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NTTドコモ2017夏モデル「Galaxy S8+」テストレポート。特異な縦長スマホはゲーマーにも適したハイエンド端末だ
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印刷2017/05/27 00:00

テストレポート

NTTドコモ2017夏モデル「Galaxy S8+」テストレポート。特異な縦長スマホはゲーマーにも適したハイエンド端末だ

画像集 No.002のサムネイル画像 / NTTドコモ2017夏モデル「Galaxy S8+」テストレポート。特異な縦長スマホはゲーマーにも適したハイエンド端末だ
 既報のとおり,2017年5月24日,NTTドコモは,2017年夏モデルとなる新型スマートフォン計7製品を発表した。発売時期順に新製品ラインナップを並べてみよう。

  • Xperia XZs SO-03J:5.2インチフルHD(1080×1920ドット)液晶と960fps高速度撮影対応アウトカメラ搭載。搭載SoCはSnapdragon 820。5月26日発売
  • arrows Be F-05J:5インチ,解像度720×1280ドット液晶パネル搭載のエントリー市場向けモデルで,月額1500円引きの「docomo with」プログラム対象端末。搭載SoCはSnapdragon 410。6月1日発売
  • Galaxy S8 SC-02J:5.8インチ,解像度1440×2960ドット(アスペクト比9:18.5)の縦長有機ELパネル搭載。搭載SoCはSnapdragon 835。6月上旬発売予定
  • Galaxy S8+ SC-03J:6.2インチ,解像度1440×2960ドット(アスペクト比9:18.5)の縦長有機ELパネル搭載。搭載SoCはSnapdragon 835。6月上旬発売予定
  • Xperia XZ Premium SO-04J:5.5インチ4K(2160×3840ドット)&HDR対応液晶パネルと960fps高速度撮影対応アウトカメラ搭載。搭載SoCはSnapdragon 835 Mobile Platform。6月中旬発売予定
  • Galaxy Feel SC-04J:4.7インチ,解像度720×1280ドット有機ELパネル搭載のエントリー市場向けモデルで,月額1500円引きの「docomo with」プログラム対象端末。搭載SoCはSamsung Electronics製「Exynos 7 Octa」。6月中旬発売予定
  • AQUOS R SH-03J:5.3インチ,解像度1440×2560ドットのIGZO液晶パネル搭載。SoCはSnapdragon 835 Mobile Platform。7月発売予定

 夏モデルラインナップを見渡してみると,ハイエンド製品に力を入れた構成になっている。分かりやすいのは搭載SoC(System-on-a-Chip)で,2017年のQualcomm製ハイエンドSoC「Snapdragon 835 Mobile Platform」(以下,Snapdragon 835)を搭載する端末が4製品,2016年のハイエンドSoCであった「Snapdragon 820」を搭載する端末も1製品あるといった具合だ。
 そこで今回のスマートフォンテストレポートでは,最新SoCであるSnapdragon 835採用端末を重点的にチェックすることとしたい。まずはSamsung Electronics(以下,Samsung)製のGalaxy S8 SC-02J(以下,Galaxy S8)と,Galaxy S8+ SC-03J(以下,Galaxy S8+)の2製品を見てみよう。

Galaxy S8。前面(左)から見てもほとんど区別はつかないが,背面(右)から見るとカラーバリエーションの違いが分かるだろう。左からOrchid Gray,Coral Blue,Midnight Blackの3色となっている
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Galaxy S8+。左がMidnight Blackで,右がArctic Silverだが,背面から見ないとカラーの違いが分からないのはこちらも同じ
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有機ELパネルに覆われた縦長ボディにガジェットとしての魅力を感じる


 Galaxy S8とGalaxy S8+は,姉妹機というよりも,サイズ違いのバリエーションモデルといったほうが適切に思えるくらい,似た要素の多い端末だ。スペックについては後述するとして,分かりやすい差異は,本体とディスプレイパネルのサイズ,重量とバッテリー容量,公称最大通信速度といった程度で,基本的な仕様はほぼ共通。5.8インチモデルがGalaxy S8で,6.2インチモデルはGalaxy S8+という覚え方でもいいくらいだ。
 そんなわけで,本稿ではGalaxy S8+を中心にチェックしていき,必要があるところではGalaxy S8にも言及するという流れで進めていく。

