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印刷2012/07/21 00:00

連載

帰ってきたTRPG連載「クトゥルフ神話TRPGで遊ぼう」。第1回はマフィア梶田が“本人プレイ”に挑む「探索者の誕生」


 探索者の諸君。ようこそ,「クトゥルフ神話TRPG」の世界へ。
 「クトゥルフ神話TRPG」は,文字どおりクトゥルフ神話の世界をテーブルトークRPG(以下,TRPG)で遊ぶためのルールである。

 ……少し説明が必要かもしれない。テーブルトークRPG(以下,TRPG)とは,現在普及しているPlayStation 3やXbox 360などのコンシューマゲーム機,あるいはPCなどで遊ぶデジタルRPG――ドラゴンクエストやウルティマ オンラインなど――の祖先に当たるアナログゲームだ。ゲームパッドの代わりに筆記用具とダイス(サイコロ)を使い,ルールブックと人間同士の会話によって物語を進めていく。
 そもそもRPGというジャンルは,このアナログゲームとして生まれ,その元祖というべき「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)によって世界に広まった。ただ日本では,TRPGよりも先にデジタルRPGが広まった経緯から,デジタルRPGと区別して呼ぶために,現在はこの名称が定着している。
 なおD&Dの誕生とその影響については,以前に掲載した連載「『ダンジョンズ&ドラゴンズ』で遊ぼう」に詳しいので,そちらを参照してほしい。


 ではクトゥルフ神話とはなにか。クトゥルフ,ニャルラトホテプ,ネクロノミコン,インスマウス,アーカム,輝くトラペゾヘドロン,這い寄る混沌……アニメやゲーム,小説などに現れる,そんなキーワードを目にしたことはないだろうか。

 クトゥルフ神話とは,20世紀初頭,第二次世界大戦前夜のアメリカで刊行されていた安価な娯楽小説雑誌,いわゆるパルプ雑誌で活躍したホラー作家,Howard Phillips Lovecraft(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト)が産み出した,SF的な要素の強いホラー作品群だ。
 ラヴクラフトの代表作とされる「クトゥルフの呼び声」は,人類文明誕生以前に宇宙から飛来し,深海に封じられた邪神クトゥルフを描いたもの。その目覚めによって世界が震撼するという,壮大な恐怖が描かれている。
 そのほか,忌まわしい信仰の結果,住民達がなかば魚類めいた異形に変化した街の恐怖を描く「インスマウスの影」,次元の彼方から人の世に顕現しようとする邪神ヨグ=ソトースの策謀を描く「ダンウィッチの怪」,時間を越えて人類の精神を侵略するエイリアン「イスの偉大なる種族」が登場する「超時間の影」,南極探検隊が超古代種族「古の者」の遺跡を発見する「恐怖の山脈にて」など,独自の人工的な神話大系=クトゥルフ神話に基づいた作品を,ラヴクラフトは次々と生み出していったのだ。
 そしてその魅力的な世界観は,同時期の作家達に共有され,現在で言うところのシェアード・ワールド――さまざまなな二次創作作品群が,後に生み出されることとなった。もちろん日本の作家達も例外ではなく,ラヴクラフトの死後から現在に至るまで,国内外の多くのフォロワー達によって,クトゥルフ神話の物語が書き継がれている。

(コラム)ラヴクラフトの生涯と,日本におけるクトゥルフ

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト[1890-1937](画像はWikipediaより)
 英国植民地時代の古風な建物が残る,アメリカ・ロードライランド州プロヴィデンスの街で生まれ育ったラヴクラフトは,若い頃から,科学や文学に傾倒し,30代になって,パルプ雑誌「ウェアード・テイルズ」でデビュー,数十編の作品を残しました。初期はアイルランドの幻想小説家ロード・ダンセイニなどに影響を受けた作品が多かったラヴラフトですが,その作風は,次第に独自の宇宙観に立脚した「宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)」へと変化していきます。

