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印刷2012/03/13 10:05

インタビュー

ゼニマックス・アジアは,国産ゲームを世界に向けて発信する重要な役割を! Tango Gameworksの最新作で全世界500万本セールスを狙う両社のキーパーソンに,現状と今後の大いなる展望を聞いた

三上真司氏が率いるTango Gameworksは,「全世界で500万本セールス」を狙うAAAタイトルを開発中。現在,そのプロジェクトに関するキャリア(中途)募集が行われている
 ゼニマックス・アジアと聞いて,もしかしてピンと来ない読者もいるかもしれないが,その名のとおり,米ZeniMax Mediaの日本法人である。ZeniMax Mediaの子会社にあたるBethesda Softworksの傘下には,かの「The Elder Scrolls」シリーズや「Fallout」シリーズを手がけたBethesda Game Studiosをはじめ,id Software,Arkane Studiosといったデベロッパが名を連ねており,三上真司氏が率いる日本のTango Gameworksもその一つだ(関連記事)。

 あらためて紹介しておくと,三上氏は「バイオハザード」シリーズや「VANQUISH」PS3 / Xbox 360)などを手がけてきた,海外でも極めて高い評価を受けるゲームクリエイターである。氏の最新作は,現在Tango Gameworksにて開発中だが,現時点で,ゲームの概要などを公表することはできないとされている。

ゼニマックス・アジア ゼネラルマネージャーの高橋 徹氏(左)と,Tango Gameworks エグゼクティブプロデューサーの三上真司氏(右)

 今回,4Gamerではゼニマックス・アジア ゼネラルマネージャーの高橋 徹氏に同社およびZeniMax Mediaの取り組みや今後の展望を聞くとともに,三上氏に最新作の開発状況やTango Gameworksの現状などを聞いてみた。ゲームファンはぜひ目を通してほしい。

「ゼニマックス・アジア」公式サイト

「Tango Gameworks」公式サイト



「Rage」「Skyrim」では「全世界同タイミング」

「同内容」のリリースにチャレンジ


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。ゼニマックス・アジアの今後の取り組みをうかがう前に,まずは2011年を振り返ってみての所感を教えてください。

高橋 徹氏(以下,高橋氏):
 2011年は,日本では4本の新規タイトルをリリースしました。夏に「Brink」PS3 / Xbox 360「Hunted: The Demon's Forge」PS3 / Xbox 360),10月に「Rage」PS3 / Xbox 360),そして12月には「The Elder Scrolls V: Skyrim」PS3 / Xbox 360 以下,Skyrim)ですね。最初の2本は発売を延期したこともあって,プレイヤーの皆さんにはご迷惑をおかけすることにもなりました。出だしはそんな感じであまりいいとは言えない状況でしたが,最後はSkyrimの発売という,いい形で終われたんじゃないでしょうか。

4Gamer:
 4タイトルを手がける中で,いくつかチャレンジもあったかと思うのですが。

高橋氏:
 Rageに関しては,初の試みとして世界同時発売──正確には同週発売でしたが──と,規制による表現の改変をしない同内容でのリリースにチャレンジしました。またSkyrimは,欧米でのリリースからは約1か月遅れましたが,あれだけのボリュームのものをフルローカライズできました。
 そういう意味では,ローカライズチームが掲げてきた“全世界で同じタイミング,同じ内容”という目標は,割と達成できたのかな,と。

4Gamer:
 いわゆる洋ゲータイトルは,ジワ売れと言いますか,ロングテール型のセールスになるイメージがありますけれども,そういった面はどうでしょう。

高橋氏:
 うーん,両極端です。発売週勝負で結果が出てしまうケースもありますし(笑)。ただ,Skyrimに関しては,2012年に入っても非常に好調です。さすがに発売から3か月経つ今ではかなり落ち着いてきましたけれど,まだまだ伸びる感じですね。

4Gamer:
 Skyrimは売り上げも含めて,内容的にも世間の話題的にも大満足という感じでしょうか。

高橋氏:
 かなり満足はしていますが,大満足ではないですね。発売タイミングと内容,売上本数を前作と比較すると合格ではありますが,まだまだプレイヤーさんから指摘される点が残っています。ここで100点を与えてしまっては,我々の成長が止まってしまいますからね。

4Gamer:
 クリアすべき課題には,どんなものがありますか?

高橋氏:
 時間とクオリティのバランスですね。欧米から遅れないようにするには,クオリティ面で妥協する部分が出てきますし,逆もまた然りです。100%の両立はどうしても不可能なので,どこでバランスを取るかを考えなければなりません。
 とはいえこういった話は,プレイヤーさんにとっては言い訳でしかありません。限られた時間の中でいかにクオリティを上げていくかは,常につきまとう課題です。

4Gamer:
 3月上旬には,Skyrimのパッチ 1.4が配信されましたが,そういったパッチやDLCのリリースは今後どういった予定になっているのでしょうか。

高橋氏:
 パッチもDLCも,海外でリリースされるもののすべてを日本で展開します。具体的な内容については,その都度アナウンスします。
 またパッチは1.4に引き続き,1.5の準備を進めています。日本ではパッチのリリースが遅いとの指摘もありますが,実はローカライズ作業自体にはそれほど時間は掛からないんです。ただ作業として,海外でのパッチが完成するのを待ってローカライズするという手順を踏まなければなりませんから,どうしても時間的なズレが発生してしまいます。日本ではリリースしないということはありませんので,その点はご安心ください。

4Gamer:
 ちなみにSkyrimのパッケージを,Tango Gameworksの全スタッフにプレゼントされたとのことですが。

高橋氏:
 ああ,コレクターズ エディションですね。

4Gamer:
 三上さんはSkyrimをプレイして,いかがでした?

三上真司氏(以下,三上氏):
 かなりの出来で,クリエイターとして刺激されました。また,自分で遊んでみて面白いと思えるゲームは久しぶりで,クオリティ的には相当満足しています。

4Gamer:
 なるほど。いちプレイヤーとしても楽しめたわけですね。



2012年以降は各タイトルの情報提供も全世界同タイミングを目指す


4Gamer:
 それではゼニマックス・アジアの2012年の展開について教えてください。

高橋氏:
 まずは3月に「Fallout: New Vegas Ultimate Edition」を,続いて4月に数タイトルの廉価版をリリースします。
 新規タイトルでは「Dishonored」PS3 / Xbox 360)が確定しており,今のところ2012年内にリリースできる見込みです。ゲーム内容については近々,あらためて発表しますのでご期待ください。

4Gamer:
 Dishonoredの開発の進捗は順調ですか?

高橋氏:
 実機で動くプレイアブルバージョンは届いていますが,まだローカライズには着手していません。シナリオやボイスがある程度確定しないと,二度手間三度手間になってしまいますから。

4Gamer:
 公式サイトでは,すでに「JAPANESE」の項目が用意されて,日本語でも情報を公開しているので,もうローカライズも進んでいるのかと思っていたのですが。

高橋氏:
 実は,公式サイトにおける日本語の情報提供には一つの狙いがあるんです。これまでZeniMax Mediaでは公式サイトにJAPANESEの項目を置かず,日本だけゼニマックス・アジアが独自のタイミングで,独自の情報を出してきました。
 しかし2012年は,日本でも海外と足並みを揃えて,すべて同時進行しようという課題を掲げています。これまでは市場が小さいことなどを理由に,日本は後回しにされたりもしていたのですが,2012年からは全世界一斉にやっていきましょう,と。

4Gamer:
 その試みは,2012年以降リリースされる全タイトルに適用されるのですか?

高橋氏:
 方向性としてはそうです。そこで,まずDishonoredで一度チャレンジしてみようということになりました。
 理由の一つは,今や日本語ローカライズも,フランス語やドイツ語といった欧州言語とほぼ同じタイミングで実行できる体制が整ったことにあります。
 そしてもう一つの理由は,情報の発信がネット中心になったことにあります。例えば,洋ゲーでは欧米で発信された情報を個人/法人問わずさまざまなサイトが拾って,我々のような日本でのパブリッシャよりも先に広めてしまうケースがありますよね。

4Gamer:
 ええ,4Gamerでもしばしば海外ニュースとして取り上げています。

高橋氏:
 ところがそういったケースでは,翻訳の段階で情報が捻じ曲がってしまうこともあります。実際,原文とは正反対の意味で広まってしまったような情報もありました。
 そこで全世界同じタイミングで公式情報を発信することにより,誤った情報の拡散を防ごうというわけなんです。さらに言うと,この試みの最も大きな理由は,Tango Gameworksが現在開発しているタイトルにあります。

4Gamer:
 と言いますと?

高橋氏:
 これまでゼニマックス・アジアは,ZeniMax Mediaの扱う海外開発タイトルを日本市場で売っていくということをやってきました。しかしTango Gameworksタイトルの場合は,日本で開発したものを,日本も含めた全世界で売っていくことになります。

4Gamer:
 なるほど。これまでとは異なる展開なんですね。

高橋氏:
 そのときに,例えば日本の有力メディアにTango Gameworksタイトルの情報を先行で出してしまうと,今までの日本における洋ゲーと同じ現象が海外で発生してしまいかねません。

4Gamer:
 日本で出た先行情報が,捻じ曲がって海外に伝わってしまう恐れがあるんですね。

高橋氏:
 それはあってはならないことです。とはいえ,こういったことはいきなりやろうと思っても予想外のアクシデントが発生するものです。そこで,実際にTango Gameworksタイトルの情報を発信する前から,段階を踏んで全世界的に足並みを揃え,起こり得る問題を洗い出しておこうというわけなんです。

4Gamer:
 言い方はよくないかもしれませんが,Dishonored以降における世界同時情報発信の試みは,Tango Gameworksタイトルのリリースに向けたテストケースのようなイメージですか。

高橋氏:
 ある意味では,そうですね。さらに言うなら,そうした過程を経て“真の意味でのワールドワイドパブリッシャ”を目指そうというZeniMax Mediaの取り組みです。


Tango Gameworksでは“三上真司が手がける最大級のタイトル”を開発中?


4Gamer:
 実のところ,今日はTango Gameworksがどんなタイトルを開発しているのか少しは聞けるかと思っていたのですが,これまでの話の流れを踏まえると難しそうですね。中途半端な情報だけでは,誤解が生まれそうですから(笑)。

高橋氏:
 2013年以降のリリースということだけは確実です。2012年内のリリースは,まずありません(笑)。

4Gamer:
 三上さんが手がけてきたタイトルというと,どれもインパクトがあって,新しいジャンルのさきがけになるようなものばかりという印象があります。

三上氏:
 僕からすると,普通のものから尖ったものまで,多くのバリエーションを手がけてきましたけれどね。

4Gamer:
 「やり残したことがある」とおっしゃっていたタイトルもありますよね。「P.N.03」とか。

三上氏:
 ああ,アレは結構つらい思いをしたタイトルでした。というのも,大きな企業だと,どうしても各期ごとに達成しなければならない数字があるわけです。ところが看板タイトルの場合はクオリティ面も譲るわけにはいかないので,どうしても当初のスケジュールどおりに進まず,開発が期をまたいでしまいます。そうなると,営業スタッフにも大きな迷惑をかけてしまうわけですよ。

4Gamer:
 営業スタッフにとっては,そもそも商材となるゲームがなければ数字の出しようがないですからね。

三上氏:
 そこで頑張っている営業スタッフに向けて,「僕らも数字のことを気にかけています」という姿勢を示すために,短いスケジュールで結果を出せるような企画を立てるわけです。クリエイターとしては動機が不純ですよね。
 もう時効だと思うんで話しますが,まさにP.N.03がそうでした。手からビームが出るようにしたのも,工数的に銃のアニメーションを一つ一つ作っていては間に合わないという実情があったからだし,もっと言えば最初は人型のキャラクターを動かすのも無理という話だったんですよ。

4Gamer:
 え,そうだったんですか?

三上氏:
 ええ。最初はロボットで作ってみたんですが,実際に操作したら「これはないな」「お客さんが満足するものにはならんぞ」と(笑)。そこで当時研究していた人型のキャラクターを突貫工事でシェイプして,プレイアブルキャラに仕立てたんです。

高橋氏:
 そんなこと,言っちゃっていいんですか?

三上氏:
 時効だから話せるんですよ(笑)。あの当時だったら,こんなことは言えないですし,お客さんにとっては,僕らが何を話そうが言い訳ですからね。やり残したことがあるどころか,もう本当に大変でした。


4Gamer:
 もちろん,今,Tango Gameworksで開発しているのは,そういった必要に迫られて作るタイトルではなく……。

三上氏:
 ええ,作りたいものをクオリティ重視で作っています。開発の進捗を話すと,今はベースのミドルウェアやエンジンをゴリゴリいじるといった,ゲームの土台作りが一通り終わる段階に差し掛かっています。ゲームの基本形やグラフィックスの方向性を決める映像もボチボチ上がってきました。ここからどんどんクオリティを上げていきます。

4Gamer:
 ゲームエンジンは自社開発ですか? それとも既存のものでしょうか。

三上氏:
 既存のエンジンですが,かなりカスタマイズして自社エンジン寄りにしています。

4Gamer:
 何人くらいで開発作業をしてるんでしょうか。

三上氏:
 今は65人体制ですが,ここからさらに人員を増やしていきます。人数ベースでは,僕が携わってきたタイトルの中では,最終的に恐らく最大規模のプロジェクトになります。

4Gamer:
 プロジェクト内の雰囲気はどうでしょう?

三上氏:
 一から新しく作った組織で,皆,楽しくやっていますよ。

4Gamer:
 確かに,Tango Gameworksの公式サイトを見ると皆楽しそうです(笑)。

三上氏:
 まあアレだけで判断されても困りますけどね。皆が鼻血を出しながら仕事をしているわけじゃないし(笑)。

Tango Gameworksのスタッフ紹介ページ。三上氏だけでなく,全スタッフの(鼻血を出した状態の)似顔絵が掲載されている
4Gamer:
 あの公式サイトのスタッフ紹介で,皆が鼻血を出しているのに理由はあるんですか?

三上氏:
 アレはイラストを描いたデザイナーの仕業で,僕にも意図は分かりません。まあインパクトを出したかったんでしょうね。面白いから僕はOKにしたんですけど,社内でも賛否ありますよ。プログラマーの一人からは,「僕だったら皆が鼻血を出しているような会社には入りません」と言われました(笑)。
 実はアレで,リアルに取り逃した人もいるという噂もあるんですよね。「あんなノリについていかなあかんのか」と,履歴書を出すのを止めた人が4〜5人いるとか。

4Gamer:
 まぁそういう方がいても仕方のないインパクトですし。

三上氏:
 恐らく数人は本当にいるんでしょうね。
 ともあれ,社内では仕事に対しては皆シビアだし,真剣ですよ。一人一人がモノ作りに対して前向きになれるような環境を心がけているので,しんどいながらも楽しくやれている状態です。

4Gamer:
 開発の進行はどういった形式なんですか?

三上氏:
 全体の流れとしてはトップダウンではなく,大まかなところだけ決めておいて,細かいところは各自に任せるというスタイルを取っています。受注した仕事を期限までに仕上げるだけの世界ではないので,やりがいのある環境だと思います。そのかわり,自由が与えられる分,各自に責任が生じるというか。Tango Gameworksではそういった文化を構築しています。

4Gamer:
 なるほど。何となくではなく,社内文化として明確に確立していくわけですか。

三上氏:
 例えばAAAといわれるような大きな規模のタイトルを作ろうとすると,やはり資金繰りが大変なんですよ。とはいえ,開発スタッフ一人一人がそれを気にしすぎるのもあまりよろしくありません。そういった余計なところに神経を使わず,開発に専念できるような環境を目指していますし,実際に整ってきました。



深刻なプログラマー不足に悩まされるTango Gameworks

他業種も含め絶賛人材募集中!


4Gamer:
 環境が整っていく中で,見えてきた課題もあるかと思うのですが。

現在Tango Gameworksでは,プログラマーをはじめとした各種スタッフの募集が行われている。AAAタイトルの開発に興味のある,腕に覚えのある人は,奮ってご応募を
三上氏:
 課題とはちょっと違いますが,今はプログラマーが全然足りない状態です。タスクが溜まっていて,依頼した仕事にプログラマーが手をつけるまで1〜2か月待ちなんてこともあります。
 おまけに日本では,有望な人材もソーシャル系に行ってしまって……。それが悪いとは言いませんが,一度そっちに行ってしまった人が,もう一度HDゲームを作ろうと思っても,技術的に難しくなってしまうんですよね。

4Gamer:
 一度,コンシューマの現場を離れてしまうと,技術的に追いつけなくなるということですか。

三上氏:
 そうです。したがって,もっと自分の技術を高めたいと考える人にとって,Tango Gameworksに入ることはいいチャンスだと思うんですよ。当然,開発にはいくつかの制約がありますが,基本的にクオリティを重視して進めていますから。

4Gamer:
 現在,Tango Gameworksでは,プログラマーをはじめとしてスタッフを募集していますよね。三上さんは,どんな人材を必要としていますか?

三上氏:
 平たく言えば,ゲーム作りが好きな人です。お金のためだけでなく,それ以上に夢とかロマン,ゲームに対するこだわりと熱い思いを持っている人,というのが大前提です。
 そしてもう一つ,自分の持っている技術に自信があって,もっともっと高められる場所を求めている人ですね。Tango Gameworksには,その両面を備えている人がほしいです。

4Gamer:
 常にモチベーションを高く保てる人材が望ましいわけですね。

三上氏:
 Tango Gameworksでは,これまで僕自身が作り出してきた“やりたいことを自由にできる”環境をさらに発展させていますから,モチベーションの高い人にはマッチすると思います。
 例えばプログラマーといっても一昔前とは全然違うんですよ。もともと持っている技術が高くとも,周囲がどんどん進歩していきますから,向学心がないとすぐに置いていかれてしまうんです。

4Gamer:
 なるほど。

三上氏:
 ただ,社内ではセクションごとに好き放題やっているので,まとめる側としてはちょっと困っていますけれども。僕が最初に「自由な会社にする」と言っちゃいましたからね(笑)。

4Gamer:
 あまり自由を強調し過ぎると,勘違いした人が応募してくるかもしれませんね(笑)。

三上氏:
 実際,結果さえ出してくれれば,多少は目をつぶります。逆に,サボっていて成果が低い奴には「お前,結果出してへんやん」と,お互いに指摘しあうような環境にしたいんですよね。
 またTango Gameworksでは,ディレクターが神みたいに絶対的なポジションじゃないんです。大きな企業だと,自分のセクションのリーダーに話を持っていって,さらに上の部門に持っていってもらうというような手順が必要じゃないですか。Tango Gameworksでは,いちスタッフが,僕やディレクターに「こうしたい」という話が直接できる環境にしています。
 だから人数が増えると僕が大変になるんですよね。僕が忙しくて対応ができなくなると,No.2のところに話を持っていって,勝手に何か始めたりするわけです(笑)。

4Gamer:
 ……それで大丈夫なんですか?(笑)

三上氏:
 まあ,そこで「勝手にやんなや」と言うわけにもいかないじゃないですか。僕はクリエイターなんで,本音を言えば開発に関しては全部を把握しておきたいんですが,それをやってしまうと僕が忙しいせいで全体が回らなくなってしまいます。そこで,ある程度はそれぞれの裁量に任せて,あとから「あ,そうしたんか。なるほどね」とまずは受け入れて,軌道修正が必要なものは,そこからジワジワと時間をかけて納得してもらいながら修正していきます。

4Gamer:
 スタッフ紹介を見ていると錚々たるメンバーが集まっているので,三上さんも安心して任せられるという感じでしょうか。

三上氏:
 ええ,立ち上げたばかりの会社にこれだけのメンバーが集まるとは思っていなかった……と言うと嘘になりますね。思ってました(笑)。まあ人数としては少ないですが,一人一人は優れた人材です。

4Gamer:
 「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」PS3 / Xbox 360)の木村雅人さんをはじめ,本当に一騎当千の人達ばかりですよね。

三上氏:
 一騎当千と言うよりも,クセがある人達ですよ。普通の大企業には適さない人達と言うか(笑)。その代わり腕は皆一流です。


高橋氏:
 宣伝になっているのかどうか分からないビミョーな表現ですね(笑)。

4Gamer:
 ところで今,Tango Gameworksで稼動しているラインはいくつあるんですか?

三上氏:
 一つです。

4Gamer:
 将来的にラインを増やす予定はありますか?

三上氏:
 ZeniMax Mediaグループ内での話になるので今は何とも言えない部分ではあるのですが,個人的には複数ラインを持つのが理想です。一つは人を育てたり,やんちゃし放題だったりするライン,もう一つは多くのお客さんにきっちり満足を提供するラインという両輪を揃えたいですね。
 今はその前段階として,地に足をつけて実績を残すために1ラインに集中しています。

4Gamer:
 というと,今後は組織も大きくしていく方向ですか?

三上氏:
 いや,最大でも100人以内の規模を考えています。本来,ゲーム開発は人数が少ないほどいいんですよ。そのほうが自由度が高いですし,責任の所在も明確になりますし,コミュニケーションも取りやすくなります。究極的には,1人で作るのが一番楽しいですからね。
 ただ,大きな規模のタイトルを作ろうと考えると,100人くらいは必要かな,と。


日本発のゲームを世界の舞台で勝負させるべく

ゼニマックス・アジアが全面バックアップ


4Gamer:
 ところで高橋さんの中では,Tango Gameworksはどういう存在なんですか?

高橋氏:
 私はずっと洋ゲーばかりやってきて,いまこうして洋ゲーを売る立場にいるわけですが,その一方では日本のゲーム企業やクリエイターに頑張ってほしいという思いをずっと持っています。
 そういう意味では,Tango Gameworksタイトルは,日本でたくさん売るのはもちろんですけれども,それ以上に世界中の人達に届けなければなりません。Tango Gameworksがいいゲームを作るというのは大前提ですが,我々ゼニマックス・アジア,そしてZeniMax Mediaが全面的にバックアップする必要があります。

4Gamer:
 なるほど。Tango Gameworksが作る優れたゲームを,確実に世界に向けて発信し売っていく,と。

高橋氏:
 日本からも,いいゲームは結構出ていると思うんです。ところが現実は,売れても100万本とか200万本というレベルで終わってしまって,もったいないですよね。

4Gamer:
 100万本でもったいない,ですか……。

高橋氏:
 日本国内限定ならともかく,世界レベルでは失敗ですよ。

三上氏:
 海外では,全世界で500万本がヒットラインですから。

高橋氏:
 各タイトルの出来の良し悪しを最終的に判断するのはプレイヤーですが,世界における日本のタイトルは,その判断を下してもらうチャンスすら与えられていないというのが現状です。クリエイターは2〜3年という長い時間を掛けて一つのタイトルを作るわけですから,例え日本でボチボチ評価されても,世界という舞台での本当の勝負をさせてもらえていないという思いがあるんじゃないでしょうか。

