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App Annie CEO バートランド・シュミット氏と振り返る2017年ゲームアプリ市場。消費者は1日平均で3時間近くアプリを利用,さらに中国ゲーム企業が世界各地で業績を拡大
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印刷2018/02/15 12:00

インタビュー

App Annie CEO バートランド・シュミット氏と振り返る2017年ゲームアプリ市場。消費者は1日平均で3時間近くアプリを利用,さらに中国ゲーム企業が世界各地で業績を拡大

 アプリビジネスに役立つ市場データと分析を提供するApp Annie(アップアニー)。市場の情勢をはじめ,自社アプリの競合優位性を把握できるツールとして,今では全世界100万人以上のユーザーに利用されている。

 先日同社は,2017年を象徴するデータやトレンドを掘り下げた毎年恒例のレポート「2017年アプリ市場総括レポート」を公開。世界的に見ても極めて好調なアプリ市場だが,ことゲームアプリ市場に絞って見ると,気になるトレンド,推移が散見された。

 そんな折,4Gamerでは,App Annie創業者 兼CEOのバートランド・シュミット氏にインタビューする機会を得た。同氏は,2018年1月29日に開催されたイベント,「Top Publisher Awards 2017」の表彰式(関連記事)に合わせて来日した。本稿では「2017年アプリ市場総括レポート」を話のベースに据えて,2017年の振り返り及び2018年の市場動向についてシュミット氏に伺った。

バートランド・シュミット氏
画像集 No.021のサムネイル画像 / App Annie CEO バートランド・シュミット氏と振り返る2017年ゲームアプリ市場。消費者は1日平均で3時間近くアプリを利用,さらに中国ゲーム企業が世界各地で業績を拡大

「App Annie」公式ページ


消費支出額は成熟市場でも2桁の成長率を記録

寄与したのはアプリの利用時間の増加


画像集 No.001のサムネイル画像 / App Annie CEO バートランド・シュミット氏と振り返る2017年ゲームアプリ市場。消費者は1日平均で3時間近くアプリを利用,さらに中国ゲーム企業が世界各地で業績を拡大
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。月並みな質問からとなりますが,2017年のゲームアプリ市場をどのように捉えていらっしゃいますか。まずは雑感をお聞きしたいです。

バートランド・シュミット氏(以下,シュミット氏):
 日本のマーケット全体は大きく成長していると思います。ただ,ワールドワイドで見ると,とくに大きく伸びたのは中国市場です。直近2年間は,中国の市場が最も成長しています。

4Gamer:
 中国市場の成長は何がきっかけだったのでしょうか。

シュミット氏:
 いくつか要因があって,1つは中国国内でスマートフォンの普及が急速に進んだことです。しかも,ローエンドモデルだけでなく,ハイエンド,ミドルエンドの機種が増えたことで,よりリッチなゲームをプレイできるようになってきています。
 2つ目の要因はAppleです。中国ではGoogle Playがサポートされていませんから,App Storeのエコシステムの影響が強く出ます。これらの要因が中国市場に大きな変化をもたらしています。

4Gamer:
 なるほど。一方で,成熟の進んだ日本市場はどのように映りましたか。

シュミット氏:
 日本のトレンドも変化がありました。一昨年にはそれほどの人気ではなかったタイトルが急成長するケースも見られ,破竹の勢いを見せたのは「Fate/Grand Order」でした。
 他方,業界人を驚かせたのが任天堂の台頭です。「スーパーマリオ ラン」「どうぶつの森 ポケットキャンプ」など,次々と新作を投入して存在感を増しています。ビッグネームのパブリッシャとして,他社が今まで手を付けていなかった領域,手法を積極的に採用してさらに台頭していくでしょう。

同社が発表した「Top Publishers of 2017」では,日本企業が15社ランクイン。「Fate/Grand Order」は,2017年8月,9月に全世界で収益1位を記録した
画像集 No.002のサムネイル画像 / App Annie CEO バートランド・シュミット氏と振り返る2017年ゲームアプリ市場。消費者は1日平均で3時間近くアプリを利用,さらに中国ゲーム企業が世界各地で業績を拡大

