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  • 発表日:2009/01/08
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印刷2009/08/13 13:01

レビュー

AMD歴代最高クロックを更新した新モデルは買いか

Phenom II X4 965
Black Edition/3.4GHz

Text by Jo_Kubota

»  AMD製のデスクトップPC向けCPUとして歴代最高クロックを更新し,現役のデスクトップPC向けCPUとしても最高クロックとなる現行最上位モデルを,Jo_Kubota氏が検証する。3.4GHz動作を実現したBlack Editionは,ゲーム用途を前提としたとき,どのように位置づけられるべきだろうか。


Phenom II X4 965 Black Edition。入手した個体のOPNは「HDZ965FBK4DGI」だった
Phenom II
 日本時間2009年8月13日13:01,AMDは,Phenom IIファミリーの現行最上位モデルとなる「Phenom II X4 965 Black Edition/3.4GHz」(以下,X4 965)を発表した。メーカー希望小売価格は2万5980円で,販売は即時開始予定となっている。

 AM3パッケージを採用したハイエンドモデルとしては,4月23日に発表された「Phenom II X4 955 Black Edition/3.2GHz」(以下,X4 955)の動作クロックを200MHz上回り,同時に,AMD製のデスクトップPC向けプロセッサとして歴代最高クロックに到達したという,記念すべきモデルでもあるが,2009年夏の時点では,ゲーム用途において,どのように位置づけられるべきだろうか。4Gamerでは,AMDの日本法人である日本AMDから評価用サンプルを入手できたので,さっそく検証してみたい。


動作クロック以外の仕様はX4 955を踏襲

“仮想敵”はQ9550&i7-920


Phenom II
X4 965はAM3パッケージを採用。トランジスタ数7億5800万,ダイサイズ258平方mmという仕様はX4 955と同じだが,定格動作電圧は若干引き下げられた
Phenom II
AMDによるX4 965の製品概要
 さて,いきなり結論めいたことから述べると,X4 965のスペックは,X4 955のそれを踏襲したものである。45nm SOIプロセスで製造されたC2ステッピングのプロセッサであることや,いわゆる倍率ロックフリーで,CPU動作倍率を引き上げる方向でのオーバークロック設定が可能であることなどは共通。主立った違いは,動作クロックと,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)がX4 955の125Wから,AMD製のデスクトップPC用CPUとしては歴代最高タイの140Wへ引き上げられている点くらいだ。

 AMDから世界中のレビュワーへ配布されたスライドによると,AMDの想定する競合製品は「Core i7-920/2.66GHz」(以下,i7-920)および「Core 2 Quad Q9550/2.83GHz」(以下,Q9550)。ただし,同時に渡されたドキュメントには,「販売価格的に,Q9550のほうが,直接の比較にはより適している」とあったので,AMDとしては,どちらかというとQ9550のほうを,より直接的なライバルと認めているようである。

原文は「Taking a look at the CPUs that are available from the competition right now, it still seems like the only CPU that is still close to our flagship in price is the Q9550 @ ~$220(USD). I expect that processor will make for the best, most-direct comparison on launch day.」

AMDによる,X4 965とi7-920,Q9550の比較。ゲームでは,i7-920やQ9550と比べて,若干高速であると謳われる
Phenom II

 4製品の主なスペックは表1にまとめたとおりだが,8月13日時点の価格で比較すると,X4 965とQ9550はほぼ同じか,後者のほうが若干安価。X4 955は,どうやら価格改定が入ったようで,一部ショップが2万円台前半の価格設定を行ったため,両製品より安価になっている。一方,i7-920は,X4 965と比べるとやや高めだ。

※X4 965は,日本AMDによるメーカー希望小売価格。残る3製品は,4Gamer編集部調べによる,8月13日時点の実勢価格


オーバークロックの検証では

空冷3.8GHz設定で安定動作


 Black Editionということで,(テスト期間に若干の余裕があったため)オーバークロック設定も試みることにした。具体的には,後述するテスト環境において,Cooler Master製のCPUクーラー「V8」を装着し,倍率設定の引き上げで,どこまで行けるかを見てみた次第だ。

