瞬きすらできないような速度でステージ中を走り回り,落ちているリングを拾いつつ,敵を攻撃していく……。「これぞアクションゲーム」という要素が凝縮されているのが人気の秘密である。そんなソニックシリーズの面白さを,さらにパワーアップさせたのが最新作「ソニックヒーローズ」だ。
本作では"チームアクション"というシステムが取り入れられている。過去のソニックシリーズに登場したキャラが総出演,しかも3人一組でチームを組んでの登場だ。
■チーム・ソニック ソニック テイルス ナックルズ |
■チーム・ローズ エミー クリーム ビッグ |
■チーム・ダーク シャドウ ルージュ オメガ |
■チーム・カオティクス エスピオ チャーミー ベクター |
以上の4チームがあり,どのチームもスピード(青),フライ(黄),パワー(赤)の3タイプからなるメンバー構成となっている。誰をリーダー(プレイヤーが操るキャラ)にするかでフォーメーションが変わり,移動と攻撃に違いがでるため,状況に応じてリーダーを切り替えていくのが本作のプレイスタイルとなる。
メインのゲームモードである"ストーリーモード"では,選択したチームごとにストーリーが若干異なる。難度設定はないが,チーム・ローズは初心者向け,チーム・ソニックは上級者向けといった感じで,キャラ特性やステージの長さなどによる難度調整がなされている印象だ。
ゲームシステムは従来と同様で,リングやアイテムを拾いつつ,敵を倒しながらゴールリングを目指す。ただしチーム・カオティクスだけは"〜をすべて探せ" "敵を全滅させろ"といったミッション形式になっている。
2ステージクリアすると宿敵エッグマンとの戦い,ボーナスチャレンジ,エメラルドチャレンジなどの特殊ステージが用意されており,ときには他チームと遭遇してバトルになることもある。一度クリアしたステージは"チャレンジモード"で何度も挑戦可能で,ほかにもムービーシーンや音楽を聴けるオマケ要素も用意されている。
リングを拾いながら先を目指すゲーム展開は従来と同様。奥に見えるPOWER,FLYのパネルでベストなキャラが分かる | 1枚でもリングがあればダメージを受けても散らばるだけでミスにならない。慌てず敵を倒して回収しよう | 倒しても倒しても,また新たなロボットを開発して悪さをしてくる宿敵ドクターエッグマン |
エッグマンの大型ロボは適当に攻撃してもダメージを与えられない。弱点を見つけて攻撃することが必要だ | ボーナスチャレンジでは,チューブの中を超高速で走りパワースフィアを拾っていく。連続で拾えば高得点だ | チーム選択画面でストーリーの進行度が判断できる。クリアしないと最初からやり直しができないのが難点 |
■走る,飛ぶ,壊す! キャラの特性を使いこなそう
最大までレベルアップさせた,シャドウのホーミングアタックは強烈だ。あまりにも早く動くため,予想もしない方向に飛び出してしまうことも多い。ミスをするとレベルアップもリセットされるので注意したい |
スピードが命のソニックは,高速移動が可能だ。ロケットアクセルで疾走し,お得意のホーミングアタックでアイテムや敵に向かって体当たり! というキャラ。ホーミングアタックで敵を踏み台にして移動したり,壁に張り付きながら移動といった空中移動も可能で,うまくアクションが決まったときの気持ち良さは一番だろう。
フライタイプのテイルスは,仲間をぶら下げて飛行できるため(高さと距離制限あり),ジャンプでは届かない場所に移動するのに最適だ。空中移動だけでなく,ソニックとナックルズを敵にぶつけて痺れさせるサンダーシュートで敵を打ち落とし,即ソニックに切り替えてホーミングアタックで攻撃といった連携攻撃も可能。
パワータイプのナックルズは,敵に与えるダメージも大きく,ジャンプ中にソニックやテイルスを投げつけるファイヤーダンクはかなり使える攻撃だ。ただし走るのは遅いため,スピードが必要なときはソニックで走り,ナックルズに切り替えて攻撃というふうにチームプレイで補っていく。アイテムボックスや邪魔なブロックの"破壊"も可能で,ドカドカ壊しまくると実に気分爽快だ。
