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CBT募集開始! 指輪物語オンラインである「ロード・オブ・ザ・リングス・オンライン」をちょっと遊んでみました
2007/04/13 12:00
いかにもなBGMが流れる,雰囲気満点のキャラ選択画面。小さいキャラ好きな筆者は,迷わずホビットを選択。足の毛もちゃんと生えてていいのだが,ちょっと顔立ちが男女ともイマイチ……かも。ヒューマン(マンと呼ぶ)やエルフは割と良いのだが
 コアゲーマーの味方として名高い(?)さくらインターネットがサービスする,「ロード・オブ・ザ・リングス・オンライン アングマールの影」(以下LotRO)。その作品が最初に本サイトに掲載されたのは,2002年12月のこと(古いデザインの記事なので体裁が崩れます)。当時の名前は「Middle Earth Online」だった。
 あれから4年以上が経った。途中何度かE3のクローズドブースなどでその姿を見たときには,「お,おいおい」と言いたくなるような出来だったので非常に心配だったが,Turbine(ターバイン)お得意の「直前に急激にクオリティが上がる法則」が適用されたのか,とりあえずは無事に発売も発表され,海外ではオープンテストも始まった。本日からは,日本でのクローズドβテスターの募集も始っている(クローズドβテストを含む日本語版のスケジュールの詳細は,「こちら」の記事でご確認を)。
 以前,さくらインターネットの笹田社長と雑談中に,オフレコで「LotRO(運営権を)買いましたよ」と聞いたとき,その出来を心配した私をよそに「大丈夫,ようできてましたよ」と自信に溢れていたのが,とても心強い。

 さて今回筆者が参加しているのは,海外の“オープンテスト”に伴う製品版Early Accessだ。あくまでも内容は英語版で,ここに書いた内容がそのまますべて日本語版に適用できるかどうかは不明。おそらく同等のものであろうと思うが,それは現段階では何も発表されていない。ましてやキャラクターのLvはまだ中盤にすら達しておらず,序盤にしか過ぎない。その部分をご了承いただきつつ,読んでいただきたい。

(上段)ホビットしかやっていないのでシャイア近辺の風景だけで申し訳ない。とはいえ,十分なクオリティにして満点の雰囲気は見てとれるのではないだろうか。
(下段)まぁまぁいい戦闘シーンかな,と思ったものが全部暗かった。戦闘それ自体は,小難しい操作の必要がない,ある意味「簡単な」システムだ。連携などが入ってくるとまた違うのだが,極端な話,スキルボタンを適当に押すだけでもたいがいの敵には勝てる。


Accomplishmentの報酬としてもらえるTrait(キャラクター強化能力)は,バードのところでアクティブにしてもらう必要がある。一つ一つの能力は地味に見えるが数多く付けられるので,その組み合わせで差別化を図ることになるだろう
 のっけからとても恥ずかしい告白話になってしまうが,筆者は割とコテコテの洋ゲーMMORPGマニアのせいか,LotROを最初完全に勘違いしていた。ユーザーのコンテンツ消費速度をパワーでねじ伏せていく,EverQuestから綿々と続く“洋ゲー”そのものであると思い込んでいて,そのつもりで颯爽と乗り込んでしまったのだ。
 その勢いでそのまましばらく遊んでみたのだが……何かが違う。なぜこんなに簡単なのか。なぜこんなに死なないのか。なぜこんなにのどかな戦闘なのか。なぜこんなに移動ばかりさせられるのか。なぜ派手なクラスが少ないのか。とどめは,なぜこんなにお使いクエストばかりさせられるのか。しかも届けるものときたら,パイだの,孫の弁当だの,ブタのエサだの,なんだか地味だ。
 最初,5時間ほど遊んだあとで「これはダメかもしれない」と思ったことを正直に告白しておこう。コテコテ/カリカリの洋ゲーMMORPGを無意識のうちに求め,かつそれを期待していた筆者は,前述のようなLotROを“自分の好みには合わない作品”として認識してしまったのだ。なにせ雰囲気全体がのどかすぎる。生産でFarmerなどを選択した日には,狩で稼いだお金を投下して,日がな一日農場で畑仕事だ。隣で畑を耕すプレイヤーと,楽器演奏自慢(LotROの楽器は,本当に自分で演奏できる)などしている次第。
 なるほど,確かに戦闘もほどよくアクション風味で,クエストだけを集中的にやっていてもLvはどんどん上がっていく。生産も,昨今の北米MMORPGで流行りのシステムのように妙に手順が多くて煩雑なものではないし,採集に至ってはミニマップに素材の位置が表示されて探す必要すらないという斬新なシステムだ。クエスト対象も,方角こそ表示しないがどこそこの誰それ,と明確に指定してくれる。Accomplishmentシステム(*)は,攻略要素が好きな日本人にはたまらないだろう。そして,少なくとも序盤に関しては,ソロプレイでもほとんど問題なくLvをあげていけるというお気軽要素もある。
 しかしこう,やっていて歯応えがなく思えたのだ。とても厳しい何かをヒイヒイ言いながら達成する高揚感というか。割と念入りで,正確にキチンとデザインされたゲームシステムの中で躍っているだけにも思え,先ほどの結論に行き着いたわけだ。


