― レビュー ―
ゾンビ撃ちまくりの人気ガンシューティング
ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド3
Text by UHAUHA
2005年03月25日

 

■"ゴールドマン事件"から16年。物語は新たな展開へ

 

迫り来るゾンビ達……映画のようなリアルさこそないが,気持ち悪いのでショットガンで粉砕して消えてもらおう。本作の魅力は一に連射,二に連射。襲いくるゾンビに向けてショットガンを撃ちまくる爽快感は格別だ
 セガの看板ゲームの一つである"ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド シリーズ"。アーケードで人気を博した本シリーズは,"ガンコントローラ"を片手に次々と現れる気味の悪いゾンビを撃ち倒していく,ガンシューティングゲームだ。その最新作「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド3」(以下,HOD3)が,PC版として登場した。

 本作は,シリーズ1作めの「キュリアン邸事件」,2作めの「ゴールドマン事件」からストーリーが続いており,前作の16年後の世界を描いている。シリーズを通してプレイしてきた人なら,最初からググッと物語に引き込まれるだろう。本作が初めてという人も,話の流れはある程度把握できるし,ガンシューティングだけでも十分楽しめるので,尻込みする必要はない。

 ガンシューティングの定番である強制スクロール/強制カメラワークでゲームが展開していくため,プレイヤーはエイミング(目標捕捉)と連射に集中できる。ゲーセンで重量感のあるショットガンコントローラを握りしめて撃ちまくっていた人も,PCではマウスに持ち替えてプレイすることになる。
 マウスを使うことでエイミングしやすいし,リロード(銃弾の再装填)も右クリックのみで可能なため連射性も上がり,気がつくと夢中になって連射していることもシバシバ。マウスによるガンシューティングというのは,想像するだけだとイマイチ雰囲気もなくてツマラナそうに思えるが,実際にプレイしてみると驚くほど快適で快感。ハッキリいってガンコンよりも気持ちいい。
 キーボードやゲームパッドもサポートしているが,二人プレイでもしない限りマウスでプレイするのがベストだろう。ちなみに前作でサポートされていたUSBガンコントローラー,セガサターン用バーチャガンには対応していないのが残念なところ。

 画面は1280×1024ドット表示まで対応しており,フルスクリーン表示だけでなくウインドウ表示も可能だ。ゲーム設定もゲーム難易度(5段階),ライフ数,コンティニュー数,血液の色(グリーン,レッド)などを設定できるため,初心者や,ホラーに弱い人でも安心だ。

 

突然,何もないところからゾンビが現れるドッキリ場面も多々ある。初めてプレイするときはドキドキの連続だ 描き込まれたゾンビも,慣れてくると出現した瞬間に撃たれまくり。綺麗な状態には,あまりお目にかかれない 陰影処理でゾンビ達の不気味さにも磨きがかかり,思わず「ひぃ〜」。恐怖に叫びつつも,連射は忘れずに

 

前作に登場した"G"(手前)や"トーマス・ローガン"も登場。女性はトーマスの娘"リサ"。今回は彼女が主役だ チャプター間には,過去をプレイバックしたムービーも入り,過去のシリーズをプレイしてきた人は,より楽しめる 先に乗り込んだ戦闘のエリート"ローガン隊隊員"も,ゾンビとなって登場。素早い動きで攻撃してくる

 

 

■ゲーム性が異なる二つのゲームモードが熱い


時間制限のあるタイムアタックでは,ゾンビを撃つことで制限時間が加算されていく。当てる場所により加算時間が異なり,頭部ショットは基本中の基本。連射しつつも,まず頭に当てることがキモだ
 ストーリーはチャプター0〜5の六つに分かれており,チャプター1でルート分岐,チャプター2〜4では"EFIゲノム研究所" "L3 バイオ実験室" "管理情報システム部西棟"を好みの順番でプレイできる。これによりステージの進行方向やゾンビの登場パターンなど,ゲーム内容が変化するマルチシナリオ的要素も取り入れられており,同じステージでも簡単になったり難しくなったりと違いが出るところが面白い。エンディングも複数用意されており,1ゲームも約30分程度と長くないので,さまざまなルートで何度も挑戦する気になれる。

 ゲームモードはサバイバルモード(SURVIVAL MODE)とタイムアタック(TIME ATTACK)の二つがあり,どちらもストーリーは同様だが,ゲーム性は大きく異なっている。

●サバイバルモード(SURVIVAL MODE)
ライフ制で,ゾンビの攻撃を受けるとライフが減り,ライフがなくなるとゲームオーバーとなる。救急箱(アイテム)を撃つとライフは回復され,チャプタークリア時の評価によりライフ上限が増える。難度やライフ上限などの設定が反映されるうえ,コンティニューも使えるため,初心者でも比較的簡単にエンディングを見られるだろう。

●タイムアタック(TIME ATTACK)
与えられた時間内でストーリーを追っていくモードで,制限時間30秒からスタート。ゾンビを倒す,時計(アイテム)を撃つ,チャプタークリア時の評価などで時間が延長されていく。逆に,ゾンビからダメージを受けると制限時間が大幅に減らされ,タイムアップするとゲームオーバーだ。難度はNormalに固定されており,コンティニューがないため,エンディングまで辿り着くのは相当苦労する。些細なミスもできない緊張感があり,筆者としてはサバイバルモードより気に入っている。

