4Gamer:
では最後に,未来について聞いていきます。
現役のプログラマーで,しかもコアなオンラインゲーマーである木屋さんですので,当然自身でも,オンラインゲームを作ってみたいというお気持ちがあるのではないですか?
木屋氏:
ええ,頑張っていますよ(微笑)。
4Gamer:
むむ,“頑張ります”でさえなく,進行形ですか! 実をいうと,名刺をもらったときから,ずっと気になっていたことがあるんです。肩書が,取締役CTO兼オンラインゲーム本部長となっていますよね。
木屋氏:
名刺に書いてあるとおりです(微笑)。
4Gamer:
そういえば,確かクレアンスメアードにも,ゲーム開発部門が残っています……よね?
木屋氏:
一度解散してしまったんですけどね。
4Gamer:
つまり,今はあるということですね! では,ストレートに聞きましょう。現在,PC向けのオンラインゲームを作っているんでしょうか?
木屋氏:
(微笑)。
4Gamer:
その微笑みは,肯定と受け取っていいんですか?
木屋氏:
この場ではまだお話しできませんが,いろいろと頑張っている最中ということです。発表できる段階になるまで,もうしばらくお待ちください。
4Gamer:
それ,4Gamer的にも個人的にも,非常に興味がありますので,ぜひまた機会を改めて,じっくりお話を聞かせてください。
4Gamer:
では,話題をソーサリアンオンラインに戻しまして,今後の予定はいかがでしょうか?
洋谷氏:
先日のアップデートで「ランク4」導入という比較的大きな変更を行ったので,今後はランク4のプレイヤーに向けたコンテンツを追加していきたいです。
まず,皆さんからのご要望が多いマウス操作の実装を,近日中に予定しています。インタフェース部分もかなりの変更を加えていて,ほとんど一から作り直しといった感じになっています。それと,課金アイテムの充実や,インベイジョンの報酬アイテムの実装なども順次行っていくつもりです。
林氏:
マーケティング面に関しては,ソーサリアンオンラインに限らず,ほかの企業との提携を行う予定ですので,5月には大きな発表ができると思います。
4Gamer:
ソーサリアンオンライン以外のPC向けタイトルは,何か予定がありますか?
林氏:
大作のMMORPGではなくて,カジュアル系のものを考えていますので,こちらについても,近いうちに発表できると思います。
4Gamer:
分かりました,続報を楽しみにしています。
では……残念ながらもうお時間のようですので,最後に皆さんから一言ずつ,4Gamer読者にコメントをお願いします。
林氏:
先ほども少しだけお話しした未発表のコラボレーション企画をはじめ,今年は“オンライン”をキーワードに,いろいろなことを仕掛けていきます。その発表を近いうちにできると思いますので,楽しみにしていてください。
倉氏:
今日は木屋さんから,いろいろとアドバイスをいただくことができましたので,ソーサリアンオンラインのハードルの高さをなんとか改善することを目標にして,キラキラと輝けるゲームにしていきたいと思います。
初心者の方にも楽しんでもらえるものに仕上げて,シナリオなどもどんどん追加していきたいと思いますので,期待していてください。
洋谷氏:
ソーサリアンオンラインは,元々がかなりマニアックな人に向けた挑戦状のような作りのゲームなので,一見さんがなかなか残ってくれませんでした。オンラインゲームは,プレイヤーが大勢いて,初心者から上級者までが一緒にコミュニケーションを取るというのが一番の楽しみですので,より多くの人に楽しんでもらえるように改善していきたいですね。
木屋氏:
ちょっとハードルが高いというのは,私個人としては,一概に悪いとは思っていないんです。そのハードルがあるがために,プレイヤーがふるいにかけられているという側面もありますし,ソーサリアンオンラインではまだ,プレイヤー同士でトラブルになっている場面を見たことがありません。とっつきにくさがあることで,かえって居心地のいい世界が出来上がっているとも言えるんです。
ただ厳しいことを言ってしまうと,さすがに,初めてキーボードだけで操作をしたときはきつかったです。ゲームパッドでプレイをすると意外とやりやすいんですが,それでもいくつか気になるところはあります。こういった,自分でプレイしたときに違和感が残る部分は,そのまま残しておかずに,徹底的に作り込んでいく必要があるなと感じます。
4Gamer:
木屋さん自身,相当気合いが入っているようですね。
木屋氏:
ええ。でもまずは,自分がどこまで口出しさせてもらえるのか,ですね(笑)。言いたいことは山ほどあります。自分の部下だったら,殴ってでもやらせるぞっていうものがたくさんありますよ。
4Gamer:
ぜひその意気込みで,ソーサリアンオンラインをキラキラに磨き上げてください。本日はありがとうございました。
木屋氏や,20年ほど前のPCゲーム事情について明るくない人には,「余談」と思われる部分も多かったかもしれない。しかし,木屋氏の名前に反応してこの記事を目にした人にとっては,余談部分もまた興味深いと思い,極力残すようにした(書けない話も多かったが。それはいずれ,また別の機会に)。なにせ,木屋氏は今もバリバリのゲーマーで,かつ「頑張ってい」ることが明言(?)されたのだ。これを掲載しないわけにはいくまい。
さて,本題のソーサリアンオンラインのコラボ企画だが,正直話を聞いた段階では,木屋氏の「名声」に頼っただけの,安直なものだと思っていた。しかし,木屋氏は“本気”だったし,電遊社の開発陣も,その言葉を真摯に受け止めていた。実はこのインタビューの直前に,何時間にもわたって,木屋氏と開発陣による,初の本格的なミーティングが行われており,その場では,ここに掲載したよりもストレートな意見が飛び出ていたそうなのだ。またインタビュー後も,ソーサリアンオンラインの新仕様を実演してもらったのだが,木屋氏はある要素について,「それって微妙じゃない?」と,柔らかな表現を使いつつも即座にダメ出し。今後も頻繁にこういった場が持たれるとしたら,ソーサリアンオンラインは,徐々に,キラキラと輝いていくのではないだろうか。
ともあれ,木屋氏には,たっぷりと“口出し”することを,そして電遊社のみなさんには,それに対して前向きに取り組んでいただくことを,切に願う次第である。(2007年4月12日収録)