(上段左)クエストシステムは割と親切。とはいえどこぞのゲームのようにクエスト目的位置までの案内はしてくれないので,それなりに探し回って楽しめる。ただ,クエストに追われがちなのが短所といえば短所か。(上段真ん中)シャイア近辺の全体マップ。原作ファンなら見慣れた地名も?(上段右)これがAccomplishmentシステム。ちょうどシャイアの観光名所を6か所回るものが終わったところで撮影。報酬として「FIDELITY+1」というTraitがもらえるというわけだ。
(下段)生産システムは,いまどきの欧米MMORPGの中では最もイージー。材料を持って生産テーブルの前でボタンを押すだけだ。しかも,個数を入力しておくと,50個でも100個でも自動で作り続けてくれる。ちなみに下段一番右が,本文で触れている「素材の場所が分かるスキル」だ。右上ミニマップの中心付近に盾のような緑のアイコンがあるのが分かるだろうか。


MMORPGお約束の「Named」(NMとも言う)もいる。結構な頻度でそこらにいるので,気張らずとも見つかるだろう。ちなみに写真の彼(?)は,そこそこの性能のローブをくれた。
 しかしそれは大きな誤りだったことも,恥を承知で述べておきたい。LotROとは,そういうゲームなのだ。いわゆる「洋ゲーMMORPG」のつもりでやると,ちょっとだけ違和感を覚えるかもしれない。確かに,今までに誰も見たことがないような特筆すべきゲームシステムがあるわけではないし,十分美しいものの,ベタ褒めするほどべらぼうに綺麗なグラフィックスというわけでもない。では一体最大の売りは何なのか。LotROは,「指輪物語である」ということが最大の特徴であり,その世界で自分も生きていけることが,最も大きな魅力なのだ。
 ガンダルフやアラゴルンを筆頭とする“旅の仲間達”が生きている世界で,自分も生を受けて冒険する。それが,このゲームの最大にして唯一無二の特徴だ。あなたはこの世界ではヒーローではない。ヒーローはすでにいて,求められてはいない。あなたは,数多くいる冒険者の一人に過ぎないのだ。だが,それがたまらなく楽しい。
 筆者はメインキャラをホビットでプレイしているのだが,チュートリアルステージを終えてシャイアの地に降り立ったときに,「おー,ホントにイメージどおりのシャイアだ」と感動した。牧歌的な雰囲気,陽気でおしゃべりな隣人達,川のせせらぎ,気持ちの良い眺め……。その感動を忘れず,シャイアのNPC達と一体となってその世界に生き,ナズグルに恐怖し,ちょっとだけ勇気を出して冒険の範囲を広げてみる。それこそがLotROの遊び方なのだ。コンテンツを消費する心意気満々で乗り込んでいった自分が,少し恥ずかしくなった。

 そしてまた指輪物語は,まごうことなきファンタジーの源泉にして王道なのだが,いまどきのスピーディな“ファンタジー”と呼ばれるものとは明らかにその性質が異なる。主人公格であるフロドにしても完全無比のヒーローではなく,とても心が弱い,かよわい人物だ。ピピンもメリーもそうだが,なにかスペシャルな特技があるわけではない。剣の達人でもなければ,強力な魔法が使えるわけでもない。アラゴルンが剣の特訓をしてくれるわけでもないし,ガンダルフが魔法を教えてくれるわけでもない。彼らは,物語を通して自らの力で“強く”なっていく。非常に深く,示唆に富んだ,そして見方によっては非常に地味な物語なのだ。
 そしてLotROは,そのオリジナルの物語が持つ雰囲気をも丸ごと受け継いでいる。一発で体力全回復するヒールがあるわけではないし,数千ダメージを叩き出す魔法があるわけでもない。なにせこの世界にはヒーラーはいないし,“魔法使い”は5人(でしたっけ?)しかいないのだ。NPC以外はみんながみんな“選ばれし者”である,お約束のファンタジーRPGではないのだ。


(上段)「ここ必要ないんじゃないの?」というところまで描き込んであるグラフィックス。風景すらもが重要なコンテンツである本作においては非常に重要だ。ちなみに一番左は,序盤を追えてシャイアの地に降り立った直後。注意深い読者ならお気づきのように,普通にプレイしていればこの時点でLv6程度になると思われる。
(下段)前回の記事と繰り返しになってしまうが再掲。種族ごとの最初のステージ(チュートリアルを兼ねている)は,“指輪物語ファン”であれば必見。有名NPC達がてんこ盛りだ。


