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[GDC 2011]シンプルで挑戦しがいのあるものを。「LIMBO」のデザイナーが明かす「パズルの作り方」
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印刷2011/03/04 00:00

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[GDC 2011]シンプルで挑戦しがいのあるものを。「LIMBO」のデザイナーが明かす「パズルの作り方」

画像集#002のサムネイル/[GDC 2011]シンプルで挑戦しがいのあるものを。「LIMBO」のデザイナーが明かす「パズルの作り方」
 Xbox LIVEアーケードで配信され,2010年のスマッシュヒットになった「LIMBO」。GDC 2010の「Independent Games Festival」で「Excellence in Visual Art」と「Technical Excellence」の二冠に輝いた本作は,白と黒のモノトーンを基調とした,影絵のような不気味なアートワークと,キャラクターが何度も死ぬのを前提に,パズルを解いていくというゲームだ。
 開発元のPlaydeadは,デンマークの首都・コペンハーゲンを本拠に,わずか11名の開発者で構成されるインディーズ系開発チーム。その処女作であり出世作となったLIMBOの開発中,3年にわたって繰り返されたという試行錯誤の内容がGDC 2011で語られたので,紹介してみたい。

Jeppe Carlsen氏。元々はプログラマーだったとか
画像集#003のサムネイル/[GDC 2011]シンプルで挑戦しがいのあるものを。「LIMBO」のデザイナーが明かす「パズルの作り方」
 「Designing LIMBO's Puzzle」(LIMBOのパズルをデザインする方法)という題でセッションを行ったのは,Playdeadのリードデザイナー,Jeppe Carlsen(イェペ・カールセン)氏。LIMBOの制作に先立って,「Uncharted 2: Among Thieves」や,「Prince of Persia」(※2008年版)などを参考にプレイしたが,どれも,Playdeadの目指すものではなかったというところから,話を始めている。

 Carlsen氏によれば,

「既存のゲームは,ただ『デザインされたとおりの道筋でパズルを解いていく』だけだったり,『あてずっぽうな実験を繰り返す』だけだったりし,プレイヤーが集中して考え込むような要素が欠如している。だからPlaydeadでは,モノトーンをベースに,ゲーム世界の構成要素を極力最小限に抑えながら,いかにして『複雑な思考を要求するパズル』にできるか」

これこそが,LIMBOにおける大きなテーマになったとのことだ。

 セッションではこの後,LIMBOのためにC++ベースで自社開発したレベルエディタを使い,実際に会場でレベルを作って見せながら,「どのようにPlaydeadが制作を進めていったのか」の説明がなされた。
 そこで最初に紹介されたのが,「チェーンを使って,電気の流れるコンベアを飛び越える」というパズル。Carlsen氏は,プレイヤー側の心理と行動を想定しながら,プレイヤーが,フラストレーションを溜めることなく,挑戦的な気持ちでパズルを解いていける方向性を検討&検証したという。

LIMBOのチェーンパズル(左)と,そのモックアップ(右)。モックアップの時点で,必要のないオブジェクトや要素はどんどん削られ,シンプルながらやりがいのあるパズルへと昇華していくという
画像集#004のサムネイル/[GDC 2011]シンプルで挑戦しがいのあるものを。「LIMBO」のデザイナーが明かす「パズルの作り方」 画像集#005のサムネイル/[GDC 2011]シンプルで挑戦しがいのあるものを。「LIMBO」のデザイナーが明かす「パズルの作り方」

 Playdeadの考える「プレイヤーがパズルを解いていく流れ」は,以下のとおりだ。

  1. まず,コンベアのある場所まで行く。そこでチェーンにぶら下がるか,コンベアに落ちて感電するかして死ぬ
  2. その後,チェーンの現在地から,セーフゾーンまでの距離が足りないのを理解して,いったん後戻りする
  3. 戻った場所にある装置を発見し,押してみると,チェーンが遠ざかるように動き出すのが見える
  4. プレイヤーは,動き出したチェーンに飛び移ろうとするが,すでにチェーンは手の届く距離から離れていて落下。やはり感電して死ぬ
  5. ここで,プレイヤーは距離感を感じ取り, チェーンを揺らすことを思い付く
  6. チェーンを揺らしてから,再度装置を押してジャンプする
  7. チェーンに手が届き,無事,遠方のセーフゾーンに無事に着地する

 ……もちろん,必ずしもすべてのプレイヤーが同じ行動をとるというわけではないはずだが,LIMBOで重要な要素になっている「物理」を把握できれば,いくつかの試行錯誤を繰り返すことによって,パズルが“解けていく”はずであり,それが醍醐味だと,Carlsen氏は言いたいのだろう。

 ちなみにこのLIMBO用レベルエディタ,事前にタイマーやトリガーを自在に調整できるようにしておくことで,オブジェクトの「ノード」(node,連結点)をつなげていくような形態をとることができている。組み立てられたレベルは,すぐさまゲームとしてテストできるので,プログラミング知識を必要とせずにゲームをデザインできるのが強みになっているようだ。

マシンガンやカッターを使って即興でデザインされたレベルが,そのままエディターからテストプレイできる。使いやすそうなプログラムながら,その応用力は高い
画像集#006のサムネイル/[GDC 2011]シンプルで挑戦しがいのあるものを。「LIMBO」のデザイナーが明かす「パズルの作り方」 画像集#007のサムネイル/[GDC 2011]シンプルで挑戦しがいのあるものを。「LIMBO」のデザイナーが明かす「パズルの作り方」

 セッションでCarlsen氏は,マシンガンとカッター,重力という3つの要素を使って,パズルをささっと作って見せていた。だが,実際のLIMBOでは,100種類以上ものノードが利用されているレベルもあり,「我々が考えていた『ミニマムなゲーム作り』は,必ずしも実践されていたわけではない」と告白していたのは面白かった。簡単に弄れると,ついつい弄りすぎてしまうのかもしれない。

これは実際に製品化されたレベルのものだそうだが,ご覧のとおり,あまりに複雑すぎて,制作した人を除き,誰一人構造を理解できなくなってしまったものもあるとか
画像集#008のサムネイル/[GDC 2011]シンプルで挑戦しがいのあるものを。「LIMBO」のデザイナーが明かす「パズルの作り方」
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