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[TGS 2017]ゲームのキャラクターからお灸を据えていただける世界はもう目の前かも。組み込み式の熱触覚フィードバックを体験してきた
すでに僚誌GamesIndustry.biz Japan Editionがお伝えしているとおり,TEGwayがデモ展示しているのは,熱触感フィードバックを行う「ThermoReal」なのだが,「何だろう?」と思って近づくと驚かされる内容になっており,筆者も「すっごーい!」と素で叫んでしまったほどだが,結論から先に言うと,東京ゲームショウ2017へ足を運ぶ予定があるならマストにしてもいいくらいの展示だ。さっそくレポートしていこう。
ThermoRealの仕組みと挙動
「熱触感フィードバックと言っても,せいぜいゆっくり温度が変化するくらいでしょ?」と高(たか)をくくって体験すると,いい意味で期待を裏切ってくれる印象だ。
ThermoRealでもう1つ驚くのは本体の物理的な柔軟性だ。シート状の本体は薄く,曲げられる。上で示したスマートフォンのデモでは,この本体をグリップ部に巻いて貼ってあるわけだ。
こういう仕様のため,VRおよびゲームのコントローラに実装するのは容易で,超えるべきハードルは「排気用のファンをどうするか」だけだと,TEGwayの担当者は話していた。
また,上の写真で示したとおり,ThermoRealを構成するのは「1枚の大きなペルチェ素子シート」ではなく,複数のペルチェ素子ブロックである点も重要だ。これらをライン単位で制御することにより,たとえば上から下へ温度に違いが生じていくような状況を作ったり,冷たいラインと熱いラインを交互に用意することで痛みを再現したりといったVR向けの要素にも対応している。
急激な温度変化のデモでは,最大でも40℃にまで達しないのに筆者は「やけどしそうなほど熱い」と感じてしまったのだが,ひょっとすると,温度上昇に加えて,ライン単位で管理することで錯覚を起こすような仕掛け,それこそ40℃に達するラインの周辺温度を少し下げてギャップを作っているとか,そういうことはあるのかもしれない。人体の反応を勉強したくなってしまった。
東京ゲームショウにおけるブース展開場所からも推測できるように,TEGwayはThermoRealをVR向けとしてアピールしていた。たしかにVR ZONEに代表される大型VR体験施設との相性はよさそうだ。
一方で,ThermoRealはとにかく組み込みの容易さと応答性の高さが魅力なので,いわゆる振動に続くフィードバックとして,据え置き型ゲーム機用のコントローラ,あるいはPC用キーボードあるいはマウスにおいて実装されると,面白いことになりそうな気配もある。いずれにせよ体感してみないとすごさが分からない系ではあるので,今回はチャンスがないという人も,ThermoRealという名前は覚えておくといいだろう。
お気に入りのキャラクターにお灸を据えていただいたり,つねっていただけたり,水をかけていただけたりする世界は,もう目の前にあるのかもしれない。
ThermoReal公式Webサイト
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