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印刷2010/07/12 10:00

連載

【切込隊長】お前らの遊ぶソーシャルゲームのプロジェクト予算の7割は広告でできています

切込隊長 / アルファブロガーにしてゲーマー。その正体は,コンテンツ業界で今日も暗躍(?)する投資家

切込隊長:茹で蛙たちの最後の晩餐

ブログ:http://kirik.tea-nifty.com/



 誰だよ,ソーシャルアプリがゲーム業界を牽引するとか言ってた阿呆は!

 というぐらい,MAUに対する課金率が低くて涙目の弊社が通ります。MAUって何だって?というと,それは"Monthly Active User",すなわち毎月ゲームで遊んでくれている暇人……じゃなくてお客様のことですよ。

Zyngaの人気作の一つ,「FarmVille」のアートワーク
 海外ゲームこそ成長市場! 世界へ羽ばたく日本のゲーム業界万歳! と騒いでいたものの,蓋を開けてみたらMAUに対してお金を2ドル以上支払ってくれる割合は,何と平均で2%足らず。下手すると余裕で1%を割っている。
 つまりクラスに50人生徒がいたら,だいたい0.5人がお金を払ってることになるわけだ。払ってる奴が頭から足先まで真っ二つ。そういう悲しい事例が相次いでいるのが,世界のソーシャルアプリ界隈の現実だったりする。

 一方,GREEやモバゲーってのはどうなんだよというと,6%ぐらいの人が10ドル以上使ってくれます。いいユーザーさん達がいっぱいです。ああ,なんてぬるま湯で素敵な市場なの,日本のソーシャルアプリ界隈は。
 そりゃあ競争の厳しい英語圏など,世界市場で勝負したい気持ちも薄れますよねぇ。うんうん,分かる分かる。その代わり,ソーシャルアプリが儲かるってんで,通常のデジタルコンテンツ開発で喰いっぱぐれた制作会社や,顧客情報管理も満足に出来ないような学生ベンチャーがわんさとこの界隈に集結し,二番煎じどころかどこも同じような牧場ゲームやら占いばっかり大量に市場に投入して収拾がつかなくなってる。オンラインゲーム界隈におけるクリッコゲーどころの騒ぎじゃござあせん。

 おまけに,数少ない伸びてる市場/業界なもんで,貧乏開発会社に軒並み出資して安い値段で開発リソースを吐き出させて,利益が出たら掠め取ってやろうというような,無粋な試みをする某大手企業まで出てきた。何というか,どうにもお行儀が悪いことであります。

 というわけで,明るい未来が垣間見えて楽しかったE3も終わり,何となく現実に引き戻された私たちに見えている現実のことなどを今回も語ってみようぜベイベー。


登録者数は100万人だけど


モバゲータウンで大人気の「怪盗ロワイヤル」は,Facebookでのサービスも開始した
 海外のソーシャルアプリプロバイダー(SAPと最近は略す。要するにソーシャルアプリをサービスしてる業者)で最近起きている問題というのは,ソーシャルアプリの寿命が短くなり,登録者数に対するMAUが下落を続け,おまけに一人当たりの課金額まで下がってきていること。何と言うか,トリプルパンチ。まあしょうがないんだけどさ,飽和しつつあるところにタイトル数がアホみたいに投下されてるんだし。

 私どもでお付き合いのある業者がSAPとして利益を上げまくっていたのは,ちょうど一年前。10万ドルの開発費用で作った1タイトルが,単体で月間35万ドル近い利益を出せるという,ちょっとした小遣い稼ぎでありました。月額3,000万円も利益が出ればいいじゃないか,と思うせっかちも多いとは思うけど,この辺の事情は後述。
 しかし,だいたい半年もしないうちにユーザーが飽きたり他のゲームに移ってしまうので,いわゆる会員の離脱率は常に高い。これはサービスの構造上やむを得ないという感じなので,手を変え品を変え「手触り」の違うさまざまなタイトルを投入して,ユーザーを飽きさせず,常に盛り上がっている感じを醸成しなければならないわけです。