 ラヴクラフトは作家仲間との文通が好きで,自分の作品で使った神話のアイデアを他人に提供したり,互いの作品を勝手にリンクさせたりするような遊びを好みました。その結果,ラヴクラフトが作り出した,架空の神々やアイテムなどは,作家の枠を越えて広がっていきました。例えば,クトゥルフのような邪神,魔道書「ネクロノミコン」のようなアイテム,アーカムやインスマウスのような架空の場所が,ラヴクラフト以外の作家の作品の中に登場するようになったのです。

 そうした盟友の中には,「英雄コナン」シリーズなどで大人気だったロバート・E・ハワード,詩人や彫刻家としても才能溢れるC・A・スミス,後に「サイコ」などで高名なホラー作家となる若きロバート・ブロックなどが含まれており,その後,ラヴクラフトの知人の作家や後継作家によって,ラヴクラフトの考えた「宇宙的恐怖」が広がっていったのです。

創元推理文庫「ラヴクラフト全集」
 しかし作家としてのラヴクラフトは,やや不遇な生涯で,47歳で亡くなるまで,彼名義の単行本は1冊しか世に出ませんでした。彼の死後,ラヴクラフトを師と仰ぐ若き作家オーガスト・ダーレスらの手によって,ラヴクラフト作品を世に出すための出版社アーカム・ハウスが創設され,ラヴクラフトの作品は,ようやく日の目を浴びます。
 ラヴクラフトの作品が紹介され,ラヴクラフトのコズミックホラーおよび,彼と共通の用語を取り込んだ諸々の作品を含めて,クトゥルフ神話と呼ばれるようになりました。以降,クトゥルフ神話は拡大を続け,今ではひとつのジャンルを形成するほどになっています。現在では本格ホラーやSF小説のみならず,ゲームや映像作品,アニメ,コミックなどにおいても,しばしば題材として取上げられることの多いモチーフです。

 一方,日本におけるクトゥルフ神話は,昭和30年代に江戸川乱歩によって紹介されたのが,その最初であったとされています。後にSFやホラー,ミステリーなどのジャンルを中心に広がっていきましたが,その知名度は現在ほどではありませんでした。
 日本でのブレイクポイントとなったのは,先年亡くなられた人気作家,栗本薫(1953-2009)の伝奇SF小説「魔界水滸伝」(1981-91)でした。
 ライトノベル(当時の呼び方ではヤングアダルト小説)レーベルのはしりである,カドカワノベルズの立ち上げ作品の一つだったこのシリーズは,地球の神々とクトゥルフ神話の神々との戦いを描いた内容で,当時流行しつつあった現代伝奇SFアクション,転生要素を含んだ群像劇,さらに先駆的なボーイズラブ要素までを組み込んで話題になりました。結果として,クトゥルフ神話の知名度は,飛躍的に高まることになります。
 このあたりから,クトゥルフ神話は,SF,ホラー,ライトノベル,ゲーム,コミックなどのサブカルチャー界隈で,誰もがなんとなく知っている「基礎知識」となって広がっていきます。

原作となったライトノベル,GA文庫「這いよれ! ニャル子さん」。現在は最新9巻が発売中
帰ってきたTRPG連載「クトゥルフ神話TRPGで遊ぼう」。第1回はマフィア梶田が“本人プレイ”に挑む「探索者の誕生」
 例えばニトロプラスのPlayStation 2用ソフト「機神咆吼デモンベイン」は,クトゥルフ神話を大きくフィーチャーした傑作ノベルゲームで,後にアニメ化されたことによって,さらに多くの人がクトゥルフ神話に触れるきっかけとなりました。

 そして2012年の現在,クトゥルフ神話にもっとも陽の目を浴びせているのは,テレビアニメ「這いよれ! ニャル子さん」かもしれません。きっと同作でクトゥルフ神話を知った読者も少なくないのではないでしょうか。
 また劇中での直接的な描写は少ないながら,テレビアニメ「Fate/Zero」や,劇場作品「BLOOD-C The Last Dark」などにも,クトゥルフ神話からの引用を見ることができます。このように,クトゥルフ神話の眷属達は,アニメやゲームに触れる我々の傍らに,いつのまにか這い寄っているのです。



