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任天堂は今,何を“Switch”しようとしているのか。取締役常務執行役員の高橋伸也氏と,Nintendo Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏に聞く
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印刷2017/03/03 00:00

インタビュー

任天堂は今,何を“Switch”しようとしているのか。取締役常務執行役員の高橋伸也氏と,Nintendo Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏に聞く

バーチャルコンソールでも

さまざまな“Switch”を予定


4Gamer:
 では,二画面を同時に使えるWii Uの次の据え置き機であるNintendo Switchで,一画面しか使えなくしたのは,なぜですか?

画像集 No.014のサムネイル画像 / 任天堂は今,何を“Switch”しようとしているのか。取締役常務執行役員の高橋伸也氏と,Nintendo Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏に聞く
小泉氏:
 私がこのプロジェクトを受け持ったときのテーマとして,「みんなで遊べるはずのゲーム機は,今,みんなで遊ばれているのだろうか?」と考えていました。そしてさまざまな検討を経て,TV画面を外に持ち出せるようなものに行き着いたんです。
 ただ,TVの画面は一つしかないので,それを持ち出そうとすると二画面であるより,一画面のほうが分かりやすいんですよね。


4Gamer:
 TV画面を外に持ち出すというのが前提にあったわけですね。

小泉氏:
 ええ。まずはTVを持ち出すという体験を中心に据えたかったんです。さらに当時の岩田(聡)社長から「過去のことをそんなに気にしなくていい。新しく変えてほしい」と言われていたこともあって,Wii Uとは考え方を“Switch”させました。

4Gamer:
 ゲームを提供するメディアが,光ディスクからROMカートリッジに変わったのも,外に持ち出すことを前提にしたからでしょうか。

小泉氏:
 ええ。もちろん,開発の段階ではちゃんと光学ドライブの話もしていましたし,設計も見積もっていました。そうした検討を経て,消費電力なども考慮して,トータルのバランスで選んだのが現在の形です。

4Gamer:
 いっそ,ROMカートリッジ方式でもなく,ゲームはダウンロード販売のみにしてしまおうということは考えませんでしたか?

高橋氏:
 もちろんそういった可能性も話し合ってきました。
 でも,まだすべての人がゲームをダウンロード購入できる環境を持っているわけではありません。年齢的に難しいケースもあるでしょう。そういうことを考えると,物理的なメディアを購入できることは必要なんです。

小泉氏:
 それに任天堂は以前から携帯機において,お店で買ったものを家に帰り着く前に遊べるという体験を提供してきました。しかも今回は,買ったらその場で据え置き機の「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」を遊び始めることだってできるんですよ。
 さまざまな環境設定をせずに,すぐ遊べるということもNintendo Switchの特徴の一つなので,総合的に考えて今回はこういう形にしています。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
画像集 No.016のサムネイル画像 / 任天堂は今,何を“Switch”しようとしているのか。取締役常務執行役員の高橋伸也氏と,Nintendo Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏に聞く

4Gamer:
 パッケージで買うか,ダウンロード版を買うかも,プレイヤーが選択できるようにしている,ということでもありますね。
 そういえば,ニンテンドーeショップには対応するんですよね?

小泉氏:
 ニンテンドーeショップはNintendo Switchの発売日にアップデートをします。そこでNintendo Switchからのダウンロード購入にも対応させていただきます。

4Gamer:
 バーチャルコンソールのタイトルも購入できますか?

小泉氏:
 そこについてはまだお伝えできる状態ではないんですが,さまざまなことを“Switch”しようと考えています。

4Gamer:
 廃止するというわけではないですよね?

小泉氏:
 あれだけの資産がありますからね。それをNintendo Switchではどのようにお届けするべきか,現在も検討中です。

4Gamer:
 これまで,バーチャルコンソールの同一タイトルを異なる機種で遊ぶには,その都度買い直さなければいけないケースもありました。このあたりは改善されるんでしょうか?

小泉氏:
 そういったご要望もきちんと届いていますので,そこも含めてさまざまなことを検討しています。

4Gamer:
 それでは,バーチャルコンソールという言い方が正しいのか分かりませんが,Wii世代,Wii U世代のゲームをNintendo Switchで遊べるようになる可能性はありますか?

小泉氏:
 例えば「マリオカート8 デラックス」のような形はあり得るでしょうね。ただ,WiiもWii Uもそのハード固有の機能がありますから,単純にエミュレートするというわけにはいきません。ちゃんと新しいものとしてお伝えできる形になるのであれば,可能性はあると思います。
 バーチャルコンソール含め,ここでさまざまなものを“Switch”しますので,その伝え方が決まるタイミングまで,もう少しお待ちください。

マリオカート8 デラックス
画像集 No.015のサムネイル画像 / 任天堂は今,何を“Switch”しようとしているのか。取締役常務執行役員の高橋伸也氏と,Nintendo Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏に聞く

4Gamer:
 分かりました。
 では少し話を戻しますが,ダウンロード購入したゲームは,micro SDカードに保存されるという認識で間違いないでしょうか?

