■特殊部隊とテロリストの抗争を描いた「C&C:Generals」似の戦略シム
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| Act of Warは,緻密な描き込みが驚異的なだけではなく,マップ上の多くのオブジェクトが破壊できる点も特徴だ |
Act of Warを開発しているのは,フランスをベースにするEugen Systems社。2000年にフランス国内だけで販売された「Times of Conflict」という未来風のRTSを手がけているものの,世界的なデビューは本作が初めてと言っていい。販売権を取得したのは,同国のパブリッシャとしてUbi Softと双璧をなすAtari社である。
Atari社は,「Civilization III」や「Axis & Allies」などPC向けのシミュレーション/ストラテジーゲームに力を入れているようで,MicroproseからHasbro Interactive,そしてAtariへと受け継がれてきた伝統を感じることができる。
21世紀になってからというもの,それまで小説などでは話題にされてきた世界規模での対テロリズム戦が現実となってしまったが,Act of Warも近未来に起こり得る米軍とテロ組織との戦闘を描いている。そのテーマや美麗な3Dグラフィックスからも,Electronic Acts社の「Command & Conquer:Generals」(邦題 コマンド&コンカー ジェネラルズ)とよく似たゲームと考えていいだろう。
ストーリーや設定の監修を担当しているのは,デール・ブラウン(Dale Brown)氏。アメリカではトム・クランシー氏に劣らないほどの知名度を持つミリタリー系の小説家で,New York Times誌の選定するベストセラーリストに14作もリストアップさせた経歴を持つツワモノである。ゲームと時を同じくして,同名タイトルの小説シリーズ第一作が書店に並ぶことも決定しているという。
ストーリーの詳細は不明だが,対テロ戦に効果的な処置が講じられないまま原油の急騰を招いた結果,自由主義諸国の経済は壊滅的な打撃を受けてしまった……という状況から物語が始まるようだ。そのうえ,アメリカ国内では反大国主義者や環境保全運動家などの活動が活発となっていて,政治不安に陥っているという状態。そこに大量破壊兵器で武装したテロリスト達が上陸してくるのである。
プレイヤーは,デルタフォースの指揮を執っていたこともある熟練の軍人ジェイソン・リチター大佐を操る。彼はヨーロッパ諸国と共同で特殊部隊"タロン"を組織しており,テロリストを迎え撃っての本土決戦を一任されるというわけだ。
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■驚異的な描き込みにより,市街地での戦闘も楽しみを増す
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| 空軍の兵器もAct of Warでは重要なユニットとなっており,ヘリを使った敵の拠点への攻撃や輸送など細かい作業も可能になるようだ |
さらに,街路樹から電線,道路標識,信号に至るまで,道路脇にあるものはすべてタンクによってなぎ倒されるし,車やトラックを歩兵のバリケードとして活用することも,逆に爆風によって破壊させてしまうことも可能だ。もちろん,ほとんどの家屋やビルは,戦闘が激化することで次々と爆発したり倒壊したりすることとなり,ミッションが終わった頃には荒野へと変わり果てていることだろう。
ゲームの舞台となるのはサンフランシスコのほかに,イギリスやロシア,中東,ワシントンDCなどとなっている。空軍関連で著書の多いブラウン氏だけに,ゲームでも低空で攻撃してくる爆撃機が登場したりと,その迫力は満点だ。キャラクターもすべてフルポリゴンで描かれており,爆風で吹っ飛ぶなど個々の兵士の細かいアートワークが確認できる。
RTSでは,資源のマネージメントが実に重要な要素となる。ミッションが始まるたびにヘッドクォータから金鉱,軍港までを建設していてはあまりにもリアリティに欠けるし,かといってユニット以外のマネージメント要素を一切取り払ってしまっては薄っぺらくなってしまう可能性もある。Act of Warでは,もちろん施設の建設によって兵士を生産するなどということはないものの,ミッションの終了後が重要になるという独特のゲームシステムを採用している。
Act of Warでは,兵士ユニットは被弾すると瀕死の重傷を負うという設定になっていて,個々の兵士は動けない状態となって現場に取り残されてしまう。これらの兵士は,ミッションが終了してから収容所なり野戦病院なりへ送られ,その人数によって次のミッション用に与えられる資金に+αがあるというわけだ。
シングルプレイヤーモードの場合,テロリストはマップ上に小人数ずつで散開している場合が多いため,この方式ならば,与えられたミッションのクリアだけを目指すのではなく,散らばった残党も見逃さないように,各ポイントをじっくり探索してまわるという楽しみが生まれるのである。
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■C&Cファンには懐かしい実写のカットシーンが見もの
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| 右下の建物の屋上には,数名の兵士が配置されているのに注目。強力なタンクユニットに頼らず,兵士の配置にも十分気遣わなければ勝てないようだ |
ところで,カナダで撮影されたという俳優達による実写映像の背景になっている戦闘シーンの多くは,本作のグラフィックスエンジンによって描かれた映像だ。実写のカットシーンといえばC&Cシリーズでも過去に見られただけに,2005年に発表されるという「Command & Conquer:Red Alert 3」への挑戦状とも受け取れて,興味深い。
ゲームのコントロールに関しては未知数ではあるが,同社はユニットの操作は非常にシンプルにしていると説明する。カメラワークも,戦略的に使えるかなりズームアウトした視点から,地上に降り立って臨場感を満喫できるカメラ視点にまで変更可能である。
8人までのマルチプレイに対応しており,使用できる勢力は特殊部隊タロン,通常の米軍,そしてコンソーシアムと名付けられたテロリストの黒幕達の三つとなっている。タロンは精鋭部隊というだけあって強力だが,装備が非常に高価で,また米軍は一般的な現代兵器を駆使する。そしてコンソーシアムは,ローテクな兵器を主に使い,待ち伏せなどのテクニックを使用する必要があるが,時には大量破壊兵器を使用できる機会が訪れる……というところだろうか。コンソーシアムは,特定の地域や人種をモチーフにしたものではないと説明されており,世界規模で暗躍する謎の組織という役どころであるようだ。
Act of Warは,小説との同時発売となるためか,すでにリリース日は2005年3月15日にロックされている模様。現在のところ日本での販売の話は聞かないが,ぜひともプレイしてみたいゲームである。
"新世代RTS"を目指しているらしく,最低でもVRAM 64MBのビデオカードが必要となりそうで,逆にいえばPCのマシンパワーを十分に堪能できる1本になるだろう。
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