4Gamer:
 先日発表された「2017年アプリ市場総括レポート」では,世界全体の(非ゲーム含む)アプリダウンロード数は直近2年間で60%も増加しているとありましたが,それはほぼ中国やインドといった新興市場の成長によるもので,アメリカや日本は微減・縮小傾向にあるように思われます。
 一方で,アプリストアの消費支出額は成熟市場でも2桁の成長率を記録しています。このデータをどのように見ていますか。

シュミット氏:
 まずダウンロード数については,世界全体で1750億回にのぼり,地球上の人類一人あたり毎月2つのアプリをダウンロードしているという計算になります。ですから,成熟市場における多少の低下はそれほど大きな問題ではない,まだまだ楽観的に捉えてよいと思います。

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(非ゲーム含む)世界全体のダウンロード数推移は,中国やインドなど新興市場がけん引。成熟市場の日本やアメリカは,成長が安定しているにも関わらず,依然として膨大な数のアプリがダウンロードされている。たとえばアメリカでは,プレイヤー1か月平均で3本のアプリがダウンロードされている。また,70%を超えるプレイヤーが1か月に少なくとも1本のアプリをダウンロードしていた
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(非ゲーム含む)各国の消費支出額推移。成長著しい中国はもとより,成熟市場の日本やアメリカ,韓国でも消費支出額は大きく増加している
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ゲームアプリだけに絞っても成熟市場の消費支出額推移は同様の成長率を記録

シュミット氏:
 むしろ重要なのはアプリの利用時間です。消費者は1日あたり平均で3時間近くアプリを利用しており,2015年と比べて30%以上増加しました。アプリの利用時間が延びるほど,収益も大きくなりますから,ここは重要なポイントです。アプリの利用時間が増加する要因は,端末の処理性能やサイズ,そしてネットワーク環境の整備です。アプリを利用しやすい環境が整っているところにこそ,新しいチャンスがあると言えます。

消費者は1日あたり平均で3時間近くアプリを利用。デスクトップPCの利用経験のないプレイヤーが多い国は,モバイルがまさにファーストスクリーンとなるため,利用時間がさらに伸びていくとされる
画像集 No.006のサムネイル画像 / App Annie CEO バートランド・シュミット氏と振り返る2017年ゲームアプリ市場。消費者は1日平均で3時間近くアプリを利用,さらに中国ゲーム企業が世界各地で業績を拡大

4Gamer:
 日本,アメリカなどの成熟市場は今後どのように変化していくとお考えですか。停滞,もしくは緩やかに下降していくのか,それとも再び成長していくのか。

シュミット氏:
 2018年も,成熟市場においては昨年と同じような状況になるのかな,と見ています。ただ,ユーザーの月間アプリ利用数を見ると,およそ35〜40個のアプリを利用するという調査結果があり,かなり多い印象です。利用時間も世界的に伸びてきていますから,ダウンロード数に固執するよりも,ユーザーにどれだけアプリを使ってもらえるか,ゲームアプリならどれだけプレイしてもらえるかが課題であり,その先にマネタイズがあるということになります。

4Gamer:
 なるほど。

シュミット氏:
 ゲームアプリはとくにそうですが,もう4〜5年に渡って同じタイトルを遊び続けている人も多いですよね。そう考えると,やはりダウンロード数だけが唯一のKPI(重要業績評価指標)というのもナンセンスです。加えて,私たちの調査では重複したダウンロード(いわゆるリセットマラソンのように同じプレイヤーが複数回行ったダウンロードのこと)を除いてカウントしているのですが,新規ユーザーの純増はずっと横ばいを維持しています。市場成長率が小さくなっているのに,相当数のプレイヤーが着実に増えている。そういう見方をしていただければと思います。
 日本のユーザーは他国と比べて多種類のアプリを利用する傾向があって,スマートフォンにはいつも100本近いアプリがインストールされています。その中で実際に利用するのは毎月35本前後で,新興市場の国々や韓国,アメリカと比べるとやや少ない傾向です。ということは,ビジネスの成否を分けるのはインストールというアクションそのものではなく,実際に利用してもらえるかどうかなのです。ユーザーの動向を掴むには,利用するアプリの数や利用時間が今後重要なKPIとして浮上してくるでしょう。

