ニュース
「DDO」プレスカンファレンス開催。オープンβテストは7月27日開始,正式サービス開始は8月10日に決定
2006/07/04 19:35
 オンラインRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズオンライン “ストームリーチ”」(以下,DDO)のクローズドβテストを実施中のさくらインターネットは,本日(7月4日),新宿・センチュリーハイアット東京においてプレスカンファレンスを開催した。その中で,今後のスケジュールとして7月25日にクローズドβテストを終了し,7月27日よりオープンβテストを開始することが発表された。さらに,正式サービスに関しても,8月10日より開始すると発表されている。



さくらインターネットCEO 笹田亮氏
 カンファレンスでは,まず,さくらインターネットCEO 笹田亮氏が壇上に登り,本作のゲーム概要を一通り解説した。同氏は続いて,「さくらインターネットの挑戦」と題して,データセンター事業を行っている同社がなぜ今回,DDOを通じてオンラインゲーム運営に乗り出すのかについてを述べた。その中で笹田氏は,同社が国内最大級のバックボーン回線を持つ独立系のデータセンター事業社であることを強調しつつ,「これまで主流だったコンシューマゲームでは,ゲームメーカーは開発と販売だけに注力していればよかった。しかしオンラインゲームは,購入し,PCにインストールしてからがスタートである」とした。つまり,オンラインゲームにおいては,サーバーやネットワークの運営といった,“その後”の運営が重要であるということだ。そして,これまでは必要とされていなかった,24時間体制によるゲームの運用によって,ゲームメーカーの負担が増大したのではないか,と述べた。



 そのうえで,アメリカや韓国では,ゲームメーカーとデータセンターが協業でオンラインゲームを提供するケースが多いといった例を挙げ,今回のように,データセンター事業社である同社がオンラインゲーム運営に乗り出すことは,決してレアケースではないと説明した。さらに,オープンβテストでプレイヤーを呼び込む現在のオンラインゲームのビジネスモデルは,正式な課金が始まる前に最も多額の設備投資が必要とされるという,ゲームメーカーにとって非常に高リスクなものとなっていると述べた。
 こうした現状に対し,笹田氏は,売り上げに対して一定の割合でコストが発生する「レベニューシェアモデル」を提案し,データセンター側でインフラを提供することによって,ゲームメーカーとリスクを分担する必要性を指摘した。
 また,DDOとまったく同じ構成での概算コストについても言及した。同社の場合,まず,10Gbpsの回線を2本(うち1本はダウンロード用)を用意した場合,年間でおよそ3億6000万円(月に約3000万円)のコストがかかる。これは,大手の通信キャリアで同じ回線を用意した場合と比較すると,半分以下のコストだ。そのほか,ラック(20ラック),ハードウェア,運用保守,カスタマーサポートなども含めても,合算で年間およそ8億円のコストで済むとのことだ。
 この低コストは,データセンター事業社であるさくらインターネットだからこそ可能なものであり(笹田氏言うところの,さくら側の“原価”とのこと),一般的なオンラインゲームの運営コストは倍以上かかるものだと考えてよい。
 そして最後に,DDOの運営を通じて,こういった(ゲームメーカーの負担を下げる)事業モデルを提案していくことで,より低リスクで,より多くのゲームメーカーがオンラインゲームにチャレンジできるような市場作りに貢献していきたいとして,今後の展望を述べた。



 笹田氏の話は,データセンター事業社である同社らしい,総じて,非常にインフラ寄りの内容だった。しかしプレイヤーとしては,同社がいかに実績のあるデータセンター事業社であるかよりも,ゲーム内サポートや継続的な運営といった,いわゆるカスタマーサポートの部分が気にかかるところだろう。インフラ方面ではすでに万全の同社であるだけに,今後はこうしたカスタマーサポート方面にも注目していきたい。自身も熱心なオンラインゲームプレイヤーである笹田氏であるだけに,プレイヤーの期待を裏切る結果にはならないことを期待したい。



さくらインターネット企画部 部長 舘野正明氏
 その後は,さくらインターネット企画部 部長 舘野正明氏によるゲーム内容紹介が行われ,キャラクター作成の様子や,実際にクエストをこなしていく様子などが紹介された。このあたりは,本サイトでもすでに「こちら」「こちら」のプレビュー記事や,「しょんぼりパラディンの冒険記」で紹介してあるとおりなので,ぜひ参考にしてもらいたい。



 本カンファレンスの最後に,再び,笹田氏による今後のプロモーション展開についての発表が行われた。すでに本作は,ダウンロードとパッケージによって販売されることが発表されていたが,クライアントが付属する「DDO推奨ゲームパッド」と,これまたクライアントが付属する「プレイヤーズハンドブック」の二つの販売形態の追加が発表された。この「プレイヤーズハンドブック」は,本作の原作ともいえるテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ 3.5版」のハンドブックであることには注意してほしい。
 「DDO推奨ゲームパッド」には,ゲーム内特典アイテムとして,足が速くなるブーツ“ブーツ・オブ・マイナー・ストライディング”が,「プレイヤーズハンドブック」には,NPCとの取引が有利になる“リング・オブ・ハグリング”が付属する。パッケージ版に付属する,ACが上がるアミュレット“アミュレット・オブ・ナチュラル・アーマー”と同じく,どちらも非常に有用なアイテムで,どのパッケージを手にするか悩むところだろう。また,公式サイトからプレイヤー全員が無料で作成できるブログ,「DDOBLOG」が設置されることも発表された。



 さて最後に,笹田氏から非常に気になる発言がなされたことを追記して,本稿を締めくくろう。なんと,βテスト用に用意したサーバーがオーバースペックすぎて,ほとんど負荷がかからないのだという。そこで,クローズドβテスト中に,さらに追加でテスター募集をする予定があるとのこと。前回の抽選で残念ながら外れてしまったという人にとって,思いがけないチャンス到来といったところだろう。続報が入り次第お伝えするつもりなので,本作のテストに今すぐにでも参加したいという人は,チェックを欠かさないようにご注意を。(Text by ginger Photo by kiki)


ダンジョンズ&ドラゴンズオンライン:ストームリーチ
■開発元:Turbine
■発売元:さくらインターネット
■発売日:2006/08/10
■価格:ダウンロード版 1500円(税込) 利用料金:1500円/1か月(税込)
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2006.07/20060704193539detail.html