連載
【西川善司】“mixiグラディウス”をアーケードスティックでプレイする方法
西川善司 / グラフィックス技術と大画面とMAZDA RX-7を愛するジャーナリスト
(善)後不覚 |
日本におけるソーシャルネットワークサービス(SNS)ブームの火付け役「mixi」が,mixi内フレンド,いわゆる「マイミク」同士で共有して楽しめるmixiアプリケーション(以下,mixiアプリ)のサービスを提供し始めました。
将来的には有料のものも出てくるらしいですが,現状ではほぼすべて無料のmixiアプリ。現在のところ,マイミク同士でプレイできるゲームアプリが人気ですが,なかでもボクのようなゲーセン世代に響いたのは,コナミが公開した「グラディウス」(以下,mixiグラディウス)でした。
mixiでフルスペック版グラディウスが遊べる!
mixiグラディウスはコナミ公式のmixiアプリで,敵の出現パターンなど,細部は異なるものの,ほぼフルスペックのグラディウスをプレイできます。
オールドゲーマーには今さらでしょうけど,グラディウスは,1985年に発表された横スクロールタイプのシューティングゲーム。プレイヤーの戦略次第で自機を自由にパワーアップできる仕組みを持ったシューティングゲームの元祖とも言える作品です。
当時のアーケードゲームとしてはグラフィックスが美しく,また,特定のステージで画面の上下スクロールが組み合わされる演出や,自機,自機弾,オプション,オプションの発射する弾に,敵機や敵機の弾など,多量のスプライト表示が行われることから,当時は「ゲーム機や“パソコン”へのフルスペック移植は困難」とされていたりもしました。
グラディウスが登場してから約2年後の1987年,シャープの16bit機,X68000用に,(細部の違いはあるものの)かなり高い再現度を実現した移植版グラディウスが登場して,当時のゲームファンやパソコンファンは興奮したものです。いわずもがな,当時ゲーセン小僧だったボクもその1人でしたが。
それにしても,当時はハイエンドのハードウェアでしか動かせなかったグラディウスが,今やそこらへんにある適当なPC上,しかもAdobe Flashベースで動いてしまう時代が来てしまったことには驚かされますね。当時の家庭では,40万円近いX68000でしか遊べなかったフルスペック版グラディウスが,mixiアプリとして無料でプレイできてしまうんですから,すごい時代です。
mixiグラディウスをアーケードスティックでプレイしたい
自動連射機能も搭載。難易度をNORMAL以上に設定していれば,ハイスコア保存がなされ,なんとマイミク間でのスコアランキングも集計してくれます。いたれりつくせりです。
音楽のループが「ング」といった感じで,もたついてしまう点は気になりますけど,それ以外は,当時のX68000版と同等か,あるいはそれにかなり近いレベルでできている……と言っていいかもしれません。
あ,もう一つ,気になる点がありました。
そう,このmixiグラディウス,キーボードでしか遊べないんですよね。
自動連射機能が付いているとはいえ,シューティングゲームをキーボードで遊ぶのはかなりつらいです。mixiグラディウスでは自機移動操作をカーソルキーで行うのですが,最終ステージあたりに来ると右手がかなり疲れてきます。
そこで今回は,なんとか簡単にアーケードスティックでプレイできないものかを考えてみることにしました。
ゲームを書き換えるのは難しいので,キーボード入力をアーケードスティック入力に置き換える方法が一番手軽そうです。
以前,ボクの連載「3Dゲームエクスタシー」で,「キーボード&マウスのみ対応のPCゲームをゲームパッドでプレイする方法ガイド」という記事を執筆したことがありました。これは,Logitech(日本ではロジクール,以下 ロジクール)製ゲームパッドを前提とした記事なので,同社のゲームパッドを使っているなら,この記事を参考にしてカスタマイズしてみるといいでしょう。
ただ,ロジクールは,ゲームパッドは出していますけど,アーケードスティックは扱っていません。それに,同じネタを2回やっても面白くないですから,別の方法をとることにしました。
JoyToKeyでアーケードスティックにキー入力を割り当てる
