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【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた
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印刷2015/05/22 00:00

連載

【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた

西川善司 / グラフィックス技術と大画面と赤い車を愛するジャーナリスト

(善)後不覚

blog:http://www.z-z-z.jp/blog/


【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた
 去る2015年4月24日,東京お台場で「Slush Asia」(スラッシュ アジア)というイベントがありました。
 ここでいうSlushとは,フィンランドで毎年11月に開催されているテクノロジー系イベントで,主にベンチャー企業が参加してブース展示を行ったり,企業の代表者が講演を行ったりするというものです。今回日本で開催されたSlush Asiaで,Slushが初めてアジア圏に進出してきたことになります。

Slush AsiaのAndroidアプリで提供されていた会場マップ
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた
 実際に参加して驚いたのは,お台場のダイバーシティ東京に隣接した屋外のスペースに複数の巨大なテントをいくつも設置され,まるでサーカスのような雰囲気になっていたことでした。スタッフも若い人ばかりで,とてもアーティスティックかつエネルギッシュな雰囲気がありましたね。

 一般消費者が来場者となるイベントとは異なり,Slushは投資家や起業家,企業を対象としたイベントである点が特徴です。会場には,展示ブースとなるテント「DEMO AREA」のほかに,一定時間内で自社製品のデモを披露する「DEMO STAGE」のテントや,技術解説セッションのテント,ビジネス的な展望を語る基調講演用のテントなどが用意されていました。
 展示ブースと同等かそれ以上に大きい商談スペースが会場に設けられていたことからも,ビジネス志向のイベントであることが窺えるでしょう。

【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた
中央広場から撮影した会場の様子。いくつものテントが設営されて,その中で講演やデモなどが行われていた
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた
参加・スポンサー企業を一覧できるパネル。会期がわずか1日だったわりには,Slushに関わった企業は多く,注目ぶりが窺える

 ちなみに,デモの説明や講演は,日本人の登壇者であっても英語で行われました。会場内も外国からの参加者が目立ち,そこかしこで英語の会話が聞こえます。日本にいながら海外のイベントを取材している気分でしたね。なにやら美しい女性秘書を従えて高級ブランドもののスーツでビシッと決めた,いかにも投資家といった雰囲気の来場者もたびたび見かけました。僕のようにユルい身なりのジャーナリスト(笑)もそれなりにいたので,場違いとまでは感じはなかったですけど。


Microsoftも注目の視線追跡型HMD

「FOVE」


 まずは仮想現実(以下,VR)対応ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)の話題から。Microsoftが展開するベンチャー企業支援活動「Microsoft Ventures」の支援対象に選ばれたベンチャー企業のFOVE関連リンク)は,社名と同じ名前のVR対応HMD(以下,便宜的に「FOVE HMD」)を出展していました。5月19日には,Kickstarterでの資金調達をスタートさせていますが,目標額である25万ドルは,なんなくクリアできそうな勢いです。

デモを担当していたFOVEのエンジニアである瀬古圭一氏(左)。氏が手にしているのが,FOVE HMDの試作機だ。ディスプレイには解像度1920×1080ドットの液晶パネルを使っているという
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた 【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた

プロモーションムービーで描かれていたFOVE HMDの想像図
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた
 FOVE HMDは,Oculus VRの「Rift」やソニー・コンピュータエンタテインメントの「Project Morpheus」と同じ原理の機器です。1枚のディスプレイパネルを中央で仕切り,表示面の左側と右側のそれぞれを,拡大光学系レンズを通して左目と右目に見せるという,表示の仕組み自体はVR対応HMDでよくあるものでした。
 FOVE HMDがユニークなのは,装着したユーザーの視線を追跡して,表示映像のどこを見ているのかを認識できるという点にあります。公開されているプロモーション映像を見ると,FPS風のゲームで敵に視線を合わせるだけで銃撃している様子が描かれていました。FOVE HMDが目指しているものが分かりやすく表現されているので,ぜひ見てください。


 FOVE HMDの視線追跡システムは,HMD内に備えられた赤外線LEDの光を眼に向けて照射。瞳孔で反射された赤外光をHMD内の光学センサーで受光して,瞳の位置や角度を識別するという仕組みになっています。

FOVE HMD試作機の内側を見ると,左右のレンズ周辺に赤外線LEDが6個ずつ実装されていた。光学センサーは内部にあるため写真では分からない
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた

 視線の動きに応じて,眼球上における瞳孔の位置は変化します。その位置情報を反射された赤外光から推測するというのがFOVE HMDの基本的な原理で,視線追跡技術としてはごく一般的なものです。SteelSeriesのゲーマー向けの視線追跡デバイス「SteelSeries Sentry Gaming Eye Tracker」でも使われている技術をHMD内に搭載した,と考えれば分かりやすいでしょうか。

FOVE HMDのプロモーションムービーより。照準を示す緑色の円を視線で動かして敵を攻撃するという,ガンシューティングのようなイメージだ
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた

 さて,FOVE HMDが視線追跡技術を利用していると聞いて,「VR対応型HMDはヘッドトラッキングの機能があるから,どこを向いていることは分かるはず。視線追跡をする意味ってあるのか?」と思った人もいるかもしれません。しかしFOVEは,「むしろVR対応HMDだからこそ,視線追跡が必要」と主張しています。

 VR対応型HMDでは非常に画角の広い映像を表現できますが,それゆえに,頭部をどこかに向けただけだと「ユーザーが何を注視しているか」までは分かりません。そして,広い視界を持つ映像の中から,ユーザーが何かをピンポイントで指定しようとした場合,ゲームパッドやポインティングデバイスを使ってカーソルを操作するようなインタフェースでは,カーソル移動だけで多少の時間を要してしまいます。

別のプロモーションムービーより。ゲームキャラクターの目を見つめると,視線でアイコンタクトをとるといった動作も可能となる
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた
 それに対して,視線の動きによる操作であれば高速に行えるうえ,位置の指定もそれなりの精度が期待できます。こうした利点があるため,FOVEは,HMDにおける視界内インタフェースの手段として視線追跡はとても有効だと考えているようです。ポイントやメニューを視線で選択するといった操作だけでなく,特定のゲームキャラクターにだけアイコンタクトを送る,といったことも可能になると,瀬古氏は述べていました。


 FOVEはまた,視線追跡技術をグラフィックス描画の最適化に使うというアイデアも提示していました。VR向けコンテンツは,3D酔いを避けるために高いフレームレートで描画することが必要で,高い処理能力を持ったGPUが必要になります。しかし,FOVEの技術を使えば,注視している部分だけを高品位に描いて,それ以外はほどほどの品質で済ませることで,GPUのフィルレートを低減させる最適化が可能になる,というわけです。
 似たようなアイデアはMicrosoftのMark Finch氏らが「Foveated 3D Display」(関連記事)として発表したことがあります。

 FOVEへの出資元がMicrosoftであるため,開発された技術は「Xbox Oneに向けた技術になるのではないか」と噂されることもあります。瀬古氏にもその点をたずねてみましたが,「詳細は話せない」とのことでした。ただ,FOVEに対して「視線追跡技術だけを買いたい」というアプローチが,すでに多くきているそうです。

 FOVE HMDの用途はゲームに留まりません。実際に,FOVE HMDの試作機を使って,手の不自由な人にピアノ演奏を楽しんでもらうという企画が実施されたこともあるそうです。下に掲載した動画にその様子がまとめられています。なかなか興味深いものなので,ぜひ見てください。


 今後は,ソフトウェア開発者向けのFOVE HMD試作機をリリースする予定とのこと。日本発のHMDベンチャーであるFOVEがどうなっていくか,今後も注目しておく必要がありそうです。


ドローンで楽しむ拡張現実型シューティングゲーム

「Drone Space Defense」


 2015年4月,首相官邸の屋上に落下していた事件があったことで,不本意な取り上げ方をされて有名になってしまった「ドローン」(クワッドコプター)。「空の産業革命」と称されることもあるほど,用途の広がりには期待が集まっています。
 そして,そんなドローン技術をエンターテインメントで利用しようという動きも始まっています。日本のエンジニア集団「Team IcARus」(チーム イカロス)もそんなグループのひとつです。

Team IcARusブース。当初はドローンを実際に飛ばす予定だったので,ブースは写真のとおり,屋外に設けられた。ところが首相官邸への墜落事件の影響で,主催者側から「飛行禁止」が申し渡されたのだとか
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた

 Team IcARusが開発しているのは,空撮用ドローンを使った「Drone Space Defense」(以下,DSD)という空中戦シューティングゲームです。
 DSDでは,VR対応型HMD装着した複数のプレイヤーが,一人称視点の映像を見ながら,ゲームコントローラでドローンを操縦し,空中戦を行います。デモ機では「Rift」の「Rift Development Kit 2」(以下,DK2)がHMDとして採用されていました。

 空中戦といっても,実際に何かの弾を発射してドローンを傷つけてしまっては危ないですし,墜落して壊れでもしたら,ゲームとしてはコストがかかり過ぎです。そこでDSDでは,カメラで捉えた映像にCGを合成する拡張現実(Augumented Reality,以下,AR)的なアプローチで,銃撃や爆発を表現するということでした。

 最初のバージョンでは,ドローンに搭載されたカメラで撮影された実写の映像に,射撃や爆発のエフェクトをCGで付加するという,AR的な表現のシューティングゲームとなるようです。
 そして将来的には,ドローンを飛ばすゲーム場となる場所の地形を,あらかじめ3Dスキャンしてポリゴンモデル化しておいたうえで,そのモデルにSF風味のCGテクスチャマップを貼り付けて,CGの割合を増やしていくような計画も立てているとのことでした。
 これが実現できるようになると,箱庭の戦場を宇宙戦争風のロケーションに変貌させて,その中でドローンによる空中戦をプレイできるようになるわけです。そこまでいけばARというよりも,複合現実(以下,Mixed Reality)といった感じになりそうですね。

 残念なことに,今回の出展では首相官邸への墜落事件の影響もあって,主催者側から「ドローンを飛ばしてはダメ」と勧告されてしまい,実演ができなくなってしまいました。そのためこの記事でも実際に飛ばして見せている写真をお見せすることができません。
 実際にDSDが稼動していたら,複数のドローンがお互いを付け狙うように飛び回ることになって,プレイヤー以外の人が見ていてもワクワクできたかもしれませんね。

実際には飛ばせなかったので,プレイの様子をTeam IcARusの担当者に実演してもらっている様子。Rift DK2を装着したプレイヤー(写真右)の目には,ドローンに搭載したカメラの映像が見えている。操作にはDUALSHOCK 3を使っていた
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた

 なおDSDは,今のところα版といった開発段階にあるようですが,アミューズメント施設でプレイすることも念頭に開発を進めているとのことです。ゲームファンとしても完成が待ち遠しいアイデアといえるでしょう。


SIGGRAPH常連の“科学の魔術師”こと落合陽一氏が起業

「Pixie Dust」Pixie Dust Technologies


Pixie Dust TechnologiesのCEOである落合陽一氏(写真はSIGGRAPH 2012で撮影)
 毎年8月に開かれているコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術の学会「SIGGRAPH」には,審査で選ばれた出展者のみがブースを出展できる先端技術展示会「Emerging Technologies」(以下,E-TECH)という展示会があります。そのE-TECHで若くして常連出展者となり,最近はテレビ出演などメディア露出も増えてきている東京大学の落合陽一氏が率いる研究グループも,Slush Asiaにブースを出展していました。
 落合氏は,研究グループの数名とともに,チームで手がける研究「Pixie Dust」を社名にした企業「Pixie Dust Technologies」を起業をしたそうで,今回はそんなPixie Dustのデモを会場で披露していました。

ブースで披露されていた超音波による力場技術「Pixie Dust」のデモ。写真左の人物は,Pixie Dust Technologiesの共同創設者でチーフアーキテクトを務める星 貴之
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた

 社名にもなったPixie Dust技術とは,超音波の定常波を複数方向から重ね合わせることで,力学的に安定した「力場」を作り出す技術です。原理やデモ機の仕組みは,ボクが担当したSIGGRAPH 2014でのレポート記事で詳しくまとめていますので,未見の方はぜひそちらを参照してください。

※波形が進行せず,空間的にその場に静止しながら振動しているように見える波動のこと。定在波ともいう

 さて,今回のブースでもSIGGRAPH 2014と同様に,複数のマイクロビーズを空中に浮かせて移動させるというデモが披露されていました。複数のマイクロビーズが空中を浮遊して,移動させることもできるという,なかなか面白いデモです。