1か月にインストールし,使用したアプリの平均本数。プレイヤーは自分のスマートフォンにインストールしたアプリのうち,平均で3分の1から2分の1のアプリを毎月使用している。こうしたエンゲージメントの増加により,顧客との接触時間が増え,顧客の満足度とLTV(Life Time Value 顧客生涯価値)が高まるものと見られる
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4Gamer:
 驚いたのは,成熟市場でもマネタイズ(プレイヤーの消費支出額)が大きく増加していることです。市場の成長が鈍化したことで収益化はますます難しくなっているというのが肌感としてあったので。

シュミット氏:
 そうですね,マネタイズも直近2年間ではやはり中国が劇的な成長を遂げました。そして仰るとおり,日本を含む成熟市場でも二桁の成長率となっています。この成長率を導いたのは,やはりアプリの利用時間の増大です。また,アプリ自体を有料化したり,プレイヤーがお金を支払いたくなるようなインセンティブを与えたりと,細かな工夫が重ねられたことも要因の1つでしょう。これまではアプリにお金を使うことに不慣れだったプレイヤーも,最近は抵抗がかなり弱くなってきたように感じますね。
 傾向といえば,課金はアプリストアをとおした決済が主流でしたが,モバイルコマースや広告という新しいタイプのマネタイズが急成長しています。この状況は今後しばらく続くでしょう。同時に,さまざまなサービスがPCからモバイル中心へ移行してきており,これまでPCで扱われてきた支出がモバイルアプリで利用されるようになってきています。それがマネタイズの現況ですね。


中国のゲームパブリッシャが世界各地で業績を拡大

今後,市場にどのような影響を与えるのか



2017年のゲームアプリ収益ランキングTOP10において,2017年に新しくリリースされたゲームでランクインしたのは,「リネージュ2 レボリューション」「リネージュM」だけだ
画像集 No.008のサムネイル画像 / App Annie CEO バートランド・シュミット氏と振り返る2017年ゲームアプリ市場。消費者は1日平均で3時間近くアプリを利用,さらに中国ゲーム企業が世界各地で業績を拡大
4Gamer:
 App Annieが発表した2017年のゲームアプリ収益ランキングでは,4位に「リネージュ2 レボリューション」,8位にも同シリーズの「リネージュM」がランクインしました。ほかには「モンスターストライク」「キャンディークラッシュ」「Clash of Clans」などお馴染みのタイトルが占める中,リッチで遊び甲斐のあるMMORPGが2タイトルもランクインしたということは,やはりそういったゲームにトレンドが集中しているようにも思うのですが,いかがでしょう。

シュミット氏:
 「リネージュ」シリーズはもともとPCオンラインゲームのタイトルでした。そのPCオンラインゲームが最も盛んなのは中国ですが,ゲームを遊ぶのは自宅ではなく,専用のPC設備のあるネットカフェやサイバーカフェと呼ばれる店舗が利用されてきました。ゲームをプレイする環境としては利便性はあまり高くありません。そこに,PC版と比べても遜色のないクオリティのMMORPGがモバイルで遊べるようになったことで,ネックだった利便性の問題が解消され,PCやサイバーカフェに費やしていたお金がゲームアプリ市場に流入するようになりました。

 一方,少し状況が異なるのが日本と韓国です。どちらの国も,PCオンラインゲームを自宅で遊べる環境にあります。それがスマートフォンでも遊べるようになったことで,ハードコアなプレイヤーが外出先でもプレイ可能なリッチで本格的なゲームとして「リネージュ2 レボリューション」や「リネージュM」を選択するようになったのではないかと思います。

4Gamer:
 「2017年アプリ市場総括レポート」では中国のゲームパブリッシャについても言及がありますね。中国のゲームパブリッシャが中国以外の国で生み出した消費支出は今や40億ドル(約4300億円)に届こうとしており,確かに日本でも中国発のタイトルがいくつもヒットを記録しています(関連記事)。中国の,しかも中小規模のゲームパブリッシャがなぜ,日本やアメリカで成功を収めているのでしょうか。