ボディのデザイン自体は,Galaxy S7 edgeがベースになっているが,雰囲気はまるで別モノだ
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 S8シリーズでは,アスペクト比が9:18.5で,解像度は1440×2960ドットという縦長の有機ELパネルのインパクトが非常に大きい。左右端が湾曲したカバーガラスで覆った「エッジスクリーン」は,2016年夏モデルで登場した「Galaxy S7 edge」から継承したものだが,S8シリーズの「Infinity Display」は,上下のベゼルも狭くデザインされているので,ディスプレイパネルが浮いているような印象を強く受ける。

前面(左):上下に狭いベゼルがあるだけで,下部のホームボタンなどは,画面上のソフトウェアボタンに置き換えられた。ここは,好みが分かれそうだ
背面(右):鏡面仕上げの背面。意外に写り込みは少なめだが,指紋は目立つ。アウトカメラの右横にあるのは指紋認証センサー
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 Galaxy S8のサイズは68(W)×149(D)×8.0(H)mmで,Galaxy S8+は73(W)×160(D)×8.1(H)mmと,相応に大きなサイズではある。しかし,縦長の有機ELパネルに加えて,左右側面のエッジを鋭く絞り込んだ形状もあってか,手に持つとスリムに感じるのが面白い。

上側面(左):サブマイク孔とトレイ式のSIMカード兼microSDカードスロットがある
下側面(右):ヘッドフォン端子とUSB Type-C(※バージョン未公開だが,SoCはUSB 3.0に対応している),マイク孔,スピーカーがある。スピーカーは残念ながらモノラルだ
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左側面:音量調整ボタンと,Samsung独自のAIアシスタント機能「Bixby」(ビクシビー)の起動ボタンがある
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右側面:[電源/スリープ]ボタンがあるだけ
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テカテカの背面パネルは,指紋の目立ちやすさがネックか
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 S8シリーズを見ると,SF系ゲームに出てくる携帯型情報端末的なイメージを感じる人もいるだろう。外観だけでなく,ホームボタンを押したときや,アプリを履歴から選んだときには,アプリが浮き上がるように見えるエフェクトが表示されるといった具合に,近未来感のあるデザインにある種の説得力を持たせる工夫も凝らされている。
 今やすっかり,家電の1つといったイメージのあるスマートフォンだが,S8は,ガジェットとしての魅力を全体でアピールしているように思う。ディスプレイパネルのアスペクト比や前面に占める専有面積を変えると,こうも印象が変わって見えるというのは面白い。

写真上側がGalaxy S8+で,下側がGalaxy S8。スペック的には極めて似通った両機なので,デモ機を実際に触れてみて,しっくり来るほうを選んでもよさそうだ。ちなみに,Galaxy S8+で動作しているゲームは「Asphalt 8」。横置きしたアスペクト比18.5:9の画面にも問題なく対応していた
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ゲーマー向け機能「Game Tools」がより使いやすくなった


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S8+では,ステータスバーにある「午後」の字の上に見える小さなカメラが,虹彩認証用カメラとなっている
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Androidの設定にある「ロック画面とセキュリティ」で,虹彩認証を有効にできる
 細かい特徴も見ていこう。
 S8シリーズは生体認証機能として,定番の指紋認証だけでなく,フロントカメラを使った顔認証や,専用カメラを使った虹彩認証機能を実装している。虹彩認証用カメラを搭載するスマートフォンは珍しく,国内ではarrowsシリーズくらいしか例がない。

