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印刷2007/10/19 23:04

企画記事

ウルティマ オンライン10周年特別企画「元GM覆面座談会」――今だから言えるあのときのUO(第三夜)

GMのペーパードール。この赤いローブにどこか畏怖の念をもっていたものだ
 1997年10月17日。
 それは,「ウルティマ オンライン」(以下,UO)のパッケージが日本で発売された日である。それから10年が経ち,2007年10月17日,今もなおサービスが続けられているUOの,記念すべき10周年を迎えた。

 この記念すべき日に先立って,EAから「何か面白いことをやりましょうよ。っていうかやってくれませんか」と依頼があったのだが,10年の歴史を刻んだ作品ともなると,なかなか良いアイデアが思いつかない。攻略とか紹介なんていうごく当たり前の記事ではない,古い人も新しい人も読んで面白い“何か”とはなんだろう,とずっと考えていた次第だ。
 そんな中急浮上したアイデアが,「覆面座談会」。10年もの歴史を誇っていまなお現役のオンラインゲームはUOくらいしかなく,その間に起こった様々な事件やイベントは,もはや口頭や個人のWebサイトで伝わるだけになっており,ものによっては「ネタ」扱いさえされている。家全部消えました事件や,Yamato大戦など,古い人が読むと懐かしく,新しい人が読むと「へえ」と思える,そんな記事ができるんじゃなかろうか。
 そんなわけで,当時の日本サービスを支えてきた元GM(Game Master)達に集まってもらい,当時の苦労話や今だから言える話といったところを聞かせてもらえることになった。みなさんいまなお業界で現役の人達なので,仮名で登場することは,なにとぞご容赦いただきたい。

 2007年10月某日,東京都内のとある料理店に集う6人の元GM達。いずれも,UOの日本サービスを初期から支えてきた人達である。すでにUOから離れた人だからこそ言えること,匿名だからこそ言えること……。そんな,元GM達から出る言葉の一つ一つを記録……するのはよいが,果たしてこれ本当に公開できるものになるのだろうかと心配しつつ,乾杯の音頭と共に幕は開いた。


 ……そんな,もはや記事なんだか暴露話なんだか分からなくなってきた覆面座談会も,最終回の第三夜。第二夜に引き続いて,GMだった当時の仕事について思い出を語ってもらった。ここまで読んでくれた人ならもうおわかりだろうが,ここでも一筋縄ではいかない回答の数々が。

■第一夜は「こちら」
■第二夜は「こちら」

Special Thanks(画面写真提供):
Acha.,Kapapa,Cactus,Veno,小菅真美





ウルティマ オンライン


ウルティマ オンラインに携わったGMの思い出とは






4Gamer: GMの仕事で思い出に残っていることなどを,みなさん聞かせてください。

ユー : うーん,そうですね……。ある日ムーングロウで,マクロで作った地図を無数に地面に広げている人がいたんです。サーバーが重くなるからと言ってもやめてくれないので,そのプレイヤーのカバンを開いて,地図を全部そのカバンに入れて,自分で捨てなさいと横にゴミ箱を置いたら,そのプレイヤーがすごい怒っちゃって(編注:重量超過でプレイヤーは動けなくなる)。いろいろ話した結果,「そんなことは問題ではありません」とつい言ってしまった。そのGMとしての自分の一言が思い出です。悪い思い出ですけど。

つまりはこんな状況,か。ちなみにこれは1998年10月,最後の1マスを箱で埋めるため,タンス技を使う寸前。とにかくSecureもLockdownもない時代なので,事前Logoutや事前MarkによるRecallは最悪。それを回避するためにすべてのマスをアイテムで敷き詰め,この状態で1週間くらい放置しておいた。今となっては良き思い出(なのか?)
ウルティマ オンライン

ベス : サポート上は,もっとも使ってはいけない言葉の一つかと(笑)。

4Gamer: 10年間の歴史でそれが一番の思い出ですか(笑)。

スカラ: でもちょっとGMの間で流行ったね。あの切り返しのセリフが。

ユー : 流行りましたね。

スカラ: サポートでは使えませんが(笑)。

ユー : それを除くと,BNN(Britannia News Network)ですかね。本当に楽しかったのは最初の1,2回で,それ以降は締め切りが大変でしたけど。

スカラ: 台本の締切には何度も失踪しました。

古き良き褒賞選択画面。オンラインゲームにとってアイテムは重要なファクターではあるが,それはUOの本質的な魅力ではない。EA Mythicに移管されてからのUOや,いかに
ウルティマ オンライン

4Gamer: ベスさん,どうでしょう?