「探索者」となってクトゥルフ神話の謎に挑め


「クトゥルフ神話TRPG」(エンターブレイン刊,価格:6090円/税込)
帰ってきたTRPG連載「クトゥルフ神話TRPGで遊ぼう」。第1回はマフィア梶田が“本人プレイ”に挑む「探索者の誕生」
 さて,そのクトゥルフ神話をモチーフにしたTRPGとはどのようなものか。プレイヤーは好奇心豊かな「探索者」となり,現代ホラー小説の登場人物になりきって,クトゥルフ神話的な存在がもたらす,忌まわしい事件と対峙していくことになる。
 なお日本で初めて紹介された時は,「クトゥルフの呼び声RPG」という名前だったので,古い名前で覚えている人も多いかもしれないが,内容自体はまったく同じもの。古いファンには,こちらの名称のほうがなじみ深いかもしれないが,本稿では現在のクトゥルフ神話TRPGという呼び名で統一することにする。

 本作は題材が題材であるだけに,普通のTRPG――以前に紹介したD&Dのようなファンタジーものとは,ちょっと違う。ファンタジー世界なら,英雄の卵であるプレイヤー達は,怪物ひしめくダンジョンに挑んでドラゴンと出会い,戦いの果てに財宝を手にすることになるわけだが,クトゥルフ神話の世界ではそうはいかない。邪神はそもそも,一介の人間がどうこうできるような脅威ではなく,邪神に仕える奉仕種族ですらあまりにおぞましい。出会ってしまった人間は,見ただけで狂ったり,ショック死したりしかねない。

 なのでゲームの目的は,邪神やその眷属の顕現を未然に防ぐことだ。そのために古代の遺跡を調査したり,図書館などで情報収集を重ねたり,というのがゲーム全体の流れとなる。もしも怪物達と直接対決せざるを得ない展開になるとしたら,それは死を覚悟した最後の手段であって,失敗すれば,探索者達を待つのは全滅か狂気,あるいは恐怖そのものになるだろう。まるで原作となるクトゥルフ神話作品で主人公達に襲いかかった恐怖そのもののように……。

 そんな恐怖体験を楽しむという本作のスタイルは,ゲームシステムにもしっかり落とし込まれており,中でもクトゥルフ神話の宇宙的恐怖を再現するために作られた,「正気度」と狂気に関するルールは,とくに秀逸だ。この,正気度を使った判定である「SANチェック」(正しくは「正気度ロール」)は,言葉自体が一人歩きして,今やネットスラングとして広まっているほどだ。

 誕生から30年,日本に紹介されてからは25年の長きにわたり,多くの人々に愛されてきたクトゥルフ神話TRPG。本連載では,その本作を誌上リプレイという形で紹介していく。
 今回クトゥルフ神話の邪神達に挑むのは,本誌ライターのマフィア梶田を始めとした4人のプレイヤー達。そしてキーパー(ゲームマスター)を務めるのは,筆者こと朱鷺田祐介だ。読者の皆さんも,ぜひこの連載で,宇宙的恐怖の一端に触れてほしい。

(コラム)クトゥルフ? クトゥルー?

 クトゥルフ神話に登場する邪神の名前は,人類には発音しにくい単語が多く,例えば,タイトルになっているクトゥルフ(Cthulhu)一つをとっても,翻訳者や作家によって日本語表記にブレがあります。クトゥルフ,クトゥルー,ク・リトル・リトル,チュールーなど,さまざまな呼称がありますが,これらはすべて同じ存在です。同様に,ニャルラトホテプとナイアルラトホテップ,ハスターとハストゥールといった例もありますが,本稿ではクトゥルフ神話TRPG内の表記に従うものとします。

新紀元社「クトゥルフ神話TRPGシナリオ集 七つの怪談」より,邪神クトゥルフ(表紙イラスト:ノッツオ)。その姿は,タコのような頭部に無数の触腕を蓄え,巨大な鉤爪と蝙蝠の羽をもった巨人として描写される。その神性は水を表し,海底に沈んだ古代都市ルルイエにて,今も復活の時を待ちながら眠り続けているという
帰ってきたTRPG連載「クトゥルフ神話TRPGで遊ぼう」。第1回はマフィア梶田が“本人プレイ”に挑む「探索者の誕生」