4Gamer:
 なるほど。ゼニマックス・アジア/ZeniMax Mediaなら,Tango Gameworksタイトルを世界の舞台で勝負させられる,と。

高橋氏:
 ZeniMax Mediaは北米の企業ですし,Tango Gameworksはその社内スタジオですから,ゼニマックス・アジアも本当に気合を入れて売るしかないでしょう。ZeniMax Mediaの一員として,そして日本のゲーム業界の一員として今回のケースがどこまで結果を残せるか楽しみですね。

三上氏:
 僕ら開発側の人間からしても,いいモノを作りさえすれば,きちんと売ってもらえる体制が整っている現状は恵まれていると思います。これまで手がけたタイトルの中には,評価が高くとも売上本数が少ない──つまり,肝心のお客さんには届いていないというものもありましたから。

4Gamer:
 パートナーとなるパブリッシャの存在も重要なんですね。

高橋氏:
 同じものを売るにしても,それを押す力加減でかなり変わりますから。

三上氏:
 もちろん売りやすいものとそうでないものがありますから,ゲームの形が見え始めた頃から,開発とパブリッシャが協力しあっていくことは必要ですよね。開発側も「俺達は作りたいものを作る! 以上!」では,さすがに厳しい(笑)。

高橋氏:
 ZeniMax Mediaは,これまでBethesda Softworksタイトルのリリース本数が少なかったこともあって,一つ一つ力を入れて売ってきたという実績があります。
 さらにもう一つ,ZeniMax Mediaは非上場なんですよ。そういう意味で,上場企業よりも決算に対する縛りがきつくないんです。

4Gamer:
 「数字を達成するために,今期中にこのタイトルを絶対出せ!」というような事態が起こりにくいんですね。

高橋氏:
 そうです。だからといって,スケジュールを守らなくともよいという意味ではありませんけれど。

4Gamer:
 ちなみに,先ほど売りやすいタイトルかどうかという話が三上さんの口から出ましたが,高橋さんから見て開発中のTango Gameworksタイトルはどうですか?

高橋氏:
 三上真司という,世界で評価されるネームバリューがありますから,非常に期待しています。とくにゼニマックス・アジアとしては,「ようやく日本市場で商売ができる弾ができたな」という感じですね。Skyrimは売れたといっても,日本では20万〜30万本というところですが,Tangoタイトルではその1段も2段も上のステップ,日本で50万本,100万本のセールスを目指しています。

4Gamer:
 具体的にどんな内容のゲームなのか全然分からないので,想像が膨らむばかりです。

高橋氏:
 10億円くれるなら,どんなゲームか話してもいいかな(笑)。
 どうしても知りたい人は,Tango Gameworksに履歴書を送ってくれればいいんですよ。

三上氏:
 採用されて内部に入ってしまえば,情報はオープンですからね。自分の技術をさらに磨きたいというモチベーションの高い人の応募を待っています。

4Gamer:
 なるほど。このインタビューが縁となって,優れた人材がTango Gameworksに集まることを願っています。本日はありがとうございました。


果たしてTango Gameworksは,どのような「世界に通用するAAAタイトル」を開発しているのだろうか。今回のスタッフ募集で多くの即戦力が集まり,開発作業の効率化につながることに期待したい
 ゼニマックス・アジア/ZeniMax Mediaの意向もあって,最も気になるTango Gameworks最新作の情報についてはあまり聞き出せなかったわけだが,三上氏の発言から,全力かつ楽しみながら開発に取り組んでいるスタッフ各人の姿勢が,このインタビューから伝われば幸いである。
 また高橋氏が語るZeniMax Mediaの今後のプロモーション戦略も,常に最新タイトルの情報を追いかけずにはいられないコアゲーマーにとっては喜ばしいことだろう。4Gamerとしても,パブリッシャから正確な情報が適切なタイミングで発信されることで,それぞれのタイトルに対する関心を持つ人が増えることに期待したいところだ。

 なおインタビュー中にもあるとおり,Tango Gameworksでは,現在,ゲーム開発スタッフを募集している。この記事を読んで,同社のゲーム開発に向かう姿勢に共感し,我こそはと思う人は,ぜひチャレンジしてみてほしい。

「ゼニマックス・アジア」公式サイト


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