ベス : 俺は,Izumoを立ち上げたときにIzumo誕生のストーリーを書いたら「クサイ」ってみんなに言われたことかなぁ。

一同 : だってホントにクサかったじゃん!

ベス : いやぁ(笑)。シナリオ書くのは駄目かなーと思った。自信作だったんだけどなぁー(笑)。3人くらいプレイヤーから選ばれて,その名前を入れ込んだうえに,ちゃんと話して性格も反映したストーリーをうまく書いたんだけどね。それが一番覚えてる。

ユー : あとベスさんは「これは贋金だ」事件があったよね。

ベス : あー(笑)。

ユー : 翻訳ファイルを日本でやるようになって1本目だったかな。

ベス : そうだそうだ,コンパイルを日本でやるようになったときに,翻訳したファイルで1行ずれてたんだよね。

スカラ: ペットに餌をやると「これは贋金だ」って(笑)。

ミノ : ガードが「疲労過多!」って言いながらやってくるんだよ。

一同 : (笑)

スカラ: あれ,ファンサイトで4コマにもなってたよね。

ベス : 当時UOはローカライズに関してはQA(Quality Assurance)って概念は薄かったからね。開発チームが間違えたパッチを当てることがときどきあったんですよ。だから最初はそれだと思ってたら,俺だった(笑)。

デン : また変なパッチが当たったよって言ってたよね(笑)。

ベス : 一応自分でQAしたはずなんだけど,なんで気が付かなかったのかな。でも,当時は楽だったよね。自分でコンパイルしたのをローカルに入れて,すぐチェックできるような簡単な仕組みだったから。いやでも当時のことは本当にゴメンナサイ。反省してます……。

家を岩肌に密着させるように建てると,家の中からMiningができる。これが家掘りだ。いっとき大層はやった
ウルティマ オンライン

4Gamer: スカラさんはいかがですか?

スカラ: 私はやはりイベント系になりますが,プレイヤーに負けたなと思ったことがありましてね。西部ガードっていうイベントなんですが,厳密には世界設定上タブーなんだけど,敢えてシャード同士の競争を企画したんですよ。「ブリテンの西部の畑が不作で,農民が困ってるので食料を寄付してください」というのを背景にして,食料の量で結果として建てられる建物に差をつけて,競争意識を煽りエキサイトしてもらうってのを企画したんですが……

4Gamer: ですが?

スカラ: 成功したんだけど効きすぎました(笑)。一週間か二週間は仕組みが伝わってなくて,プレイヤーの反応は薄かったんですが,建築中の建物の豪華さに差を付け出したら競争なんだと分かったらしくて,プレイヤーの連携が一気に始まって……マフィンが多かったんですが,小麦粉を取ってくる役と,こねる役と,焼く役と別々に分担していて,最終的に200万個とかいう数に。

4Gamer: 200万って……。

スカラ: でしょう? 最初は,3段階程度の変更を考えていたんですが,毎日ものすごい量が追加されていったので,つられて毎日更新せざるを得なくなった(笑)。最後は,更新が追いつかなくてへとへとになりつつ終了を迎えました。

4Gamer: それが一番記憶に残っている負けなんですね。

スカラ: そうですね。負けはしましたが,プレイヤーのパワーはもの凄いなとあらためて考えさせられた出来事でもあります。展開を引っ張るために無理やりマフィンを追加できるようにしたせいで,マフィンの寄付役にしたNPCのフィニガン市長がものすごく評判悪くなって,悪人キャラになってしまいました(笑)。

「Eeeexcelllleeeent!!!!」渦中のフィニガン市長。2002年の正月に初詣に訪れていたときのワンショット
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トリ : あれには熱狂的なアンチがいたよね。

4Gamer: 展開がこんな凄いことになるとは思わなかった?