「CPU-Z」(Version 1.52.1)で,オーバークロック時の状態を“CPU-Z読み”してみた
Phenom II
 今回は,4Gamerのベンチマークレギュレーション8.0で採用するタイトルのすべてが問題なく完走した状態をもって「安定動作」としたが,結論からいうと,安定動作したときのクロックは,ベース200MHz×19の3.8GHz設定時だった。AMD製サウスブリッジを利用した“オーバークロック耐性向上機能”,「Advanced Clock Calibration」(以下,ACC)を利用すると,3.9GHzでWindowsは立ち上がってくるのだが,ゲームアプリケーションを実行するとブルースクリーン。4.0GHz設定だと,Windowsの起動中にリセットがかかってしまった。

 電圧設定は,最終的に1.550Vまで手動で引き上げてみたが,安定動作した3.8GHz時は,Auto設定時と同じ1.400Vへの手動設定でも問題なかったため,スコアはAuto設定で取得することにしている。また,3.8GHz設定時に限っていえば,ACCのオン/オフによる違いも見られていない。4GHz超えを狙うには,気合いの入った冷却が必要だが,3.8GHzくらいまでは,比較的カジュアルなオーバークロックでも,安定動作を狙えるレベルに持ち込めそうな印象である。

※注意
CPUのオーバークロック動作は,CPUやマザーボードメーカーの保証外となる行為です。最悪の場合,CPUやメモリモジュール,マザーボードなど構成部品の“寿命”を著しく縮めたり,壊してしまったりする危険がありますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。本稿を参考にしてオーバークロック動作を試みた結果,何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,4Gamer 編集部も一切の責任を負いません。

 以上を踏まえつつ,テストのセットアップに入ろう。
M4A79T Deluxe
AMD 790FX+SB750搭載,DDR3対応のハイエンドモデル
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:1万9000〜2万3000円(※2009年8月13日現在)
Phenom II
 今回は,AMDの想定する比較対象を尊重し,X4 955のほか,Q9550,i7-920を用意することにした。ただし,機材調達の都合により,i7-920は,C0ステッピングの「Core i7-965 Extreme Edition」(以下,i7-965)から倍率とQPIクロックを変更した状態となる。また,X4 955のレビュー時に,X4 955がi7-920といい勝負に持ち込んでいたこと,そして,X4 965を3.8GHzで動作させた状態(以下,X4 965@3.8GHz)と比較することを前提に,同じくi7-965の倍率変更で,「Core i7-940」(以下,i7-940)相当にした状態でも,テストを行うことにする。
 なおi7-940の実勢価格は5万1000〜6万1000円(※8月13日現在)なので,価格帯的に,X4 965の競合とは扱いづらい。この点は押さえておいてもらえると幸いだ。

 このほかテスト環境は表2のとおりで,OSは32bit版のWindows 7 Ultimate(※RTM)。メモリモジュールのSPD情報に従ってメモリモジュールを用いたため,レイテンシ設定がまちまちになっている。
 テスト方法は(先ほども述べたとおり)ベンチマークレギュレーション8.0準拠。ただし,グラフィックス描画負荷が高くなって,CPUの比較には適さなくなるという理由から,「標準設定」(※「バイオハザード5」では「低負荷設定」)の1920×1200ドットと,「高負荷設定」は省略する。



クロック分の順調なスコア向上を確認

ほとんどの場面でQ9550を上回る


 さっそくテスト結果を見てみよう。グラフ1は「3DMark06」(Build 1.1.0)の総合スコアだが,X4 965とX4 955のスコア差は,200MHzというクロックの違いから想像できる範囲に収まっている印象だ。また,i7-920とほぼ互角のスコアに持ち込んでいる点にも注目したい。X4 965@3.8GHzだと,そのスコアはi7-940以上だ。