探索者を作ろう


 それではキャラクターの作成から始めよう。TRPGでは,デジタルRPGの多くがそうであるように,プレイヤーの分身となるキャラクター(クトゥルフ神話TRPGでは探索者)を作成して,そのキャラクターを通して冒険を繰り広げていくことになる。本作のキャラクターの作成は,ルールブックに従ってさまざまな能力値を割り振り,次に技能を取得していく作業になるのだが,今回はシナリオの都合上,二つの制限をプレイヤーに課している。まずはその説明から始めよう。

TRPGは複数のプレイヤーと,ゲームの司会進行と審判を務めるゲームマスター(本作ではキーパー)1名によって進行していく。プレイヤーは,自分の分身であるプレイヤーキャラクター(探索者)を作成し,キーパーが準備してきたシナリオを通して,クトゥルフ神話の事件の謎に挑戦していくことになる

「クトゥルフ2010」(エンターブレイン刊,価格:3990円/税込)。ちなみにこの表紙は「這い寄る混沌」ニャルラトホテプを描いたもの。上に掲載したニャル子さんの中の人だ。ただしニャルラトホテプは千の異形を持つといわれ,これはそのうちの一つ(「夜に吠えるもの」形態)にすぎない
 制限の一つ目は,本作の舞台が現代であるということ。
 クトゥルフ神話TRPGの冒険の舞台は,ファンタジーもののTRPGと違い,(邪神達がほんとうに存在している以外は)現実世界とほぼ変わりない。しかし長い歴史があるゲームゆえに,時代設定によってさまざまな追加ルールが存在する。
 基本ルールでは,ラヴクラフトが作家として活躍していた1920年代のアメリカにフォーカスを当てているが,そのほかに名探偵ホームズが活躍し,殺人鬼ジャック・ザ・リッパーが暗躍していた19世紀末のロンドンを扱った「クトゥルフ・バイ・ガスライト」,中世暗黒時代のヨーロッパで冒険する「クトゥルフ・ダークエイジ」など,多くの拡張が発売されている。

 そして今回用意したのは,現代日本を舞台とした「クトゥルフ2010」。「クトゥルフ神話TRPG」に,現代的な火器に関するルールや設定が追加されたサプリメント(追加ルール集)だ。世界説明が比較的簡単なので,クトゥルフ神話TRPG初プレイの人にもピッタリである。以後,本連載のゲームルールは,クトゥルフ2010に準拠して進めていく。

 そしてもう一つの制限は「本人プレイ」であること。TRPGは,本来プレイヤーとまったく違うキャラクターになりきって遊ぶのが,大きな楽しみの一つだが,今回はクトゥルフ神話の恐怖をリアルに体験してもらうため,「自分自身の設定」に準拠したキャラクターを用意してもらっている。つまりマフィア梶田が作るキャラクターは,マフィア梶田本人を,そのまま数値化したキャラクターというわけである。
 ただし,本人の再現に重きをおくために,キーパーの裁量で若干の調整(ダイスの振り直しや数値の入れ替えなど)や能力の誇張(後述の<ショットガン>など)は認めることにする。


■探索者:マフィア梶田の誕生


○能力値の決定

 キャラクター作成の条件が整ったところで,実際のキャラクター作成に移ろう。本作のキャラクター作成は,まずダイスを振って能力値を決めるところからスタートする。能力値には,STR(筋力)CON(体力)SIZ(体格)INT(知性)POW(精神力)DEX(敏捷性)APP(外観)EDU(教育)SAN(正気度)の9種類があるが,SANの値はPOWから自動的に決まるので,ダイスを振るのは8回だ。

※正確にはSIZとINTは2D6+6,EDUは3D6+3,それ以外は3D6で決定する。なおこの表記は「D」の左側の数字が振るダイスの数,右側がダイスの種類を示している。2D6+6なら,1〜6の数値が出る6面体のダイスを2個振って,出た目の合計にさらに6を足す,という意味になる。この表記は以後も登場するので,覚えておこう。