小泉氏:
 micro SDカードか,本体内蔵メモリになりますね。

4Gamer:
 セーブデータについてはいかがでしょう? クラウドに保存できたりは……?

小泉氏:
 原則,本体内蔵メモリに保存される形です。今後,それ以外の形もいろいろと考えてはいますので,少しお待ちください。

4Gamer:
 では,ネットワーク環境についてもう少し教えてください。外に持ち出せるゲーム機という意味では,LTEに対応しても良かったのでは? と思うのですが。

小泉氏:
 もちろん検討はしました。ただこれもコスト面を含めたさまざまなバランスを考えた結果,対応を見送ったという流れになります。
 それに外での通信としては,ローカルマルチプレイを強みにしているので,そこに注力したいという部分はありますね。「Splatoon2」もみんなで集まって遊べるようになったわけですし。

Splatoon2
画像集 No.017のサムネイル画像 / 任天堂は今,何を“Switch”しようとしているのか。取締役常務執行役員の高橋伸也氏と,Nintendo Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏に聞く

高橋氏:
 ローカルマルチプレイは,ニンテンドー3DSで実現していますし,皆さんイメージしやすいものだと思うんですよ。

小泉氏:
 みんなで遊ぶという光景はすでにできていましたが,今回はそれをより高いクオリティのグラフィックスと遊び方で広げていきたいと思っています。


タイトルの投入と各種サービスの開始は

タイミングをそろえて行う予定


4Gamer:
 今秋正式スタート予定のオンラインサービスについても聞かせてください。現時点で,あまり詳しいサービス内容が発表されていないようですが,これは意図的なものなんでしょうか。

小泉氏:
 それは……まさに発表するための準備を進めている段階だからなんです。

画像集 No.018のサムネイル画像 / 任天堂は今,何を“Switch”しようとしているのか。取締役常務執行役員の高橋伸也氏と,Nintendo Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏に聞く
高橋氏:
 もうしばらくお待ちください(笑)。

4Gamer:
 現時点で明かされているのは,まず当面はテスト的に無料でサービスし,今秋から有料サービスを開始するということですよね。

小泉氏:
 そうですね。サービスの内容として,スマートデバイスのアプリを使ってマッチングやボイスチャットができる環境を提供するということは,現時点でもお伝えできます。

4Gamer:
 その場合,スマートデバイスを使わないとマッチングに支障が出るようなことはないのでしょうか。

小泉氏:
 いえ,あくまでスマートデバイスのアプリは支援ソフトという位置付けなので,それがないと遊べないということではありません。Nintendo Switch単体でボイスチャットをすることはできませんが,マッチングができないわけではないんです。
 ただ,使ったほうが友達とつながりやすくなるとか,友達と遊ぶ前の打ち合わせがしやすくなるとか,そういうイメージでお考えください。

4Gamer:
 では,それ以外のサービスについてはいかがでしょう?

小泉氏:
 もちろん準備をしているサービスはあるんですが,中途半端な状態でお伝えするより,きちんとお伝えできる形になってからお話しさせてください。それが有料のサービスのスタート後になるようなことはありませんので。

高橋氏:
 できるだけ早くお伝えできるようにしたいと思っています。

4Gamer:
 分かりました。
 一つ確認させていただきたいんですが,有料サービスが始まったとしても,無料で利用できるものはあるんでしょうか?

小泉氏:
 オンラインサービスでもeショップやパッチなどは,これまでどおり無料でご利用頂けますよ。

4Gamer:
 当たり前のことではありますが,Nintendo Switchを持っていると,半ば強制的に有料サービスに加入させられるわけではない……ということですね。

小泉氏:
 もちろんです。主にオンラインで対戦をご利用頂く方のためのサービスですので,すべての方が必要ということはないです。

4Gamer:
 ですよね。安心しました。
 オンラインサービスといえば,Miiverseは用意されないとのことですが(関連記事),これはなぜでしょう?

小泉氏:
 MiiverseというのはいわゆるSNSの一つだったんですが,すでにTwitterやFacebookなどを活用している方も大勢いらっしゃいます。そういったものの力をお借りしようというのが理由の一つですね。

4Gamer:
 確かにSNSのアカウントばかりが増えていくのも,不便ではあります。とはいえ,外部のSNSとゲームを連携させたくないという人もいると思うのですが。

小泉氏:
 ええ。そこで……というわけではないのですが,ゲームによってはMiiverseのような環境を別途用意する計画はあります。
 つまり現在のMiiverseという形のまま,任天堂として提供し,運営するという形を見送ったという話に過ぎず,プレイヤーがゲームを楽しむうえでコミュニティを醸成するために必要なものは,いろいろと考えていく予定です。

4Gamer:
 先日,Splatoon2のインタビューを掲載したところ,読者の反響の中でも「えっ,Miiverseはないの?」という声が目立っていたんですよ。

小泉氏:
 それは開発チームからも言われていますし,そういったご意見もたくさんいただいています。それを裏切らないようなものを用意しようとは考えていますので,もう少々お待ちください。

4Gamer:
 スマートデバイスの活用であったり,外部SNSの利用であったりと,Nintendo Switch本体としては割とプレーンなゲーム機に近付けようとしているのかな? という印象を受けます。