 ざっくりとテストしてみたが,S8+の虹彩認証機能は,メガネを付けた状態でもサクッと認証できるため,指紋認証センサーの代替ともなりそうに思える。ただ,認証のためには本体を顔の正面まで上げる必要があるうえ,本体との距離もある程度決まっていて,適切な距離になければ認証できないので,指紋認証センサーに比べると,常用できるシーンは限られるように感じた。
 たとえば,就寝中は指紋認証センサーを自動でオフにして,虹彩認証機能のみを使うような機能があると,使いどころが増えそうに思えるのだが。

こちらは虹彩認証ではなく,アウトカメラのデモ。画素ピッチを大きく取ったカメラを採用することで,1画素あたりの受光量を多くして暗所の撮影に強いことを示すものだ。比較は2015年モデルの「Galaxy S6 edge」なので,写真のとおり,明確な差があった。機種変更を考えるユーザー向けのアピールというわけだ
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発売されたばかりの専用ワイヤレスコントローラ付きVR HMD「Gear VR with Controller」の展示もあった(左)。今回は試用する時間が取れずに断念。左側面の専用ボタンで起動するAIアシスタントのBixbyは,日本語にも対応している(右)
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 プリインストールOSは,Android 7.0(Nougat)。Android 7.0では,複数のアプリを同時に表示する「マルチウインドウ」機能が標準搭載となったが,S8シリーズの縦長パネルは,たとえばYouTubeで動画を再生しなら,同時にWebブラウジングといった用途で,それぞれの画面を最大限に大きくできるため,なかなか魅力的である。

Galaxy固有の細かい設定は,Androidの設定内にある「高度な機能」にまとめられている。以下で説明するゲーム関連機能も,ここから有効無効を切り替える仕組みだ
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 S8シリーズの独自機能で,ゲーマーにとってポイントとなるのが,「Game Launcher」と「Game Tools」というSamsung独自のゲーム向け機能だろう。どちらもGalaxy S7 edgeの世代で導入されたもので,Game Launcherは端末にインストールしたゲームを自動でまとめるゲーム専用ランチャー,Game Toolsは,Game Launcherに登録したゲームのプレイ中に,プレイ動画の録画やスクリーンショット撮影,OSやアプリの設定変更を行えるというものだ(関連記事)。

 S8シリーズでは,これらのツールが改良され,機能や見た目が大きく変わって,とてもクールになっている。ここではGame Toolsを中心に,改良点を見ていこう。

Galaxy S7 edgeのGame Toolsでメニューを表示した状態
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 従来のGame Toolsは,ゲームの画面上――デフォルトでは左下――にツールを呼び出すためのアイコンをフローティングで表示しておき,アイコンをタップすると,画面上にメニューを表示して各機能を使えるというものだった。
 S8シリーズでも,ゲームのプレイ中にアイコンからメニューを表示するという点は同じなのだが,メニューの表示方法とその内容が,いろいろと変わっている。

 まずGame Toolsの呼び出しは,ゲームアプリが動作中の状態で,Androidのホームボタンや「戻る」ボタンを表示する操作をすると,それらのボタンが並ぶバーの片隅に,Game Toolsのメニュー表示用ボタンが置かれているという形に変わった。
 メニューに表示されるのは,「全画面」(※全画面表示のオンオフ)「ゲーム中に通知を制限」「ホームキー押し込み動作ロック」「エッジ操作をロック」というの4つのトグルスイッチと,「画面タッチをロック」「画面キャプチャ」「録画」という3つのアイコンなどである。見た目に分かりやすいし,各アイコンも選びやすく,従来のメニューよりも使いやすさが向上したといえよう。

Galaxy S8+のGame Toolsでメニューを表示した状態。写真では左側となる画面下端部分にホームボタンなどが並ぶバーを表示すると,そのバーの一番上にGame Toolsのメニューを開くアイコンがある
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「エッジ操作をロック」は,誤操作の心配がなくなるのでとてもうれしい
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 メニューの中でも,「エッジ操作をロック」は,縦画面表示のゲームをプレイするときにありがたい機能だ。
 Galaxy S6 edgeやGalaxy S7 edgeでは,縦持ち時の画面左右端に触れると,センサーが反応して独自のメニューを表示する「エッジスクリーン」機能があるのだが,端末をギュッと握るプレイスタイルと相性が悪く,誤操作を起こしやすいという問題があった。S8シリーズにも,エッジスクリーン機能があるのは同様なのだが,Game Toolsでこれにロックをかけられるようになり,誤操作を起こす心配がなくなったのだ。
 最初からこの機能が付いていれば……と言いたいのは山々だが,きちんと改善してきたことを評価したい。

