフィルタリングできるようなインタフェースが提案されていた。
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例として示されていたのは，心拍数，体温，血圧など。こめかみで心拍数や血圧が取れるのかどうかは不明だが，ストレスを受けたときに体内から出る微量のガスを検出して休息を促すようなことも提案されている。やろうと思えば，脳波なども取れるはずだ。
現在はバックヤードに置かれたPCで情報処理をしているとのことだったが，4G通信が始まり，クラウドでの情報処理が一般化してくれば，メガネ側では情報の入出力だけを行うような実装も可能になってくるだろう。クラウド端末であれば，「将来的にはこれくらいにしたい」というモックアップもそれほど非現実的な大きさではないように思われる。
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HMDに注目が集まっている昨今，電脳メガネ時代を見据えたコンセプトとしてはなかなか面白いものがある。
ちょっと突っ込みを入れると，展示されていたようなシースルー型メガネでは，背景込みのキャラクター映像は視界内に窓を切って表示することになると思われるのだが，あまり見やすいとは思えない。背景処理をなくして，視界内にキャラクターだけをAR表示するほうがデバイスに合っているような気はする。それでも，これがドコモが考える未来の携帯電話のコンセプトだと思うと，なかなか期待できそうな感じだ。
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NHKを中心に策定されている次世代テレビの国際規格がスーパーハイビジョンだ。
CEATEC会場では，いわゆる4Kディスプレイ（4000×2000ドットもしくは3840×2160ドット表示のディスプレイ）の売り込みが盛んに行われているのだが，スーパーハイビジョンが想定しているのはそれのさらに倍，7680×4320ドットの8Kディスプレイだ。しかも，フレームレートは60〜120fpsで，サウンドに至っては，22.2chというとんでもない情報量を持つ放送規格となっている。
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話を聞いて個人的に好ましいと思ったのは，視野角が100度で想定されているということだ。昨今，テレビの大画面化は著しいのだが，適正視距離は画面に対して一定比であり，かなり長めに取られている。結局のところ適正視距離から見ている人だと「大画面で大迫力」というのは望めず，小画面でも大きさ（視野角）は変わらないじゃないかということになる。最初から広い視野角を前提にした規格というのはなかなか素晴らしい。
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さて，この夏に国際規格として承認されたことにより，スーパーハイビジョンは実用化に向けて大きく前進している。一般家庭に入るのはまだまだ先になるだろうが，映像とサウンドの迫力が桁違いになること間違いなしの技術なので，今後の展開に期待したいところだ。
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経営難が伝えられるシャープでは，同社の目玉技術となるIGZOを中心とした展示が行われていた。IGZOとは，インジウム（In），ガリウム（Ga），亜鉛（Zn）の酸化物の略称として使われている用語だ。シャープの場合「IGZO液晶」という例が挙げられることが多いのだが，現在のシリコンベースの半導体に代わる次世代半導体技術のことだと思っておいたほうがいい。
その特徴はというと，
- 消費電力が低い
- 無色透明である
- プロセッサなどの電子回路，ディスプレイ，各種センサーなどに使える
- 高速である
などなど。控えめに言ってもかなり凄い技術である。
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IGZO液晶による4Kディスプレイも展示されており，PC版の「ファンタシースターオンライン2」がプレイアブルで展示されていた。UIやチャット欄の大きさを見ると解像度が実感できるのではないだろうか。
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コンセプト映像では，鏡やテーブル，コップなどのガラス製品がそれぞれ各種センサーや表示デバイスを持ったインテリジェント機器として動作する「未来」が提示されていた。ほとんど枠のないタブレット端末や超低消費電力のスマートフォンといった即物的なものから，注がれたジュースなどのカロリーを表示するコップ，繊維に織り込んで生体情報を記録する毛布などといった夢の機器まで，大きな可能性を持っていることをアピールしていた。
鴻海精密工業によるシャープへの出資の争点ともなっている次世代技術。最も単純な使い方でも十分画期的なので，ちゃんと製品化されていくことを祈りたい。
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なお，CEATEC 2012は，10月6日まで開催されている。入場料金は一般1000円，学生500円だが，公式サイトから事前登録すれば無料となるほか，10月6日は無料公開日となっている。首都圏にお住まいで最新技術に興味のある人は出かけてみるのもよいだろう。
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 立体プリンタによるスマートフォンケースのオーダーメイドシステム。ABS樹脂の積層型立体プリンタによるデモが行われていた |
 立体プリンタによって一発成型された，ABS樹脂の微細な鎖による手袋。いやぁ，よくこんなものを作ろうと思ったもんだ…… |
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