 Pixie Dust Technologiesは,今後も波動現象を応用して,ディスプレイ平面上のピクセルではなく,現実世界に存在する「物理的な画素」を用いてのグラフィックス表現に挑むことで,新しいユーザー体験を創出していくことを目指していくのだそうです。
 落合氏は以前筆者に,「空から降り注ぐ雨粒を空中に静止させて,ボリュームグラフィックスを動かせたら面白いと思う」と述べられていましたが,氏なら本当にに,そうした魔法のような技術を実現してくれるかもしれません。

 ちなみに,落合氏の研究では,超音波を使ってシャボン玉をディスプレイに変える「Colloidal Display」や,幾何学的なパターンを描いた円盤の集合体を回転させることで,質感(テクスチャ)表現を実現する技術「The Cyclone Display」も過去にレポートしています。どちらも興味深い技術ですので,興味のある人は,技術名のリンクから4Gamerのレポートに飛んで,その内容をチェックしてみてください。


成長するコミュニケーションロボット

「Palmi」


 2014年3月にソニーがペットロボット「AIBO」の修理サポートを終了したことが話題となり,さまざまなテレビ番組で「AIBOの今」的な企画が放送されていました。AIBOは意外にも,お年寄りに根強い人気があるようでしたね。

 そんなAIBOのように,ペットあるいは生活のパートナーとなりうる小型の二足歩行ロボット「Palmi」(パルミー)が,富士ソフトとDMMの協業によって開発され,この5月に販売が始まりました。
 価格は税込で32万1840円と,けっしてお安い値段ではありませんが,AIBOも24万円程度だったことを考えれば,まぁ,妥当な価格帯といえそうです。
 Slush AsiaのDMM.makeブースでは,このPalmiを使ったダンスのデモや,会話のデモが披露されていました。

二足歩行ロボットのPalmi(写真中央)。コンセプト的には二足歩行型のAIBOといえるロボットだ
【西川善司】視線追跡機能付きVR HMDからAI搭載ミニ四駆まで。独創的な技術を持つベンチャー企業が集まる「Slush Asia」を見てきた

 Palmiは基本的な二足歩行が可能なだけでなく,倒れたときには受け身を取ったり,ダンスをしたりと,なかなかの運動性能を備えています。
 それだけならば,姿勢制御に優れた二足歩行ロボットといったところですが,いまどきのロボットらしいPalmiの特徴は,,内蔵された無線LAN機能でインターネットに接続し,クラウド技術を応用したネットワーク機能や,多彩なコミュニケーション機能を実現できるところにあります。

 たとえば,自然言語による会話に対応しており,ユーザーとの会話を積み重ねることで,ユーザーの性格や趣味嗜好を吸収していくことができます。それによって,ツンデレな性格になったり,ユーザーの趣味に関係したニュースを探して読み上げてくれたりもするそうです。
 ブースにいた担当者は「クラウドで成長するロボット」という表現を何度も用いていましたが,なるほど,ロボットの頭脳をクラウドに持っていくのはいいアイデアに思えます。プロセッサには,小さなロボットに内蔵可能なものよりも強力なものが使えますし,メモリやストレージの容量制限もほぼないといえます。通信の不調や遅延も,エンターテインメントロボットであれば,ある程度は許容もできるでしょう。


 Palmiは,自閉症の患者や介護施設のお年寄りなどへの「癒やし」という効果も期待されているようで,実際,そうした現場からの引き合いも多いそうです。災害発生時には避難情報をしゃべって伝達してくれるそうなので,意外に頼れる存在になるかもしれません。
 PepperやASIMOのような人間に近いサイズの生活支援型ロボットは,将来大きなビジネスになるのではと期待されています。PalmiのようにポストAIBO的な小型ロボットも,今後市場が盛り上がっていく可能性はありそうです。


ミニ四駆に知性を持たせればもっと楽しくなる?

