― レビュー ―
シートに押しつけられるような加速感がたまらない"アングラ"最新作
ニード・フォー・スピード
アンダーグラウンド2
Text by UHAUHA
2004年12月27日

 

■眠らない街を切り裂くエキゾーストノート

 

スタートラインに並ぶカスタムカー。回転数を合わせスターターの腕が振り下ろされる瞬間を待つ……スタートの合図が切られたとき,モンスターマシンから放たれるエキゾーストノートが夜の街を切り裂くのだ
 ネオン煌めく夜の街を舞台に,エアロパーツに身を包み,ネオン管やバイナルで着飾った愛車を駆り,ノリノリのBGMを聴きながら交通ルールお構いなしの公道レースを繰り広げる。まさに映画「ワイルドスピード」「ワイルドスピードX2」の世界を"そのまま"再現したのが,世界中で大ヒットした「ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド」だ。その最新作「ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド2」が,新フィーチャーを引っさげて登場した。

 メインのゲームモードである「シナリオモード」は,ストーリーが前作からの続きとなっている。湾岸に広がる巨大都市ベイビューシティに舞台を移し,新たな土地でライバルを蹴散らしていくのだ。 今回プレイヤーをサポートしてくれるのは,前作のサマンサの友人であるレイチェル。さまざまなレースに参加し,得られた賞金で車をカスタマイズしていくのは前作と同様だ。本作ではSMS(ショートメッセージシステム)があり,レイチェルや仲間達,そしてショップからヒントやイベント情報,入荷情報などが届くので,終始SMSを見ながら進めていくことになる。ちなみにゲーム中の音声,メッセージがすべて日本語化されているのは嬉しいところだ。

 このほか,登場するレースを自由に選択してプレイできる「アーケードモード」,ロビーサーバーに接続して世界中のストリートレーサーと戦える「オンラインモード」,LAN対戦が可能な「LANモード」が用意されている。このへんはよくあるレースゲームとだいたい同じなので,本稿ではシナリオモードを中心にレビューしていく。

 

前作に登場したサマンサの友人,レイチェル。プレイヤーを全面的にサポートしてくれる,美しいお方なのだ ネオン煌めく街は,現実に走っているような錯覚を起こすほど美しい。天候の変化による挙動の違いなども再現 公道レースなので一般車を巻き込んだ事故も起こる。ときにはライバルを押し出してクラッシュさせることも必要


ワイドボディを身にまとい,鬼キャンバリバリの日産240SX。こんな感じの車が身近に走ってませんか? SMSによりさまざまな情報がメッセージで届く。重要なメッセージも入るため,受信したら必ずチェックしよう ときどきスペシャルイベントが起こる。制限時間内に目的地に到着すればいい。ナビ機能を使って急行しよう!

 

 

■広大な都市を舞台に繰り広げられる熱きバトル


街を流しているライバルと,1対1のエンカウンターバトル。相手を300m引き離せば勝ちとなる。先行車にコース決定権があるため,まずは相手の前に出ることが先決だ。簡単には勝たせてくれず長い戦いになることもある
 本作最大の特徴は,舞台であるベイビューシティを街一つ丸々再現していて,GTAシリーズのように都市を自由に走り回れることだ。街はジャクソンハイツ(峠道),ビーコンヒル(丘陵地帯),シティセンター(高層ビル街),エアポート(スタート地点),コールハーバー(工場地帯)の5エリアで構成され,各エリアは道路や高速道路で自由に行き来できる。
 エリアごとにまったく異なる風景(夜景ばかりだけど)が広がり,道路網も細かく張り巡らされているため,ドライブしているだけで夜の街を実際に走っているような気分にさせてくれる。かなり広大な都市が再現されているので「ここはどこ?」なんてこともたまに起きるが,GPSナビ機能があるから方向音痴な人でも安心だ。

 また,街の各所にはディーラー,ショップ,バトルスポット(レース開催場所)といったポイントが用意されている。新たに車を乗り替えるときはディーラーに行く必要があり,登場車種はトヨタ,日産,オペル,フォードなど世界の有名自動車メーカーの車種30台以上が収録されている。このほかHUMMERやCadillac Escaladeなども登場し,スポコン仕様に仕上げると意外とカッコ良いのだが,それにはショップでのカスタマイズが必要だ。
 ショップは仲間からの情報を頼りに自分で探す必要があるため,発見できなければいつまでもカスタマイズできないという状況になる。ショップには"チューニングショップ" "グラフィックショップ" "カスタムカーショップ" "ボディショップ"があり,それぞれに扱うパーツが異なる。
 使えるパーツは前作よりも増えて,ハイドロ(油圧で車を上下させる装置)やガルウイング(跳ね上げ式ドア)なども使えるようになった。カスタマイズしてスタイルポイント(車の評価)を増やしていけば,雑誌の撮影や特別レースへの参加権も得られるのだが,スタイルポイントが高いパーツほど値が張るのは致し方ないところか。

 肝心のレース部分を見ていこう。シナリオモードでは都市のいたる所に存在する"バトルスポット"に行くことで,レースに参加できる。  レースは公道を区切った周回コースで戦う「ストリート」,スタート地点からゴール地点までの片道レースの「スプリント」,直線コースを猛スピードで走り抜く「ドラッグ」,ショートサーキットや峠道をドリフトしてポイントで競う「ドリフト」,タイトでテクニカルな特設コースで順位を争う「ストリートX」,専用サーキットでレースを行う「アンダーグラウンド・レーシング・リーグ」(U.R.L.)が用意されている。
 また突発的にイベントレースも行われるが,これは開催地がマップには表示されず,「〜(地名)のあたりで」という情報だけを頼りにバトルスポットを探さなくてはならない。マップがしっかりと頭に入っていなければ,レースに参加することすらできないのだ。