スカラ: もっと小品で終わらせるはずだったんですよ。どこどこのシャードが一番立派だったねー,おめでとーと軽く終わるはずだったんですが,サーバーがアップすると瞬く間にプレイヤーが集まって,それーっと作り始めるという。そこまでしのぎを削る企画のつもりではなかったんだけどなぁ,と冷や汗をかいていました。

Sonomaシャードのイベントより1枚。テントはあるわ,Order Shieldはあるわ,だいぶ古いものであるのが見て分かる
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4Gamer: では,デンさんは。

「皇帝再び」の最終決戦より。Yamatoではこのゴルモアが持っていた“soul eater”が現存するという
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デン : やっぱりゴルモアですかね。始めた当初はそんなに反応はなかったんですが,その後の反響がすごくて,ゴルモアの剣や鎧がリアルで何十万円という額で取り引きされてたとか。あとFlashでゴルモアを倒そうっていうのが出来てました。そのイベントの影響なのか,イベントがやりたくて実際にGMになった人がいたりしましたしね。やっぱり,反響の凄さが印象に残っています。

スカラ: やっぱり一番よかったのは,四天王を倒すと大魔王という分かりやすい展開が,参加しやすいポイントとしてあったね。

デン : 最初何回か,謎解き系のイベントをやったんだけど,難しすぎてついて来られないプレイヤーがいたりしたね。

ベス : ゴルモアでファンサイトがかなり増えたよね。

デン : 今となってはいい思い出ですね。今はもうできない。

スカラ: 最初のころ,NPCとか本を使った謎解きを仕掛けたけど,たどり着けた人が少なかったことがあった。

デン : あと,あのころはIRCが凄かった。イベントをすると「イベント発生!」っていうのが回って。いつもIRCとの戦いだった。いかに,そっちで気づかれることなくうまくやるかって感じでした。とにかく人数を分散させるのが大変だったよね。あと,Asukaでやったゴルモアの最初のとき,あまりにもラグが酷すぎて,途中でタウンクライヤーに変なこと言わせて,分散させたけど,あとでえらいブーイングをうけた。その後,何回か仕組みを変えた後ろの方のシャードではうまくいった。これがまさにオンラインゲームだなって感じでしたね。

4Gamer: トリさんいかがですか。

トリ : うーん,なんだろうね。

スカラ: 家を消しました?

トリ : 家を消しましたは言っちゃったしね(笑)。あ,あれだ。カレー屋から感謝状をもらったやつですかね。

一同 : (笑)。

ベス : 感謝状がFAXできたんだよね。

スカラ: 深夜ってやってる店が少ないんで,GMの夜食でそのカレー屋を利用する率がかなり高かったんですよ。あまりに頼みすぎて,いつもご利用ありがとうございますって感謝状が来た。

4Gamer: えーと,UOとはあまり関係ないというわけですね? しかもFAX!

トリ : いいところに気が付きました(笑)。

ベス : トリさんで覚えてるのは「UOEを使ってるよね? BANしないから言ってごらん」って言ってBANしたやつかな(笑)。

トリ : そんなことやったかなぁ……チートツール使ってる? って聞いたら「UOEです」って言われて,じゃあチートツールだねってBANしたことはあったけど。

ベス : いや,BANしないから言ってごらんって言ってたよ。その言葉をそのまま報告に貼り付けてたよ。

トリ : 覚えてないけど,「怒らないから言ってごらん」ならやってたかも。

ミノ : トリさんで思い出深いのは,イベントでキャラクターは死ぬと死人ローブを着て,アイテムの回収にくるんだけど,そのときにジャイアントラットを死体のそばに出すといいって教えてもらったことかな。装備があればすぐ倒せるんだけど,生き返った直後だとね。こんなやつに!って感じでいい戦いに(笑)。あとは火エレ出してみたりね。ラグが起きるから。

デン : うん。火エレのエフェクトは,PCスペックによっては動きがガクガクになるからね。実際やられたし。

スカラ: 完全にPKの考え方だ(笑)。

当時のあこがれ「Castle」。1シャード内に,理論最大値でも7,8か所しか建設できる場所がなく,事実上各シャードに2,3個あったかどうか。外周と内周の間のむき出しの地面がポイント。ここにMarkされて侵入されたりすると収拾がつかず,そのシビア具合はKeepの比ではなかった。家を建てて大事なものを置くのは,果てしない博打だったのだ
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4Gamer: ミノさんはどうでしょう。

ミノ : 僕はやっぱりパラ弓ですかね(笑)。それは冗談ですが,僕はGMの期間が短いほうだったので,今思うと毎日が思い出ですね。そのなかでは,テレポート障害とか面白かったですね。ここにテレポートするかな,という場所に障害物を置いて,ブロックされて逃げられなくなったプレイヤーがあわててるのが分かるっていうのが。こういったことって,当時のプレイヤーさんは喜んでくれたんですよね。

スカラ: ミノさんはやっぱり作り物の功績がでかいね。それまでGMが誰も手を付けてなかった難しい設置物に「屋根」があるんですよ。それを見事に作ったのが彼です。

ミノ : 建築学科ですから!