「パフォーマンスを調整」で,ゲーム中におけるSoCの挙動をある程度制御できるようになった
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 Game Launcherの設定には,SoCの動作を制御する「パフォーマンスを調整」という項目が加わり,「バッテリーを節約」「通常のパフォーマンス」「高パフォーマンス」という3つのプリセットを選ぶことで,ゲームにおけるSoCの性能をある程度操作できるようになった。
 「バッテリーを節約」は,CPUとGPUの最大動作クロックを下げて消費電力を低減する。「通常のパフォーマンス」は,Androidの電源設定に従う標準的な設定だ。最後の「高パフォーマンス」は,温度監視によるSoCの制御以外を無効化して,CPUとGPUを可能な限り高い動作クロックで動作させるものである。バッテリー残量を気にせずプレイできる状況なら,「高パフォーマンス」を選択すると快適になるかもしれない。


3Dグラフィック性能はトップクラス

縦長ボディは入力しにくい可能性もあり


 外観と機能を一通りチェックしたので,スペックの確認と性能検証に駒を進めよう。

 まずスペックだが,搭載SoCは先述のとおりSnapdragon 835。メインメモリ容量は4GBで,内蔵ストレージ容量64GBだ。Galasy S8+は,下り最大788Mbpsの高速通信に対応するが,Galaxy S8は下り最大500Mbpsまでとなる。2017年夏以降のハイエンド端末としては,ごく標準的な仕様と言っていい。

 今回実施したテストは,3Dグラフィックスベンチマークアプリ「3DMark」から「Sling Shot Extreme Unlimited」プリセットと,総合ベンチマークアプリ「PCMark for Android」の「Storage test」,そしてCPUの動作クロックを見る「CPU-Z」,連打応答性を見る「ぺしぺしIkina」の4種類である。
 これに加えて,ゲームのテストとして,いつもどおり「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」のプレイテストを行った。

 3DMarkはゲームではないのだが,先述したGame Launcherは,非ゲームのアプリを登録することも可能である。そこで3つの動作設定プリセットで検証して,性能に影響するかどうかを見てみよう……といきたかったのだが,残念ながら今回は時間切れで,「通常のパフォーマンス」でしか計測できなかった。
 言い訳というかグチを言わせてもらうと,発表会場の電波状況が劣悪で,アプリのインストールが一向に進まず,時間を失ってしまったのが原因である。国内最大手通信キャリアの発表会でこのザマか……と思わずにはいられない。今後,実機をじっくりと評価できる機会があれば,改めて動作設定プリセットによる違いを検証してみたいところだ。

 前置きはこれくらいにして,まずは3DMarkのSling Shot Extreme Unlimitedから見ていこう。総合スコアは「3811」と良好で,筆者がこれまでにテストした端末としては,トップの結果となった。さすがはSnapdragon 835といったところで,今後,同じSoCを採用する端末の基準となりそうだ。

 細目を見ると,「Graphics test 1」が26.2fpsと30fps近くに達したほか,Physics testでは最も負荷の軽い「Physics section 1」は,60fpsに近い51.6fpsというスコアを叩き出している。GPU,CPUとも,順当な進化を遂げているようだ。
 高性能の一方で気になる発熱だが,テスト中も極端に熱くなった部分はなく,まんべんなく熱を拡散している印象だった。真夏日の屋外はともかく,これからの暑い季節でも,この放熱能力なら支障なく動いてくれそうに思う。
 ただ,Monitoring dataの温度変化を見る限りでは,負荷の高いゲームを「高パフォーマンス」でプレイするのは,涼しい時期に限ったほうがよさそうである。