 前作では正確な射撃と連射が重要な要素であったが,今回は武器がショットガンになったことで攻撃範囲が広くなり,それほど正確に狙いを定めなくともゾンビにダメージを与えられるようになった。とはいえ,確実に狙っていきたいのがヘッドショットだ。頭部への攻撃は,当たった場所により"EXCELLENT" "GOOD"など高いスコアや時間の延長が得られるため,ゾンビが現れた瞬間に頭部を撃ち,それから体に撃ち込むのが基本だ。
 ゲーム中には,一緒に行動している仲間を助ける"助け合いイベント"が発生するが,画面中の仲間を撃ってしまう"誤射"は省かれており,仲間を気にすることなく撃ちまくってOKとなっている。本作では連射による爽快感を重視しているせいか,ゾンビを撃ち逃しても,必死に連射していれば何とかなることが多く,前作をプレイした人は難度が下がっていると感じるかもしれない。
 また,ルート上のドラム缶や段ボールといった障害物を撃って破壊することで,救急箱,金貨,時計,クリスタルコインといったアイテムが出現する(もう一度撃つと入手できる)。中には黄金のカエル,ミニマジシャンなど意味不明な物もあるが,ボーナススコア,ライフ回復,制限時間加算に繋がるので必ずゲットしたい。しかし,アイテムに気を取られてダメージを受けたりすることも多いので,欲を出しすぎるのも禁物だ。

 

連射で突き進むサバイバルモードは,初心者にはプレイしやすい。まずはここで基本テクを身につけよう ゲーム途中で,救出イベントが何度か入る。無事に助けられれば,ライフアップなどのボーナスがある タイムアタックのダメージは,制限時間の減算。1ミスでエンディングが見られないことも多いので油断大敵

 

ストーリーは同じだが,チャプター1のルート分岐により,その後のゲーム内容が若干変化する チャプター2〜4は,プレイする順番を決められる。ルート分岐も合わせてさまざまな組み合わせを試したい 障害物を破壊するとアイテムが出てくることもある。一定時間で消えてしまうので急いで拾う(撃つ)べし

 


■アーケード由来のゲームバランスで誰もが楽しめる


飛び散る肉片,見てるだけで鳥肌の立つ傷口……決してリアルではないのだが,実に気持ち悪い。ただでさえ気持ち悪いのに,血をレッドにするとグロテスクさが倍増。ショットガンを連打して,視界から消し去ろう
 本作もそうだが,ガンシューティングはパターンゲームである。ゾンビの出現位置やタイミングは固定されており,パターンを覚えてしまえば次はどこからゾンビが現れ,どこにアイテムがあるのかが分かってくる。だが,何度も繰り返しプレイすることでスコアが良くなったり,より短い時間でクリアできるようになったりと,繰り返しプレイする面白さはあり,連射による射撃の中にも相応のやり込み要素を感じられるだろう。

 エンディングまで約30分程度で終わってしまうため,ボリュームが少なく感じられるが,個人的には30分くらいで楽しめてちょうどいいと感じられた。実際,エンディングまで1〜2時間かかるような作りだと,連射にくたびれて楽しむどころの話ではなくなってしまうだろう。短時間で存分に楽しめるゲームバランス,狂ったような連射でゾンビを"粉砕"していく爽快感は,さすがアーケードの老舗セガといえる仕上がりだ。
 なおXbox版にあった,ゲームをクリアすると前作がプレイできるという"オマケ"は,PC版では前作が現役で販売されていることもあり,残念ながら収録されていない。

 本シリーズは初めてという人も,腕利きの上級プレイヤーも,まずは「こちら」にある体験版をプレイしてみてほしい。さらに「え? これで終わりなの?」と思ったなら,ぜひ製品版を購入して,続きをプレイしてもらいたい。ちなみに,筆者は本レビューを書くにあたり日々連射しまくりで,いつマウスが壊れるかと心配している。

 余談だが,「バイオハザード」や「トゥームレイダー」などのようにゲームが映画化,もしくは映画がゲーム化されること多くなってきているが,この「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」も映画化され,3月26日より公開される(公式サイトは「こちら」)。ちょうど良いタイミングなので,ゲームをプレイしてから映画を観る,映画を観てからゲームをプレイする……とセットで楽しめば,さらに面白さが増すだろう。

 

リロード中は無防備となるため,同時に複数のゾンビを相手にするときはタイミングよく手動リロードするといい 3体登場する中ボス(!?)にはライフバーがあり,何度も攻撃が必要だ。体験版にも登場する"警備員"は弱い部類 手首が弱点の,すばしこいナマケモノ"FOOL"。ナマケモノのくせに動きが速く,当てるのに苦労する

 

振り返ると目の前にゾンビがいることも多く,出現位置を覚えておいて即反応しないとダメージを受ける 救出イベントの成功で,多くのボーナスが入る。しかし,右奥にある容器に隠されているアイテムは取りこぼした ゲームが終了すると最終評価(ランキング)を見られる。ここの数字を良いものにするために,再びプレイするのだ

 

タイトル ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド3
開発元 セガ 発売元 セガ
発売日 2005/03/17 価格 7140円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/1GHz以上[Pentium 4/1.4GHz以上推奨],メインメモリ:128MB以上[256MB以上推奨],グラフィックスチップ:GeForce3/4/FXもしくはRADEON 9600/9800/X300/X800,グラフィックスメモリ:64MB以上,HDD空き容量:500MB以上

(C)SEGA CORPORATION, 2002