高橋氏:
 Nintendo Switchはゲーム機で,とにかくゲームが遊びやすい機械を目指そうということは,プロジェクトを始めたときから強く思って作ってきました。だからゲーム以外のものを極力省くというのは,今回の目標の一つだったんです。

画像集 No.020のサムネイル画像 / 任天堂は今,何を“Switch”しようとしているのか。取締役常務執行役員の高橋伸也氏と,Nintendo Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏に聞く

4Gamer:
 ということは,Webブラウザも搭載していない,と。

高橋氏:
 はい。皆さんがお持ちのスマートデバイスでできるようなことは,スマートデバイスにお任せしてしまおうということです。

4Gamer:
 かなり割り切っていますよね。
 では例えば,ソフトメーカーがNintendo Switchで動作するブラウザを作ろうとか,SNSクライアントを作ろうとか,そういったことは可能なんでしょうか。

高橋氏:
 そこに規制はありません。

小泉氏:
 セキュリティや倫理面での基準はありますが,「これを作ってはいけない」みたいに強く規制することは考えていません。

4Gamer:
 完全に個人的な興味なんですが,Nintendo Switchをタブレットのように使えないのかな? と思っていたんです。もちろんスマートデバイスもタブレットも持っているので,Nintendo Switchをそういう風に使う必要はないんですが,ハードウェアのポテンシャルをさまざまな形で引き出したい欲求がありまして(笑)。

高橋氏:
 そういう方もいらっしゃいますよね(笑)。

4Gamer:
 例えばテーブルモードで動画プレイヤーになったら便利かなぁ? とか。

高橋氏:
 ああ,なるほど。
 実は将来的にVODサービスに対応することは検討しています。

4Gamer:
 そうなんですね!
 とはいえ今までうかがってきたお話からすると,そうしたサービスに対応したとしても,あまり積極的に打ち出すつもりはないという感じでしょうか。

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小泉氏:
 少なくとも任天堂が用意するものは,ゲームを支援するものが中心です。我々がそれ以外のことを始めるのは,ちょっと違うのではないかな? と思っています。ソフトメーカーさんにご用意いだけるのであれば,それはお任せしますというスタンスですね。
 今回,オンラインサービスだけではなく,ソフトウェアのラインナップについても,どのタイミングでどんな情報を提供すべきか,2018年以降も含めてかなり長期的に考えているんです。
 例えばゲームに関しても,ローンチ時にはゼルダ,1-2-Switchに加え,ソフトメーカーさんのタイトルもあります。今後も,マリオカート8 デラックスや,スニッパーズなど,さまざまなものを投入予定ですが,そのタイミングでどんなサービスがスタートしていれば良いのかを考慮しながら計画を立てているんです。

4Gamer:
 やはりそういった意図はあるんですね。
 とはいえ,ローンチタイトルが少し寂しいかな? という気はしてしまいます。

小泉氏:
 そこも意図してのものです。最初にたくさん出すことのメリットもあるんですが,その一方,このゲーム機で一番お伝えしたいことは何なのかがぼやけてしまう部分もあると思うんですよ。今回はとくに,新しい遊び方も含めて提案しなければいけませんし。

高橋氏:
 だから1月に発表した今後のラインナップ以外にも,いろいろと準備はしているんです。それを最初に全部お伝えしてしまうと,少し分かりづらくなるというのもあって,あえて言っていないだけで。

4Gamer:
 それは,ラインナップの中でもシーズンごとに山になりそうなものを抽出して紹介したということでしょうか?

画像集 No.021のサムネイル画像 / 任天堂は今,何を“Switch”しようとしているのか。取締役常務執行役員の高橋伸也氏と,Nintendo Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏に聞く
高橋氏:
 どうでしょう。隠しているものが山かもしれないですし(笑)。
 今年,来年,再来年という軸で,どう展開していくかは考えていますので,楽しみにしていてください。

4Gamer:
 それはつまり,発表はしないだけで水面下ではさまざまな予定や方針が決まっているということですよね。

高橋氏:
 はい,ある程度は決まっています。

4Gamer:
 Wii U用の発売カレンダーが,ある時期から飛び飛びになっていて,新作が何も発売されない月も増えていきました。長期的な計画を立てているというのは,そういった事態を避ける目的もあるんでしょうか。

小泉氏:
 ええ。Nintendo Switchではそうならないように,そのあたりはかなり意識して編成について考えています。

4Gamer:
 例えばそういった今後の編成の中に,噂されていたNintendo Switch用VRヘッドセットの投入といったものも……?

高橋氏:
 そこはまだ何とも言えないですね。ただ,VRについての研究はずっと続けています。その技術を使って,皆さんにどう楽しんでいただけるかを中心に考えて,それをきちんと提案できるようになった段階で,初めて対外的にお話できるようになると思っています。
 ただそれがNintendo Switchと直接関係するかというと,それはまた別の話で,とにかく今は「探っています」という状態です。

4Gamer:
 そのあたりの動向も含め,引き続き楽しみにしています。
 本日はありがとうございました。

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「Nintendo Switch本体」公式サイト

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