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「FFXI」大規模アップデート:「メリットポイント」の機能拡張,「アトルガンの秘宝」向けバトルフィールド戦の追加など盛りだくさんの内容
2006/07/25 17:26
 スクウェア・エニックスは7月25日,MMORPG「ファイナルファンタジーXI」大規模アップデートを実施した。同作のアップデートは,前回の4月18日から約3か月ぶりとなる。その内容を駆け足で紹介していこう。

■「メリットポイント」用能力の追加によって
■キャラクターが大幅に強化及び個性化される


追加された能力は「グループ2」に分類され,従来のものとは合計カウントが別に処理される。ちなみに1段階目に必要なメリットポイントは一律3で,それ以降は4,5と増える仕組み
 今回のアップデートを大局的に見ると,4月下旬に発売された拡張データディスク「アトルガンの秘宝」用の環境整備/機能拡張がメインとなる。しかし,より強く目を引くのが,「メリットポイント」システムの大幅な機能拡張だ。
 「メリットポイント」とは,2004年6月末に初めて実装された,レベルキャップに達したキャラクター向けの成長システムである。これは75まであるレベルとはまったく別の体系で,戦闘時に獲得した経験値をメリットポイント専用のものとして蓄積したうえで,一定量をポイントに換算してさまざまな能力を得るというもの。例えば「HPの最大値を上昇」「クリティカルヒット率が上昇」などといった具合である。
 従来のメリットポイント用の能力は,基本能力面を底上げする,いわゆる“パッシブ系”に属するもので,ポイントを注ぎ込むと確かに違いは出てくるものの,キャラクター性能が劇的に変わるというほどではなかった。意地悪な言い方をすると,自己満足的な意味合いもあったわけだが,今回追加された能力は多数の“アクティブ系”で占められており(一部パッシブ系も含む),ジョブ性能ががらりと一変する可能性を感じさせる。ジョブ別の追加能力を別表にまとめてみたので,まずは参照してほしい。

表:追加されたメリットポイント「グループ2」用の能力

 今回の追加能力を見た瞬間,思わず息を呑んでしまったという人も多のではないだろうか。これらの詳細をじっくりと見ていくと,どれもこれもジョブらしさが存分に発揮されているのがよく分かるだろう。中でも赤魔道士の「ファランクスII」(対象が自分以外というのがポイント)や,侍の「士気昂揚」(連携の回転率アップ)などは,パーティプレイ時の戦術が大きく変わりそうな予感さえする。

 キャラクターの成長システムは,長い間渇望されていたが,スクエニとしても,おいそれと導入するわけにはいかなったはずだ。熟成期を迎えたMMORPGにおいて,安易なレベル上限開放は,ゲームバランスの破綻にもなりかねない。実際同社は,2003年11月末のアップデートにおいて,「キャラクターレベルは75を最終到達点とする」と明言しているくらいだ。
 そのほかのキャラクターの成長に関するアップデートを全部含めても,メリットポイントシステムの実装以来で,これまで丸2年間大きく変わってはいなかったのである。今回のメリットポイント拡張は,ハイレベルプレイヤーにとって,まさしく待望のアップデートといえるだろう。

 各能力の詳細な効果はまだ判明していないものの,現時点におけるプレイヤーの期待感としては,「キャラレベルが75から80に拡張」に匹敵するといっても過言ではない。今回のメリットポイント機能拡張は,同社にしては珍しく全ジョブに対する大幅な底上げといえる。この仕様変更によって,今後ジョブ間バランスがどのように変わっていくのかが楽しみでならない。

