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新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた
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印刷2014/01/24 00:00

レビュー

Bay Trail-T世代のAtomを搭載するWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか?

Lenovo Miix 2 8

Text by 林 佑樹


Miix 2 8
メーカー:Lenovo
問い合わせ先:TEL 0120-80-4545(月曜日〜土曜日 9時〜18時)
直販価格:32GBモデル 4万2800円,64GBモデル 4万7800円(いずれも税込。2014年1月24日現在)
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 2013年後半に登場した注目すべきデバイスの1つに,Windows 8.xベースの8インチのタブレット端末が挙げられる。
 これらは,SoC(System-on-a-Chip)として開発コードネーム「Bay Trail-T」こと「Atom Z3000」シリーズを搭載し,タブレット端末でWindowsを真に実用的な性能で動かすことが可能とされて注目を集めた。そのうえ,価格も4万円前後が主流と手頃なのだから,一気に人気製品となったのも道理といえよう。

 Bay Trail-T搭載のWindowsタブレットは,従来のWindowsアプリケーションをそのまま動かせるのが利点だ。そのため,「ゲームにも使えるんじゃないか?」と考えた読者も少なくないだろう。

Bay Trail-T搭載Windowsタブレットは,ただ艦これがプレイできるだけでなく,ビデオを見ながらの同時プレイも余裕だったりする
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 実際,Bay Trail-T搭載のWindowsタブレットで「艦隊これくしょん -艦これ-」(以下,艦これ)をプレイしているという人も珍しくない。「艦これが快適に動くタブレット」と聞きつけて,これらを購入した提督も多いのではないかと思う。

 Bay Trail-T搭載Windowsタブレットで艦これが快適に動作するのは間違いないとして,それ以外のゲームはどれくらい動作するものだろうか? そこで今回は,筆者が購入したLenovo製品「Miix 2 8」を使って,ゲーム用途におけるBay Trail-T搭載Windowsタブレットの実力を検証してみたい。


軽さと薄さがMiix 2 8のジャスティス


 Miix 2 8については,2013年11月掲載のファーストインプレッションでも触れているが,あらためて外観の特徴から仕様面までをおさらいしておこう。

 Miix 2 8は,8インチサイズの液晶パネルを搭載するタブレット端末である。現在日本で販売されている8インチ液晶パネル搭載タブレットの中でも,Miix 2 8は軽さと薄さでトップクラスにあるのが特徴だ。実測値で352gの重量は,8インチクラスで最軽量。本体サイズは215.6(W)×131.6(D)×8.35(H)mmで(実測値),薄さが8mm強というのはとくに注目すべきポイントだ。この軽さと薄さは,とりわけ手に持ったときのインパクトが大きく,実際,軽さと薄さが気に入ってMiix 2 8を選んでいる人もいるようである。

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8インチタブレットであるMiix 2 8は,成人男性が片手持ちできるぎりぎりの大きさだ(左)。あくまで持てるだけで,操作するにはやはり両手が必要になるが(右)

 本体前面は,ベゼルの上部に200万画素のインカメラ,下部にタッチセンサー式の[Windows]キーが配置されている。一方,本体背面には,500万画素アウトカメラとスピーカーがあるだけだ。

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本体前面。オーソドックスなタブレット端末の形で,[Windows]キーはタッチ式だ
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本体背面。左上に500万画素アウトカメラ。右上にはスピーカーがある

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本体背面にあるスピーカーはモノラル出力だ。最近はステレオスピーカー搭載のタブレットも珍しくないので,ちょっと残念かも
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背面の大部分は滑り止め加工されており,かなり持ちやすい。本体下部だけは金属的な質感のパーツが使われていて,デザイン上のアクセントになっている

 ボタンやインタフェース類は,[Windows]キーを下に置いた縦位置状態での右側面にほとんどが配置されていた。[電源/スリープ]ボタンと音量調節ボタン,カバーに覆われたmicroSDカードスロット,電源入力も兼ねたUSB Micro-B端子といった,Windowsタブレットでよく見られるものは基本的に全部この面に置かれているという理解でいい。それ以外のインタフェースは,本体上側面にヘッドセット端子があるだけである。

本体右側面(左)。左からUSB Micro-B端子,カバーの内部にmicroSDカードスロット,音量調節ボタン,[電源/スリープ]ボタンが並ぶ。右写真は本体上側面で,ヘッドセット端子があるだけだ。本体左側面や下側面には何もない
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本体右側面のカバーを開けたところ。microSDカードスロット左の空きは,海外モデルだとSIMカードスロットになっている
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 なお,Miix 2 8の海外モデルにはLTE通信機能を持つモデルもあるのだが,日本版では用意されない。ファーストインプレッション記事でも触れたように,レノボ・ジャパンではLTEモデルの国内投入を検討したものの,対応に時間がかかるために断念したとのことだった。残念ながら,Miix 2 8のバリエーションとして,3GやLTEの通信機能を搭載する製品が登場する可能性は低そうだ。