中国に本拠を置くゲームパブリッシャが世界各地で業績を拡大。2017年には,米国,日本,台湾が,中国のゲームパブリッシャの3大市場となった。なかでも中国のパブリッシャにとってアメリカは,依然として中国以外で最も規模が大きく収益性の高い市場で,世界のダウンロード数の約15%,世界の消費支出の25%を占めている
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シュミット氏:
 彼らは各国の市場に対して,非常にクオリティの高いローカライズとカルチャライズを迅速に展開しています。「崩壊3rd」や「陰陽師」を見れば分かるとおり,日本のユーザー向けに人気声優を起用したり,制作陣に有名なデザイナーを起用したりしています。また,中国で広く普及しているVIPシステム(累計課金額に応じてゲーム内で特権を得られる仕組み)を海外向けに改良してゲーム内に組み込むなど,各国に合わせて細やかな調整を重ねることで,世界中のユーザーの心を射止めました。
 この手法を支えているのは,巨大なエンジニアリングリソースです。中国のゲーム会社は,ときに日本と比較にならないほど豊富な開発リソースを有しているケースが多く,何かトラブルがあっても,逆に思いがけない成功を収めたときにも,すぐに新しいトレンドに向けて柔軟に対応できる体制が大きな強みになっています。

日本でヒットした中国系ゲームアプリ。「崩壊3rd」はmiHoYoが手掛ける新世代の本格スマホアクションゲーム。美麗なグラフィックスとスタイリッシュなアクションは,多くのプレイヤーを驚かせた(写真左)。一方Yostarの「アズールレーン」は,2017年12月末に日本のApp Storeセールスランキングで首位を獲得するという偉業を成し遂げた(写真右)
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4Gamer:
 中国のゲームパブリッシャは,今後市場にどのような影響を与えるとお考えですか。

シュミット氏:
 これまでお話ししてきたとおり,日本のアプリ収益の成長率は直近2年間で60%に達し,まだまだ高成長のマーケットと言えます。そこに中国を筆頭に海外パブリッシャが参入してきたのですが,彼らは市場を奪っていくというより,より良いサービスやコンテンツが投下されるきっかけを生み出しているんです。
 国内パブリッシャの目には新たな脅威として映るかもしれませんが,むしろ国際的な競争力を高める契機と捉えることもできますし,最終的には遊び手にとっても良い方向に動いていくのではないでしょうか。一方,グローバル視点で見ると,色々な分野で統廃合が進んできています。近々,日本のゲームアプリ市場でもそういうことが起こる可能性は十分あるでしょう。

 あるアプリパブリッシャの人が話していたことなのですが,収益を奪い合うのではなく,海外パブリッシャが新しいジャンルを開拓してくれることもあると言っていて,それはすごく面白いアイデアだなと思いました。日本でも「Clash of Clans」の流行がきっかけで,本格的なPvPのストラテジーゲームが注目されるようになりましたよね。つまり,海外パブリッシャの日本上陸は必ずしもネガティブなことではないのです。

4Gamer:
 では,グローバルでは今年どのようなトレンドがやってくると思いますか。

シュミット氏:
 やはりグローバルでは,業界の統廃合が起こるだろうと見ています。ユーザーのゲームに対する期待値はますます高まっていますから,研究開発やマーケティングにより大きな投資が必要です。その投資を実現するために業界再編の動きが活発になるというシナリオは十分あり得るでしょう。他方,複数のタイトルを並列的に運営するのではなく,特定のタイトルに絞ってハイクオリティなゲームを作ろうという動きもあり,すでにそういった戦略を採用している企業も増えています。
 また,今年最も注目すべき企業の1つは任天堂でしょう。昨年はゲームアプリ市場で力強いスタートを切りましたが,今年はさらなる成功を収めるに違いありません。任天堂は今,コンソールではNintendo Switchが大ヒットし,モバイルでのゲーム体験と両面で新しいフェーズにシフトしつつあります。この動きは今後も目が離せません。

