イベント
今年の流行はスマートフォンと犬? ハイテク玩具勢ぞろいで東京おもちゃショー2012開催
例年取材を行っているおもちゃショーだが,今年のトレンドは,スマートフォンだろうか。この数年,各社ともにエコに対する取り組みや今年開業したスカイツリー関係の商品開発を行っており,それは今年も見受けられたのだが,展示で目立ったものを見るとスマートフォン関係のものが多かった。さらになぜか,犬が絡んでいるものが多いのが印象に残った。
東京おもちゃショー2012公式サイト
まずは,スマートフォンやタブレットに関係した出展から見てみよう。
連動する玩具も増えてきたスマートフォン関係
●i-SODOG
Bluetoothデバイスとなっているので,スマートフォンから,コマンドを送ってダンスさせたり,スマートフォンのジャイロセンサーを使いi-SODOGを傾けたりといった制御ができるほか,音楽に合わせて踊ったり,ロボット初の生体センサーを使った人体通信ができるという。
「生体センサー」というあたりがちょっと気になるところだが,説明では「飼い主が帰ってくると,ドアの前に待ち受けるといったような動物の第六感のようなものを取り入れた」となっていた。
詳しく話を聞くとちょっと実態は違うようで,2台のi-SODOGでコミュニケーションを取る際に人体が仲介し,準静電界通信を使って通信を行うとのこと。要するに,人体の周りにある電場をケーブル代わりにするような仕組みになる。第六感は関係ない気がするのだが,前述の飼い主の接近を察知する能力は電界の変化を感じ取っているらしいとのことなので,準静電界通信はそこに近い技術ということのようだ。ハードのスペック的に見ると,後述のスマートペットのようにBluetooth通信をしてもよかったのだろうが,あえて飼い主を介した接触型通信が選択されている。
そのほかのセンサーとしては,加速度センサーで動きを検知できるほか,マイクでは,音のする方向を検知でき,音声認識でのコントロールも可能。ちなみに,認識できる単語は50語以上とされている。そのほか,組み込み済みのモーションは300種以上,おしゃべりは600〜1000語となっている。……おしゃべり?
メカトロ的な部分では,15個の超小型サーボモーターを使ってモーションを制御しているとのことで,それなりのハイテク製品には違いない。
お出かけ時には,スマートフォンのアプリでi-SODOGをスマートフォン内に飼うことができ,外出時に世話したポイントを,実際のi-SODOGに餌として与えることができるという。育て方によって性格が変わったり,芸を覚えさせることもできるなど,実際のペットを育てるような楽しみも盛り込まれているとのこと。個人的には,「番犬モード」というのがちょっと気になっている。
●スマートペット
基本的な操作は,iPhone部分のタッチパネルから行われるが,音声認識や画像認識にも対応しており,非接触での操作も可能になっている。Bluetooth通信によって,多数のスマートペットでのシンクロダンスなども実現できる。
画面に表示される表情とプリセットの動作の組み合わせは100種類以上が用意されているという。表情との組み合わせということなら動作がちょっと少ない気もするのだが,機能の大半はiPhoneアプリで実現されていると思われるので,アプリのバージョンアップでもっといろんな展開が可能になるかもしれない。現在発売中で,価格はオープン価格だがプレミアム バンダイ価格では7800円(税込)となっている。
●Wappydog
セガトイズのWappydogは,犬型ペットロボットだが,iPhoneアプリと連動することでより楽しめるというコンセプトの製品だ。アプリを使っていろいろと世話をしたり,ゲームをしたり,ダンスやファッションも楽しめるという。
本体には,接触センサーやマイク,スピーカー,LEDなどが搭載されており,ある程度のコミュニケーションを取ることも可能。2013年3月の発表予定だ。
●ケータイわんこ
ここでスマートフォン“もどき”によるペット玩具も紹介しておこう。ケータイわんこは,犬の言葉が分かるというおもちゃ。ぬいぐるみがときどきワンワンとほえることがあるので,そのタイミングで鼻のところにスマートフォン風の専用デバイスを接触させると,デバイスから「だっこして」といった音声が再生される仕組みになっている。音声は300種以上とのことだが,再生はランダムということなので,ペットとして考えると,いま一つ喜べないかもしれない。
●人生ゲームAPP
