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印刷2012/03/16 21:31

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稲船敬二氏はソーシャルゲームの戦国時代を勝ち抜き“神”の座を狙う? 「OGC 2012」の基調講演「ゲーム製作における新たな“判断!”」レポート

稲船敬二氏はソーシャルゲームの戦国時代を勝ち抜き“神”の座を狙う? 「OGC 2012」の基調講演「ゲーム製作における新たな“判断!”」レポート
 2012年3月16日,一般社団法人ブロードバンド推進協議会(BBA)は,ブロードバンドコンテンツの総合カンファレンス「OGC 2012」を,東京都内で開催した。このカンファレンスでは,昨今におけるスマートフォンの急速な普及とソーシャルゲームに代表されるSNSをベースとした新しいコンテンツの台頭を鑑み,「新たなプラットフォームの可能性」「強力な魅力を持つゲームの力」「ゲーミフィケーションへの広がり」の3つを軸に,モバイル/ブロードバンドコンテンツの今後の可能性を探るセッションが行われた。
 本記事では,comcept CEO/コンセプターの稲船敬二氏による基調講演「ゲーム製作における新たな“判断!”」で語られた内容をお伝えしよう。

comcept CEO/コンセプター 稲船敬二氏
 稲船氏は,日本のゲーム業界の将来を占ううえでは,まず日本と海外の違いや,それぞれのよい点と悪い点について考えることがヒントになるのではないかと語り,それは,今後ソーシャルゲームが成長していく過程でも同じだと述べる。

 続けて稲船氏は,日本人は教育が行き届いており,以前よりも学力が下がったとは言われているものの,平均して頭がよく,とくに算数/数学が得意な人が多いと語る。氏自身についていえば,算数を得意としていたのだが,それが数学に代わったタイミングで苦手になってしまったそうだ。というのは,学校での授業の進め方が,理論を教えるのではなく,方程式を覚えて,そこに数値を当てはめていくような内容に変わってしまったからだという。

 稲船氏は,日本人は算数が得意で簡単に計算ができてしまうがゆえに,引き算でビジネスをしようとすると警鐘を鳴らす。例えば,日本で700円の品物を買うために1000円札を出した場合,店員は即座にお釣りを300円と計算する。これは引き算の考え方だ。
 しかし,北米で7ドルの品物を買うために10ドル札を出した場合には,店員が1ドル札を1枚ずつ出しながら「8,9,10ドル」というような形でお釣りを出してくるケースもある。これはつまり,7ドルの品物に3ドルのお釣りを足して客の出した10ドル札と等価にするという足し算の考え方である。

 こうした日本と北米の違いは,コンシューマゲームのビジネスにも表れていると,稲船氏は指摘する。例えば,あるゲームの企画があった場合に,日本の経営陣が最初に求めるデータは類似のタイトルがどのくらい売上を出したかである。3億円の売上があったとすれば,1億円で同じような内容を開発できるなら,2億円は利益となると見込める。もちろんそれは単純計算なので,実際には広告宣伝費なども含めなければならないが,それでも1億円以上の利益は出るだろう……。つまり日本の経営陣は,最低限いくら売れるから,そのために使える開発費の上限はいくら,経費はいくらと引いていって,残った額が利益となる引き算の考え方をするというわけである。この考え方に基づくと,利益を大きくするためには開発費を削ることになるのだ。

 翻って北米をはじめとする海外はどうか。稲船氏はいいゲームを作るためにどんどん足し算をしていくと説明する。例えば「Call of Duty」シリーズなどは,作を重ねるごとに要素やコンテンツを足しており,その開発に50億かかろうが60億かかろうが,結果として300億儲かればいいという考え方をした結果,大ボリュームでメガセールスを誇るタイトルが生まれているというわけである。
 以上を踏まえて,稲船氏は,日本の経営陣には足し算で多額の開発費を投じる勇気がないと指摘する。