一同 : (笑)

ミノ : 屋根の勾配とか全部分かるんで,一通り屋根を作ってセーブしておいたんだよね。あんなところで学校の知識が使えるとは思わなかった(笑)。

スカラ: 見るだけで,作るのを止めたくなるような,ややこしいパーツばっかりでね。

4Gamer: みなさんの話を聞いていて思い出すんですが,昔のプレイヤーは大概のことでは怒らなかったですよね。

ベス : プレイヤーも怒らなかったし,同様にGMも怒らなかったですね。

スカラ: なにかこう,あるがままをお互いに受け入れてたね。


ベス : たぶん,今考えるとありえないサポートだと思うんですよ。プレイヤーを殺すってないですよね。

ミノ : プレイヤーのペーパードールの髪の毛を持ち上げて,ハゲにしちゃうとかやってたね。お客さんをハゲにしちゃうんだよ?

ベス : 騒がしいプレイヤーを埋めて岩を乗せるとか,今考えるとありえない(笑)。

トリ : そんなことしてたGMはあなただけ(笑)。

スカラ: ポリモーフで肌の色が変わるんだけど,その色から戻らないバグがあったんですよ。肌が真っ白だった女性キャラのプレイヤーから「真っ黒から直らないんですけど」とコールを受けて調べたらどうやらそのバグで,「これはポリモーフのバグで,一回変わっちゃうと直らないね。ごめん」って対応したら,「そうかー。じゃ,しょうがないですね。コギャルとして生きてみます。てゆーかあたしー」とか受け入れちゃって。

一同 : (笑)。

ベス : 一度カウンセラーホールに「木」が来たの覚えてない?

一同 : あー,あったあった。

ベス : 木っていうかリーパーなんだけど,GMコマンドでイベントのテストを色々してたんだけど,たまたま同じゾーンのプレイヤーを木に変えちゃってて。何度やってもテストがうまくいかないからおかしいなぁ,とは思ってたんだけど。

スカラ: ありましたねえ。

ベス : 木がゆさゆさとカウンセラーホールに来て,「すいません,木に変わっちゃったんですけど(汗)」って。でも本人も嬉しそうで,「ゆさゆさ」とか言ってた(笑)。ほんとに,カウンセラーホールは結構ドラマがあったよね……。そういえば,カウンセラーとかの全ボランティアは何人くらいいたのかな?

トリ : カウンセラーが常時数十人くらい,コンパニオンは3桁はいたかな。

ベス : 今やるとボランティアとか集まるのかな?

トリ : どうでしょうね? 今はなかなか難しいかも。

ベス : GMとボランティアはいつもチャットで話しあってるので,そのコミュニケーションが面白かった。カウンセラーにややこしいコールをお願いすることになっちゃったりね。バンクの荷物が消えましたってコールとかね。たぶん消えててどうしようもないやつ。

トリ : でも,GMのサポートルール上ではアイテムを戻せない。つまり,GMじゃどうしようもないから,カウンセラーに任せるしかないかな,って。

ベス : 頑張ってねって。カウンセラー時代のユーさんもよく頑張ったよね(笑)。

ユー : ええもう。

スカラ: 武闘派のGMが多かったので,GMに泣かされてカウンセラーホールに帰ってきたのをカウンセラーが慰めるという業務分担ができてましたね。

海外シャードも日本シャードも運営スタッフはフレンドリーで,普通にみんなの前に出てきていろんなことをやっていた。それが良いことなのか悪いことなのかはさておき,ほかのオンラインゲームとは一線を画していたことは事実だ
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なぜウルティマ オンラインは,10年間も続いたのか





4Gamer: そんな,端から聞いても野放し状態の状況だったようなゲームが,いま10年目となったわけですが。なぜUOはそんなに続いているのか。どこら辺が良かったとかありますか?