あの人生ゲームがiPadに対応。全部iPad内でやってもよさそうなのだが,通常の盤とiPadを組み合わせて使うようになっている。多人数で遊ぶ場合には,アナログなほうが,より楽しめるということだろうか。問題のiPadでなにをするかというと,ルーレットを回したりするほか,イベント時に動画を再生したりと場を盛り上げる道具として使われるようだ。
考え方としては,人生ゲームのようなシンプルなゲーム以外に,もっと複雑なボードゲームなどを簡略化する手法としても使えるので,アナログゲームの新しい方向性ということでは,こういった方法論に注目しておきたい。
デジタルとの融合への近道? AR(代替現実)系
●ARを使ったハイブリッドグレードフィギュア
つまり,フィギュアをスマートフォンのアプリを通して見ると,セリフや各種効果など,映っているフィギュアの絵に合わせたものが表示されるようになっている。
最初は台座部分がARマーカーになっているのかと思っていたのだが,話を聞くと台座とフィギュア部を総合的に見て判別しているとのこと。
ARとフィギュアの親和性は高そうなので,新しい楽しみ方も広がりそうだ。
●ARカードバトル
昨年も行われていたのだが,こちらもバンダイのARデモ。「ARカードダス」によるカードゲームとiPhoneアプリによるARバトルが楽しめる。Android版は現在制作中とのこと。
●ARステーション
ハピネットのARステーションは,商品パッケージ自体がARマーカーになっている例だ。カメラの前に持っていくと,パッケージの上にアニメーションデモが表示される。
●ハーフミラーによる空中映像
ARではないのだが,今回あちこちで見られたハーフミラーを使って空中に映像を出すタイプの展示装置。ジオラマに各種エフェクトを加えるなど,面白い使い方をされていた。
残念ながらちょっと下火になった食べ物系
個人的に楽しみにしているものの,年々下火になりつつある気もする食べ物系のおもちゃ。今回はタカラトミーでしか見つけられなかった。
●ジョッキアワー
ビアサーバーなど大人用のおもちゃ(?)も扱っているタカラトミーアーツの今年の新作。クリーミーな泡を作るビアジョッキ。取っ手に付いたレバーをガチャっと押すと,ジョッキの底から細かい泡が出てくる仕組みだ。
コンセプトも仕組みも分かりやすいのだが,ビールの泡は上乗せでないとなんとなく落ち着かない。ビール本体はあまり泡立てず,上に泡だけ乗せるのが正道じゃないかというか,前商品のビールアワーではその辺の調整ができるのがウリだったんじゃないかと。
洗うのもちょっと大変そうな気がする。
●おかしなシリーズ
「プッチンアイス」は,江崎グリコとタカラトミーアーツのコラボによる製品。これは凍らせたプッチンプリンにバーをつけてアイスキャンディにするキットだ。別にプッチンプリンでなくても使えそうな気がするのだが,やはりプッチンすると綺麗にカップを外せるのだろう。
もちろん,ガーナチョコでなくても使えそうなセットではある。ちなみに,チョコレートとストロベリーの2種類があるが,機器の色が違うだけで味が変わるわけではないようだ。
さらに,ポッキーにカラフルなチョコペンでスパイラルデコを施す「くるくるデコパーティー」も展示されていた。ポッキーを旋盤のような機器に固定し,回転させながらチョコペンで模様を描いていく。ちなみに動力はぜんまい式となっている。
チョコレートの上にチョコレートでデコレーションをするのはどうかという気はするのだが,トッピングを工夫することで味や食感にバリエーションはつけられそうだ。
その他いろいろ
その他,会場内で見かけた展示で気になったものを順不同で紹介してみよう。
●イーダッシュ
近年のおもちゃショーでテーマの一つになっている「エコ」だが,電池を使わないラジコンカーが登場した。イーダッシュは,コントローラについた手回し式ハンドルを回し,バッテリーに充電して使用するという,環境にやさしいラジコンカーだ。
タカラトミーでは,昨年のおもちゃショーで,エコに関する取り組みで手回し式ハンドルによる発電デモなどをやっていたのだが,それが製品に取り込まれている。まあ,それなりに回さないといけないみたいなので,ある程度エコの意識がある子供でないと喜ばれないかもしれない。7月発売予定で,予価4179円(税込)。
●ハイブリッド型プラネタリウムHOMESTAR earth theater
投影フィルムのパターンではなく,自在な映像を投射できるデジタルプラネタリウムは,どこだかが特許を押さえまくっているため製品開発が難しいというのを聞いたことがあるのだが,今回の製品HOMESTAR earth theaterは,従来からあるフィルム式投影機にデジタル機能も加えたものになっている。これまで低価格なホームプラネタリウムを展開してきたセガトイズだが,デジタル対応は初。それでいて3万6750円(税込:予価)と低価格に抑えられたものになっている。