液晶パネルの発色はやや青寄りでSurface 2似

バックライトはかなり明るい


 Miix 2 8が採用する液晶パネルは,8インチサイズで解像度800×1280ドットのIPS液晶パネルである。色味の傾向はやや青寄りに傾いているが,発色そのものは良好だ。赤が少し弱めに見えるという程度の認識でいい。ちなみにこの発色傾向は,筆者が以前にレビューした「Surface 2」とよく似ている。

視野角は上下左右とも176度程度。十分に実用的なものだ
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 液晶パネルの視野角は,上下左右ともに176度程度はあるようだ。どういう持ち方や体勢をしていても,視野角に関して不都合を感じることはないだろう。
 液晶パネルのバックライト輝度は,数値が公表されていないのだが,実機で見る限りでは,かなり明るめとなっている。室内で使う場合,最低輝度,あるいは輝度10%程度でも問題がないほど明るい。
 むしろ就寝前に薄暗い部屋で使っていたりすると,正直いってまぶしく感じるほど。明るすぎる液晶パネルは苦手という人は,光の透過度が80%程度の液晶保護フィルムを貼って使うのがよさそうだ。

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日中の室内で輝度をチェックしてみた。左写真が最低輝度で,右写真は最大輝度の状態だ。輝度が低い端末では,最低輝度ではまったく画面が見えなかったりするものだが,写真のようにMiix 2 8ではある程度視認できる。最大輝度の明るさなら,晴天の屋外でも良好な視認性が得られるという認識でいい


ゲームを考慮すると内蔵ストレージが32GBでは不足

Windowsタブレットでは64GB以上を選ぶべし


 Miix 2 8が採用するSoCは「Atom Z3740」で,定格クロック1.33GHz,最大クロック1.86GHzとなっている。メインメモリ容量は2GBだ。
 余談だが,Atom Z3740のメモリコントローラは,デュアルチャネルLPDDR3-1066の総容量4GBまで対応している。しかし,Atom Z3740を採用して容量4GBのメインメモリを積むWindowsタブレットは,少なくとも日本では販売されていないようだ。少々残念である。

Miix 2 8 32GBに,製品付属のOffice Personal 2013をインストールした状態だと,ストレージの空き容量は約7GB(赤枠内)しかない。回復パーティションを削除してストレージに回せば6GB程度を増やせはするものの,運用の安全面を考えるに,オススメはしない
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 話を元に戻すと,Miix 2 8には内蔵ストレージ容量が32GBのモデルと64GBのモデルが存在する。どちらが人気かといえば,当然ながら64GBモデルだ。詳しくは後述するが,32GBモデルでは,ユーザーが自由に使用できるストレージの空き容量が約10GBしかないという問題がある。そのうえ,32GBモデルと64GBモデルの価格差は直販ならわずか5000円なので,後者が人気を集めるのも当然だろう。

 それにも関わらず,筆者が購入したのは32GBモデルだ。もちろん初めは64GBモデルを買おうと思っていたのだが,うっかり予約を忘れてしまい,気がついたときには,どの店でも64GBモデルは完売状態になってしまっていたのである。

 そんな理由で買った32GBモデルを購入後1か月ほど使用しているが,実のところアプリケーションをあまりインストールせず,ドキュメントや画像ファイルはSkyDriveか,microSDカード側に保存するような運用を心がければ,ストレージ容量で困るシーンは少ないと感じている。
 ただし,それはMiix 2 8にゲームをインストールしない場合の話だ。ゲームをあれこれインストールしようとすると,32GBモデルの空き容量ではとても足りない。内蔵ストレージの少なさを,microSDカード側にアプリケーションをインストールすることで補うという手もないわけではないが,結論から先に述べると,Miix 2 8のmicroSDカードスロットは速度面の問題を抱えている。

 ストレージ性能ベンチマークプログラム「CrystalDiskMark 3.0.3」を使い,内蔵ストレージとmicroSDカード側の読み出し/書き込み性能を計測してみよう。使用したmicroSDカードは,記録容量32GBのSandisk製「SanDisk Extreme PLUS microSDHC UHS-I Card」※1である。
 その結果がグラフ1だ。今回は内蔵ストレージとmicroSDHCカードでそれぞれ3回計測した平均値をスコアとして採用しているが,快適に使える性能の内蔵ストレージに対して,microSD側はまったく振るわないのが分かる。使用したmicroSDHCカードは,読み出し最大80MB/s,書き込み最大50MB/sというスペックを誇る高速な製品なのだが,その性能は発揮されていない。どうやらMiix 2 8が内蔵するmicroSDカードリーダーの性能が低いようだ。