スカラ: やっぱり,リチャード・ギャリオットの思想が100%じゃないにしろ実現できていたことですね。最初のキャッチフレーズが……なんだっけ「We create world」だったかな。UOは,仮想世界のはしりです。当時ほかにUO規模ほどの仮想世界はなかったので,それを望む人がどわっと集まってきた。いまでもまだ仮想世界として自由度が高いですよね。何かしようと思ったら大抵できちゃう。

ベス : ごっこができるんですよね。RPGをできる。

スカラ: 本当の意味でのRPGだね。

トリ : ギャリオットの思想と,デザインしたDD(Designer Dragon※)も良かった。

デン : DDが居なくなって以降の改変は,当初のそういった思想から離れるものだったと思ってる。

※Designer Dragonは,「AGDC 2007」の記事「こちら」の記事で登場する,ラフ・コスター氏のことだ。ぜひ4Gamerの記事検索で「コスター」で検索して,どんな人物なのか読んでおくとよいだろう

ベス : やっぱり計算されつくした自由度なんじゃないでしょうか。この後のタイトルが出てこないのは,そのあたりではないでしょうか。

残念ながら今の人はほぼ目にすることがないであろう,Lord Britishのキャラクター。最初に公の場に姿を表したときにFireFieldで焼き殺されて以来,「invulnerable」(=無敵)属性をつけることを忘れないようにしたらしい
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スカラ: あまり詳しくないんですが,セカンドライフがそんな感じではないんでしょうか。すごく商業主義が先行している気がしますが。

ベス : UOは国をつくるのではなく,仕組まれた国に住んでいる設計なので,仕組まれていないセカンドライフとは違うわけです。国に住んでいるUOの場合,税金が高いとか文句を言いながらもその国が好きで住んでいる。その国へのロイヤリティが大きく違うのではないかと思います。

ユー : なんだか話の流れが4Gamerっぽく,良いように持っていかれてる気がする。今後のMMOはーとかそんな含みの話になるわけですよ。それはなんとしても阻止しないと(笑)。

一同 : (笑)。

4Gamer: オンラインゲームで起こったことで初めて本気で感情的になったのは,UOが初めてでしたね。Diabloは生活感がないし,そうでもなかったんですけど。

ベス : あぁ,確かに。バグも多かったけど,GMにとっても面白かった部分でもある。もちろん腹立たしいこともあったけど,GMとしてできることはいっぱいあった。

トリ : システムがちゃんと出来ていないから,サポートの基本となる方針はあっても,細かい状況判断はGM個人でしないといけなかったんだよね。ハラスメントとかもやり放題だし。個人で判断する負担部分が大きかったね。

デン : プレイヤー側もそうだよね。プレイヤーも必死で考えざるを得なくて,それでコミュニティが発達していくんだよね。

ベス : コミュニティパワーかな。

デン : 本当にコミュニティパワーです。

4Gamer: コミュニティパワーのおかげで10年間続いたと。

ベス : もちろんそうなんじゃないですかね。単に“お客様”ですという態度では続かなかったと思います。

トリ : なんだか綺麗にまとまったね。

スカラ: ちょっと面白くない(笑)。

ユー : 不動産を持たせたのはえらいよね。あれ止められなくなる。

かなり良い位置に建てた家。筆者がやっていたころは,土地不足をあまり感じなかったが,最近はどうなんだろう
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ベス : 確かに。

ミノ : あとオブジェクトをぽこっと置けるのがいいよね。

トリ : ほかにないよね,置けるのは。

ベス : やっぱり2Dだったのが良かったんだよね。

第二夜の話にも出てきたコインアート。2Dだからこそ生まれた遊び方の一つだろう

スカラ: あのオブジェクトを置いただけで,何かの「意味づけ」を自分でできるっていうのが大きいかも。

ミノ : あの箱一つでどれだけのストーリーがあるのかって感じで。

ベス : まぁたいがい開けたら爆弾なんだけどさ。

一同 : (笑)。

ミノ : そうそう,黒デーモンを引っ掛けたりとか。

スカラ: 催し物で人が来そうなところに机と椅子と水晶玉を置いておくと,必ずどこからともなくプレイヤーがやってきて占い師と客を始めてしまう(笑)。仕掛けたもの自体は何でもないことなんだけど,プレイヤーがそうしてくれると信頼できてるというか,計算が立つのがすごいね。

イベント会場にこんなのがあれば,自然とプレイヤーの酒場がオープンしていたりする

ベス : FPSとは違うPKシステムがあったのが強かった。検死スキルまで用意されている。

デン : 殺したやつの名前が分かるってやつだね。もう殺されることがシステムの前提として織り込まれている。

ベス : それに,いろいろと社会勉強にもなる。

スカラ: プレイヤーとして一番最初にPKされたとき,シーフにPKされたんですよ。それはいきなりPKされたんじゃなくて,アイテムを盗まれたのでムカついて「F○ck」って言ったら殺されまして。あぁ,これ英語圏の人に言っちゃ駄目なんだなぁって学んだという。でも,帰れるだけのアイテムは残してくれました(笑)。