「ミニ四駆AI」


 「ミニ四駆」をご存じでしょうか。遊んだことがないという人でも,名前を聞いたことくらいはあるかと思います。
 ミニ四駆とは,小型モーターを搭載するタミヤ製の自動車模型製品で,その名のとおり,四輪駆動なのが特徴です。ユーザーが操作できるラジコンカーとは異なり,ミニ四駆は走行中に操作はできないので,ガードレール付きのコースに置いたら,後は全速力で走りっぱなしになります。曲がりくねったコースを走るのが一般的ですが,ミニ四駆には前輪操舵機能がないので,バンパーに相当するパーツをガードレールにこすりつけることで曲がるという仕組みとなっています。
 当然,速度が高すぎれば曲がりきれずコースアウトしてしまうので,いざレースに挑むとなれば,コースに合わせて,動力や車体のセッティングを慎重に行う必要もあります。

 Slush Asiaに出展していたベンチャー企業のQUANTUMブースには,このミニ四駆に人工知能(以下,AI)を搭載するという拡張キット「ミニ四駆AI」が展示されていました。
 AIといっても,現状はまだ,基本的な機能しか搭載されていません。AIモジュールに搭載されているのは,小規模なCPUとメモリ,そして距離センサー(オドメーター),加速度センサー,傾斜センサーなどです。

展示されていたAIモジュール搭載ミニ四駆(左写真)。ミニ四駆自体はほぼ無改造で,その上に乗っている基板がAIモジュール。その実体はプロセッサと各種センサーを搭載した小さなコンピュータだ。右写真は背面側で,写真右にはオドメーターが実装されており,走行距離を計測するセンサーとして機能する。別に時間も計測しているので,この2つの情報から速度が計算できるわけだ
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 このAIモジュールを搭載したミニ四駆を低速でコースを走らせて,各種センサーからの入力を記録。このデータをホストPCに読み込んで解析して,コース特性に応じた加減速のプログラムを作成し,再びAI基板にアップロードします。そして,本戦では最適化されたプログラムを搭載するミニ四駆同士で戦うという遊び方を想定しているとのことでした。
 AIプログラムの基本的な使い方は,「コーナー手前では減速させて,コーナー奥から出口に向かっては加速に転じるという操作を行わせる」といった感じです。いわばAIによる自動運転実験のミニチュア版といえなくもないですが,前述したようにミニ四駆に操舵機能はないので,とてもシンプルなものとなります。


 担当者によると,ミニ四駆とシンプルなAIを組み合わせたのは,意図的な選択だそうです。ミニ四駆のパーツ類は安価ですし,AIのプログラムもシンプル。安価でシンプルだからこそ,多くの人にAIの面白さと奥深さを気軽に体験してもらえると考えたということでした。よくよく考えれば「自分で操作できない」「ただ走らせることしかできない」というミニ四駆が流行したのも,シンプルで安価なのにセッティングが奥深かったからでしたね。

 将来的には,AIモジュールにネットワーク機能を搭載してスマートフォンとの連携を可能にしたり,クラウド技術による機械学習を適用するような拡張も実現したりしていきたいと担当者氏は述べていました。

 ちなみに,このミニ四駆AIのプロジェクト(関連リンク)には,日本知能情報ファジィ学会も協力しており,本職のAI研究者も参画しています。まだ始まったばかりのプロジェクトで,ミニ四駆の本家であるタミヤは関わっていないそうですが,QUANTUMでは今後,タミヤにも協賛を呼びかけていくとのことでした。
 ミニ四駆の大会は日本各地で行われていますけども,近未来のミニ四駆大会では,AI搭載型のレギュレーションが加わったりするかもしれませんね。

Slush Asia 公式Webサイト


■■西川善司■■
テクニカルジャーナリスト。人に勧められて始めた「Ingress」にハマっているという西川氏。1月にInternational CES取材で渡米したときの実話ですが,取材先のホテルを出てから「用がある」というので,何か取材ですかと聞いたら「近場のポータルを取りにいく」という答えが返ってきたほどです。
そんな西川氏は現在,エージェントレベル8。プレイのために夜な夜な徘徊しているそうですが,先日,暗い夜道をスマートフォン片手に歩いていたところ,とうとうパトカーの警官に「ちょっとお話いいですか」と呼び止められたそうです。「何をしてるんですか」と聞かれたので,「Ingressです」と答えたそうですが,それで話が通じるわけもなく,その場で概要を説明するはめに。
「スマホ上でしか見えない無数の拠点を訪れて,それらを線で結んだ陣地を広げていくようなゲームですね」と説明したら納得してもらえたそうですが,「ボクもおまわりさんと一緒で,今,パトロールをしているんですよ」と冗談を言ったところ,「世間的にはただの不審者に見られてしまいますから,通報されないように気を付けてください」と注意されたとのこと。似たような経験のあるエージェントの方もいらっしゃるでしょうが,くれぐれもご注意ください。

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