IT&エレクトロニクス関連の展示会CEATEC JAPAN 2011(以下,CEATEC 2011)開催初日となる2011年10月4日,Intelの日本法人であるインテルは,
「招待講演」という枠で基調講演を行った。同社代表取締役社長の吉田和正氏が登壇し,同社の展望を語るという内容だ。あまりゲームには関係のないイベントではあったのだが,基調講演のレポートを会場内に設けられたインテルブースの様子と合わせてお届けしよう。
「これからも日本で新たな技術が生み出される」
吉田和正氏(インテル 代表取締役社長)
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今回行われたインテルの基調講演は,CEATEC 2011で行われる講演のトップということもあってか,ほぼ満席状態。登壇した吉田氏は,いつもより気合が入った雰囲気で講演を開始した。
まず吉田氏は,多くの革新的な技術が世の中に受け入れられていることを「新しいあたり前」と表現する。インテルが世に送り出してきた技術も同様に世界に受け入れられ「優れたハードがより優れたソフトやサービスを生み,さらに強力なハードウェアが求められるようになる」というスパイラルによって成長してきたと吉田氏はいう。
これまでさまざまな技術が日本で生まれてきたと,日本の技術力を強調し,
「これからも日本で新たな技術が生み出されるはずだ」と氏は述べた。
ビデオレターの中でPaul Otellini氏は,東日本大震災に触れたうえで「日本の皆様と協力して技術革新を進めていきたい。日本の可能性を信じている」と述べていた
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続いて吉田氏は,今の日本は多くの課題を抱えていると前置きをしたうえで,最大の課題ともいえるであろう東日本大震災について「ありとあらゆる国は課題を持っていて,世の中というのは課題を片付けてこそ生きている意味があるし,技術系の企業は課題を片付けるために存在している」と語る。そして,IntelのPaul Otellini(ポール・オッテリーニ)社長兼CEOのビデオレターを紹介した。
ゲストスピーカーとして登壇したサイバーダインCEO兼筑波大学大学院教授の山海嘉之氏。HALを手がけている
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それでは今後,日本はどのような方向に技術革新を進めていけばいいのだろうか。これに対して吉田氏は「優しさ」だと語る。
吉田氏がここで言う優しさとは,使い手に対する思いやりのことだそうだ。「生産性,効率性だけでは仕事ができない。人の役に立つことで喜びや感動が生まれ,新しいことを創造できる」と吉田氏は言う。
そしてその一例として,介護分野での応用が進められているロボットスーツ
「HAL」(Hybrid Assistive Limb)を紹介した。
HALは,すでにリハビリの現場で利用が始まっている。脳卒中の手術から2日後にHALを装着してリハビリを開始し,高いリハビリ効果をあげたという実例が紹介された
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HAL実機によるデモの様子。人の足にセンサーを取り付け,動きに合わせてロボットの関節も動いていた。腰の部分にIntel製CPUが内蔵されているそうだ
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IntelのMooly Eden(ムーリー・エデン)氏からもビデオレターが届けられ,いつもの調子でUltrabookをアピールしていた
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HALのような技術こそ日本発のイノベーションになりうると吉田氏はいう。安心できる世界を作るためにインテルもさまざまな技術開発を行なっていると述べ,吉田氏もいくつかのデモを披露。その中でUltrabookのアピールもしっかりとしていた。
最後に吉田氏は,「目の前に課題に取り組み,アクションを起こして解決していく」と強調したうえで,「インテルは,日本の社会に,企業に,全員の人に対して協力していきたい。その結果が明るい未来につながるはずだ」と公演を締めくくっていた。
国内で発売予定のUltrabookがインテルブースで展示
 インテルブースの一角にUltrabookコーナーが設けられていた |
 11月に発売が予定されている東芝製のUltrabook「dynabook R631」 |
なおインテルは,会場内のホール1にブースを構え,いくつかのソリューションを展示。そのなかでもインテルが推していたのは,やはりUltrabookだ。ブースに設けられたUltrabookコーナーには,国内発売が予定されている製品が集められていた。ASUSTek Computer製の
「UX21」や
「UX31」など,国内未発表製品も展示されているので,各社のUltrabookをまとめて触ってみたいという人は,会期中にインテルブースを訪れてみるのもいいかもしれない。
そのほか,招待講演で紹介されたHALの実機展示&体験コーナーや,AR技術(仮想現実)を応用した技術デモなども展示されており,なかなか興味深いものとなっていた。
COMPUTEX TAIPEI 2011でも披露されていたASUSTeK Computer製「UX 21」(写真右)と同「UX 31」(写真左)。国内での正式発表はされていないが,国内発売される予定とのこと
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 こちらはLenovo製「IdeaPad U300s」。「IFA 2011」で発表された製品だ |
多くの人が集まっていたHAL体験コーナー
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インテルが「デジタルフィット」と呼んでいる“AR技術でTシャツの模様を選ぶ”というデモ。画面に映ったTシャツの模様を自由に変更できる
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 「Intel Girl Inside」と名付けられたAR技術デモ。女性の頭にフクロウの顔が合成されていた |
 「Intel Wireless Display 2.1」に準拠したNETGEAR製「PTV2000」の実機展示 |