※1 国内での製品名は「サンディスク エクストリーム microSDHC UHS-I カード」

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 この結果を見る限り,microSDカード側にアプリケーションをインストールして運用するというのは厳しい。Miix 2 8に限った話ではないが,内蔵ストレージ容量が32GBでは茨の道にもなりかねないので,やはりWindowsタブレットを選ぶときには容量64GB以上の製品を選んだほうがいいだろう。


他社製のUSB−ACアダプターやUSBケーブルを使うと正常に充電されないことも


 Miix 2 8を使っていて少し気になったのが充電に関する挙動だ。Miix 2 8の充電は,USB Micro-B端子に付属のUSB−ACアダプターを接続して行うのが基本である。しかし,USB Micro-B端子につながるものであれば,ほかのスマートフォンやタブレット用のUSB−ACアダプターや,モバイルバッテリーを流用することも理論的には可能だ。

テストに使用したUSB電源チェッカー「CHARGER Doctor」を使い,Miix 2 8純正のUSB−ACアダプターで出力電流を確認している様子。1.69Aを供給していた
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 そこで筆者がいくつか試してみたところ,接続するUSB−ACアダプターやモバイルバッテリーによっては,Miix 2 8を充電する速さに,ずいぶんと違いがあることに気がついた。そこで,私物のUSB電源チェッカーを使い,どれくらいの電流を供給できているのかを確認してみたところ,USB−ACアダプターやモバイルバッテリーの中には,Miix 2 8に接続すると0.5A程度しか供給できないものがあったのだ。

画像集#035のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた 画像集#036のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた
左の写真はiPad Air付属のACアダプターを,右の写真は担当編集の私物であるモバイルバッテリー「TI-MB001WH」を使い,それぞれの出力を確認しているところ。どちらも2Aで出力できるはずなのだが,0.46Aしか出力されていないのが分かる。なお,どちらもUSBケーブルにはMiix 2 8の付属品を使用した

 供給が0.5A程度に限られるものの多くは,iOS対応機器であることをAppleが認証した証の「MFiロゴ」を取得した製品である。一方,単に「Androidタブレット対応」とだけ記載されているものの場合,2A出力を謳っているもので1.5〜1.8Aを出力できる場合が多い(※ダメな場合もあるのだが)。
 ややこしいのは,Miix 2 8とUSB−ACアダプターの接続に使うUSBケーブルを変えただけでも,供給される電流が異なるケースがあることだ。手持ちのUSB−ACアダプターをMiix 2 8に流用しようというときは,こうした現象があることも記憶に留めておこう。必要に応じて,今回筆者が使ったようなUSB電源チェッカーで確認するのもアリだと思う。

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ソニーのモバイルバッテリー「CP-F10LSAVP」に付属していたUSB−ACアダプターとMiix 2 8付属USBケーブルを使ったところ,1.61Aを出力していた(左)。ところが,USBケーブルを私物の汎用品に変えただけで,1.23Aまで下がってしまった(右)


Windowsタブレットの性能はDPTFで変動する?


Miix 2 8上で動作しているDPTFソフトウェアをタスクマネージャで確認したところ。デバイスマネージャにも多数のドライバが登録されている
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 それではいよいよMiix 2 8の性能を検証……する前に,1つ説明しておくべき要素がある。それはAtom Z2000シリーズから導入されている,「Intel Dynamic Platform&Thermal Framework」(以下,DPTF)のことだ。
 DPTFの詳細は,2013年11月27日掲載の記事を参照してもらいたいが,簡単に説明すると,ハードとソフトを連携させて,タブレット端末の発熱をコントロールしようという仕組みである。タブレット内部に複数用意された温度・電力センサーから得られた情報をDPTFのソフトウェアが集中管理し,発熱が設定ラインを超えないように各デバイスの動作を制御するというものだ。

 こうした仕組みであるため,タブレット端末でゲームやベンチマークプログラムのように高い負荷状態(=大きな発熱)が一定時間持続すると,DPTFが働いて,SoCの動作クロックが落とされることもある。Windowsタブレットでゲームをプレイする場合,そういった挙動が生じ得るということは押さえておきたい。
 なお,DPTFはアプリケーション別に挙動を変えることも可能とのことなので,ソフトウェアアップデートなどによって,プレイ中の動作クロック低下が抑制される可能性もある(※ユーザーが任意に調整することはできない)。Miix 2 8でもそうした対応が後日行われる可能性はあるので,その点はあらかじめお断りしておきたい。