 バトルスポットのほかにも「エンカウンターバトル」が用意されており,バトルを求めて街を流しているライバルと1対1の賭レースができる。ルールは単純で,相手を300m引き離せばいい。決まったコースはなく先行車にルート選択が委ねられており,ライバルの後ろを走るときは見失わないようにしたい。
 エンカウンターバトルで重要なのは相手を選ぶことで,明らかに車が負けているのに勝負を挑んだところで勝ち目はない。勝負に負けるとカチンとくるような無線(電話?)が入り,悔しさ(ムカつき)が倍増することだろう。それにしても「首都高バトル」にそっくりなモードだ。

 シナリオモードで重要なのが,多くの「評価ポイント」を得てゴールすることだ。評価ポイントはドライバの腕前を示す数値で,ポイントが上がれば新しい車やカスタムパーツが使えるようになったり,スポンサーがついたりと,ゲームの進行に影響が出てくる。ライバルに大差をつけて勝利すれば多くのポイントを獲得できるが,ほかにも対向車とギリギリですれ違う,スリップストリームを使う,ドリフトするといった行為でも評価ポイントが加算されるため,きわどい走りをしつつ,ガッチリ勝ちをもぎ取りたい。

 

NFS:UGシリーズといえばコレ,ニトロの爆発的な加速感は最高だ。無意味に使わずココというところで使うべし 峠道を弱カウンターで攻める日産スカイライン。ボディやアルミのヌルヌルテカテカ感に注目してほしい 左下のマップで,ショップやバトルスポットが分かる。前方に見えるグリーンランプは未発見のショップだ


ストリートマップではベイビューシティの全体図が見られる。必要な情報のみ表示することも可能だ 仲間からの情報をもとにスペシャルレースを発見した。マップには表示されないため,自分で探すしかない カッコいい,ハマーのスポコン仕様。複雑なエアロ形状の再現も見事で,モデリングは素晴らしいの一言だ

 


■クールな走りでイカれた世界を存分に味わうべし


スタート前にはバーンナウトを行うなど,臨場感を醸し出す細かい演出も見られ,自然と気分も高まってくる。ちなみに車はフォード マスタングGTのフルチューン仕様。個人的にはカスタマイズなんかしなくても,スタイルポイントは最高なのだが……
 本作で新たに取り入れられた要素の中で,個人的にうれしいものがある。前作では"ガス"を使い切ると以降は使えくなったニトロ(N2O)だが,本作では前述したような評価ポイントの上がる走りをすると,少しばかり"ガス"が上昇して再びニトロが使えるようになる。ライバルと接戦になることも多く,最後の最後で前に出るチャンスも残されており,より一層熱いバトルが楽しめるようになった。
 そして,その熱いバトルを見返せる「リプレイ機能」が搭載されたことは,素直に喜びたい。前作ではクールな走りを決めても見直せずに悲しい思いをしたのだが,やっと自分の走りをじっくり眺められるようになったのだ。オートで眺めているだけでイカすリプレイシーンが見られるので,常にクールな走りに徹したいところだ。
 同じく前作にはなかったカーセッティングも可能となった。サスペンション,ギア比,ダウンフォース,タイヤ&ブレーキ,ECU,ターボ,ニトロ(N2O)の各項目を細かく調整でき,もちろん走りにも反映される。自分に合ったセッティングを見つけ,リプレイで自分の走りを眺めて酔いしれる……というのも悪くないだろう。

 舞台が公道ということで一般車が走っており,迫り来る対向車の間を縫ってバトルする爽快感がたまらない。とくにニトロを使って急加速したときの気持ち良さとカッコ良さは,ほかのドライブゲームではまず味わえない。
 車の挙動はアーケード寄りで誰にでも扱いやすいのだが,カスタマイズが進んで怪物マシンと化したときにプレイヤーの腕の差が出てくるだろう。しかし,チューンドカーならではのエキゾーストノートとメカニカルなギアチェンジ音,そしてシフトダウン時のヒール・アンド・トゥ(煽り)を聞けば,腕の差なんてどうでもよくなり,まさしくアンダーグラウンドな世界に突入してしまう。ある種,イカれた世界を垣間見ることのできる1本。クールにカスタマイズした車で"カモ"を求めて夜の街を走らせる……。ニトロのボタンを押した瞬間,この世界から抜け出せなくなる自分に気付くだろう。

 

ヘッドライトをグリーンバルブに変えれば,ちゃんとグリーンに照らし出される。カスタムメーターにも注目 今回はちゃんとした(?)サーキットも用意されている。サーキット用のタイヤを履くことをお忘れなく "ドリフト"では高いスピードからドリフトしなければ,高いポイントは得られない。速度を乗せてリアを流せ


タイトなコーナーが連続するストリートXでは,他車に押し出されることもある。リアの流しすぎにも注意 トランクルーム内のカスタマイズもスポコンでは重要だ。車によっては10か所以上設定できるものもある 第2作で,とうとうセッティングも調整可能となった。分からない人も説明を表示できるので安心だ

 

タイトル ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド2
開発元 Electronic Arts 発売元 エレクトロニック・アーツ
発売日 2004/12/22 価格 8379円(税込)
 
動作環境 Windows XP/2000/Me/98,Pentium III/933MHz以上,メモリ 256MB以上,ビデオメモリ32MB以上のビデオカード,HDD空き容量 2GB以上,DirectX 9.0c以降

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