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GMOインターネットの熊谷正寿氏,ディー・エヌ・エーの守安 功氏,KLabの真田哲弥氏が登壇した,GMIC TOKYO 2014のパネルディスカッション「企業のグローバル経営とイノベーション」をレポート
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印刷2014/07/15 21:15

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GMOインターネットの熊谷正寿氏,ディー・エヌ・エーの守安 功氏,KLabの真田哲弥氏が登壇した,GMIC TOKYO 2014のパネルディスカッション「企業のグローバル経営とイノベーション」をレポート

 スマートフォンを中心としたモバイルコンテンツ関連企業から講演者を招き,業界の最新動向や世界各国における市場の特徴などを紹介するイベント「Global Mobile Internet Conference Tokyo 2014」(GMIC TOKYO 2014)。
 2014年7月11日に開催された本イベントでは,「企業のグローバル経営とイノベーション」と題されたパネルディスカッションが行われた。パネリストとして登壇したのは,GMOインターネット(以下GMOI) 代表取締役会長兼社長・グループ代表の熊谷正寿氏,ディー・エヌ・エー(以下DeNA) 代表取締役社長兼CEOの守安 功氏,KLab 代表取締役社長の真田哲弥氏の3名。モデレータは,日本経済新聞社の論説委員兼産業部編集委員である関口和一氏だ。
 本稿では,このパネルディスカッションの内容をまとめてレポートしよう。

写真左から,関口和一氏,熊谷正寿氏,守安 功氏,真田哲弥氏

「GMIC TOKYO 2014」公式サイト



モバイル業界の急激な技術革新は何をもたらしたのか


 まずは関口氏から,近年のモバイル業界の激しい技術革新をどう捉え,事業にどのような変革をうながしたのか,という質問が出た。
 熊谷氏は,難しい質問だと前置きしつつ,この20年間の変革スピードは早かったため,一般的な企業であれば,リスク回避などの考えが働いて変革についていけなかったかもしれないが,自分達はリスクを取ることができたため生き残れたのだと述べた。

 守安氏は,15年前のインターネットはPCに詳しい人だけが触れるものだったが,現在では意識することなく生活に入り込むほど普及しており,もはやあらゆる産業において,インターネットがキーになっていると語る。
 守安氏は,そのターニングポイントとして,モバイル端末でのインターネット通信を定着させたパケット定額制を挙げていた。
 かつての携帯電話では,パケット料金がユーザーに大きくのしかかる構造だったため,なるべく容量が小さなアプリをダウンロードして使うという,通信を行わないスタイルが主流だった。パケット定額制が普及したことでこの制約から解放され,インターネットサービスを提供できるようになったというわけである。
 また守安氏は,今後はWeb復権の可能性もあるという未来予測も立てていた。現状のHTML5でアプリと同等のものを作るのは難しいが,将来,端末の進化やHTML5の整備が進んでそれが可能になれば,再びアプリからブラウザへの揺り戻しもあり得るというわけである。

 真田氏は,インターネットの普及とビジネスモデルの変化について,テクノロジーは重要だが,マーケット構造やバリューチェーンの変化が大きいと指摘。
 i-modeをはじめとしたかつてのエコシステムにおいて,サービスやアプリに対する支払いは,利用登録をして毎月利用料を払うサブスクリプションモデルという仕組みで成り立っていた。
 そこでは占いや,女性向けの「ルナルナ」などの,何かを記録していくようなサービスが大きな収益を上げたが,これは技術的と言うよりも,課金モデルとサービスの相性の良さによるものだったと真田氏は語る。
 だが,スマートフォンが普及した現在では,エコシステムは「In-App Purchase」(アプリ内課金)にシフトしている。そしてこのアプリ内課金ともっとも相性がいいサービスがゲームであり,だからこそKLabは,ゲームビジネスに集中していったのだと述べた。


グローバル展開における課題と人材育成について


 ここ数年,スマートフォンが爆発的に普及したことで,日本のモバイルインターネット業界においても,海外展開は命題の一つになっているといえる。パネリスト達は,グローバル展開についてどのような戦略を持って取り組んでいるのだろうか。

 守安氏は,「ガラケー」と揶揄される日本の携帯電話(フィーチャーフォン)は,世界的に見て特殊な発達をしてきたため,日本で流行したコンテンツをそのまま海外に持っていくようなことができなかったとコメント。しかし,スマートフォンではiOSやAndroidといった統一規格を土台にしているため,フィーチャーフォン時代のようなジレンマに悩まされることなく,海外展開がしやすくなったと語っていた。