Galaxy S8+におけるSling Shot Extreme Unlimitedの細目スコア(左)と「Monitoring data」グラフ(右)
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比較の対象にした,Moto G5 PlusにおけるStorage testの細目スコア
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 PCMark for AndroidのStorage testのスコアは「5344」。このテストで良好なスコアを記録したモトローラのミドルクラス市場向け「Moto G5 Plus」が「5510」だったので,それよりは低い。
 細目を見てみると,「Internal sequential read」と「Internal sequential write」,「External sequential write」といった逐次読み書き系の項目は,Galaxy S8+のほうが高いスコアを記録しているが,「Internal random write」「External random write」といったランダム書き込み系が極端なほど低く,結果として総合スコアがMoto G5 Plusより低い結果となったようだ。
 体感では,アプリの読み出しやOSの操作はMoto G5 Plusよりも快適であり,ハイエンド端末に相応しい性能を有しているように思えた。「Fate/Grand Order」の読み込み速度が気になるところだ。

Galaxy S8+におけるStorage testの細目スコア(左)と「Monitoring data」グラフ(右)
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 CPU-Zでチェックしてみたところ,CPU 0〜CPU 3までの4基と,CPU 4〜CPU 7までの4基の2群に分かれたbig.LITTLE構成であることが確認できた。
 軽く負荷をかけた直後に見ると,big側と思われるCPU 0〜CPU 3の動作クロックは300〜1171MHzまでと大きく変動するのに対して,LITTLE側と思われるCPU 4〜CPU 7は,902MHzに貼り付いたままだった。
 一方,GPUコアのAdreno 540は,動作クロックが257MHzのまま変動する様子がなく,CPU-Zがクロックの変動を正しく取得できていないようだ。

CPU-Zで動作クロックをチェックしている様子。CPU 0〜CPU 3の動作クロックは,300MHz(左)から1036MHz(右)の範囲で変動していた
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ぺしぺしIkinaの結果は「83」。62タップめまでは飽和が発生しなかった
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 ぺしぺしIkinaは,93〜96になるよう連打して「83」。62タップめまでストレートに伸びていったが,以降は断続的に飽和が発生していた。このような結果であれば,断続的な入力が続くゲーム――といってもリズムゲーム以外ではあまりないが――でも安心だ。

18.5:9という特異なアスペクト比であるため,デレステを表示すると,左右端に黒帯の部分ができてしまう。ゲームのプレイに支障はなかった。楓さん,第6回シンデレラガール総選挙第1位,おめでとうございます!
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 さて,デレステの結果だが,チュートリアル時の判定は当然の「3D標準」で,実プレイでも,もたつきや取得漏れがなく快適だった。長時間のダウンロード後に3回連続でプレイをしてみたが,プレイフィールに変化はなく,好印象を受けた。充電ケーブルをつないだままのテストだったが,SoCやバッテリー充電によるノイズが,タッチパネルに影響を及ぼすことはないと見ていいだろう。
 ちなみに,タイミング調整は+16〜+18で,Android端末としては良好なほうである。むしろ気になったのは,横持ちではアスペクト比18.5:9にもなる横長な有機ELパネルの中央付近が,親指プレイスタイルである筆者にはタップしにくく感じたことだ。Galaxy S8+のサイズでは,最近増えつつあるリズムゲームをプレイするには横長すぎる面はあるかもしれない。
 そう考えると,ほぼ同じスペックで一回り小さいGalaxy S8のほうがゲーム用途には適当,と感じる人もいるのではないだろうか。

ややジャギーは目立つが,発色は良好である
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今夏に機種変更を考えているなら,第1候補にする価値のある製品だ


