連載
結のほえほえゲーム演説:第26回「私にも聞いてくれ! 2016年エンタメ総評」
年末になると各ゲーム媒体で「著名人やクリエイターに聞く! 今年一番良かったゲーム&エンタメ」的な企画があるじゃないですか。あれに回答するのが憧れだったんですよね。でも,誰も聞いてくれないんですよね。今年も。今年こそは誰かが! とくに4Gamerさんが聞いてくれると思っていたのに……。
というわけで今回は,誰も聞いてくれないから私が勝手に答えるぞこんちくしょうスペシャルです!!
演劇部門
「おとこたち」
映画でもドラマでも演劇でも,一人の役者が物語の中で年を取っていくお芝居は難しいものです。20代以上の役者による学生時代の回想シーンは,どうしたってコントっぽさが拭えません。しかし私もいつしか“そういうもの”として脳内で補完できるようになり,とくに気に留めることもなくなっていました。ハイバイの「おとこたち」で4人の役者が年齢を重ねていく芝居を観るまでは……!
これは,4人の役者が演じる男達の半生と死期を描いた物語です。同じ役者による芝居なのに,2時間の間に年齢を重ねていったり,さかのぼっていったり……。目まぐるしいスピードで展開する物語で,登場人物の加齢を自然に感じたのは初めてでした。
年を取る虚しさ,温かさ,すべてを織りこんでいく繊細な一挙一動に目が離せなくなり,まさに男の半生を目撃してしまった感覚に陥ります。演劇が苦手な人にこそ観てほしい作品でした。
映画部門
「シン・ゴジラ」
「シン・ゴジラ」の存在により,エヴァは奇跡じゃなかったんだな,と証明された気がしました。
なぜエヴァがはやったのか。そこにはさまざまな要因がありましたが,根底には「ウルトラマン」や特撮作品へのリスペクトが大量に散りばめられていることがあると思います。そう,すべては庵野監督がヲタクの中のヲタクだったからこそ可能だったわけです。そのことをあらためて痛感させられました。この映画に関して,幾多の人々が元ネタ探しをしたことと思います。そういったものを読むのも楽しいですが,私はただ,早口で専門用語が飛び交っている光景の気持ち良さに思わず興奮してしまうこと自体が,日本人には遺伝子レベルで組みこまれてるんじゃないかなぁと思ったり。
ヲタクゴッドハンドマッサージによりヲタクのツボがグイグイ刺激されていく約2時間……。こんなの気持ち良いに決まっているじゃあないですか!!
この映画が公開された2016年に,大勢の人と映画館で鑑賞することに意義がある映画だと感じました。庵野無双を楽しめるヲタクに生まれて良かった……。
漫画部門
「娘の家出」
「あなたのことはそれほど」
「娘の家出」は,志村貴子さんの短編オムニバス好きとしてたまらないですね……。日々のふとした瞬間にポツリポツリと零れ落ちる感情が積もり積もっていくような登場人物のモノローグが好きです。
モノローグって,大げさが過ぎてもピンとこない,ポエムが過ぎるとヒいてしまう。駅から家までの帰路でそっと口にするような,そんなわずかな感情の高ぶりが,ちょうど心地良く感じます。
男性に圧倒的にオススメしたいのは「あなたのことはそれほど」ですね。W不倫を描いていて,登場人物が全員いけ好かない作品です。少女漫画と思って読むと軽くホラー漫画のように感じるかもしれませんが,個人的にはファンタジーではなく,限りなくノンフィクションに近いと思っています。
勘の鋭い女性という存在は,第六感がはたらいているわけではなく,ただ相手を観察しているんです。男性はこれを読んで肝に銘じてください。ほぼ100%嘘をついていると分かった相手でも,疑ったり揺さぶったりすることをやめない(信じることを諦めきれない)女性も,実在します。
アニメ部門
「響け!ユーフォニアム2」
「魔装学園H×H」
「響け!ユーフォニアム」1期の主役は久美子ではなく,実は麗奈だったんじゃないかなと思っています。自分は間違っていないと信じて,感情が服を着て歩いているような麗奈は,許せないもの,信じるものに正直に生きている登場人物です。2期はそんな麗奈の影響を少なからず受けた久美子が,より人間らしく描かれていました。久美子は主人公なのにステレオタイプな良い子ではなく,二,三歩冷めているところがあり,だからこそリアリティを感じながら見守ることができました。
「魔装学園H×H」は,男女3人が全裸でシリアスな回想を始めるといった,シュール過ぎるエロから目が離せませんでした。戦闘シーンがオマケであることは分かり切っているのですが,回が進むにつれ,その振り切り方が極端になっていくあたりも面白く,声を出して笑ってしまうお色気戦闘アニメとして最高峰なんじゃないかなと思います。
ゲーム部門
「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」
今年はアイマスに始まってアイマスに終わったといっても過言ではありません。「Tulip」「生存本能ヴァルキュリア」「咲いてJuwel」などたくさんの名曲が実装されました。4thライブのレポート記事(前編,後編)を大学の卒業論文以上のボリュームで書き上げたときは,全国のプロデューサーさんから嬉しいご感想をいただけて嬉しかったです。
来年の注目アイドルは浅利七海ちゃんです。CVが実装されることを願っています。総選挙は頑張らなければなりませんね。あとは,しゅがはこと佐藤 心ちゃんにテンションの高いソロ曲を歌ってほしいです。来年もアイマスですよっ,アイマス!
連載第3回で宣言した「2016年の目標」のうち,「自分の番組を持つ」「連載を続ける」は皆さんのおかげで叶えることができました。来年はどんな年になるのでしょうか。新たな目標を考えたいと思います。ゲームに関しては,「NieR:Automata」(PC / PlayStation 4)や「ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期」(PlayStation 4 / PlayStation Vita)など,個人的に期待しているタイトルも多いので楽しみです。
ではでは,来年も「結のほえほえゲーム演説」をよろしくお願いいたします!
最近プレイしているゲーム(2016/12/28)
PlayStation 4:「人喰いの大鷲トリコ」
PlayStation 4:「FINAL FANTASY XV」
PlayStation 4:「ペルソナ5」
PlayStation Vita:「サガ スカーレット グレイス」
Wii U:「ファイナルファンタジーVI」(バーチャルコンソール)
ニンテンドー3DS:「ポケットモンスター サン・ムーン」
ニンテンドー3DS:「桃太郎電鉄2017 たちあがれ日本!!」
iOS:「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」
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