 それでは,最もリスクが少ない足し算とは何か。それはゼロから足していくことであり,ゲーム開発においては,「企画」にいくら予算を投じられるかだけを決めて,それに沿って開発を進めていくことだと稲船氏は語る。さらに,新しいジャンルとして登場したソーシャルゲームには,いくら儲かるという基準がなかったため,これまではゼロから足していく状態だったと続ける。グリーもディー・エヌ・エーも儲かる基準がないまま足し算の考え方で試行錯誤し続けた結果,現状に至ったというわけだ。

 稲船氏は,そうしたグリー/ディー・エヌ・エーのこれまでの試行錯誤を,自身が経験した24年前のコンシューマゲーム黎明期のゲーム開発と重ね合わせる。当時はファミコン用ソフト1本でいくら儲かるから,開発費いくらで作れといったようなやり取りは一切なかったそうだ。稲船氏はそうやって日本のコンシューマゲームビジネスは大きくなっていき,引き算のビジネスができる母数となり,現状に至ったと説明。今後,ソーシャルゲームも同じ道をたどる可能性があると指摘する。すなわち,急成長しているグリーやディー・エヌ・エーなどは,近い将来,ビジネス的に十分な母数に達したとき,引き算を始めるかもしれないというわけである。

 これまでの話をまとめて,稲船氏は,日本のゲーム業界で今求められているのは,足し算の考え方ではないかと自論を示す。ソーシャルゲームに関しても,ヒットしているタイトルの売上や,スマートフォンとフィーチャーフォンの普及率といった参考にすべきデータはあるが,それを引き算のために使ってしまうのは得策ではないとして,「自分達が面白いと思うゲームを作る」というコンシューマゲーム黎明期の初心に帰り,面白いアイデアを足し算していく時代なのではないかと,会場の聴講者達に呼びかけた。


 さらに稲船氏は,ヒットしているゲームのキャラクターだけを変えてリリースするような手法は,足し算とは言えず,引き算の考え方に近いと警告する。氏は,いいゲームを参考にするという考え方は間違っていないが,ただコピーするだけのような手法では多少儲かったとしても,すぐに飽きられ廃れてしまうと述べ,自分達の首を絞めていることにほかならず,ゲーム業界の発展には貢献しないとまとめた。

 それでは,次代を担うソーシャルゲームとはどのようなものなのか。稲船氏は,多くの売上を出すには足し算だけでは限界があると述べ,今度は掛け算の考え方を説明する。しかし,ゲームにゲームを掛けてもゲームしか生まれない。
 ならばゲームに何を掛けるか? そこで氏が提示するのは“リアル(現実)”である。稲船氏は,今のところゲームというバーチャルとリアルとをうまく融合できた例はないとし,“ソーシャル”という言葉には,そうした融合の意味も含まれているのではないかと話す。

 そもそもゲームとは一人で遊ぶものからスタートし,対戦/格闘ゲームで二人で遊ぶ楽しさが発見され,「モンスターハンター」のようにグループで遊ぶゲームが普及し,今や何千人何万人がワールドを共有するオンラインゲームを普通に遊べるようになっている。しかし,オンラインゲームにはバーチャルの中で人とつながるリアルは確かに存在するものの,本当の意味でのリアルはないと稲船氏は述べ,これからのソーシャルゲームには,いかにリアルを盛り込んでいくかが重要になると続ける。

 実際,稲船氏はソーシャルゲームにリアルを盛り込むための手法を考え,具体的に企画を進めているとのことだが,ビジネス上の理由から会場で詳細は明かされなかった。その代わり,氏はヒントとして,これまでどおりの知識の組み合わせではダメだと述べ,“年寄り×若者”“経験者×未経験者”という2つの掛け算を挙げる。すなわち,年寄りや経験者は,若者や未経験者から新しく柔軟なアイデアを引き出し,知識や経験を駆使してそのアイデアに深みや厚みを持たせたり,より市場にマッチするように軌道修正したりすればいいというわけである。

 そして稲船氏は,自身が以前から取り組んでいる“日本×海外”という掛け算を挙げ,各国の違いを認識し,長所を混ぜ合わせて化学反応を起こせば,さらにいいゲームが生まれるのではないかと期待を寄せていると話す。また,その過程においては大変だと感じる部分もあるが,それ以上に掛け算から生じた結果の大きな価値と比較すれば,取るに足りない程度の苦労であるとも話していた。