 今回追加された能力にはいくつか独特なシステムがあるので,確認しておこう。
 まず,これらの効果が発揮されるのは,メインジョブに設定して,なおかつレベルが75のときに限るということ。例えば,レベル制限の設けられたプロマシアミッションといった状況下では使えないのだ。
 また,今回追加された能力は新たなグループに分類され,1ジョブあたりのトータルポイントが6となっていることも要注意。各能力は3段階までポイントをつぎ込めるものの,その場合は残りが3ポイントとなる(※2006年7月26日20時頃,初出時に間違っていた数字を修正しました)。したがってすべての能力に特化するのは不可能であり,このあたりの取捨選択も大いに悩ましい。この,同じジョブでも個性化が図られるシステムが,今後プレイヤーにどのように受け止められるか気になるところだ。

左:新たな能力を試してみるときは,思わず顔がにやけてしまうという人も多いはず。どの能力を選択するかで,キャラクターの方向性が分かれる点にも注目したい 右:実装から2年を経て,ついにメリットポイントシステムの真価が発揮されるときが来たか,という思いだ。今後当分の間,これを目的としたプレイヤーで狩り場が混雑するはず


■「アトルガンの秘宝」向けの機能拡張も多数追加
■一部は来月に持ち越し


皇国軍戦績は,「アトルガンの秘宝」エリアで冒険を行うと自然とたまっていく。今回追加されたバトルフィールド戦は,社会人のプレイヤーでも大体週に1〜2度は挑戦できる
 そのほかのアップデート項目をざっと見ていこう。
 中でもプレイヤーに大きな影響を与えると思われるのが,新エリアを対象としたバトルフィールド戦の実装だ。バトルフィールドへの挑戦には「皇国軍戦績」が2000ポイント/3000ポイント必要で,それぞれのレベル制限は60および無制限となっている。同作のバトルイベントを代表する「BCNM」直系のコンテンツなので,システム詳細については説明不要だろう。それよりも,すでにドロップアイテムのほうに目が向いているという人も多いはず。

 今回のバトルフィールド戦の実装により,皇国軍戦績を目的とした新エリアのキャンプが促進される一方で,旧大陸の過疎化が進むと思われる。冒険者にとっての利便性が高まるのは大歓迎だが,もうそろそろ旧大陸を対象とした「シグネット」に関する,なんらかの救済措置が必要となってきそうな案配だ。

 また,「アトルガンの秘宝」で追加された3ジョブ「青魔道士」「コルセア」「からくり士」におけるアーティファクト用クエストも実装された
 「アーティファクト」とは,それぞれのジョブを象徴するセット装備で,性能のみならず外見面で大きなインパクトがあり,これががきっかけでジョブを始めるという人も多い。熱心なプレイヤーの多くは,すでにクエスト対象レベルである40〜60に達しており,今回の実装で大きく盛り上がることだろう。

 「アトルガンの秘宝」を代表するバトルコンテンツ「アサルト」と「ビシージ」に関しても,細かい環境周りがいくつか整備されている。どの要素も順当といったところではあるが,“処理能力がまったく追いつかない”というビシージの根本的な問題は,実質的に先送りとなっている。正直なところ,これに関しては完全に目をつぶるというほかに対処法がないような気もする。

 そして最後になるが,当初実装を予定していた「アトルガンミッション」の追加分と「チョコボ育成」は,それぞれが8月2日と8月22日に延期されている。同社がアップデート要素をこのように分割するのはかなりマレで,それだけに何か深い事情があるのかと勘ぐってしまうが,いちプレイヤーとしては,これ以上の延期がないことを願うばかりだ。(ライター:川崎 政一郎)

左:本稿で紹介した以外にも,一部のジョブへの新魔法の追加や,短剣類のダメージ率見直しなどが行われている。さりげない調整だが,実はかなりの効果がある 右:チョコボ厩舎も実装され,アトルガンエリアの環境面はほとんど万全といっていいレベルにある。今回のアップデートは,全体的にプレイヤー に優しい印象を受ける

ファイナルファンタジーXI
■開発元:スクウェア・エニックス
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2002/11/07
■価格:オープン
→公式サイトは「こちら」
ファイナルファンタジーXI アトルガンの秘宝
■開発元:N/A
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2006/04/20
■価格:オープンプライス
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2006.07/20060725172622detail.html