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「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」
4Gamerでは,Cooler Masterで一般小売り市場向けPCケースの製品マネージャーを務めるDanny Chen(ダニー・チェン)氏に話を聞いた。今回は,氏の説明するポイントを中心に,実機の写真と合わせて,COSMOS SというPCケースが,自作派PCゲーマーにとってどういう意味を持つのかを探ってみたい。
COSMOSが天使ならCOSMOS Sは悪魔!?
COSMOSとは似て非なる,冷却能力重視のPCケースに
COSMOSとCOSMOS Sで共通なのは,「エンドユーザーが見て,すぐにCOSMOSシリーズであると分かる」(Chen氏)4本のバーだけ。外観から機能まで,「スポーツカー的であり,既存の製品を超越した,Sクラス的な」意味を持つ「S」のついた新製品において実現が図られているのは,より高い静音性ではなく,徹底した冷却性能なのである。
まず決定的に異なるのはエアフロー周りだ。COSMOSでは,ファンの動作音などがなるべく漏れ出さないよう,ケース前面には肉厚の扉,そして吸音加工済みの側板を用意し,さらには(ユーザーの耳から遠い)ケースの底面から吸気するといった配慮があった。これに対してCOSMOS Sでは前面扉が廃される一方,前面と側面ではメッシュ加工を採用する。「ケース前面から新鮮な空気を大量に取り入れ,背面と上面から一気に排気する」(Chen氏)仕様へと変えられている。
筐体も,振動を押さえるためのスチール素材ではなく,冷却能力を重視したアルミ素材を採用。さらには120mm角ファンは最大6基搭載可能で,側面には200mm角相当のファンが取り付けられているあたり,やはりCOSMOSとは似て非なる存在と理解すべきだろう。
「ケース前面から新鮮な空気な空気を大量に取り入れる」という観点に立つと,気になるのは側面の大型吸気ファンだ。COSMOSとは異なり,標準では底面ファンを搭載しないのでこの点は問題ないとしても,側面の大型ファンは,むしろエアフローを乱す存在にならないのだろうか?
側面のファンが冷却性能をアピールするためのアイキャッチになっている部分があるというわけである。さらに氏は「COSMOS Sの200mm角ファンは,きちんと“200mm角ファン用の回転軸”を使っている」とアピールする。「他社は120mm角ファン用の軸を使いながら,羽根を大きくしているため,どうしても回転が不安定になるが,我々が自社工場で製造している200mmファンでは,十分な大きさの軸を採用することで回転を安定させた。これが風切り音などの安定につながり,いきおい静音化にもつながる」とのことだ。
もっとも実際に動かしてみたところ,必ずしも静かではない。今回Cooler Masterから入手したCOSMOS Sは量産前サンプルで,最終製品とは若干仕様が異なる可能性があるとされている点は注意してほしいが,200mm角ファンが回転すれば,やはり動作音は耳につく。一般的な大型ファンと比べれば静かかもしれないが,冷却能力に主眼の置かれたケースなので,動作音については割り切る必要があるだろう。
フルアルミ化で得たものと失ったもの
全体的な方向性はむしろStacker 83x系に近い?
このほか,COSMOS Sの主なスペック,COSMOSとの相違点は下に示した表のとおりだ。
ポイントは,COSMOS Sがいわゆるフルアルミ仕様となっている点である。これはもちろん,HDDなど筐体と接触するデバイスの冷却効率を上げるためだが,取っ手があってメンテナンス時などに移動しやすいCOSMOSが,COSMOS Sでさらなる軽量化を果たし,より扱いやすくなっているのは歓迎したい。
このほか細かい部分では,電源スイッチがタッチセンサー仕様になったことと,ケース前面上部のI/Oインタフェースにスライド式のダストカバーが取り付けられた点が,COSMOS Sの新要素といえる。COSMOSの前面扉と似たような黒いミラー加工となっているのは好みが分かれると思われるが,それでもカバーが付いたのはありがたい。
機能面だけを見るなら,むしろCOSMOSよりも(冷却能力を重視したCooler Master製アルミケースシリーズである)Stacker 83x系に近い印象を受けるCOSMOS S。正直なところ,静音PCケースが高い支持を集める日本でCOSMOS以上の人気を集めるか? と聞かれると「うーん」と唸らざるを得ない――実際,Chen氏から聞かれたときも唸ってしまった――が,冷却能力と拡張性を重視するハイエンド指向のゲーマーにとっては,相応に価値があると思われる。日本法人であるクーラーマスターからの具体的な出荷情報を待ちたいところだ。
ところでChen氏は最後に「2009年には,ハイブリッド仕様の新しいPCケースを投入する」と述べていた。具体的な仕様はさすがに秘密だそうだが,COSMOSとCOSMOS Sの両方の特徴=静音モードとパフォーマンスモードを簡単に切り替えられるような仕組みを導入するとのことだ。ハイエンドのPCケースを好む向きは,記憶に留めておくといいかもしれない。
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