4Gamer: 古いPKは割とそんな感じでしたよね。船堀り(※)してたら真っ赤なPKの集団がやってきて「are u there?」って。いるよ,って答えたら「マクロじゃないオマエは偉いからこれを全部やろう」って,何十人というマクロプレイヤーを殺して奪ってきた山ほどの鉱石をくれたり。

※船掘り:船で岩場に近づいて,船上でもくもくとminingを行う。たいがいのプレイヤーはマクロでやってたし,数が増えると通れなくなって果てしなく邪魔。鉱山の横に家を建築して家の中で掘るのが,家掘り。昔はバグで船にForgeが設置できたりもした。

船にDeedオブジェクトが設置できた(できちゃった)ころの画面より。Ovenを設置してパン屋さんを開いてみた。当時としては割と珍しいGM Chefのキャラクターだ
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ベス : そう。PKも一本なんか通ってた。でも,ほんとうにあそこまでの機能を持つゲームはないように思います。バグは多かったけどね。未だに全部出てきてないと思うな。

トリ : まぁ一番最初だったから大雑把だし。大雑把な分,できることが多いよね。

ベス : その当時MMOみたいなことをしたかった人が,職場としてもプレイヤーとしても全部UOに集まった。それしかなったから,プレイヤーもスタッフも,どうしてもやってみたいという人がいたから発展したんでしょうね。新しいMMOも増えてきた今となっては,ほかのMMOに行く人もいるし,自然の流れなのかなとも思う。

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ウルティマ オンラインが好きだったからこそ望む今後の姿






4Gamer: 最近のUOになにか思うことなどありますか?

スカラ: 元IGMとして最近のイベントに苦言を呈したいんですけど,見ていると昔の焼き直しが多いなと。

トリ : あーそれは僕も思う。みんな遠慮しがちかなと。

スカラ: 前やったイベントを繰り返してる感じでね。別に夏にクリスマスやってもいいじゃないかって言う発想が欲しい。

トリ : 定番は定番でいいんだけど……。もうちょっとね。

ベス : はじけちゃっていいよね。

スカラ: イベントは分かりやすくあるべきだけど,最後のオチまで全部分かりきってしまうと誰もやってくれないんです。こうやればいいんだなと分かってて,途中ではサプライズがあるようにしないと。

ユー : サプライズっていうか何回死ぬかという話ですか?(笑)。

スカラ: そうかも(笑)。個人的な企画の最優先要素は「何か面白いもの」じゃなくて,「何か前にやっていないことを!」だった。

ベス : もっとも,あの時代はチャレンジしても怒られなかったしね……俺は怒られたけどね。でも前人未到な世界だったから,やっても良しな時代だったのは確か。今はある程度これは駄目と分かってきて……,失敗を繰り返した結果ルールが出来ちゃったことで,ちょっと怖さとか遠慮があるんでしょうね。

スカラ: 何回目かの子供の日で,前と同じなわけにはいかないから,なんか違うなと思いつつシーサーペントを鯉です! と言い張って泳がせたなあ。

鯉として池を泳いでいたこともあれば,鯉のぼりになって風になびく(?)ことも
ウルティマ オンライン

4Gamer: もっとプレイヤーを驚かせるような,チャレンジをしてほしいということですね。では,UOは今後も新しい拡張パックが出てくると思いますが,UOとしてこうあって欲しいというのはありますか。

スカラ: さっきと被っちゃいますが,あれをただのゲームと思ってアップデートして欲しくない。UOは仮想世界だったはずなんです。だから仮想世界として発展していくようなギミックを入れて欲しいなと。つまり,プレイヤーが活動できる余地をより大きく,より広くというアップデートをしてくれればそれにかなうと思います。アイテムが増えましたとか,モンスターが増えましたとか,クエストが増えましたじゃ,ただのゲームと同じになってしまう。

4Gamer: ゲームではないと?