 グラフ2は,3DMark06から,解像度設定1280×1024ドット,標準設定というデフォルト状態における「CPU Score」のスコアを抜き出したもの。当然というか何というか,グラフ1を踏襲した結果である。


 続いてグラフ3に示したのは,レギュレーション8.0採用タイトル中,最も描画負荷の高い「Crysis Warhead」の結果だ。全体的にGPUボトルネックが顕著ではあるのだが,あえていえば,i7-940とi7-920が一段上で,その次にX4 965@3.8GHzが続く形になってはいる。X4 965とQ9550はほぼ互角だが,それはX4 955でも同じ。


 描画負荷が低く,かつマルチスレッドへの最適化がそこそこ進んでいる「Left 4 Dead」の結果がグラフ4になる。ここでは,X4 965@3.8GHzとi7-920がほぼ互角。マルチスレッドへの最適化が進んでいるタイトルでは,Hyper-Threadingテクノロジーを擁し,論理8コア動作を実現するCore i7の有効性が明白だ。
 定格動作時のX4 965は,Q9550とi7-920のちょうど間くらいのスコアに落ち着いた。


 マルチスレッドへの最適化が進んでおらず,ある意味で,一般的なオンラインゲームにおけるスコア傾向の指針にもなる「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)では,全体として,動作クロックとキャッシュ容量に応じたグラフの並びになった(グラフ5)。2009年8月時点においても大多数を占める,コアの数よりも動作クロックやキャッシュ容量が“効く”タイトルでは,X4 965,というか,高クロックで動作するPhenom IIのメリットが比較的大きいというわけである。


 マルチスレッドに最適化された「バイオハザード5」は,やはり論理8コアのi7-940とi7-920に有利(グラフ6)。一方,同じ論理4コアCPU同士の比較では,動作クロックで勝るX4 965(やX4 955)がQ9550に大きな差をつけている。


 描画負荷が比較的低く,マルチスレッド処理に最適化されているゲームエンジン「Unreal Engine 3.0」を採用する国産RPG,「ラスト レムナント」。そのスコアをまとめたのがグラフ7だが,ここでは,Core i7の2モデルが突出したスコアを示すだけでなく,Q9550のスコアもほかのテストと比べると高めだ。X4 965は,3.8GHzへオーバークロックした状態でも,Q9550に及んでいない。


 パフォーマンス検証の最後は「Race Driver: GRID」(以下,GRID)のテスト結果である(グラフ8)。スコアの傾向はバイオハザード5と似た印象だが,Phenom IIシリーズとQ9550のスコア差,そしてPhenom IIシリーズとCore i7のスコア差は,多少開き気味である。



高負荷時の消費電力はX4 955とほぼ同じ

アイドル時の低さは魅力的


Phenom II
X4 955と同じく,X4 965も,Cool’n’Quietを有効化すると,アイドル時には最低で800MHzまで動作クロックが下がる。“CPU-Z読み”すると,800MHz動作時の動作電圧は1.000V。ほかの動作モードは,2.2GHz/1.200V,2.7GHz/1.300V,3.4GHz/1.400Vとなっていた
Phenom II
AMDによる,X4 965とX4 955の消費電力比較(※スライド中,赤いグラフ)。ここでは(TDP差に近い)13Wの差があるとされている
 TDPの値がX4 955から引き上げられたことで,もとから高めとして知られるフルロード時の消費電力が不安になった読者もいるだろう。一方,定格動作電圧の引き下げによる影響に期待している人もいると思われるが,今回は,OSが起動して30分放置した状態を「アイドル時」,ストレステストツール「OCCT」(Version 3.1.0)のデフォルト設定におけるCPU負荷テスト30分経過時を「高負荷時」として,システム全体の消費電力をチェックしてみたい。
 アイドル時については,省電力機能「Cool’n’Quiet」「Enhanced Intel SpeedStep Technology」の有効/無効を切り替えて,両方のスコアを取得することにしている。

