■見た目の可愛さとは裏腹に攻略要素満載のゲーム内容
360度,自由に動き回れる戦闘シーンは,高低差を活かした場所や水,泥,暗闇などの多彩なステージを舞台に展開される |
2004年のクリスマスに発売された本タイトル「ぐるみん」は,これまでの「イース」「英雄伝説」などに見られる正統派アクションRPGの流れ,いわゆる「ファルコム節」作品とは一線を画すタイトルとなっている。
日本ファルコムのこれまでの作品歴を見れば分かるが,本作のような「一見低年齢向け」のタイトルは珍しい。似た雰囲気のタイトルとして「Zwei!!(ツヴァイ)」が挙げられるが,今作はさらにターゲットを低年齢層もしくは女性に絞ってきたかのよう。しかし,それはあくまでキャラクターデザインなどから醸し出されるイメージだ。
親しみやすく,比較的難度を抑えた作りになってはいるが,ひとたびフタを開けてみればバキバキのアクションゲームが顔を覗かせる。見過ごしてしまいそうな場所に隠された通路や,良い成績でステージクリアしないと貰えないアイテムなど,愉快な物語を進めて豪快にオバケ退治を楽しむこともできれば,じっくり腰を据えて各ステージの攻略に挑むこともできる。つまり,お父さんから娘さんまで楽しめる,そんな幅広いニーズに対応できる作品といえるのではないか。
そんな二つの顔を持つアクションではあるが,本作のゲームシステムは単純明快。少女が敵を倒すために使う武器は,なんとドリル1本のみ。このドリルには「パーツ」を追加することで,火や雷といった属性が付加され,それぞれの特性を活かした攻撃が可能となるのだ。 ほかにも,トラップや水によるダメージを軽減できる「そうび」アイテム,より強力な攻撃が繰り出せるようになる「必殺技」のアイテムがあり,これらは街で購入することで使用可能になる。 戦いの場となる遺跡や森などの各ステージは全体MAPの各所に点在し,ステージをクリアすると徐々に行けるステージが増えていくといった具合だ。
ゲームの要所には,こんなタッチのムービーシーンが差し挟まれ,物語をさらに盛り上げてくれる | 登場するアイテムは20種類程度で,実際に使用するのはその一部。このシンプルさが馴染みやすさの秘訣 | ゲーム内での説明も丁寧。新しい技を覚えたときも,効果や操作方法を実際の動きと合わせて説明してくれる |
全体MAPを移動し,行きたいステージを自由に選択。一度クリアしたステージでも再度挑戦できる | ボス戦は巨大な相手に苦戦を強いられるが,戦ううちに攻略の糸口が見えてくる。このバランスがまた良い | 物語が終盤に差し掛かるとゲームは一気に盛り上がりを見せる。ステージ展開や音楽の構成もまとまっている |
■音楽とシンクロした新感覚戦闘システム
BGMに合わせてボタンをポンポンと入力していくと発動する,クリティカルアタック |
このシステムによってプレイヤーと音楽,そしてキャラクターまでがシンクロして「音ゲー」にも似たノリがプラスされ,ゲームがさらに盛り上がるのだ。しかし筆者の場合,物語が後半に差し掛かると多数の敵&トラップの猛襲のため,うまくタイミングを取れず,結局攻撃ボタン連打で戦うようになってしまった。ここは精進のしどころである。
クリティカルアタックのほかにも,主人公の基本的な戦闘アクションとして「ガードダッシュ」や「浮かせ攻撃」「ターゲットアタック」というものがある。ガードダッシュは敵からの攻撃を避け,発動中はほぼ無敵の状態になる。浮かせ攻撃はボタン同時押しにより敵を浮かせ,そこにすかさずターゲットアタックで追撃するといった具合だ。
ちなみに空中での攻撃がヒットすると,その場でジャンプが可能になり,これをうまく利用すると空中の敵づたいに長距離の移動が可能となる。足場がない場所を移動する場合は,この技を使うことになるのだが,長距離の空中移動に成功したときはアクションゲームならではの爽快感が感じられた。自分のプレイに酔いしれる瞬間である。
空中に連なった敵を利用し空中を移動していく。時折立ちふさがるこのドキドキ展開がたまりません | 技術を研究しないと,生産活動自体が必殺技やパーツを追加することで,より強力な攻撃が可能となる | 毒ガスを吐く敵がいる場所では,ガスマスクを装備するとダメージが軽減される。見た目にも反映される |
ハートやビックリマークのアイコンで敵の感情が分かるという,細かい演出も | ヨロイをまとった敵は,チャージ攻撃でヨロイを破壊しないとダメージを与えられない | 必殺技は街で購入することで使用可能に。発動する場合はコマンド入力となる |
■プレイヤーを飽きさせない多彩なギミック
トロッコに乗り,猛スピードで駆け抜ける! 途中の石ころはジャンプで切り抜けろ! |
これまで「イース」などを手がけた制作スタッフとは,別のチームにより作られたという本作「ぐるみん」。往年の硬派な正統派アクションRPGの伝統を捨て,しかし質の高さだけは受け継いでいるこのタイトルは,子供から大人まで幅広い層にオススメできる良作といえる。
あ,それと,コントロールパッドは,プレイステーションタイプ(LR部にそれぞれ2個ずつボタンが配置されたアナログパッド)がオススメですよ。
モグラ叩き。チョコマカと動き回るモグラオバケの兄弟にイライライライラ。落ち着いて叩き潰せ | レーザーに触れないよう避けなければいけない。次第にレーザーの数が多くなるわスピードも速くなるわ | 池があるステージでは要注意。よく確認しないと分からないが,通路が隠されている場合が多々ある |
終盤では,ステージの入り口でこのような問題を出されることが多くなる。分からなくてもお金を払うと通れる | 箱をスイッチのある場所まで移動させると扉が開く,というオーソドックスなギミックも仕掛けられている | モグラオバケのモグレヌと,どちらがより多く岩を壊せるかの競争。コレは結構カンタンなほう |