Miix 2 8の実力をベンチマークとゲームで検証


 それでは,ベンチマークソフトとゲームによるMiix 2 8の性能検証を始めよう。
 なお,艦これについてはすでに快適に動作することをファーストインプレッションでも検証済みであるため,今回は取り上げない。艦これはブラウザゲームの中でもとりわけCPU負荷の高いゲームなので,これが快適に動く以上,ほかのブラウザゲームもプレイに支障はないはずだ。

 まずはグラフィックス性能のチェックとして,Windowsストアアプリ版の「3DMark」によるテストを実施。以前のレビューで同じテストを実施したSurface 2での計測結果とも比較してみることにした。なお,Surface 2同様,Miix 2 8でも3回計測した平均値をスコアとして採用している。

 結果はグラフ2のとおり。最も負荷の低いIce Stormプリセットで計測上限を意味する「Maxed out!」に達してしまうのは当然として,Ice Storm ExtremeではSurface 2が,Ice Storm UnlimitedではMiix 2 8のほうが高いスコアを記録した。
 3DMarkの公式ランキングで確認してみると,Miix 2 8のスコアはTegra 4搭載のAndroidタブレット端末に近いレベルにあるようだ。

画像集#020のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた

 次に,4Gamer.netのベンチマークレギュレーションにも加わった,「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)も実行してみた。

カスタムのグラフィックス設定
画像集#043のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた
 ただし,Miix 2 8のスペックでは,4Gamerのベンチマークレギュレーション15.0で規定されるグラフィックス設定は負荷が高すぎる。そこでグラフィックス設定は,基準となる「標準品質(ノートPC)」と,ここからさらに設定を下げた「カスタム」の2パターンを用意し,解像度1280×720ドットのウインドウモードとフルスクリーンモードの結果をそれぞれ2回ずつ計測した平均値を算出することとした。
 グラフ3がその結果で,すべてのテスト条件において「設定の変更が必要」と通告されてしまった。カスタム設定だと多少改善されるとはいえ,平均フレームレートは10fps程度が精一杯。さすがに最新世代のMMORPGを動作させるというのは荷が重いようだ。

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画像集#041のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた
 次にテストしたのは,PC版「ドラゴンクエストX」のベンチマークソフト(以下,ドラクエXベンチ)である。元がWii用として登場したゲームだけに,グラフィックス性能に対する要求も低めなので,Miix 2 8でもプレイできる程度に動くのではないかと考えたからだ。

 ただ,Miix 2 8でドラクエXベンチを実行しようとしたところ,いくつかの問題があった。まず,表示方法に「フルスクリーン」を選ぶと,ベンチマークプログラムの強制終了が連発し,完走することさえできない。そのため今回は,表示方法「ウインドウ」でのみ計測を行っている。問題の原因は不明だが,担当編集者によると,同じAtom Z3740を搭載するASUSTeK Computerの「ASUS TransBook T100TA」ではフルスクリーンモードで動作したとのことなので,Atom Z3740だからダメというわけではないようだ。

Windows 8.1では初めて見たメモリ不足の警告。しかし,不要なアプリケーションを終了させれば回避できた
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 また,メモリが不足しているとのエラー表示をWindowsが出して,テストを実行できないこともあった。もっとも,こちらはいくつかの常駐アプリケーションを終了させたり,Windows起動時に動作しないように設定することで,なんとか回避できたので,それほど致命的な問題ではない。

 テストはグラフィックス設定を「低品質」とし,ウインドウ表示の解像度1280×720ドットと640×480ドットの2パターンで,それぞれ2回計測ずつを行った。結果は以下に掲載した画像のとおりで,解像度1280×720ドットのスコアはかなり低い。Frapsでフレームレートを表示させながらドラクエXベンチの動作を見てみたところ,テスト序盤では20fps程度で描画できているものの,表示するキャラクターが増えると,10fps以下にまで落ち込んでいた。
 解像度640×480ドットでは,かろうじてプレイ可能といえる水準のスコアが出ているものの,快適なプレイにはほど遠いだろう。

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解像度1280×720ドットでの計測結果。この設定でプレイするのは正直厳しすぎる

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こちらは解像度640×480ドットでの計測結果。なんとか遊べる程度のスコアではある

 MMORPG 2タイトルは厳しい結果となったが,ほかのゲームではどうだろう。次に「信長の野望・創造」のPC用ベンチマークデモを試してみることにした。
 下の画面がテスト中のものだが,フレームレートは10〜15fpsと低く,こちらもかなり厳しい。