 そうした取り組みは,稲船氏自身の会社であるcomceptのプロジェクトでも実践されており,現在は未発表のものも含めて多彩な企業や業界とのコラボレーションを進めているという。コンシューマゲーム出身だから,コンシューマゲームだけ作っていればいいという姿勢は,引き算の考え方に近いと稲船氏は述べ,それでは結局カプコン時代以上のものを作り出すことはできないだろうと語る。
 そんな状態を他人から指摘されたくないし,氏自身もそうした状況に陥りたくないという考えから,掛け算もしくは足し算による凄い結果を求めて,未知の業界や未経験の分野に乗り出しているとのことである。ちなみに今は“稲船敬二×ソーシャルゲーム”が一番楽しいそうだ。

 ここで稲船氏は,これまでの自身の言葉を振り返り,「偉そうなことを言ってきたのだから,結果を出さないわけにはいかない」と述べる一方で,「でも,ステップアップのためにコピーのようなタイトルを出すことがあるかも」とも話し会場を沸かせた。もちろん,この発言の裏には基礎となる部分を理解したうえでなければ効果的な掛け算ができないという意図があり,恒常的にコピータイトルを垂れ流すという意味ではもちろんない。

 さらに稲船氏は,自身がコンシューマゲームで築き上げた実績が自身の母数であり,相手がそれを大きいと取るか小さいと取るかも重要であると話す。現在は,氏の母数を大きく評価している──すなわち氏を信頼している相手としかコラボしていないとのことだが,その理由の一つは掛け算して大きな成果を出すためであり,もう一つは氏自身のモチベーションを高めるためであるという。稲船氏は,氏を信頼して任せてくれるならモチベーションが高まり,さらにいい成果を出すことに繋がるだろうと話していた。

 講演の終盤で,稲船氏は,いいアイデアを持っていても,成功する人とそうでない人がいることに言及する。氏は「自分ごときが考えつくアイデアは,同時に誰かが考えているはず」と考え,とにかく早く実現することを心がけるそうだ。
 例えば,ゲーム開発の場合は,アイデアを思いついてからGOサインが出るまでに,膨大な企画書の作成と通さなければならない会議,試作開発,マーケティング調査など,大企業であるほど通過しなければならない関門があり,1年以上も時間が掛かってしまうケースがあるのだが,流れの速いソーシャルゲームではその間に他社に出し抜かれてしまうこともありうる。

 稲船氏は,ソーシャルゲームなら思いついた瞬間から2か月後にはサービスを提供し,細かいことはあとから考えるくらいのスピード感が必要と述べ,,「面白いアイデアだから慎重に進めよう」といった考え方はもってのほかと指摘。「いいか悪いか」ではなく「やるかやらないか,しかも基本やる前提」で考えていかないと,いくらいいアイデアがあっても,絶対“勝てない”──すなわち成功しないと話し,昨今のグリーやディー・エヌ・エーの成功には,いいか悪いか分からないけれども,とにかくやってみようという姿勢があったからだと続ける。

 以上の話から,稲船氏は講演冒頭の自身が数学を苦手になったエピソードに立ち返り,大手ゲーム企業がソーシャルゲームに手を出してうまくいかないケースを,“コンシューマゲーム開発の方程式に,ソーシャルゲームを当てはめようとして失敗する例”と表現。「ソーシャルゲームは,方程式があるからそこに当てはめればいいというものではない」と話す。そして膨大な企画書などなくとも,紙1枚から想像をめぐらし成功のチャンスを見出すセンスの持ち主こそが必要であると述べ,それには過去の方程式にとらわれず,引き算ではなく足し算/掛け算のできる若い経営者が向いているとまとめた。

 最後に,稲船氏はコンシューマゲームにおける自身の実績への自負を語る一方で,それに甘えるつもりはないと断言。そして「ソーシャルゲーム業界に“神”はまだ存在しない。今,目指すべきはソーシャルゲームの神の座であり,そこにしか自分の望む実績はない」と述べ,数多のソーシャルゲーム開発者/デベロッパと切磋琢磨していくことを宣言し,大いに業界を盛り上げていくとして講演を締めくくった。
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