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コンテンツの基準は“届けるべき人がいるか”。「FINAL FANTASY XV」の「ROYAL EDITION」「WINDOWS EDITION」開発陣インタビュー
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印刷2018/02/23 02:00

インタビュー

コンテンツの基準は“届けるべき人がいるか”。「FINAL FANTASY XV」の「ROYAL EDITION」「WINDOWS EDITION」開発陣インタビュー

「運命を変えられる」ことに意味がある


4Gamer:
 現在のFFXVは,開発チームが当初想定していたものとは,やはり大きく違うものなのでしょうか。

田畑氏:
 質量ともに,圧倒的に想定を超えたものになっています。最初の構想だと,DLCは本編に少しだけエピソードを追加するだけの計画でしたし。

荒牧氏:
 エピソードDLC3本と,それをまとめたシーズンパスだけでしたよね。

田畑氏:
 それが無茶な内容になってしまって(笑)。そこには作り手としてのこだわりや「喜んでもらいたい」という思いがあって,計画以上のものになってしまいました。
 でもまあ,そもそも最初から無茶な計画だったら,会社が承認しませんよね。ビジネスとしては,可能なかぎりコストを抑えて,価格に見合う最小限の内容にするのが正解でもありますし。でも僕らは,そうはできなかったんです。

画像集 No.021のサムネイル画像 / コンテンツの基準は“届けるべき人がいるか”。「FINAL FANTASY XV」の「ROYAL EDITION」「WINDOWS EDITION」開発陣インタビュー

4Gamer:
 さきほどのMODのお話などを聞くと,何でもアリというか,何かを作るにあたっての制約みたいなものはなく,自由に作れるのだろうと思うのですが,逆に制限がないと,何を目指すのかという点で,開発が難しくなりませんか。

田畑氏:
 「お客さんが喜ぶかどうか」を指針にしています。喜んでもらえると思えないものはやらない。僕らがやりたいことは大前提ですが,それだけで実行に移すことは,まずありません。また,具体的なニーズがあるかどうかよりも,それを届けるべき人達がいると確信できるかどうかで決めています。ですから,意外と何でもアリじゃないですよ。

荒牧氏:
 例えばレガリア TYPE-Dは,「オフロード走行がしたい」というリクエストに沿って作ったものです。ファーストパーソンモードなどの,追加の遊びの部分はほとんどそうですね。

田畑氏:
 そうやって皆さんの声に沿って,その期待を超えるためにアップデートしたりDLCを作ったりした結果が,僕らの想定をも超えるFFXVになっていったんです。それを今度は,「ROYAL EDITION」として一つにまとめ,新しい層に届ける。だから僕らにとっては,ただニーズに応えたのではなく,ユーザーの皆さんと一緒に新しいものを作り出すプロセスでもあったんです。
 そして今後のDLCもアンケートの結果を重視した内容になります。

4Gamer:
 2017年12月に配信された「FFXV アクティブ・タイム・レポート 1周年スペシャル」(関連記事)では,プレイヤーへのアンケートの結果を詳しく公開していましたよね。必ずしもいい反応ではない部分までオープンにしていましたが,ためらいはなかったのでしょうか。

田畑氏:
 まったくないですね。もちろん企業としてやっていることですから,そこに大きな不利益が生じるようであればやりませんよ。
 しかし「こういう声がある」ということを,僕らが知っていると伝えることは,誰にとってもマイナスになりません。僕らにとっては耳が痛いこともありますが,それよりもユーザーが喜んでくれる方が重要ですから。

4Gamer:
 アンケートの結果では,シナリオ全体の平均満足度が62.4%でしたけれども,率直にどう感じましたか。

荒牧氏:
 自分自身,プレイしても100%満足ではなかったので,だいたい同じ温度感だと思います。うまく伝わっていない部分があるということも含めて受け止めました。

寺田氏:
 「一番満足してもらえたCHAPTERは次の指針にしよう」といったように,ボジティブに受け止めました。

4Gamer:
 そういった声を受けて,2018年にリリースされるDLCは,より満足度の高い内容を目指すということですね。

田畑氏:
 一つお断りしておかなければならないのですが,おそらく2018年内だけでは収まらないということです。当初の予定では確かに2018年にと考えていましたが,満足度62.4%にきちんと向き合ってFFXVを終わらせるためには,これくらいのコンテンツが必要だろうとあらためて試算をしたところ,2018年内ということにこだわらず,適正な開発期間の確保が必要だなと。