 一方で,デベロッパ自身がアプリを配信できる,App StoreやGoogle Playといったストアシステムの登場によって,DeNAが展開しているmobageのサービスは,スマートフォンでは苦境に立たされている。
 守安氏は,スマートフォンアプリにおけるプラットフォームビジネスは厳しいと率直に語るとともに,自社で良質なゲームを開発し,パブリッシャとしてのナンバーワンを目指していると語った。
 とはいえ,プラットフォームビジネスをあきらめたわけではなく,スマートフォンによって変化したコミュニケーションのプラットフォームとなるべく,例えば漫画やアニメといったエンターテイメントの配信などを目指していくという。

 真田氏は,日本のユーザーが所持している端末や利用している通信回線が「恵まれすぎている」ことを挙げ,それが日本製アプリの世界展開を阻んでいる部分があると指摘する。
 例えば,世界的なヒットを飛ばしている「Crush of Clans」や「Candy Crush Saga」などは「電波は貧弱」という前提で開発されており,それが世界標準なのだと真田氏は語る。
 日本では通信インフラ環境が整備されており,3G回線からLTEに主流が移りつつあるため,通信面のデバッグなども基本的にLTE回線を通じて行われているが,海外では日本ほどインフラが整っていない国のほうが多い。
 日本の有利なインフラ環境では問題が出なかったとしても,通信インフラが整っていない国では,動作に影響が出たりまるで動かなかったりと,問題が発生することもあるのだという。そのためKLabでは,日本以外の国でアプリのデバッグを行うようにしているとのこと。

 熊谷氏がグローバル展開にあたっての課題として挙げたのは人材確保の難しさで,「イケてる」エンジニアやクリエイターの確保が重要だと述べる。続けて,「イケてる人材は,イケてる人材や商材のもとに集まる」という持論を述べ,自分の会社がナンバーワンの“イケてる”存在であることが,人材を確保するうえでベストかつイージーな方法だと語っていた。

 人材確保には皆が苦労しているようで,守安氏と真田氏からも関連した話題が提供された。
 DeNAでは,新卒採用者に東京大学出身者(※学部卒業者/大学院修了者の合計)が多いことが話題になった。守安氏によれば,10年近く前から続けてきた地道なアプローチがようやく花開いた結果なのだという。
 最初の頃は,東京大学の研究室を対象にした会社説明会に3人しか集まらなかったが,それにめげることなく募集を繰り返したり,DeNAに入社した先輩が後輩に会社の様子を伝えるといった地道な積み上げをしたりして,話題の大量採用につながったのだという。

 学生起業家だった真田氏が代表を務めるKLabの人材獲得方法は独特だ。日本において独自の手法を取っているだけでなく,日本と海外で採用方法が異なっているのだ。
 真田氏は,今までいろいろな人物を見てきた結果,「才能があっても開花する人としない人がいるが,若いうちに刺激を与えると才能が開花しやすい」という結論に至ったという。
 才能がすでに開花している人を探すのは大変なため,KLabでは「若者を集めて刺激を与え,才能を開花させて採用する」という採用システムを取っており,これは真田氏のライフワークでもあるとのこと。
 一方の海外では,まず,拠点を作ろうと考えている国の大学を回って人材を勧誘するそうだ。日本やアメリカのサンフランシスコなどで教育し,拠点ができたら現地に配属するというのが,基本のパターンになっているそうだ。
 なお,同社の開発拠点であるフィリピンでは,優秀なエンジニアが集められないならば自分達で育ててしまおう,という発想に基づき,「IQ採用」というシステムで採用が行われている。これは,プログラムなどの経験とは無関係に,数学とIQテストの成績が良ければ採用するというもので,非常に効果的な手法だと真田氏は語っていた。



「すべてがネットにつながる」「スマートフォンは普及期」「ゲームはこれからが収穫期」――インターネット分野をリードする企業のトップ達の未来予測


 ここで関口氏から,世界各国でベンチャーが盛り上がりを見せているが,日本では動きが弱い印象があるという指摘が上がる。

 熊谷氏は,「ライブドア事件以降,しばらく火が消えたような時期があった」と前置きしながらも,現在は日本のベンチャーも,モバイルやウェアラブルコンピュータの盛り上がりを前にして元気になってきていると語る。実際,GMOグループの事業に含まれているベンチャーキャピタルでも投資対象が増え,事業内容のバリエーションも豊かになっているそうである。
 さらに熊谷氏は,先を見る目が必要だと続ける。インターネットの未来まで含めた歴史を24時間にたとえたら,今はまだランチタイムくらいで,“本番”であるディナーはまだまだ先だと語る。
 そして,ディナーの頃には,電気が通っているものは全部ネットにつながり,さらには70億の人間だけでなくペットや家畜も含めた数百億の命,そしてモノがネットにつながるという展望を述べた。