いまだに筆者が全然うまくならない楽器演奏(Minstrelなのに!)。街で練習しているホビットを見かけたので撮影。かなり上手だった……。
 あえて言わせていただきたい。LotROはいわゆる「洋ゲー」ではない。もし筆者同様に,コンテンツ消費速度を競うつもりでプレイする人がいるならば,まずはその考えを改めてほしい。「指輪物語」の世界に生を受けて,のんびりまったり,ときには死にものぐるいで冒険することが,このゲームの最大の目的だと言ってもよいだろう。ぼんやりと畑に種でもまきながら,隣人達のお願いを聞いてクエストを進めつつ,1時間くらいしか遊べないときはグルグル走り回りながら素材を集め,Accomplishmentをじわじわと進めていく。それらを焦らずのんびりやることが,このゲームの真の目的なのかもしれない。
 もう一度言葉を変えて言おう。洋ゲーに抵抗があった人こそ,ぜひこの作品をプレイしてみてほしい。今までの洋ゲーにちょっと疲れた人こそ,この作品をプレイしてみてほしい。おそらくこれは,あなたがイメージを持っている,若干ネガティブな意味での“洋ゲー”ではない。
 ゲームそれ自体は,進めることはちっとも難しくない。のんびりプレイしたとしても,いずれ,初期ゲームワールドに実装されていると言われる最後のエリアであるモリア手前までは行き着くことだろう。街で高レベルの“生き急いでいる”プレイヤーを見ても,焦ってはいけない。
 普通のMMORPGは,極論するならばLvがすべてだ。Lvアップとそれに伴う環境の変化そのものが,メインコンテンツとして存在している。EQ然り,WoW然り,Vanguard然り。だからこそゲームデザイナーはそこに心血を注ぎ,プレイヤーはそれを全力で消費していく。それはそれで,非常に正しい構図だ。むろん,世界観の作り込みは言うまでもなく大事なことだが,それとて,たいがいの場合は,より楽しくLvアップをするための壮大な仕掛けの中の一つだ。

 しかし,本作は違う。これは「指輪物語」だ。ゲームそのものもむろん高い完成度だが,それ以上に,背景に敷かれた世界そのものが,コンテンツなのだ。筆者の二の轍を踏まないためにも,そこだけは注意してほしい。ブリー村まで走って,「躍る子馬亭」を探してみるのもよいし,バック郷に足を伸ばして,来るべきメリーの活躍に思いを馳せるのもよいだろう。それとも映画版の足跡を辿って,まずは風見が丘まで旅をするのを目的にしてもいいかもしれない(筆者はまだ到達していない)。

 4月24日から始まる日本語版テスターの募集が,本日13日の正午からLieVoで始まっている。操作性やゲームシステムは完全に洋ゲーだが,世界観を素直に楽しめるという希有な作品だ。散々偉そうなことを書いているが,筆者も実は原作を隅から隅まで読んで覚えているわけではない。しかし,少なくとも映画「ロード・オブ・ザ・リング」の第1部くらい見ておけば,さらにゲームを楽しめるだろう,という助言を最後に付け加えておきたい。(Kazuhisa)

(*)Accomplishmentシステム
 ある意味,コレクション系のクエストシステムとでも呼ぶべきフィーチャー。例えば「Wolfを30匹倒す」「シャイアの農場を全部訪れる」「全部の村の手紙運びを手伝う」「シャイアに散らばるクエストを75個Completeする」などの条件を満たすと,「Fur-Cutter」「Honorary Sherrif」などの称号がもらえたり,ステータスUpや特殊能力(これをTraitと呼ぶ)をキャラクターに付与できたりする。キャラクターの強さの差別化は,おそらくそのTraitで図ることになるだろう。
 例えば筆者はシャイアに生まれたホビットのMinstrel(ヒーラー)なのだが,現状Lv14の筆者が把握しているだけで
・シャイアのAccomplishmentが20種
・ホビットのAccomplishmentが3種
・MinstrelのAccomplishmentが7種
の30種のAccomplishmentが存在する。当然,土地が変わればその土地ごとのAccomplishmentが数十種類増えるはずだし,Lvの上昇によっても増えていくように思われる。これを気合いで終わらせようと考えても無駄なので,のんびりゆっくり楽しんでいる。大体のものはソロで達成できるので,一人遊び用コンテンツとしても秀逸かもしれない。


(上段)左2枚は移動用の「馬」を撮影。DAoC同様の,行き先を指定して自動で走っていくタイプだ。馬といってもそう速くないが,キャラクターの移動そのものが遅く感じるので(脚が速くなるスキルはあるにはあるが,なおまだ遅い)不満があるほどではない。
(下段)一番左は,いわゆるレアアイテムがドロップしたときの処理。見て分かるとおり,デフォルトでは「全員ロール制」になっている。なんだかんだ言ってもMMORPGにおいてアイテムは重要。意外に揉めるところなので,これくらいの処理はちょうどよいかもしれない。

ロード・オブ・ザ・リングス・オンライン アングマールの影
■開発元:Turbine
■発売元:さくらインターネット
■発売日:2007/06/01
■価格:ダウンロード版 3000円(税込) 利用料金:1500円/1か月(税込)
→公式サイトは「こちら」
ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影(パッケージ版)
■開発元:Turbine
■発売元:LieVo
■発売日:2007/05/11
■価格:4800円(税別)
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.04/20070413120000detail.html