寺田氏:
 今後のDLCは,「FFXV UNIVERSE」(FFXVやその関連作品群の総称)を完結させることを念頭に置いて開発を進めます。そのため,「追加コンテンツ」ではなく,「追加シリーズ」として打ち出していきます。情報は順次公開していきますので,お待ちください。

4Gamer:
 期待しています。
 アンケートに話を戻すと,ノクトを筆頭に各キャラクターがたどる過酷な運命を評価したうえで,ほかのルートを見たいという意見もあったようですが。

田畑氏:
 「エピソード イグニス」で,本編と異なるifの結末を用意しました。それはゲームとして遊ぶ以上,単に事実をなぞるだけでなく,プレイ次第で運命を変えられる,結末を自分で変えられるという部分も必要だろうと考えたからです。

「エピソード イグニス」では,周回要素として,イグニスが選択する「もう1つの未来」を確認できる
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4Gamer:
 どちらかがトゥルーエンドというわけではないんですよね。

田畑氏:
 あくまでifです。しかし重要なのはエンディングの内容ではなく,「運命を変えられる」という部分ですよね。

寺田氏:
 「残酷な未来をプレイヤー自身で変える」をテーマにifルートを作りました。
 ifルートの結末よりも,「イグニスになって王の運命に抗う」という過程をユーザーに体験させたい,というのを一番大事にしていて,それが今のFFXVファンが一番やりたいことなんじゃないかなと。

田畑氏:
 何も変わらない穴埋めの要素であれば,アップデートやDLCはそんなに多くは必要ないと思います。一つの結末がきちんと存在する物語に,さらにプレイヤーが入り込んで結末を変化させられるからこそ,もう一度遊ぶ意味があるんじゃないかと。もちろん,これには賛否があるでしょうけれども。

寺田氏:
 自分自身も本編のエンディングで泣いたので,ifルートの結末を作るのは非常に苦労しました。でも「ifルートの結末を見て,本編での想いが報われた」という感想も頂けたので,本編のエンディングが素晴らしかったこそ,あのifルートを作れたのかなと思っています。

黒田氏:
 本編で示された一つの終わり方を土台として,ifエンドがあり,ひいては新シリーズがあるわけです。


チャレンジすることがチームのアイデンティティになった


4Gamer:
 アクティブ・タイム・レポートでは,田畑さんが「マスターアップ当時の開発チームはギリギリでラスボスに挑めるレベル35くらいの実力。今はレベル50近く」とおっしゃっていました。それはどのあたりで感じたのでしょうか。

田畑氏:
 今はレベル55くらいになりましたよ。圧倒的に開発スピードが上がっていますね。何しろ,PS4とXbox Oneのマルチタイトルを年間20回以上マスターアップしてきたわけですから。
 それを実現するためには,作るべきものに最適化したチームの体制と,適切な技術の選択と開発運営,最終的に製品にするデバッグやブラッシュアップのプロセスなど,高度なノウハウとフローがなければ無理なんです。途中でやり直したりしていると,3か月くらい簡単に吹っ飛んでしまう。そうならないよう,自分達の作るべきものを徹底的に明確にし,ブレることなく開発を進めてこられたということです。

4Gamer:
 しっかりと計画を立て,その計画をきちんと遂行したと。

田畑氏:
 そうです。その達成度が非常に高くなってきました。HDゲーム開発の場合,最初の見通しが甘い,そもそも見通せていないケースが多いと思います。やってみないと分からない部分が多すぎる。僕ら自身も以前はそうでしたが,現在のFFXVチームは,予測と結果が極めて近くなってきています。

4Gamer:
 皆さんにその実感はありますか。

黒田氏:
 新しいものを作り出すために培ってきたツールなどの環境がしっかりでき上がっているのが大きいですね。遊びを生み出すことだけに集中できます。

田畑氏:
 個々の開発者ももちろんですが,チームとしてすごくレベルが上がっているのを感じます。目標に対する理解も高く,バラバラの方向を見ながら仕事をするということがないんです。なのでレベル55です。

4Gamer:
 そこまでチームが成長できたのは,なぜなんでしょうか。

寺田氏:
 一度,本編を作りきり,発売したことが大きいでしょうね。「もうこれ以上はできない」というところまで追い込んで作った経験が一番じゃないかと。

荒牧氏:
 これだけ規模の大きなチームで,かつグローバルに展開しているというのも大きな経験です。例えば,今日もアメリカとイギリスのスタッフとやり取りしながら作業をしていたのですが,以前だったら海外については「日本で作りますから,それを販売してください」というスタンスでしたから。

4Gamer:
 それは大きな変化ですね。これはゲーム開発に限らないと思うんですが,自分がそれまでに経験していないやり方や,できるかどうかわからないことに対しては,なかなかチャレンジしづらいと思うのですが。