というわけで,アーケードスティックです。
格闘ゲーム用に所持している,HORI製のXbox 360用アーケードスティック「ファイティングスティックEX2」(以下,FS-EX2)がWindows Vistaで使えないか接続して試してみたところ,クラスドライバでさっくりと認識できてしまいました。
これには,バーチャルキーボードソフトが必要になるわけですが,今回はこのタイプのフリーウェアとしては定番とされる「JoyToKey」(Version 3.7.9,今回はベクターから入手)を利用してみました。先の連載記事で指摘しているとおり,JoyToKeyはWindows Vistaをサポートしていませんが,ボクが試した限りでは,32/64bit版Windows Vistaのどちらも問題なく利用できました。
JoyToKeyのPreferenceタブに用意された,「POV(ハットスイッチ)も使用する」をチェックオンすると,アーケードスティックの方向入力をキーボード(のキー)に割り当てられるようになる |
メインウインドウから簡易設定ウィザードを実行すれば,一問一答形式でキー割り当てを行える |
というのも,FS-EX2の8方向スティック入力はハットスイッチ扱いになるため,JoyToKeyのデフォルト設定ではカスタマイズ対象外になっているのです。そこでまずは,JoyToKeyの「Preference」タブを選択して,「POV(ハットスイッチ)も使用する」のチェックをオンにして,スティックに,キーボード入力の割り当てを行えるようにしておきます。
この下準備ができたら,あとはメインウインドウの[簡易設定ウィザード]ボタンを押して,アーケードスティックの入力に対応するキーボード入力を次々に登録していけばOK。[POV1]がFS-EX2の8方向スティック入力に対応するので,POV1の上下左右入力に対応させる形でカーソルキー入力を登録したら,あとは,ボタン入力を好みのままにやれば完了です。
ちなみにボクは,
- [POV1]:カーソルキー(自機移動操作)
- [A]:[ENTER]キー(ゲームスタートなどに使用)
- [B]:[Z]キー(ショット)
- [X]:[X]キー(パワーアップ)
- [Y]:[C]キー(ポーズメニューを開く)
- [LT]:[E]キー(ポーズメニューでゲーム終了選択)
- [RT]:[0]キー(ポーズメニューで音量選択)
としました。
実際に,アーケードスティックでプレイしてみると,かなりの好感触でした。ゲーセンでプレイしていた,当時の記憶が甦ります。また,それだけではなく,ラストの要塞ステージでは,閉塞空間での弾避けが難しいわけですが,アーケードスティックでプレイすると,ここがけっこう楽になります。お試しあれ。
ちなみに,下に示したのは,ボクが実際にプレイしているところです。
ところで,今回のケースではHORIのFS-EX2を使用しましたが,理論的に考えて,Xbox 360に対応したものなら,ほかのアーケードスティックでも,今回と同じように設定できるはずです。最近はPCに対応したアーケードスティックもけっこう出てきていますから,ぜひ試してみてください。
せっかくなので,今回作成したプロファイルも,4Gamerのサーバに置いておきました。興味のある人はダウンロードして「GRADIUS.cfg」をJoyToKey.exeと同じフォルダに置き,実行してみるといいかもしれません。プロファイルリストに「GRADIUS」が出てきたら,これをmixiグラディウスのプレイ直前に選択するだけです。
mixiグラディウス用JoyToKeyプロファイルのダウンロード
……次回はPCパーツ関連の話題をお届けしようかと思います。
■■西川善司■■ テクニカルジャーナリスト。4Gamerの連載「3Dゲームエクスタシー」をはじめ,オンライン/オフラインのさまざまなメディアに寄稿したり,バカゲーを好んでプレイしたり,大画面にときめいたり,観切れないほどBlu-rayビデオを買ったり,オヤジギャグを炸裂させたりして毎日を過ごしている。 |
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