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クラス制を撤廃したプレイスタイルはいかに? 「三國志 Online」プレイレポート#1
2007/02/01 20:52
 2007年1月24日より,「三國志 Online」クローズドβテストが開始された。この作品は,コーエーの看板シリーズの一つである「三國志」をMMORPG化したものだ。歴史をテーマとした自社作品をMMORPG化することについては,コーエーはすでに「信長の野望 Online」での実績がある。それだけに,この「三國志 Online」は,ファンから多くの期待が寄せられている作品だ。また本作は,「職業(クラス)がキャラクターと結びついておらず,キャラクターの特性は任意に切り替えられる」という点でも注目されている。
 ここでは,クローズドβテストを数日プレイした時点でのレポートをお届けする。

■キャラクターメイク

 キャラクターメイクではまず男4種,女4種の中から基本体型を選択し,その後,髪型,顔,配色,声などを設定していく。
 顔の設定はスライダーを操作して調節するようなものではなく,用意された中からから好みのものを選ぶタイプだ。スライダーが多すぎると,かえって気に入った顔が作れずにストレスを感じることもある。プレイ中にマシンにかかる負荷も軽減できるという点から見ても,選択型になっていることは悪いことではない。

 各種要素を決定したら,名前を設定する。面白いことに,本作では最初に作ったキャラクターの「姓」が,同じサーバーの二人目以降のキャラクターにも引き継がれる。クローズドβテストでは三人のキャラクターが作成可能なので,この三人は同じ「姓」を持つことになる。最後に生年月日を設定したら,キャラクター作成は終了。能力値の設定といったものはない。そして職業(クラス)の選択もないことは上述のとおりだ。



■序盤の依頼(クエスト)

スタート地点にいる水鏡村の村長
 すべてのキャラクターは,「荊州」の「水鏡村」からのスタートとなる。ゲームにログインすると,すぐ近くに水鏡村の村長が立っている。村長に話しかけると,いくつかの説明をしてくれ,「戦闘総師範」のところに行くように勧められる。これが最初の“依頼”(クエスト)だ。その後は,言われるままに六つある「戦闘技能」の各師範に話しかけて回ることで,各戦闘能力に結びついた六つの武器と,最初の技能一つが入手できて,さらに依頼の報酬としていくらかの経験値とお金がもらえた。

 依頼をくれるNPC,および現在受けている依頼の目標であるNPCの頭上には,竹(木?)で出来た巻物のマークが表示される。とりあえずは,これらのNPCに端から話しかけて,次々と依頼を達成していくとよいようだ。依頼には,受けるために最低限必要なキャラクターレベルが設定されており,少し育ってから新たに受けられるようになるものもある。

 依頼にはさまざまな種類が存在する。「特定の敵を特定の数だけ倒してくる」というものに加えて,「誰かに何かを届ける」「マップ上にある特定のオブジェクトに何かしてくる」といったものがポピュラーだ。

 クエストログも用意されており,「EverQuest II」や「World of Warcraft」などの,既存タイトルのクエストの仕組みを知っていれば,依頼の進め方について迷うことはなさそうだ。しかし,本作のフィールドは基本的にとても広く,現時点ではランドマークとなるものがほとんどないために,NPCの位置が分からなかったり,目標の敵やオブジェクトがなかなか見つからなかったりという部分で,迷うことがある。クエストログの情報をもっと詳細にするなど,改良が必要な部分かもしれない。

 依頼達成の報酬として得られる金銭と経験値の量は,かなり抑えられている印象だ。アイテムが得られる場合もあるが,それほど魅力的な性能のものではない。そのため,「序盤はぐいぐいクエスト(依頼)に引っ張られていく」という雰囲気ではない。クエストをこなしつつ,敵を倒して経験値を得ながらキャラクターを育てる,という遊び方をするプレイヤーが多いようだった。

左:村のあちこちにクエストを持つNPCがいる
中央:クエストNPCの頭上にはこのようなマークが浮かぶ
右:受けたクエストは“依頼一覧”(クエストログ)にまとめられる


■序盤の戦闘と成長

 本作には職業(クラス)がなく,キャラクターの戦闘能力の系統は,装備する武器によって変化する。つまり,武器を替えることによって「盾役」や「回復役」などといったグループ内での役割を変化させられるのだ。これは本作の大きな特徴である。防具については,装備している武器に合わせて,装備可能な鎧の種類(金属製,皮革製,布製)が変化する。

【戦闘能力】 【武器】      【例】             【装備可能な防具】
・防御     片手武器+盾  片手剣や片手短槍,盾 金属製まで
・戦術     両手武器     槍や大刀         金属製まで
・攻撃     双手武器     双手剣や双手短槍   皮革製まで
・投射     投射武器     弓や弩           皮革製まで
・練丹     練丹武器     杖や棍           布製まで
・妖術     妖術武器     木剣や扇         布製まで