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PC用ベンチマークデモをテスト中の画面。左下にフレームレートが表示されている

 なお余談になるが,PC用ベンチマークデモでは,マップの移動や拡大縮小がタッチ操作でも行えた。タッチ操作だけでゲームを完全に操作できるわけではないようだが,キーボードを用意しなくても遊びやすくなるように設計されているようだ。Miix 2 8よりもスペックの高いタブレットや2-in-1デバイスでなら,タッチ操作で快適にプレイできるかもしれない。

 以上,比較的最近の3DゲームをMiix 2 8をプレイするのはかなり厳しいことが分かった。では,昔のゲームならどうだろう?
 新生FFXIVは荷が重いというならば,「ファイナルファンタジーXI」(以下,FFXI)だと,公式ベンチマークソフトである「Vana'diel Bench 3 Ver1.00」を実行してみた。

 各モードで3回計測した平均値を算出したところ,Lowモードでは「3874」,Highモードでも「2582」と,十分プレイに耐えられそうなスコアとなった。さすがに10年以上前のゲームなので,10年間のプロセッサ性能向上を考えれば当然といったところか。
 もっとも,かつては単体GPU必須だったMMORPGが,8インチサイズのWindowsタブレットでちゃんとプレイできる程度になったというのは,なんとも感慨深いものがある。

画像集#024のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた 画像集#023のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた
ものは試しと実行してみたVana'diel Bench 3。Lowモードでは平均3900前後,Highモードでも平均2582を記録した

 さすがにFFXIは古すぎるかと思い,タッチ操作でも遊べそうなゲームとして,2009年に発売された俯瞰視点のシューティングゲーム「Nation Red」を試すことにした。Nation Redにベンチマークモードはないので,Frapsによるフレームレートの計測のみとなる。
 画質設定は標準のまま,1280×720ドットのフルスクリーン表示でプレイしてみたところ,ゾンビが少ない状態では34fps前後,ゾンビが増えても25fps前後で表示できており,問題なくプレイできた。

画像集#030のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた 画像集#031のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた
Nation Redプレイ中の様子。左上にFrapsでフレームレートを表示している。軽快とは言い難いが,これくらい表示できれば十分遊べる。プレイしているところを直録りムービーでお伝えしてみるが,まずまず滑らかに動いているのが分かると思う。


 キーボードやマウスがないと遊べないゲームはともかく,2010年以前のグラフィックス負荷が低いゲームならば,Miix 2 8でもプレイできるのではないだろうか。


SoCの性能は合格点だが

タッチ最適化のゲームが全然足らない!


画像集#039のサムネイル/新世代Atom搭載のWindowsタブレットはゲーム用途で使えるか? 衝動買いしたLenovo「Miix 2 8」で実力を検証してみた
 ここまでの検証から分かるように,最新世代の3Dゲームは低負荷なものであっても厳しいが,グラフィックス処理負荷の低いタイトルや古めのタイトルであれば,それなりにプレイできるというのが,Miix 2 8のゲーム性能に関する結論である。これで,容量64GBモデルの価格が5万円以下なのだから,性能面には合格点を与えられると思う。

 ただ,ここで注意しなければならないのは,タッチ操作に最適化されたゲームタイトルがまったくもって不足しており,従来型のデスクトップPCやノートPC向けに作られたゲームをもって,プレイできるとかできないとかいった話をせざるを得なかったという点だ。Surface 2のレビューでも触れた「Windowsストアアプリの少なさ」が,x86プロセッサを搭載するMiix 2 8でも結局は問題になってしまう。
 Windowsストアアプリが少ないのであれば,既存のPCゲームをプレイしたくなるのだが,タッチ操作だけでまともにプレイできるものがほとんどない。いわゆるノベルゲームくらいしかないのだ。そんな現状では,Windowsタブレットをゲーム用途に使おうとしても,艦これ専用機になってしまうのは無理もないだろう。

 ゲーム以外の使い道ならいくらでもあり,“提督用”としても有用なAtomベースのWindowsタブレットだが,それ以外のPCゲームをプレイしようとしたときには,残念ながら,活躍できる場所がほとんどない。それこそ往年の名作をタッチ操作用にリメイクしてもらうなど,タッチ操作でプレイできて,iOSやAndroid端末ですでにリリースされているタイトルとは一線を画すような「Windows用ゲームタイトル」の拡充が,Microsoftには求められているのではないか。
 十分な性能を持った端末は出てきた。必要なのはソフトなのだ。

レノボジャパンのMiix 2 8製品情報ページ


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