スカラ: ゲームの形をしている別物というか,存在としてはコミュニティセンターとか? 東京国際フォーラムとかに近いかもしれませんね。

トリ : 昔から言われているのは砂場だよね。砂場やジャングルジムは提供するけど,遊び方までは知らないよという感じです。

4Gamer: いまどきのゲームに慣れてるプレイヤーは付いてこれますかねえ。

トリ : そこが難しいところですね。

スカラ: その砂場の例を,私は神社の境内って言ってますが,神社の境内で子供を遊ばせるには,周りにお爺ちゃんやお婆ちゃん,大人が遠巻きで見てなくては駄目で,喧嘩が始まったら一定のところで仲裁するという,小さな政府的なケアと教育,こういうものがあるんだよという情報提供をしないと新規組には通用しないかなと。言い換えればそこをケアすれば大丈夫だと思うんです。日本人は基本的にごっこが大好きなので。

4Gamer: しかしなりきるのって結構難しいですよね。

スカラ: 素ではなりきれないですね。だから,そこのタガが外れるような工夫をしてやる必要はあります。例えばアバターでも,これはあなたの子供ですとか,ペットですと言うとはじけるんですけど,あなたがアバターですと言われるとしらふになってしまい萎縮してしまう。

デン : いま,UOはチャレンジャーがいないよね。もう1回チャレンジャーに立ち戻ってほしい。新しい思想なり,楽しみを提供してたじゃないですか。今は,ほかにあるMMOと大差がなくなっている。方向性としては商業的に成功しているけど,あえてここで立ち戻って,チャレンジャーに戻って欲しいと。そんな,なにか新しいのを入れてくれると古参の人も戻ってきてくれるんじゃないかなと。そうすれば昔のコミュニティに戻って,初心者から古参までうまく住民の幅が揃うんじゃないかなと思う。イベントを見ても,もうちょっとチャレンジしてほしいなと思ってました。常に挑戦してほしいということですね。

ベス : 当時のUOは,プレイヤーとGM/運営側がワンセットでうまくコミュニティを形成できていました。この形のまま成功したMMOは少ないと思うんですよ。あの形は完結しているので,それを真似て,なんとなくやったところはいっぱいあると思うけれど,ちょっと間違った方向にいっちゃったところもいっぱいあると思います。もしあの形をデファクトスタンダードにするならば,サーバーとGMを丸ごとコミュニティとして体験してもらえるようやってみて下さい,と。

4Gamer: というと?

ベス : 丸ごと売っちゃえばいいんじゃないですかね。そうすれば,UOでゲームだけやってくださいじゃなくて,GMがどう思ってるのかも勉強になるし,コミュニティを形成するツールにもなると思う。企業が勇気を持って,大学や小さな団体にサーバーセットごと安くライセンスを売ってみれば良いと思うんですよね。もう,一社が稼ぐための道具ではなくて……もう十分利益取れたよね? っていう意味でいうと,そういう貢献の仕方もMMO業界的にはあるんじゃないかなと思ったりはします。

4Gamer: ローズオンラインでも同じような試みをやろうと動いてますよね。(関連記事

ベス : そうなんだ?

スカラ: ベスさんが言ってるのは,一般のユーザーが何人かで集まって,本稼働のコンテンツとして運営できるような形にしたいと。つまり会社がサーバーとツールを与えるポータルサイトになれば良いのではないかということですよね。

ベス : 大きなギルドがそれを持てるようにしたりとかね。それなら自由にやってみようかなという昔の人もいるかもしれないし,GM側だったらやりたいと思う人もいると思う。自分ならもっと良いイベントを作れるかもとかを含めて,ゲームでも良いし,インターネットコミュニティとして使っても良いんじゃないかなと。

トリ : 利益が出ているうちは難しそうだけど,EAはツールをアメリカの学校に出してるよね。

ベス : だから,そういうミュージアム,ライブラリー的な意味合いで,もうちょっとパブリックに,ゲームあるいはコミュニティの形成を目指す人が触っても良いモノだという気がします。もちろん企業として利益は大事ですが,それを使った,良い次の世代のMMO開発者なり,コミュニティ運営者なりが出てくる可能性があるわけで,最終的にMMO業界に利益が返ってくる可能性があるという意味で,ありかなぁ,って。

4Gamer: 可能性はあると思います?

ベス : いや,先ほども言われてたように,利益のあるうちは,さすがにないでしょう。でも,もしサーバーごと売ってくれたら買うよね(笑)。

スカラ: 買うね(笑)。

ベス : EQ以降は,消費型が多いんですよね。コンテンツをすごい勢いで消費していく。その点UOは,自分達で作れるし,GMで作るからコンテンツを消費しない。逆に,コンテンツ消費型のMMOを作ってるスタジオは開発コストが厳しいはずです。ずっと作り続けないといけないですから。UOのコンテンツを作らなくてもいい仕組みと,プレイヤーがごっこをしてくれる仕組みはその点で素晴らしいと思います。

トリ : 最近の新しいプレイヤーだと,なかなかそれが難しいんだよ。


4Gamer: 昔って詐欺師とPKが山ほどいたじゃないですか。危険があるから面白かった。「今日は殺されないでログアウトできたな」みたいな。最近はどうなんだろう?