 さっそく振ってみると……頭と顔(INTとAPP)だけがやたらと高い,小柄で軟弱なイケメンができあがってしまった。これはどうにもマフィア梶田らしくない(ついでに全体的に数値が低め)ということで,キーパーはダイスの振り直しを認めることにする。
 再度ダイスをコロコロして,出た目を計算すると……

STR:14,CON:5,SIZ:16,INT:12,POW:9,DEX:12,APP:12,EDU:14

 今度はなかなか悪くない数字だ。しかしCONがちょっと心もとないということで,本人からCONとAPPの入れ替えをしたいという申し出があった。確かに彼の外見からすると貧弱なのでこれも認めることにした。
 能力値が決まると,あとの数値(能力値ロールなど)は計算で自動的に決まる。ルールブックの計算式に従って,SAN初期正気度ポイント<アイデア><幸運><知識>ダメージ・ボーナス耐久力マジック・ポイントをキャラクターシートに書き入れ,イケメン度がちょっと下がったマフィア梶田の骨格が完成した。

※SAN=[POW×5],初期正気度ポイント=[SAN],<アイデア>=[INT×5],<幸運>=[POW×5],<知識>=[EDU×5],ダメージ・ボーナス=[STR+SIZ]から決定,耐久力=[(CON+SIZ)÷2(切り上げ)],マジック・ポイント=[POW]

〜ここまでのマフィア梶田

○能力値
STR:14 CON:12 SIZ:16 INT:12
POW:9 DEX:11 EDU:14 APP:5 SAN:45
初期正気度ポイント:45 <アイデア>:60 <幸運>:45 <知識>:70
ダメージ・ボーナス:+1D4 耐久力:14 マジック・ポイント:9

 ちなみにPOWが9だったマフィア梶田の初期正気度ポイントは45と,かなり低い数値。これはゲーム中に狂気に陥ることも十分にあり得そうである。フフフ……。


○技能の割り振り

 能力値が決まれば,続いて技能の割り振りを行う。技能とは,キャラクターが習得しているさまざまな技を表したもので,職業による経験(EDU×20)と趣味による経験(INT×10)で得た値を,自由に割り振ることで決定する。
 本来はキャラクターの年収を決めてから,それに見合った職業を選ぶことで,取得できる技能に制限が出てくるのだが,今回はモデルとなるプレイヤー本人の再現を重視して,この部分を無視することにした。ただし,キーパーに対して,なぜその技能を持っているかを説明しなければならないし,技能の最大値は90%までとした。これは今回の特別ルールだ。

 技能の割り振りは,プレイヤーの創意工夫がもっとも発揮できるところで,キャラクター作成の中でも,とくに楽しい部分だ。今回の「本人プレイ」の場合でも,自分の得意ジャンルを,少々誇張して割り振るくらいが面白い。
 マフィア梶田の場合,技能を取得する理由として,「締め切りを延ばしてもらうために,〈言いくるめ〉を使うんです。あと編集者から逃げるために〈隠れる〉を使います」という理由をでっちあげてきた。

 さらに,この現代日本で戦闘手段を確保するため,〈ショットガン〉を取得(マフィア梶田「使い方は,『セインツロウ』で学びましたから大丈夫です!」)。ルールブックから,「ソードオフ・ショットガン」を入手した。
 いちおう「まあいいけど,日本だから警察に職質されたら捕まるよ」というと,すかさず〈隠す〉を最大値で習得するあたり抜け目がない。
 あとは残ったポイントから役立ちそうな〈目星〉〈オカルト〉〈回避〉などに振り,趣味の〈ナイフ〉を追加する。

 技能を取り終わったあとは,キャラクターシートの右側の欄に自らのプロフィール,所持品などを記入して,キャラクター作成は完了。ここに邪神ハンター・マフィア梶田が誕生した。