 英語圏のタイトルではアメリカ人が一番多いのは当然としても,実を言うと中華圏やシンガポール,フィリピン,インドネシアといったアジア圏,さらにはセルビア,ブルガリア,ロシアといった東欧・旧共産圏の顧客が多いのもソーシャルアプリの大きな特徴だったりする。
 これ,実はPCパワーが低くインフラが未発達な地域の人々が,夜中暇なので基本無料なゲームに殺到しているという現実で,昭和という時代に,みんな無料のテレビにかぶりついてお茶の間で家族で見てた我が国の状況とあまり変わらない。
 別にそれがいかんというわけではなく,開発会社が往々にしてお客様の顔が見えないままコンテンツを企画し投下してみたけど,どうもうまくいかないなあ,というときの理由の大半は,この受け手側に対するイメージ能力の問題です。
 コンテンツを落としてガリガリ遊べちゃうほど高性能な携帯電話もなく,パソコンもそれほど高性能なものを買えない,カードで小額決済なんていうインフラも社会的に備わってないという人たちが渦巻いているのが,世界のソーシャルアプリ界隈の現実だと思って,そう間違いはない。

 だから,金がないない言いながら,なんだかんだでみんながケータイ持っててコンテンツで遊んでる日本とは経済の裾野が違う。言い方は悪いが,Facebookで商売をしようと思ったら,かなり本格的な貧乏人が大量にやってくることを前提にスキームを組まないととんでもないことになる。日本人向けに作られた掲示板とかを普通に実装してしまうと,エロスパムやユーザー同士の罵倒の場になってしまったりするわけでね。

 だから,ユーザーの課金率が低いのは仕方なく,「何百万人ユーザーが来ました,凄い現象です」と言われても,必ずしも左うちわで儲かっているとは限らない。もちろん,化け物のようなタイトルもあるにはあるけれども,コンテンツの分量とコミュニケーションツールとしての出来がうまく両立しているといった作り手としての妙味がなければなかなかうまくいかないのは確かだ。でも,それ以上に重要なファクターってのがあるんだよね,これが。

mixiアプリ上で展開され,大きな人気を集めた「サンシャイン牧場」(写真左)と「ブラウザ三国志」(写真右)
【切込隊長】お前らの遊ぶソーシャルゲームのプロジェクト予算の7割は広告でできています 【切込隊長】お前らの遊ぶソーシャルゲームのプロジェクト予算の7割は広告でできています


すべては広告宣伝ですよ奥さん!


 実も蓋もないんだけど,もうソーシャルアプリでの過去の成功事例でゴールデンルールというのははっきりしている。すなわち,

単純に投下した広告宣伝の量で,そのアプリがうまくいく資格を得るかどうかが決まります。

 これほんと。というか,広告宣伝をほとんどせずにうまくいった例というのはとても少なく,あったとしても初期のタイトルが多いんだよね。ソーシャルアプリが市場として注目され始める前から固定のユーザーを抱えていたごく少数の事例や,すでに成功しているゲームタイトルのIPを借用してきて話題性を確保したケースばかりであるというジレンマはある。

 日本の会社から受ける企画相談ではどうしても,もっと面白い企画を,ゲームとして楽しい,奥深いものを,という方向からの内容が多くなるんだが……これがまたミスマッチなわけです。
 ユーザーからすれば,盛り上がっていて,そこそこ寝る前の時間が潰せて,あわよくばゲーム内で知り合った異性とちょっとムフフなことが起きるかもしれなくて,友達同士での話題になって,という感じのニーズがどうしても中心になってしまう。
 これは,ほぼ私ら30代40代が「一家に一台テレビが」から「一部屋に一台,一人に一台のテレビ」と娯楽が普及し,どんな低俗なテレビ番組でも学校で話題についていくために観ていたモチベーションに近しい。
 がっつり前のめりになってソーシャルアプリに一日何時間もハマってくれる層というのは本当に少数で,それ以外は友達とのコミュニケーションの中で友達とは違った何かを見せびらかしたい,それで話題にしたいという程度のサービスなのだと割り切るほかない。

 だからどうしても,普遍的な話題性をソーシャルアプリ業者はどう確保するのか,という発想で作っていかないと,ちょっと収益を上げることが困難な市場になっている。すなわち,後発でいまから良い物を作って長く遊んでもらえるようなタイトルを投入しようとか考える業者は必ず失敗するというわけです。
 とにかく多くの人たちがそのアプリを知っており,そのアプリで楽しんでいる状態にし,数ヶ月で飽きられ捨てられることを前提に設計しないといかんだろ,ということで。

 結果的に,手っ取り早くソーシャルアプリで人を集めようと思えば,日本でもテレビCMを盛んに打つコンテンツが出てくるし,芸能人を多用して発表会もどきのようなものを乱発するパブリシティが非常に利くということになる。ユーザーがゲームとしての面白さそのものを求めてるわけではないのだから,しょうがないよな。

 もっとも,コンソール向けゲームの世界でも,コアユーザーだけでは喰っていけないサードパーティーが,いち早く芸能人のゲーム内起用を進めて一定のライトユーザーの確保に成功するなど,マーケティング的には取り組んできた部分ではある。
 ただ,コンソールではハードを買ってくれていて,そこにソフトが装着される本数の中での戦いだったのに比べて,ソーシャルアプリではすでに日常的に普及し使っている機器や低性能なPCをプラットフォームに「ちょっとした話題性が友達の間で確保できる程度のコンテンツを展開する」というサービスなのだから,市場としての性質がそもそも違うわけだ。

 これがブラウザゲームにまでなってくると多少軸足もずれてくる部分はあるけれど,ゲーム業界が期待したソーシャルアプリというのは,とにかく多産で品質に目を瞑っても短期間・低予算でころころころころ回せる組織にしていかなければならないのが大変なのである。
 なんせ,地方都市の技術会社で食えないところや学生ベンチャー,さらには人月(にんげつ)10万でもりもり制作する中国や,グラフィックスの量産だけなら世界屈指の東欧など,競争相手は世界中にいるわけで,そこに人月100万を計上したいゲーム業界のプログラマがのんびり顔を出して長く続けられる商売ではない。成長しているとはいえ,基本的にはレッドオーシャンというか終わりなき修羅の世界であって,昨年には月間利益2000〜3000万上げていたベンチャーが,主力サービスのユーザー数減少に見舞われ企画も底をついて身売りになっていたりもするのが実情だ。案外大変なんだよね。

 さらにここへ来て,世界的なプラットフォーマーとして零細アプリ開発業者を食わせてくれていたFacebookで,ユーザー数の大幅な減少が問題になり始めている。まさかこんなに早くバブルが崩壊し始めるとは誰もが思わなかったのだが,2010年度第一四半期の顧客動向を見る限りでは,顧客数で15%ほど,収入で平均25%から30%ほど減少している。ヤバイって。もうブーム終わったのかよ,これから儲けようと思っていたのに,と歯ぎしりするところが続出であります,たぶん。

2010年4月,日本最大のケータイゲームポータル「モバゲー」を運営するDeNAと日本最大のWebポータル「Yahoo!JAPAN」が,共同で新しいソーシャルゲームプラットフォーム「Yahoo!モバゲー(仮)」を立ち上げると発表した
【切込隊長】お前らの遊ぶソーシャルゲームのプロジェクト予算の7割は広告でできています

 で,日本市場もそろそろ……と言いたいところだが,(まだデータが集まりきってないので再来月ぐらいにまた何か書こうと思うけど)逆にDeNAやGREE,mixiといったプラットフォーマーや,従来オンラインゲームのポータルとして優良な顧客を抱えてきたハンゲームやネクソンなどもオープン化の方向へと舵を切っている。というか,各社共にこれ以上成長しようと思ったら,オープン化して人を集めやすくして,アプリ提供業者が上記のように広告宣伝予算をばんばかこれらのプラットフォームに落としてもらえるようにするしか,今のところは戦略が見当たらないんだよね。

 顧客のデジタルコンテンツの購入は,市場としてそう急激に拡大しているわけではなく,どこかが減っているから携帯コンテンツへ投下される可処分所得が増えている。少なくとも2010年上期ぐらいまでは,着メロなど音楽への出費を減らしてこれらのコンテンツへの資金に回っていたという説明がつくからいいけど,ここで我が国の市場も世界市場も成長が大きく鈍化する,あるいは減少に転じるということは,また別の新しい市場が,デジタルのどこかに発生する(している)ということを意味している。

 要するにだ。バブルを起こしたソーシャルアプリの開発事業に出遅れて,こんな記事を最後まで読んでいるそこの君だよ,いまさらソーシャルアプリの開発に乗り出してDeNAだのGREEだのに広告費のお布施を払って過当競争の只中へ飛び込もうとする前に,確実にあるだろう次の市場について語ろうじゃないか。

 そんで,いい話があったらこっそり私に教えてくれ。

■■切込隊長■■
言わずと知れたアルファブロガーで,その鋭い観察眼と論理的な文章力には定評がある。が,身も蓋もない業界話にはもっと定評がある。ゲーマーとしても知られており,時間が無いと言いつつも,膨大に時間を浪費するシミュレーションゲームを愛して止まない。さて,連日ワールドカップで盛り上がる中,「初心者すぎて何がわからないのかすら分からない」という切込隊長ですが,あまり深いことを考えずに見てるだけでも面白いですよ,サッカーは。月並みですがウイニングイレブンやサカつくを遊んでルールとか覚えてみたらどうでしょう。ところであの占いタコは凄いですね,って話題はわかるかしら?

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