荒牧氏:
 そもそもFFXVでオープンワールドを採用することがチャレンジでしたし,最近では「戦友」のマルチプレイ用にサーバーを構築することも初めての経験でした。そうした初めてのことにチャレンジする文化が,ここ数年チーム内で強化されたと感じます。

田畑氏:
 寺田が言ったように,本編発売のあと,その傾向が強くなっています。

荒牧氏:
 とはいえ,本編発売直後に「オンライン拡張パック:戦友」の企画が出たときは「無理」という意見もありましたけどね。

黒田氏:
 まあ,スタンドアロンとして開発したゲームに,あとからオンラインのマルチプレイを入れようとは,普通は思いませんから。

田畑氏:
 でも普通のことをやっているだけでは,普通の結果しか出ません。それで「皆,普通でいいんだっけ? 普通じゃないことがやりたかったんだよね?」となって。

荒牧氏:
 それでアバターシステムを作り,マルチプレイに対応し,今の「戦友」になっていったわけです。

寺田氏:
 開発スタート時から目標を高く設定していたので,それがチームの文化となり,アイデンティティになっていったというイメージがあります。

「オンライン拡張 パック:戦友」は,DLCとしてリリースされたFFXVのマルチプレイモード
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4Gamer:
 チャレンジというと,田畑さんは4Gamerの年末企画に,「副業」をやってみたいというコメントを寄せられましたが,どういうことか,もう少し詳しく聞かせてください。

田畑氏:
 人にはいろいろな仕事をするチャンスがあり,でも時間は永遠ではない。一方で,多くの企業は副業を許可してはいない。自分は正直,そこに窮屈さを感じていたので,今後はチャンスがあれば,積極的にチャレンジしていこうかなと。
 それはチームのメンバーに対しても同じで,自分の可能性を閉じなくていいと思う。例えば講演が得意な人間は,それでお金をもらうのが副業になるぐらいに付加価値を高めてほしい。やりたいなら「飲食店を副業でやってます」でもいいですし。

4Gamer:
 ゲームでなくてもいいと。

田畑氏:
 はい。政府が副業を推進しているということは,おそらく今後,ずっと一つの会社にだけ務めて賃金を得るという現在の世の中のモデルが変わっていくのでしょう。平均寿命が延びて,働かなければならない時間も増えていくので,その変化は当然だと思います。それなら時代が完全にそうなるのを待つより,早くやってみたいという考え方です。
 また,そうしたほかの仕事へのチャレンジは,結果として本業であるゲーム作りにも必ず役立つと思います。ちなみに僕は極端な未来信者で,未来はきっと今より面白いと信じているので,「早くもっと未来にならないかな」っていつも思ってます(笑)。

画像集 No.019のサムネイル画像 / コンテンツの基準は“届けるべき人がいるか”。「FINAL FANTASY XV」の「ROYAL EDITION」「WINDOWS EDITION」開発陣インタビュー

4Gamer:
 なるほど。田畑さんが何を始めるのか,楽しみにしています。
 FFXVはまだまだ続くとのことですが,「ROYAL EDITION」のリリースでとりあえず一区切りということで,注目している人に向けてメッセージをお願いします。

寺田氏:
 FFXVの一番愛されているポイントは,ノクトや仲間達,ルーナ,そしてアーデンといったキャラクター達です。ファンの皆さんが,彼らをもっと好きになれるようなエピソードを全力で作っていきますので,ご期待ください。

黒田氏:
 「ROYAL EDITION」はこれまでの集大成であるだけでなく,今後遊び続けていただくためのスタート地点でもあります。これまで遊んでいた方も,これから始めるという方も,いろいろなプラットフォームで遊べますので,この機会にぜひ新しくさまざまなコンテンツを詰め込んだFFXVに触れていただきたいです。

荒牧氏:
 「WINDOWS EDITION」は,今後もMOD対応などでバージョンアップしていきます。いろいろな遊び方ができるようにしていきますので,ぜひご意見をください。一緒に,楽しいFFXVを作っていきましょう。

田畑氏:
 FFXV全体としては,本編発売,そのあとの展開を経て,これから第3世代を迎えます。世代を進めるために,あらゆる部分を進化させていますので,どうなっていくかを楽しみにしていただきたいです。なるべく前人未踏の領域に行ってみます。
 またFFXVでやっていることは,すべてその先につながるものとして取り組んでいます。チーム全員,その先でやるべきことを見据えて日々チャレンジしていますので,ぜひFFXVの先についても楽しみにしていてください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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