通常はソニックやナックルズがリーダーのときは自力では飛べないが,特定の場所に限った飛行手段はある。ソニックは竜巻を起こすブルートルネードを使い,ポールを伝って遠心力で飛び出したり,ナックルズは3人で手を繋ぎ,下から吹き上がる風に乗ってトライアングルダイブでフライタイプ以上の高さに浮き上がることが可能だ。この仕組みを利用した隠しエリアなどが,多数あれば良かったのだが。
リングを拾ったり,敵を倒すごとにゲージが溜まり,ゲージがフルになると敵を一掃できる必殺攻撃"チームブラスト"がある。使用すると予想外のド派手な演出で,最初に見たときは思わず笑ってしまったのだが,筆者はボス戦以外には使わなかった。
というのも,本作ではアイテムボックスに入った青,赤,黄の"パワーコア"を拾うと色に見合ったキャラがパワーアップするのだが,必殺攻撃を使うよりも,これでガシガシ倒していったほうが楽しいのだ。なお,各キャラごとに3段階にパワーアップ可能で,数回の攻撃が必要だった敵も1発で倒せるようになるなど攻撃力が上がっていく。
パワータイプの攻撃はレベルアップしなくても十分強い。オメガの炎のエフェクトが美しい | 巨大ロボットを相手に遠方からエミーをぶつけているビッグ。相変わらず「かえるく〜ん♪」と叫んでいる | パワータイプのキャラは独自の方法で,風に乗れる。ビッグは唐傘だが,ベクターは何と風船ガムだ |
ここまで敵が多いと一掃するのは大変だ。こんなときこそ,敵を一掃できるチームブラストを使うべきだ | チームブラストを発動すると各チームごとに派手なアニメーションが流れる。これが必殺攻撃だからスゴい | 静止画で動きが伝わらないのが残念だが,超高速移動しているエフェクトがスピード感を倍増させている |
■「これぞアクションゲーム!」と心から言える作品
今回も空中ダッシュローラー,ジャンプ台,砲台,送風ファンなど強制的に飛ばされる装置が登場する。飛距離が足りなくて亀の甲羅部分に落ちたときなどは慌てずにフライタイプに替えて脱出だ。それがチームプレイ |
どのステージもトリッキーな構造のうえ,ループ上の通路をダッシュローラーで強制高速移動させられたり,どうやっていくんだ? と頭を悩ませるところにアイテムがあるなど,ソニックシリーズの伝統を踏襲したステージが再現されている。
また,ステージ内にはクリアルートが複数用意されており,同じキャラでも違うルートになったり,違うキャラでプレイしたら簡単にクリアできたなど,プレイするたびに違いが出るため,何度も楽しめる。
特性の異なる3人のキャラを使い分けて進むという,新たな要素が追加されてきた本作は,より一層アクション性が高くなり,歴代シリーズの中でも面白さは一番といえる。難度はやや高いものの,随所に先に進むためのヒントなどが散りばめられており,小さなお子さんやゲームの苦手な女性でも楽しめるだろう。
ときに訳も分からず死んだりもするが,ウルサいくらいに喋りまくる個性豊かなキャラ達のお陰か,笑って許せてしまうところもあり,誰もが楽しめるアクションゲームとしてのバランスは素晴らしい。
単にゲームクリアを目指すだけでなく,最速タイムでのクリアや,すべてのリングを取ることを目標としたプレイ,隠しアイテムを探すプレイなど,自由なプレイスタイルで遊んでみてほしい。アクションゲームのお薦めの一本! ぜひ独特の面白さを多くの人に味わってもらいたい。
レールの上を滑って移動することが多く,レールの上を左右に移動して敵を回避するシーンも | 相変わらずカメラアングルが意地悪(好意的解釈)で,落ちたら死ぬという場面では着地が非常に難しい | 狭い通路の中をトロッコに乗って,物凄い速度で走り抜ける。敵がいたらジャンプでかわすべし |
パズル要素も用意されているが,大抵はスイッチを入れるタイプで,とくに頭を悩ませることはなかった | エミーのピコピコハンマーで竜巻を起こし,浮いた花びらに掴まって移動する。ビッグが重くて揺れが激しい | 各所に"?"マークがあり,触れるとアドバイスやヒントがもらえる。見かけたら必ず触っておこう |