星の投影はフィルム式なので高精度だ。その上にデジタルで映像を重ねるというハイブリッド型になっている。価格設定のためか,デジタル画像の解像度は,正直,かなり低い印象。通常のホームプラネタリウムに,映像投影機能がついたものと思えばよいだろう。
投影用コンテンツには,流星やオーロラが楽しめる「地球の夜空」と「はやぶさの旅」の2種類が用意されている。
もうちょっと高価でもいいから,解像度を上げてPC接続対応にしてもらえると,かなり魅力的な製品になりそうだが。
●R2-D2型プラネタリウム
昨年発表されていた製品の上位バージョンとなる製品で,大型化とともにディテールアップされるなど,あちこちグレードアップされている。前方にキャラクター映像などを投影できる機能も追加された。前作よりは,お値段もちょっと上がって,2万790円(税込)なり。発売は9月予定となっている。
●ハグ&ドリーム ミニーマウス
タカラトミーのハグ&ドリームは,抱いていると眠りを誘うというぬいぐるみだ。
これは大脳生理学に基づいたものだそうで,大脳辺縁部にある扁桃体に働きかけて安眠を促すものだという。興奮状態には扁桃体が活発であり呼吸が速くなる。安静時には扁桃体が沈静状態となり,呼吸は遅くなる。因果関係は逆になる気もするのだが,ぬいぐるみが周期の長い呼吸を模した動きをすることで,それを抱いている人もそれにあわせて呼吸をするようになり,結果的に扁桃体が沈静化して眠りにつけるということらしい。
ミニーちゃんの背中にはセンサーが入っており,トントンと叩くと音楽付きのモードと音楽なしのモードなどに動作が切り替わるようになっている。10月発売予定で予価4980円(税込)。
●マルチペンライト
いろんな色で光るペンを使って空中に絵を描こうという商品。スマートフォンの長時間露光というか多重露光で合成している。うまくいけば,描き始めの写真にペンの軌跡だけが足されたような写真ができあがる。
輝度の低い部分はマスクしているようなのだが,会場内の照明の問題か人肌の明度などは若干微妙なようで,描いている途中の人の動きとかはブレてしまうことがあるようだ。ライトが目立つような,ちょっと暗めの場所ならそれなりに面白い絵が作れるのかもしれない。まあ,普通に写真を撮って,スマートフォン側で描き加えたほうが簡単じゃないかという気もするのだが。
●ジュエルポッドダイアモンド
セガトイズのジュエルポッドもカラー液晶になって,いっそうスマートフォン風に。撮影した写真にデコレーションを加えることができるほか,20種類以上のアプリが搭載されている。
●スマートフォンでガチャ検索
タカラトミーアーツでは,ガチャによるカプセル販売でどんな商品がどこで売られているのかを検索できるサービスを始めた。スマートフォンでGPSと連動して設置場所に案内してくれるという。
まったくの余談だが,カプセル型おもちゃ販売機の「ガチャ」はタカラトミーアーツの登録商標だそうである。そういえば昔聞いたことがあったような気がするけど,すっかり忘れていた情報だった。とにかく,NHKでも使われているくらい一般名詞化している商標だ。
東京おもちゃショー 2012は,6月16日と17日の2日間は一般公開日として開放されている。都内近郊の人は東京ビッグサイトまで足を運んでみるのもよいだろう。一般日には楽しいステージイベントも多く開催される予定なので,お子様連れでも楽しめることだろう。最新のハイテク玩具からローテク玩具各種が一堂に揃えられているので,ぜひご覧を。
東京おもちゃショー2012公式サイト
車輪付きのラジコンヘリ「ホバーアサルト」。普通に走って,障害物を跳び越したり,飛行状態からそのまま走行に移行したり,おまけにミサイルを搭載していて,任意で発射できる |
こちらはラジコン式の砲台。移動はしないが,向きを自在に変えてミサイルを発射する |
ルービックキューブ型の小物入れ(?)。6面が揃うと開くのだが,揃えないと取り出せないので自信のある人向けか |
スタイリッシュなお絵描きボード。林檎マークの製品に似ているが,これは葡萄マーク |
iPhoneで操作するヘリコプターとしてはAR Droneが有名だが,こちらのスマートヘリもiPhoneで操作可能となっている |
「TV FALCON」はテレビカメラ付きラジコンヘリだコントローラ部に映像が表示される |
こちらは冥海竜ラギアクルス希少種さん。イベント・モンハン部限定で発売予定 |
こっちは白海竜ラギアクルス亜種さん。モンスターハンター ハンターズショップ限定発売 |
- この記事のURL: