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その憤怒は静まることなし。「ASURA\'S WRATH」を手がけるカプコン土屋氏とサイバーコネクトツー松山氏にE3会場で突撃インタビューを敢行
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印刷2011/06/17 00:00

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その憤怒は静まることなし。「ASURA'S WRATH」を手がけるカプコン土屋氏とサイバーコネクトツー松山氏にE3会場で突撃インタビューを敢行

画像集#003のサムネイル/その憤怒は静まることなし。「ASURA'S WRATH」を手がけるカプコン土屋氏とサイバーコネクトツー松山氏にE3会場で突撃インタビューを敢行
 カプコンとサイバーコネクトツーが共同で開発を進める「ASURA'S WRATH」PlayStation 3 / Xbox 360)のデモ版が,E3 2011のカプコンブース内に設置されたクローズドエリアにてプレイアブル出展されていた。

 デモ版のインプレッションは,「こちら」の記事ですでにお伝えしたとおり。その印象を一言で表すのは非常に難しいが,あえて表現するならば,かなりテンション高めのぶっ飛んだ作品といったところだ。

 今回は,E3の会場に居合わせた本作のプロデューサー土屋和弘氏と,サイバーコネクトツーの代表取締役社長である松山 洋氏に対して行ったインタビューの模様を紹介しよう。カプコンとサイバーコネクトツーが手を取り合うことになった経緯や,二人が本作に込める思いなどを,30分という短い時間のなかで可能な限り聞いてきた。

カプコンとサイバーコネクトツーは似ている?


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まず,カプコンとサイバーコネクトツーが一緒に制作を担うというのは,いつ頃決まったんでしょうか。

土屋和弘氏
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土屋和弘氏(以下,土屋氏):
 大体3年くらい前になりますね。元々うちの開発陣が,昔からサイバーコネクトツーさんのタイトルを意識していたんですよ。とにかくオリジナリティがある。たとえば「.hack//」シリーズなんて,オリジナルであれだけのクオリティのものを作り上げてますよね。「NARUTO−ナルト− ナルティメット」シリーズの映像演出も,本当にすごいクオリティじゃないですか。

松山 洋氏(以下,松山氏):
 いやいや(笑)。

土屋氏:
 とにかく,社内でサイバーコネクトツーというスタジオの力量ってものすごいんじゃないかという話になって。カプコンのディレクタークラスの人間からは,ああいうゲームを作られてくやしいなんて言う声も聞こえてくるくらいだった。その中で,「そんなに意識するなら一緒に作ればいいんじゃないの?」という流れに……。

松山氏:
 きっかけはカプコンの竹内 潤氏(※カプコン大阪制作部の部長)なんですよ。実は彼と私は同じ歳で長いつきあいなんですけど,3年くらい前にいきなり彼が「福岡行くから」って突然やってきたんです。で,いつもどおりご飯を食べていたんですけど,そこでいろいろとお互いのことを知ろうという話になった。それは仲のいい友達としてではなくて,サイバーコネクトツーと,カプコンという会社同士のお付き合いとしてね。

4Gamer:
 「バイオハザード5」や「ロスト プラネット 2」を手がけた竹内さんと話始めたのが発端ということですか。

松山氏:
 そう。で,その次は「モンスターハンター」の辻本良三氏が,イベントのついでに福岡寄るからって言ってきて,またご飯食べて話をして。立て続けに,「デビル メイ クライ 4」を開発中の小林裕幸氏が遊びにきて。そういう流れの中でお互いの開発室とかも見せ合ったんですが,そのときにカプコンとサイバーコネクトツーは似ているなと思ったんです。

4Gamer:
 似ているというのは精神的に,という意味ですか?


松山 洋氏
画像集#002のサムネイル/その憤怒は静まることなし。「ASURA'S WRATH」を手がけるカプコン土屋氏とサイバーコネクトツー松山氏にE3会場で突撃インタビューを敢行
松山氏:
 精神的にもそうですし。仕事のスタイルとか。カプコンという会社は,業界内でものすごく怖い場所だと言われているんですよ。中途半端なことをすると出入り禁止になるといった逸話があるほど。生半可な覚悟でカプコンに行ったらあかんぞ……っていう話をデベロッパ仲間から聞くんだから。

土屋氏:
 確かにそういう噂はありますけど,誰が言い始めたんでしょうね(笑)。

松山氏:
 でも実際にカプコンにいってみたら,まず皆さんすごく気持ちよく挨拶してくださることに感動しましたよ。サイバーコネクトツーも挨拶に厳しい会社ですからね。ほかにも,開発室にパーティションがないところなども,サイバーコネクトツーと同じだった。

土屋氏:
 その辺りは確かにすごく似ていると思います。

松山氏:
 そう。仕事をするときも「こういう風にチーム分けてデバッグやるから」なんてことを,スタッフ同士で声をかけあいながら作業されている。ゲーム開発ってコミュニケーションじゃないですか。これだけ似たもの同士なら,お互い変な気を遣わずにちゃんと喧嘩もできる。それなら,そろそろ一緒にお仕事してみますかということに。ちなみに,ここまでくるのに1年かかってますけどね(笑)。

土屋氏:
 1年経ってしまったのは,お互いのタイミングを探り合っていたということもあるんですけどね。

4Gamer:
 ということは,開発も話し合いながらじっくりなされた?

松山氏:
 いや,実際やることが決まってからの流れは比較的早かったですよ。お互いがやることを一通りはわかり合えている状態からのスタートでしたからね。企画の段階から,お互いの良いところを活かす形になっていたと思います。

4Gamer:
 なるほど。ちなみに「ASURA'S WRATH」の発案はどなたが出されたんでしょう。

土屋氏:
 一番最初の企画はサイバーコネクトツーさんから出してもらいました。とりあえず,まず一番やってみたいものを一回出してみてくださいというお願いからスタートして,そこから練り上げたんです。今ではまったく原型がないんですけど,そこの“種”の部分はサイバーコネクトツーさんからのものですね。


松山氏:
 怒りを原動力とする企画であるというのは最初から書いてあったかな。

4Gamer:
 では,今の形になるまではカプコンとサイバーコネクトツーが共同して詰めていったということですか。

土屋氏:
 もちろんそうですね。

松山氏:
 実を言うと最初の頃は,ゲームのビルドもある程度組み上げて正統派のアクションゲームを作ろうとしていたんですよ。だって,カプコンから出す以上は変なアクションゲームは作れないわけですから。だからそこに注力していたんですけど,怒られちゃったんです。

土屋氏:
 普通のアクションを作るなってね。

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松山氏:
 そう。もう普通のアクションゲームは売るほどあるからいらんと。もっとサイバーコネクトツーの持ち味を活かした尖った刺激的なものを作ってくれって言われて。「いや……でもうちって映像演出に長けてる会社だから,そちら側からのアプローチになっちゃうんだけど……」って言ったら「それだ!」と返ってきて気づきましたよ。「そうやった,ここカプコンやった……」ってね。

土屋氏:
 サイバーコネクトツーさんには,カプコンには絶対作れないゲームを作る能力があるので,そこを前面に押し出してほしかった。うちに変な気を遣って作品を作る必要なんてまったくないでしょう? その話をディレクターにしたら,「なるほどそういう戦いなんですね」って納得してもらえた。そこで引け腰にならないのが,サイバーコネクトツーさんのいいところでもありますね。

4Gamer:
 なるほど,それで映像演出のほうを全力でやりましょうということになったわけですか。

土屋氏:
 そう。「今からスイッチ入れてわがままにやりますけどいいんですね」って言われて。

松山氏:
 「下手すると……ゲームとは言えないものになるかもしれませんよ……?」なんて変な脅し方をうちのディレクターはするんですよ(笑)。

4Gamer:
 ディレクターはどなたが担当されているんですか?

松山氏:
 うちの下田星児っていうのが,ディレクターとプロジェクトリーダーを兼任していて,今では80名を超える開発チームを率いています。

4Gamer:
 下田さんはE3にはこられなかったんですか。

松山氏:
 出張禁止命令が今出てるんです。外に出るな,現場に張り付けと。

土屋氏:
 ゲームをひたすら作れ,仕事してくれという感じでね(笑)。



海外メディアの評判も上々。E3で感じた確かな手ごたえ


4Gamer:
 ところで,今回ASURA'S WRATHのプレイアブル出展は初めてだと思いますが,なぜアポイントメントがないと遊べないエリアでの展示に留まったのでしょうか。

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土屋氏:
 実際触ってもらって感じてもらえたかもしれませんが,ASURA'S WRATHはいろいろな意味で尖ったゲームですから,その尖った部分を分かってもらうために,プレイ時間を長めにしてあるんですよ。

4Gamer:
 そういわれると確かに長く感じました。

松山氏:
 17分ありますからね。

土屋氏:
 外に置いちゃうとどうしても入れ替え制になりますから,後ろの人のプレッシャーを受けながら急いでプレイすることになる。そうするとASURA'S WRATHの良いところを理解しづらいと思うんです。なので,今回は現地スタッフの説明を受けながらじっくりと遊んでもらって,ASURA'S WRATH独特の味わいを感じてもらえる環境にさせてもらいました。

4Gamer:
 そういう限られた人しかプレイできない環境ながら,試遊台の周りには人だかりができるほど海外の方々の興味も引いてましたよね。初めから海外戦略を視野に入れていたんですか?

松山氏:
 はい。最初から世界で勝負できるタイトルを作ろうよという話はしてました。おっしゃるとおり現地の方々の反応が想像以上によく,手ごたえを感じていますよ。

4Gamer:
 ASURA'S WRATHのどんな部分が,海外の方に受け入れられたと思いますか?

土屋氏:
 ワールドワイドに通用するタイトルを作ろうと言ってはいますが,海外のセンスとかに合わせるような,そういう気の遣い方をしなかったところがよかったと,僕は思いますね。

松山氏:
 媚びてませんから。

4Gamer:
 確かに,キャラクターも日本特有の阿修羅がモチーフになってますしね。

松山氏:
 こういうアジア風の世界観が珍しいというのもありますが,それよりもコンセプトが評価されたのかなと思っています。今回のE3で,ASURA'S WRATHはいくつか賞を頂いているんですが,現段階でゲームとして細かく丁寧にできているかというと,決してそんなことはない。まだまだ制作途中で,見せてないシステムなんていうのもあるくらいですからね。今,展示されているものをプレイして頂いたと思いますが,入力しない時間が長いなって思いませんでしたか?

4Gamer:
 そうですね。ムービーというか,イベントシーンも多めに入っている印象でした。

松山氏:
 ですよね。それも実はわざとなんですよ。今回はとにかく,ASURA'S WRATHのちょっと乱暴な突き抜けたコンセプトを感じてもらうために,分かりやすい形にしたんです。ゲームとしてどうなのかということよりも,物語や映像を,自分自身がアスラになりきって体感してもらうこと。体験型の連続活劇エンターテインメントというものを,いち早く分かってもらおうということで,今回は早い段階でプレイアブル出展させて頂いた。少なくとも,そのコンセプトは評価されたなと思っています。

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4Gamer:
 ちなみに,さっきおっしゃられていた隠されたシステムというのは,戦闘に関するものなんですか?

松山氏:
 ASURA'S WRATHはストーリーや派手な絵,そして入力&アクションパートが一つになった作りになっています。これを映像エンターテインメントと言わせてもらっているんですが,先ほどお話しした隠しているシステムというのは,このエンターテインメントそのものを楽しむためのゲームプレイの方法とでも言うべきものになります。だから,アクションではないんですよ。映像を楽しむための仕掛け。あの作品の上に大きく乗っかっているシステムになります。

4Gamer:
 それはまだ見せられる段階じゃないと。

土屋氏:
 お見せするのはまだですが,ひとつ言えることはより没入感を増すための仕掛けだということです。

4Gamer:
 お話を聞いていると,ASURA'S WRATHの根幹のシステムのようにも聞こえますが……。

松山氏:
 ああそうですね。根幹です。

4Gamer:
 それをあえて隠してしまうんですか?

松山氏:
 隠します(笑)。


松山 洋氏の“引き出し理論”と新しい概念を伝える方法


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土屋氏:
 松山さんはよく,“引き出し理論”の話をするんです。何か新しいものを見たときに,心の引き出しの中に整理をするという。

松山氏:
 映画とかもそうじゃないですか。何か作品を見るでしょ。見終わったあと「あー面白かったな」とは思うんですけど,似ているところがある作品はどうしても同じ引き出しに入っちゃいますよね。スパイものならスパイものみたいに。


土屋氏:
 人って,何か分類したがるじゃないですか。そういう習性に,ちょっと待てと言いたい。ASURA'S WRATHを入れる引き出しってあるのかと。

松山氏:
 そう。ASURA'S WRATHという新しい引き出しを作るしかない作品にしたい。心の新しい引き出しに,そのタイトルのラベルを貼れるかどうかが,ひとつの勝負になってくる。

4Gamer:
 既存の概念をぶち壊そうとしているわけですか。

松山氏:
 そうですね。ASURA'S WRATHは完全に0から作り始めて,海外の方ももちろんですけど,日本人の概念もぶち壊そうとしてます。舞台はアジア風になってますが,私たち日本人だってあんなアジアを見たことないでしょう? 当然,今回は世界観をどうするかから作品作りを始めたわけですが,神話とかそういうものをモチーフにしている作品ってすでにたくさんあるじゃないですか。とくに,西洋の神話系は。そんな中で,やっぱり誰も見たことがない新しいものを作ろうと考えた結果,誰が見ても美しいものは美しいという考えにいきつきました。初期段階の企画書にも,世界観のコンセプトは「深き美しきアジア」って書いてあったんです。

土屋氏:
 ありましたね……。

松山氏:
 欧米人の多くは,当然アジアで暮らしたことなんてないわけですけど,それでもアジア的な美しさというのは絶対に理解してもらえる,世界で勝負できると思った。出てくる敵も,ただモンスターを殴るとかではなくて,なるだけ強大などうしようもない敵を出現させています。で,主人公はそいつにコテンパンにやられるんですが,そこから逆転するから気持ちいいわけです。そのときに,偉そうな奴を殴って逆転したらより気分がいいでしょう。偉そうな奴といえば神様。でもそれは天使とかではない。あの仏様のような無表情でしたり顔なやつらが,殴られて苦しそうな表情していたら気持ちいいよな……? という感じで決まっていったんです。

4Gamer:
 末代まで祟られそうですが(笑)。敵といえば,今回展示されているのは序盤のストーリーを体験できるものですよね。

松山氏:
 そうですよ。

4Gamer:
 なんか,地球規模の戦いをしていたような気がしますけど……。

松山氏:
 ああそうですね。でもあれ,ワイゼンっていう最初の敵ですから(笑)。今後もあいつ以上に破天荒なシチュエーションと型破りなボスがたくさんでてきますよ。

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4Gamer:
 あれで驚いちゃいけないということですか。

土屋氏:
 まったく。序盤ですから。

4Gamer:
 話を変えますが,物語の展開が非常に独特ですよね。敵を倒して「これで終わりかな」と思ったら「つづく!」といった演出があったり,テレビ番組のCMに入るときのアイキャッチがあったりしますよね。

土屋氏:
 松山さんもおっしゃったとおり,映像エンターテインメントとして楽しんでもらうためには,やっぱりドラマ性というのがちゃんとしていないとだめですよね。ですから,今回は物語からかなり作りこんでいます。それを今までのアクションゲームのように,ステージ1,ステージ2という風に切り出してしまったら,魅力も削れてしまうから,いいドラマを作ったのだったらドラマの形式で切り出すのがベストでしょうという話になったんです。

 そういう形式のもので,皆さんが最もよく見ているのはテレビの連続ドラマシリーズですよね。ああいうのって独特の緩急が付けられていて,期待感が高まったところでキュッと切って次の回を待たせる。あの文法を,ちゃんとゲームの中に取り込むというのをやろうじゃないかと。

松山氏:
 テレビドラマで一番盛り上がるのって番組が終わる15分前くらいのところでしょ。最後のクライマックスで主題歌も一緒にバーンって流れて,映像では女が走っていてっていう,あのピーク感ですよ。で,主題歌が終わったところで今度はドンってすごいネタが出てきて……続く! そんなの絶対来週も見るに決まってるじゃないですか。

4Gamer:
 でもそれって一週間待たされるってことですよね。

松山氏:
 そう。でもあの瞬間が一番気持ちいいでしょう? 「くぅ! 来週も絶対見よう!」って。あの感覚を1本のゲームソフトの中で何十回も楽しめる作品があったら,とてもおいしいですよね。だから,ASURA'S WRATHをエピソード形式にしたんです。

土屋氏:
 そう。ステージを進めてボスを倒して,撃破したらリザルトが出てきて「よかったね」で終わるような展開はまったくありませんね。

4Gamer:
 やめどきを見失う作りになっていると。

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松山氏:
 そうなんです。僕らがよく言っているのは,お客さんが遊ばれて「つづく」って出たときに,「どうしようかな,今日寝ようかな。いや,もう一話だけやっちゃおうかな」という葛藤を与えたいということ。テレビドラマのDVDボックスを続けて見ているときも,次のディスクまで行こうか行くまいかって考えるじゃないですか。あの感覚を1個のゲームソフトで何度も味わえるんですから,発売時期もまだ決まってないですけど,かなりお買い得ですよこれ!

土屋氏:
 そっちにもっていくんですか(笑)

4Gamer:
 ちなみに,発売時期はこのくらいに出せたらいいなっていう希望はお持ちですか?

