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「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」,「Japan VR Summit 3」でのパネルディスカッションをレポート
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印刷2017/10/13 16:43

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「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」,「Japan VR Summit 3」でのパネルディスカッションをレポート

 2017年10月11日〜13日の期間で,グリーと一般社団法人VRコンソーシアムが主催,日経BPが共催するVRカンファレンス「Japan VR Summit 3」が開催されている。2日目となる10月12日には「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」と題されたパネルディスカッションが行われた。国内におけるアーケードVRの課題と,海外におけるアーケードVR施設の現状が語られた本講演のレポートをお届けしよう。

「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」,「Japan VR Summit 3」でのパネルディスカッションをレポート
●「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」登壇者一覧
モデレーター:
一般社団法人ロケーションベースVR協会 代表理事 ハシラス代表取締役社長 安藤晃弘氏

パネリスト:
アドアーズ 代表取締役社長 石井 学氏
バンダイナムコエンターテインメント AM事業部 エグゼクティブプロデューサー 小山順一朗氏
CAセガジョイポリス 執行役員・施設事業推進部部長 速水和彦氏


左から,安藤晃弘氏,石井 学氏,小山順一朗氏,速水和彦氏


注目を集めるアーケードVR


 最初に,タイトルにもなっている「アーケードVR」についておさらいしておこう。VRと聞くと,ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「PlayStation VR」やOculus VRの「Rift」,HTCの「Vive」など,個人用に流通しているものが頭に浮かぶだろう。一方のアーケードVRとは,アミューズメント施設に設置されているVRコンテンツのことで,「ロケーションベースVR」と呼ばれることもある。

 個人でVRを楽しむとなると,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や高性能PCといった設備,センサーを設置するスペース,これらを円滑に運用する知識が必要となる。しかし,アーケードVRの場合は身体一つで施設に行けばいい。プレイヤーとしては気軽にVR体験ができ,施設側は大きな集客効果が望めるため,注目を集めているのだ。

 今回のパネリストは,いずれもアーケードVRに取り組んでいる。アドアーズは2016年12月に,渋谷店の4Fに「VR PARK TOKYO」をオープンした。1〜3Fが従来型のゲームセンターになっているのが特徴だ。

「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」,「Japan VR Summit 3」でのパネルディスカッションをレポート

 バンダイナムコエンターテインメントが2017年7月に開店した「VR ZONE SHINJUKU」は,アーケードVRを中心に据えた施設。「ガンダムVR『ダイバ強襲』」「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」など,原作付きのVRコンテンツを自社で開発,ほかのアーケードVR施設とは一線を画した品揃えとなっている。

「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」,「Japan VR Summit 3」でのパネルディスカッションをレポート

 CAセガジョイポリスは2016年7月に,お台場の屋内型遊園地・東京ジョイポリス内に「ZERO LATENCY VR」をオープン。プレイヤーが自分の足で歩くフリーローム型VRコンテンツをフィーチャーしている。一口にアーケードVRといっても,様々な業態・方向性があるのだ。

「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」,「Japan VR Summit 3」でのパネルディスカッションをレポート

 VR PARK TOKYOでは7月の時点で来場者が5万人を突破。その9割が初めて来店した人であり,20代が60%を占めているという。同施設は,先述のとおり,従来型のゲームセンターであるアドアーズ渋谷店内に併設されている。VR PARK TOKYOがオープンする前の男女比が80:20だったのに対し,2017年3月には56:44に,さらに9月には48:52と逆転現象が起こっているという。
 また,VR ZONE SHINJUKUの場合,来場者の4割が女性で,カップルでの利用者が35%にも達している。これまでのゲームセンターとは少し違った客層にアピールできていることが分かるだろう。

VR PARK TOKYOは年明けに来場者10万人を突破する見込み
「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」,「Japan VR Summit 3」でのパネルディスカッションをレポート

VR ZONE SHINJUKUはカップルでの利用者が35%
「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」,「Japan VR Summit 3」でのパネルディスカッションをレポート
「日本型アーケードVRは世界に通用するのか?」,「Japan VR Summit 3」でのパネルディスカッションをレポート