 どの戦闘能力から伸ばすかは,もちろん自分で決められる。今回のプレイでは,まずは「防御」(片手武器+盾)系で進めることにした。

左:“技能一覧”から使用できる技能を選び,“技能スロット”に実装していく
中央:最序盤の敵はイノシシやシカ,オオカミなどの動物が多い
右:「練気の矢」を覚えて,「片手剣+盾」装備時にも遠隔攻撃が可能になった


 片手武器+盾の装備中には,防御系の技能である「受止の構え」に加えて,「攻撃」(双手武器)系の技能「強撃」と,「練丹」(練丹武器)系の技能「簡易回復」が使える。このように,ほかの系統の技能でも,ある程度は使用可能になっている。

 片手武器+盾を装備して「受止の構え」を使用しながら,敵を「強撃」で攻撃し,戦闘後には「簡易回復」で体力を回復させる。こうして戦いを続けていると,経験値は防御系に対してたまっていき,レベルアップしたところで,防御系の技能をいくつか覚えた。しかし,レベル6あたりでちょっとつらくなってきた。この技能構成だと遠距離攻撃の手段がないので,敵と戦うには自分から突っ込んでいくしかない。そのときに誤って攻撃的な敵が数体固まっているところに突っ込んでしまうと,囲まれて負けてしまうのだ。

 どうすればいいかと技能一覧を調べてみると,目当てのものが見つかった。どうやら「投射」(投射武器)系の技能の中に,「練気の矢」という“気”を飛ばして攻撃する技があり,それは片手武器+盾の装備時にも使えるらしいのだ。
 「練気の矢」は投射系のレベルが4になれば覚えられる。そこでひとまず片手武器+盾は外し,投射武器である弓を装備してみた。すると,「金属鎧を装備していると投射武器は使えない」との警告メッセージが出たので,鎧も全部脱ぐことに。そのまま弱い敵がいる場所まで移動して,投射系のレベルが4になるまで狩りを続けた。
 投射系のレベルは1からのスタートだが,防御系はすでにレベル6まで上がっているので,現在のキャラクターの総合レベルは6になっており,体力と気力の量はそのぶん上がっている。そのためか,比較的ラクに投射系のレベルは4に達し,「練気の矢」を覚えることが出来た。

 「練気の矢」を活用しつつ,再び片手武器+盾のレベルを上げていると,また問題が発生。どうやらこちらの攻撃力が低いようで,ときどき敵に負けてしまうのだ。こちらのメインの攻撃技能は「強撃」なので,この威力が上がれば負ける機会は減るかもしれない。そう思って調べてみると,「強撃」は「攻撃」(双手武器)系のレベルを7にすると,ランクが2に上がるようだ。そこで,先ほどのように武器を持ち替えて,鎧を脱いで狩り場へ行って……。といった具合に,序盤のプレイは進んでいった。

依頼の遂行と1か所にとどまっての狩り,両方を行うことでレベルアップしていった


■実際のプレイスタイルがどのようなものになるのか

 クローズドβテストでは,ソロプレイだけで,現時点のレベルキャップであるレベル20まで上げることが可能になっているようだ。その場合,自分一人でいろいろなことができた方が便利だ。このレベル帯では,どの技能を伸ばすのもあまり大変ではないので,このような“複数の技能を伸ばす”プレイが可能だったと捉えることができる。また,この先も同様に進んでいくのであれば,本作は“メインの戦闘技能を一つ,サブの戦闘技能をいくつか伸ばしていく”というゲームになるのかもしれない。

 しかし,今後のバランス調節によっては,よりレベルが高くなるにつれてプレイの様相が変化していくだろう。やがてグループを組むことが当たり前という状況がやってくるのであれば,一人でいろいろなことをまかなえる必要性が減り,“一つの技能を集中的に伸ばす”ことが主流になる可能性もある。
 とはいえ,戦闘における役割は切り替えられたほうがグループメイクの時には便利なため,“複数の戦闘技能を同じように伸ばす”ほうが有利かもしれず,だからといって,その場でフレキシブルに役割を切り替えるには「鎧の制限」がネックに……といった葛藤が生まれるかもしれない。あるいは,ゲームにはもっと色々な局面があって,人によって育て方がまったく異なる,ということになるのかもしれない。

 「かもしれない」ばかりになってしまったが,それもこの作品が,「役割(戦闘技能)を切り替えられる」というユニークな特質を持っているからだ。そのため,現状ではまだ,本作のプレイスタイルを明確には定義できない,というのが正直な感想である。しかし,だからこそ,これまでになかったような新しいプレイ体験ができるゲームとなる可能性を秘めていると言える。まだまだ,興味は尽きない。(ライター:星原昭典)


三國志 Online
■開発元:コーエー(KOEI ENTERTAINMENT SINGAPORE PTE. LTD.)
■発売元:コーエー
■発売日:2007年内
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.02/20070201205214detail.html