 守安氏はまず,世界的に見るとスマートフォンはまだ普及期で,今後も利用台数はどんどん増えると分析する。
 また,タクシーというビジネスモデルでインターネットを利用したUberというサービスが生まれたことを例に,これまでインターネットと関わりのなかった領域でも,インターネットを使った変革が起きると予測した。どの産業がインターネットを利用するかではなく,あらゆる産業が「どうインターネットを利用するか」を考えるようになるというのだ。
 なお先日,DeNAの子会社であるDeNAライフサイエンスが遺伝子検査事業に参入することを発表したが,守安氏はこれについて,自分達から見てインターネットの力を活用するチャンスのある領域だから参入したと話していた。

 真田氏は,インターネットが産業と結びつくとき,そこに新しいマネタイズの仕組みが生まれると述べる。
 スマートフォンに限らず,インターネットに接続されるデバイスはどんどん増えるだろうが,ビジネスとしての着目点はマネタイズが重要である。普及することと収益が上がることは別であり,技術も重要だが,企業としては,どうマネタイズするか,その仕組みをしっかり考えることは外せないと述べた。
 また真田氏は,日本はゲーム市場が成熟して規模的には限界に達しているように見えるが,世界市場で見ると,ゲームはこれからが収穫期であると話す。ちなみに氏は,ゲーム会社を一生続けようとは思っていないそうである。


 最後にパネリスト達が,世界各国の企業と今後どのように協力していくのか,その構想を語った。

 守安氏は,DeNAはすでに買収や提携などを通じて,世界に国際的なネットワークを築いているが,このネットワークは,従来とは違った力を発揮すると語る。
 例えば,同社は「Showroom」というサービスを運営しているが,これは「ユーザーが生放送でパフォーマンスを行い,それに対して視聴者が投げ銭をできる」という中国でヒットしたサービスを原型としている。
 このように,アイデアが世界中で生まれている現在,DeNAのように世界にネットワークを広げ,現地の情報を得続けている意義は大きいという。
 また,「マンガボックス」のようなサービスを中国,東南アジア,南米で広げていく際に,世界各国に拠点を展開している強みを活かしていきたいと守安氏は語っていた。

 真田氏は,ホンダやソニーといった企業が海外に進出した時代を例に挙げ,工業製品を海外で販売するためには,その国の法律を理解することはもちろん,販売網,在庫管理,部品調達,メンテナンススタッフなど,すべてをまかわなければいけなかったとコメント。
 しかし,モバイルインターネット産業では,App StoreやGoogle Playなどの販売チャンネルが存在しているので,サービス提供者はデータをアップロードするだけでオンライン販売ができる(中国だけは例外で,さまざまな販売ネットワークと提携していく必要がある)。そのほかに必要なのはプロモーション活動くらいである。
 真田氏は,人類史上これほど海外進出が容易な時代はないとし,この状況をうまく活用し,KLabでは,App StoreやGoogle Playで販売できる商材(アプリ)を開発することに資源を集中して投資効率を高めていると述べた。

 熊谷氏は,GMOグループとして海外の企業と提携するといったことは,現状では考えていないという。
 海外戦略としては,ミャンマーでの事業展開を例に,かつてトヨタ自動車,松下電器,スズキといった企業が「世界になくてはならない企業」と評されたように,ミャンマーで多くの人に愛され,尊敬される企業グループになりたいと熊谷氏は語っていた。

 パネルディスカッションのレポートは以上となる。熊谷氏,守安氏,真田氏の話から,インターネット分野はまだまだ可能性を秘めているという印象を筆者は受けた。インターネット分野をリードする日本企業のトップ達の考えを聞けたのは,業界で働く多くの人にとって参考になったのではないだろうか。
 セッション中に真田氏が語っていたように,現在はアプリの開発だけでなく,海外展開も容易にできる時代である。日本のゲーム業界人やゲーム業界入りを目指す人は,海外を含めた大きな成功を目指してもらいたいものである。

「GMIC TOKYO 2014」公式サイト


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