高いホスピタリティを持つ日本式は,世界にも勝負をかけられる


 そんなアーケードVRは,「コスト」「リピート率」「3D酔い」といった課題も抱えているという。

 アーケードVRは施設に設置するものだ。当然だが交通の便が良く,多くの人が訪れる一等地が望ましいだろう。そして,来場者への衛生マスクの配布やHMDの着脱,安全確保のためにスタッフが必要になるため,その分の人件費がかさんでいく。こうなると必然的に浮上してくるのがテナント料などを含めたコスト問題となるわけだ。
 アドアーズ渋谷店の場合,通常型ゲームセンターである1〜3Fを1フロア当たりスタッフ3人ほどで運営しているのに対し,4FのVR PARK TOKYOでは10人以上が必要になるという。単純に人数で見ると3倍以上だ。
 外国人観光客への対応もコストが増える原因となっているそうだ。VR ZONE SHINJUKUでは,英語と中国語に堪能なスタッフを各フロアに3人ずつ常駐させており,VR PARK TOKYOの場合はアトラクションの案内スタッフに英語教育を施している。
 効率の観点からすると従来型のゲームセンターや,基本的に無人で運用できるプライズマシン(ガチャガチャ)のほうが上ということになる。だが,石井氏は,新たなマーケットが立ち上がる際は最初から効率を求めるのではなく,運用しつつ解決していくというスタンスも大事であると考えているという。


 ただ,海外のアーケードVR施設は事情が違っているようだ。HMDはプレイヤー自身が着脱しているし,衛生マスクも着用しないのだという。日本式のホスピタリティの高さゆえにコストの増加を招いているというわけだが,台湾では日本のやり方に倣ったアーケードVR施設があるそうで,今後はこちらが主流になっていく可能性もありそうだ。
 また,リピーターの増加やHMDの一般化,技術の発達による無線型HMDの登場により,コスト問題は解決していくのではないか,と小山氏は考えている。氏はとくに無線型HMDの可能性に注目しているという。「並んでいる間の待ち時間に装着してもらい,手間を軽減しつつ,スムーズにゲームへ没入させる」「HMD内で店舗の壁などに映像をオーバーラップさせ,装飾の代わりとする」といった使い方もできるのではないかと語った。


 ちなみに,日本だと13歳以下はアーケードVRを利用できないが,海外ではそうした制限はないという。料金形態も異なっている。日本の場合は,制限時間内なら遊び放題(VR PARK TOKYO)だったり,4つのカテゴリに分けられたアトラクションからそれぞれ1つずつ体験できる(VR ZONE SHINJUKU)といった方式があるが,海外で主流なのはコンテンツ1つごとに料金を支払う形式だそうだ。

 もう1つの課題がリピート率である。一度アーケードVRを楽しんだ人が,再び施設に来てくれるかどうかということだ。今のVRコンテンツは初めて体験したときの驚きを追求しているものが多い。しかし,今後数年でリピート性に配慮したものが必要になってくる,と速水氏は考えているという。


 ただ,リピート性を追求するのは簡単ではなく,小山氏いわく「開発費の7割を使う」ほどの手間がかかるという。開発費の増加は採算性に直接響いてくるが,アーケードVRの発展を考えるなら,リピート性は避けては通れないテーマである。
 バンダイナムコエンターテインメントでは,対戦ゲーム「機動戦士ガンダム 戦場の絆」のVR版「機動戦士ガンダム 戦場の絆VR PROTOTYPE Ver.」の試験運用を今冬に開始する。CAセガジョイポリスも,e-Sportsを意識したリピート性重視のタイトルを発表するという。

 最後の課題が,3D酔い(VR酔い)だ。「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」では,開発期間の7割がこの対策に費やされたという。それでもVR酔いを完全になくすことはできず,ジャンプや跳び蹴りといったアクションは封印されており,フリー移動の操作方法もプレイヤーには説明されないのだという(ちなみに,両手の親指ボタンを押すという“隠しコマンド”で自由に移動できるとのこと)。また「装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎」の場合は被写界深度をあえて狭くする(小山氏いわく「ド近眼にする」)対策を施しているという。

 ただ,3D酔い自体はVRコンテンツ特有の現象ではない。安藤氏は,FPSが登場した当初もこうした問題はあったものの,プレイヤー側が慣れていったことから,開発側も3D酔いの防止より,コンテンツとしての面白さを追求する方向へシフトしたと指摘。石井氏は,車酔いと同様に個人の体質に依存する問題でもあるため,どこまで技術的解決を試み,どこから割り切るのかのせめぎ合いであると語った。なお,ZERO LATENCY VRでは,重度の3D酔いを引き起こしたという事例は報告されていないとのことだ。


 最後に安藤氏は「面積当たりの単価や人件費などに対する見方がシビアな上,高いホスピタリティを追求する空気が醸成されているのが日本市場。そうした意味では日本型アーケードVRは世界に通用します」と結論づけ,パネルディスカッションを締めくくった。
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