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 バッテリーの発火問題でブランドイメージまで傷付けた「Galaxy Note 7」の一件があったからか,「悪いイメージを払拭してみせる!」とでもいうような開発陣の意気込みを感じるくらい,S8シリーズは仕上がりの良い端末となっている。
 Galaxy S7 edgeまでは,ゲームプレイ時の懸念だったエッジスクリーンの誤入力も回避可能となり,ゲームタイトルによっては,マルチウインドウのままプレイも可能な縦長スクリーンも魅力的と,ゲーム用途でも死角のない製品と言っていいだろう。
 縦長スクリーンが手に合うかどうかは,個人によって評価が変わると思うので,店頭で横持ち状態での操作感を確認してから選んでほしい。デレステは,量販店の端末にインストールされていることも多いので,高負荷時の挙動をチェックすることもできるだろう。

 Snapdragon 820搭載機と比較すると,大きな変化を感じにくいだろうが,1年半以上前のスマートフォンからの機種変更であるなら,S8シリーズは選択肢の筆頭に置いていい製品だ。

●Galaxy S8+ SC-03Jの主なスペック
  • メーカー:Samsung Electronics
  • OS:Android 7.0(Nougat)
  • ディスプレイパネル:6.2インチ有機EL,解像度1440×2960ドット
  • プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 835」(MSM8998,「Kryo」CPU(オクタコア,最大CPU動作クロック2.35GHz)+「Adreno 540」GPU)
  • メインメモリ容量:4GB
  • ストレージ:内蔵(容量64GB)+microSDXC(最大容量256GB)
  • アウトカメラ:有効画素数約1200万画素(デュアルピクセル),F値1.7
  • インカメラ:有効画素数約800万画素,F値1.7
  • バッテリー容量:3500mAh
  • 公称最大通信速度:受信時 788Mbps,送信時 50Mbps
  • 対応LTEバンド:未公開
  • 対応3Gバンド:未公開
  • SIMカードスロット:nanoSIM(nanoUIM)
  • 待受時間:約390時間(LTE)
  • 連続通話時間:約1430分(LTE)
  • 無線LAN対応:未公開
  • Bluetooth対応:5.0
  • USBポート:Type-C
  • 本体公称サイズ:73(W)×160(D)×8.1(H)mm
  • 本体公称重量:約173g
  • 本体カラー:Midnight Black,Arctic Silver
  • 主な対応サービス&機能:VoLTE,VoLTE(HD+),おサイフケータイ,防水(IPX5,8),防塵(IP6X),指紋認証,虹彩認証,顔認証,ワンセグ,フルセグ,ハイレゾ音楽再生,HDR動画再生

●Galaxy S8 SC-02Jの主なスペック
  • メーカー:Samsung Electronics
  • OS:Android 7.0(Nougat)
  • ディスプレイパネル:5.8インチ有機EL,解像度1440×2960ドット
  • プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 835」(MSM8998,「Kryo」CPU(オクタコア,最大CPU動作クロック2.35GHz)+「Adreno 540」GPU)
  • メインメモリ容量:4GB
  • ストレージ:内蔵(容量64GB)+microSDXC(最大容量256GB)
  • アウトカメラ:有効画素数約1220万画素(デュアルピクセル),F値1.7
  • インカメラ:有効画素数約800万画素,F値1.7
  • バッテリー容量:3000mAh
  • 公称最大通信速度:受信時 500Mbps,送信時 50Mbps
  • 対応LTEバンド:未公開
  • 対応3Gバンド:未公開
  • SIMカードスロット:nanoSIM(nanoUIM)
  • 待受時間:約340時間(LTE)
  • 連続通話時間:約1250分(LTE)
  • 無線LAN対応:未公開
  • Bluetooth対応:5.0
  • USBポート:Type-C
  • 本体公称サイズ:68(W)×149(D)×8.0(H)mm
  • 本体公称重量:約150g
  • 本体カラー:Midnight Black,Orchid Gray,Coral Blue
  • 主な対応サービス&機能:VoLTE,VoLTE(HD+),おサイフケータイ,防水(IPX5,8),防塵(IP6X),指紋認証,虹彩認証,顔認証,ワンセグ,フルセグ,ハイレゾ音楽再生,HDR動画再生

NTTドコモのGalaxy S8+ 製品情報ページ

NTTドコモのGalaxy S8 製品情報ページ

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