(コラム)あると便利な技能

〈言いくるめ〉:とりあえず,舌先三寸でその場をごまかす技能。会話で進むTRPGならではの技能だが,しばらくすると相手はごまかされたことに気づいてしまう。
〈応急手当〉:怪我した時に便利。ただし,魔法ではないので,あくまでも気休め。
〈オカルト〉:怪しいことを知っている技能で,情報収集に役立つ。中の人(プレイヤー)がオカルト好きなら取るとよい。
〈聞き耳〉:物音に気づく技能。ただし,余計な何かを聞いてしまうことも。
〈心理学〉:相手の気持を察することができる。
〈精神分析〉:誰かが発狂してしまった際に,なだめることができる。
〈図書館〉:資料を探す技能。情報収集に必要。
〈武道〉:素手の格闘を強くする。
〈ほかの言語〉:外国語を読み書き,会話する技能。ラテン語やアラビア語などを持っていると,もれなく魔道書を読む役が回ってくる。
〈目星〉:周囲を見回して何かを見つける技能。しばしば,ヤバいものを見つけてしまうが……

 なお,〈クトゥルフ神話〉技能は少し特殊で,初期段階では習得できない。クトゥルフ神話関連の知識をどれだけ持っているかを示すこの技能は,キャラクターが宇宙的恐怖と直面したとき,嫌がおうにも覚えることになるのだから。

※【技能の目安】……30〜40%:その方面に知識がある。 / 50〜60%:その技能で報酬がもらえる。 / 70〜80%:その範囲の専門家である。 / 90%以上:その道の達人である。


集まった4人の探索者達


 それでは,今回の冒険に挑む4人の探索者達を紹介しよう。初心者であるマフィア梶田をフォローするために集まった,TRPG業界では歴戦の勇者達。いずれも「本人プレイ」で,次週よりキーパーが用意する宇宙的恐怖に挑むこととなる。


■探索者:マフィア梶田


 4Gamerで活躍するゲームライター。二次元とゲームをこよなく愛するスキンヘッドの大男。戦闘系の技能は,主にゲームでのトレーニングのたまもの。

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■探索者:田中としひさ


 アナログゲーム界隈で活躍するマンガ家。体脂肪が気になるお年ごろで,最近自転車によく乗っている。TRPG歴20年のベテランの割に,実は「クトゥルフ」は今回がほぼ初プレイ。

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■探索者:瀬尾亜沙子


 黒髪眼鏡が特徴のアラサー女子。アナログゲームに詳しい元編集者で,ダイスを握ると人が変わるという。今回はシナリオに登場する人物,沼田阿吽と付き合いのあった某誌の編集者という設定。

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■探索者:岡和田 晃


 ゲームとSFを中心に,原稿の執筆や翻訳などを手がける物書き。一応,某作家クラブ所属の評論家でもある。

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次回予告「新宿生前葬」


 西新宿・十二社(じゅうにそう)に住む作家,沼田阿吽(ぬまたあうん)は,自身の生前葬を執り行うことにした。エログロ小説の大家として知られる彼は,縁のある編集者やライターを呼びつけ,これまでに集めた貴重なコレクションを,遺産として譲り渡すという。だが,それにはある条件があった……。
 謎の美女と奇妙な儀式,そして出現する怪異の数々。ここに集った4人の探索者達は,やがておぞましい事件へと巻き込まれていくのである。


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■■朱鷺田祐介(ライター)■■
TRPGデザイナー。スザク・ゲームズ代表(BLOG:黒い森の祠)。ダーク・ファンタジー「深淵」を筆頭に,「霊障都市捜査ファイル 罪の街新宿」 「クトゥルフ神話TRPGサプリメント:比叡山炎上」など独特の作品を送り出す一方,サイバーパンク&ファンタジーRPG「シャドウラン 4th Edition」の翻訳に取り組む。「クトゥルフ神話ガイドブック」 「超古代文明」 「海の神話」 「図解 巫女」 「酒の伝説」などの著作があり,2011年よりPHP社のクトゥルフ・コミック「ダゴン」 「ニャルラトホテプ」で解説を担当している。

撮影協力:STUDIO CROSS TOKYO
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