 その結果をまとめたのがグラフ9である。同じマザーボード上でテストしているX4 965とX4 955が,アイドル時,高負荷時とも,それほど変わらない消費電力値に収まっている点は注目に値しよう。Phenom IIとCore 2 Quad,Core i7ではすべてマザーボードが異なるうえ,今回はマザーボードベンダーの統一もできていないので,プラットフォーム間の比較は参考程度に留めてほしいが,i7-940やi7-920搭載システムと,そう変わらないと見ても,間違ってはいないはずだ。
 Q9550と比べると,高負荷時の消費電力はかなり厳しいが,省電力機能を有効化させた状態なら,アイドル時のそれはほぼ同じレベルである。


 グラフ10は,室温27℃の環境に,PCケースへ組み込まず,バラック状態のまま置いたテスト用システムで,グラフ9時点のCPU温度を計測した結果だ。
 今回,日本AMDから入手したX4 965にはCPUクーラーが付属していなかったこともあり,用いたクーラーは下記のとおりバラバラ。統一したのは室温と,ファン回転数を100%に固定したことだけなので,グラフ9以上に,プラットフォームの異なるシステム間で比較するには適さないスコアになっているので,この点はくれぐれも誤解のないよう注意してほしい。
 そのため,ここではX4 965@3.8GHzとX4 965,X4 955を比較するに留めるが,V8搭載時で見ると,いずれも動作電圧設定がAutoということもあり,X4 965@3.8GHzの温度上昇は,“クロック向上分”で留まっている。一方,TDP 125WのCPUに対応したAMDの純正クーラーだと,定格クロック動作でもかなり厳しい印象だ。CPUを“ブン回す”場合には,サードパーティ製の高性能クーラーを用意するのが得策といえよう。

※X4 965@3.8GHzはV8,X4 965とX4 955はV8および「Phenom II X4 920/2.8GHz」製品ボックス付属クーラー,Q9550は製品ボックス付属クーラー,i7-940とi7-920はIntelのi7-965評価キットに付属していた純正クーラーをそれぞれ用いている

※2009年8月13日17:30追記:X4 965とX4 955のV8搭載時におけるスコアをグラフに入れ,それに伴い,CPU温度に関する考察を一部アップデートしました。


価格と性能のバランス自体は悪くない

最大の敵は2万円強で手に入るX4 955か?


 まとめよう。X4 965のパフォーマンスは,X4 955比200MHz増しという動作クロックに見合ったものとなっているといっていい。絶対的な価格ではQ9550と比べて若干高めであるものの,スコアではほとんどの局面でかなり上回っており,総合的に見て,Q9550を上回る存在であると述べて差し支えない。
 ゲームデベロッパ/パブリッシャのマルチプラットフォーム戦略により,結果としてマルチスレッド対応が進んだ最新世代のゲームタイトルを前にすると,Core i7の論理8コアを前に屈するが,一方で,それ以前のタイトルでは,AMD歴代最高という動作クロックの高さが有利に働くのも,また確かだ。

 そんなX4 965にとって,むしろ最大の敵は,下位モデルであるところのX4 955だろう。X4 965の登場に合わせて,2万円台中後半から,一気に2万円強にまで価格が下がったX4 955は,同じBlack Editionゆえに,簡単に“X4 965+”化が図れてしまうからである。この状況で,「いまからAMD製の上位CPUを買おうと思うんだけど,何がお勧め?」と聞かれたら,筆者はX4 955だと答えざるを得ない。

 流通関係者によると,X4 955の代理店在庫はまだかなり残っており,それゆえ,しばらくはX4 965と併売される見込み。実際,X4 965と同じタイミングで価格改訂版のX4 955が入荷するショップも少なくないようだ。この状況を,日本AMDはいかに打開していくのか。X4 965とX4 955の価格動向も含めて,注目していきたい。
  • 関連タイトル:

    Phenom II

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