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Intel,下り最大通信速度1Gbpsを実現する新型LTEモデムチップ「XMM 7560」発表
これに合わせてIntelは,2017年2月27日から3月2日の日程で,スペインのバルセロナ市で行われるモバイル機器総合展示会「Mobile World Congress 2017」(以下,MWC 2017)で披露する予定の新製品や展示内容についても明らかにしている。ゲーマーに直接関わる内容はあまりないのだが,簡単に概要をレポートしよう。
Intel初のLTE-Advanced Pro対応モデムXMM 7560
今回発表されたXMM 7560は,ちょうど1年前の2016年2月に登場したLTEモデムチップ「Intel XMM 7480」(以下,XMM 7480)の後継となる製品だ。現行の通信規格「LTE-Advanced」(3GPP Rel.12)に対応するXMM 7480は,下り最大450Mbpsの通信速度に対応していた。
一方,XMM 7560が対応するLTE-Advanced Proとは,LTE-Advancedをベースに,通信に使う複数の周波数帯(バンド)を束ねて広帯域,高速化を図る「キャリアアグリゲーション」を発展させたもの。無線通信規格を策定する団体「3GPP」が定めた「3GPP Rel.13」の拡張部分に付けられた名称でもある。「5G」と呼ばれる次世代の通信技術と,4G世代である現行LTEの間を埋める通信技術と理解すればいい。
Intelの14nmプロセス技術を用いて製造されるXMM 7560は,最大5つの周波数を同時に使用するのに加えて,4x4 MIMOや256/64QAM変調を組み合わせることで,最大1Gbpsを実現するという。
ところで,QualcommはCES 2017で,LTE-Advanced Proに対応するSoC
スマートフォンやタブレット端末といったモバイル機器にとっては,モデム機能を統合したSoCのほうが,モデム単体のXMM 5760よりも,機器メーカー側にとっては採用しやすいように思える。
これについてIntelは,XMM 7560が3G通信(CDMA)や衛星測位システムにも対応し,最大35バンドという世界中のキャリアに対応できる単体モデムであることから,競合とは異なる市場をカバーできると主張していた。つまり,高性能モデムを統合していないCPUやSoCと組み合わせることが可能なので,Snapdragon 835とは住み分けられるというわけだ。
実際,あくまでも噂レベルではあるが,次世代iPhoneが内蔵モデムとしてXMM 7560を採用するという情報も流れている。スマートフォンやタブレットの高速化を実現するモデム製品として,ゲーマーも名前程度は覚えておく価値があるかもしれない。
第3世代の5G試験用プラットフォームやネットワーク製品も発表
さて,今回の発表でIntelは,2017年中の投入を表明していた5Gの試験用環境「5G End-to-End Trial Platform」を2017年後半にリリースすることも明らかにした。
MWC 2017でデモを披露するという5G End-to-End Trial Platformは,Intelによって買収された旧Alteraの手がける,ARM製CPUコアを統合したFPGA製品「Stratix 10」ベースのプラットフォームで,下り最大10Gbpsの通信速度を実現するとのこと。現時点ではイラストと基板の写真しか公表されていないが,多数の空冷ファンを備えた大がかりなハードウェアのようだ。
IntelはBMWと共同で,この5G End-to-End Trial Platformを搭載した自動車のデモをMWC 2017の場で披露すると予告している。
そのほかにもIntelは,ネットワーク機器向けSoCとして,Xeon D-1500シリーズやAtom C3000シリーズの提供を,2017年中頃に開始することも発表した。ちなみにAtom C3000シリーズとは,2015年に低価格スマートフォン市場向けとして登場したSilvermontコアベースのSoCであるAtom x3 C3000シリーズを,NASや家庭用ルーター向けに衣替えして投入するものだ。
モバイル向けSoCからは事実上撤退済みのIntelだが,他者にはない優れた半導体製造技術を武器に,MWC 2017では,4Gや5Gモデムやネットワーク機器の分野で存在感を見せたいといったところだろうか。
IntelのMWC 2017特設Webページ(英語)
Intel 日本語公式Webサイト
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