ベス : ごっこをしてくれる人も減っているからね。だから,今となってはGMごっこも良いんじゃないのかなと。スカラさんがよく言うんだけど,あんなに面白いMMOはなかったっていうのが,UOのGMだったと。

スカラ: 今考えても,UOのGM業が一番面白いMMOでしたね。

ミノ : お金払ってもやりたいよね。

ベス : そうそう(笑)。

4Gamer: そこまでの魅力があるというわけですね。ところで,最近の新しいプレイヤーはちゃんと先人に何か教わってるんですかね。そのあたりが心配です。

トリ : 教える内容がちょっと違うかな。

ベス : ショートカットを教えるということ?

トリ : うん。

スカラ: 大きな目的が煮詰まってるところがあって,やり尽くしちゃってプレイする動機がない場合があると思いますね。UOをプレイする大筋の目的意識がないと,一緒に遊ぶためにNewbie(新人)を基礎から教育してっていう必要性,原動力が生まれないんです。

4Gamer: なるほど,とにかく攻略しようになってしまうんですね。でも,UOは攻略するところってどこにもないですよね。

スカラ: UOにおいては,「攻略する」と言うコンセプトだと失敗するはずなんですよ。何でもできるということは,ある意味何もできない,目的がないということですから。Ultimaの蓄積と,リチャード・ギャリオットの力だったと思うんですが,UOは特大じゃなくても中規模の目的をめいめいが勝手に持てた。

トリ : そこはDDのデザインがうまかったと思うんだけど。オブジェクト1個1個が触れるという部分,Wクリックしたら使えるとか,そういう細かなリアクションが返ってくるようにしてるところがうまいなと。やっぱり試そうという気になるから。

ミノ : 今のUOを初めてやったらどう思うのかな。

ベス : 消費型,あるいはアイテム課金型のMMO文化を持ってきて,つまんないと思われても困るかもね。今も昔も人は変わらないと思うんですが,MMOの中で,きっと先人からの教えられ方,育てられ方は変わってきているとは思います。なので,やっぱりUOは変わって欲しくないですね。どちらかというと元に戻って欲しいかな。

スカラ: コンセプトは変わらないで,そのままで進化してほしいですね。


 まだまだ話し足りない。そんな空気の中,座談会は終了した。元GM達の意外な素顔が見えたことはもちろんだが,三夜に渡る座談会で見えてくるのは,ウルティマ オンラインの黎明期を支えてきたGM達はみな,プレイヤーと共にGMというものをとても楽しんでいたという姿だった。GMはプレイヤーにきっかけを与え,プレイヤーはきっかけから遊びを作る。GMとプレイヤーがウルティマ オンラインの一つのコンテンツを作り出していた,そんな時代だったのかもしれない。

 結局のところ,UOの自由度に追い付いているゲームはいまだに存在せず,いまどきの大量生産型のMMORPGが逆立ちしたところで,このUOの「自由度」にはかなわない。自由度こそがすなわち正義であるとは言うつもりは毛頭ないが,ほかにはない面白さを提供していることだけは,まごうことなき事実だ。

 UOが持つ,半端ない広さの「自由度」を,手探りで攻略してきた初期のGMとプレイヤー達。いまとなっては見栄えのしないグラフィックスであることは否めないし,あまりに歴史が長すぎて情報もまとまっておらず,なかなかプレイのきっかけがつかみづらいこともまた事実だろう。

 とはいえ,この偉大な作品のプレイ経験がないのは,もったいない。ちょっと興味はあったんだけどいまだにやったことないや,という人はぜひ一度,無料期間だけでもプレイしてみてほしい。
 トランメル以降順調に拡張を重ね,ずいぶんUOの姿も変わったが,その本質は変化していない。ここ3,4年で新しくオンラインゲームを始めたような人であれば,その異様なまでの自由度と,山と用意されている「無駄なこと」と,あらゆるプレイを許容するシステムに,きっと衝撃が走るだろう。それこそが,当時の古いプレイヤー達が感じていた“衝撃”の一端だ。
 ほかのどの作品も持っていないその衝撃を,ぜひ一度だけでも体験してみてほしい。そんなことをふと考えた座談会だった。

(10月某日収録)

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