任天堂がリリースしたスマホゲーム。左から2016年12月リリースの「スーパーマリオ ラン」(Android版は2017年3月リリース),2017年2月リリースの「ファイアーエムブレム ヒーローズ」,同年11月リリースの「どうぶつの森 ポケットキャンプ」と,同社が誇るIPタイトルをスマホゲームに起用して3タイトルとも大ヒットを記録した
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任天堂は来期中(2019年3月まで)に「マリオカート ツアー」の配信開始を予定している。同社スマートデバイス事業の目的の1つに,ゲームアプリをとおした“任天堂IPに触れる人口の最大化”を挙げている。ゲーム専用機事業との相乗効果も狙っており,今後さらなるアプローチで市場を賑わせてくれることだろう
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シュミット氏:
 ゲーム以外の分野も含めた市場全体では,市場規模は右肩上がりですが,ゲームによるマネタイズの比率は下がるだろうと予測しています。その理由は,日本でもそうですが,動画ストリーミングなどゲーム以外のエンターテインメントの普及です。

2017年にヒットした非ゲームアプリ。左から“料理動画”という新しいトレンドを創出した「DELISH KITCHEN」,日本人の買い物文化を大きく変えた「メルカリ」,大衆をインターネットテレビに引き付けた「AbemaTV」。可処分時間の奪い合いは,何もゲーム市場だけの話ではない。こうした新たなエンターテイメントコンテンツに取って代わる可能性も十分にあり得るのだ。
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4Gamer:
 ゲーム以外のエンターテイメントアプリではAR(拡張現実)技術の採用が盛んですが,ゲームアプリでは「Pokémon GO」が目立っているぐらいですよね。今後はARゲームがブルーオーシャンとなるのか,それとも別のアプローチが必要なのか,ARゲームのトレンドは今後どのようになっていくのでしょうか。

シュミット氏:
 非常に興味深い質問ですね。私自身は「Pokémon GO」をARゲームだとは見ていなくて,どちらかというと,位置情報ゲームの1つだと考えています。「Pokémon GO」の最大の成功要因はやはり“ポケモン”という世界的に認知されているブランド力であり,リリース直後こそARの目新しさが関心を集めましたが,ARゲームとして成功したというふうには思っていないのです。
 本当の意味でのARゲームは今後どのようなタイプが主流となるのか,まだはっきりとは分かりません。差し当たっては,ARで出来ること,そうでないことはほぼクリアになってきてはいますが,長期的な視点でどういう収益構造が形成されていくのかは,まだ見通しが立たないという感じですね。

アプリストアにある100万本のゲームのうち,ARゲームは3000本。Nianticが次にリリースを予定している「Harry Potter」のARモバイルゲームに期待したいところだが,まだまだゲームの分野では「AR」ブームは起きていないのが現状だ。Appleは開発者向けにARKitをリリースしているので,今後の動向にも注視する必要がありそうだ
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4Gamer:
 では最後に,2018年のApp Annieの取り組みについて教えてください。

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シュミット氏:
 App Annieはプラットフォーム戦略に大きく投資する方針です。お客様へ良質なデータを提供するだけでなく,有意義なデータ分析を可能とするプラットフォームを構築し,より迅速なアクションを支援していきたいと考えています。目指しているのは,利用者にさまざまな示唆をもたらすインテリジェントなプラットフォームです。加えて,自由にカスタマイズでき,Slackとの連携もサポートしていますから,チームコラボレーションにも貢献することができます。
 お陰様で,App Annieの登録ユーザー数は100万人を突破しました。これは直近で私たちが達成した大きなマイルストーンの1つであり,世界中のお客様が単なるランキング情報ではなく,もっとディープな分析やメディアをまたいだ分析を求めて,私たちのサービスを選択していることの証左だと思います。これからも,皆様のより良いアプリビジネスのために尽力していくつもりです。

4Gamer:
 本日は貴重なお時間いただき,ありがとうございました。

――2018年1月29日収録。


「App Annie」公式ページ

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