土屋氏:
 2012年とは言わせてもらっていますが,現状それ以上のことは。できれば2012年の早い段階にもっていけたらいいなと。今年の夏くらいには,もう少し具体的な発表ができるようにしたいですね。

4Gamer:
 夏くらいには,一般の方でも遊べる機会が設けられたり?

松山氏:
 そういう機会は作りたいですね。

土屋氏:
 今回,アメリカでいろいろな方に褒めていただいて,盛り上がってきているので,早く日本のユーザーの皆さんにも伝えたいという感じですよね。

4Gamer:
 日本のユーザーはまだどのようなゲームなのかさっぱり分からないと思いますからね。

土屋氏:
 情報はどんどん出していきますよ。ただ,今までのゲームと同じような紹介の仕方とは違う方法を考えています。変にゲーム的な理論で説明するよりは,ドラマの紹介のように近づけたい。情報を受け取るユーザーさんが,ゲームの手法に捕らわれないようにしていきたいなと思っています。

4Gamer:
 つまり,「この作品にはこういう特徴的なシステムが用意されています」という売り方ではないんですね。

土屋氏:
 そういうことですね。この世界観であったりこのお話であったりというものを,強烈に好きになってもらって買いに走ってもらう。そういうサイクルになるように伝えていけたらいいなと思っています。

4Gamer:
 お話を聞いていると,かなりドラマなどに近い映像コンテンツ寄りの勝負をするという印象ですが。

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土屋氏:
 そうはいっても,映画ではないですから。ドラマとゲームが融合した形を目指しています。見ているだけではなく,自分がそこでコントローラを使って演じきるということが,ゲームにも映画にもないASURA'S WRATH独自の魅力だと思います。ですから情報を出す段階で,そこをうまく伝えていけるといいですね。

4Gamer:
 それでは,最後に読者に一言お願いします。

松山氏:
 ASURA'S WRATHは今まで誰も体験したことがないものを中心に据えているので,売る側も非常に紹介しにくいんですよ。なんと例えて,お客さんに伝えるたらいいのかが難しい。ただ,E3でこれだけたくさんの方々から褒めていただいて,賞もいただいて,ある種の売り方や伝え方の方向性が見えてきました。一足先にアメリカでの公開にはなりましたが,日本ではあらためて夏以降に「初めましてアスラです」という風にスタートしていこうと思います。

土屋氏:
 本当に現状,世界観もお話も出していないので。

松山氏:
 アスラって何歳なんだとか,そもそも人なのとか,世界観どうなっているのとか,よくわからないじゃないですか。そういったところも含めて,ちゃんと夏以降に発信していきます。本当に,誰も体験したことのない熱い作品を作ろうと努力していますよ。発売まで時間はありますが,テンションが切れることはないと思いますので,楽しみつつ付いてきてほしいなと思います。

土屋氏:
 ASURA'S WRATHは第一印象で,濃いゲーマー向けと思われるかもしれません。実際,そういう方にもかなりおいしくいただいてもらえますが,会社から帰ってきて夜1時間しか自分の時間がないような人でも,十分に楽しんでもらえる構成,内容にもなっています。僕自身の手ごたえでは,むしろ最近ゲームをしなくなったなとか,映画館に行かなくなったなという人に,より刺さる作品になると思っています。

 今まで,ゲームの中身をどんどん作りこむことでお客さんの幅を狭めていた側面がありましたが,ASURA'S WRATHの場合はゲームの切り口を変えることで,多くの人にアプローチできる作品にしています。これからの情報はどんどん濃くなっていくと思うんですけど,作品のコンセプトは真っ直ぐ伝えていきますので,ぜひチェックしてください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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 実は今回のインタビューは,事前に打ち合わせなどをしていたものではなく,その場の話の流れから急きょ決定したものだ。突然の取材の申し出を快く承諾していただいた土屋,松山両氏にはこの場をかりて,あらためて感謝の意を伝えたい。

 「ASURA'S WRATH」の映像美と,それを崩さずにゲームに融合させた独特の感覚は,「NARUTO−ナルト− ナルティメット」シリーズなどで“アニメを操作する”ことすら可能にしたサイバーコネクトツーのお家芸から成されるものだろう。そして,ゲームであることを忘れさせない一対多数や強大な敵との戦闘にまつわるアクションは,確かにカプコンの血の躍動を感じられる作りになっている。

 映像のサイバーコネクトツーとアクションのカプコンが手を組んで生み出す本作が,その魅力を世界に撒き散らす日がくるまでにはまだしばらく時間があるものの,アスラの憤怒は今後も静まることはなさそうである。

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