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「League of Legends」の国内リーグ戦,「LJ LEAGUE」が開幕。秋葉原e-sports SQUAREに国内の強豪4チームが集った開幕戦の模様をレポート
このリーグは,国内のさまざまな大会で優勝経験のあるDetonatioN FM,Ozone Rampage,Rascal Jesterという強豪3チームに加え,本大会の予選トーナメントで優勝を果たした沖縄の虎の計4チームが,日本最強の座と高額賞金を賭けて競い合うというもの。開幕戦では,4チームすべてが秋葉原に集い,白熱の試合を繰り広げた。本稿でその模様をレポートしていこう。
「LEAGUE OF LEGENDS JAPAN LEAGUE」公式サイト
参戦した4つのチームと,開幕戦に出場したメンバーは以下のとおりだ。
※選手名の後のカッコ内は,担当レーン,もしくはロール。野球やサッカーで言うところのポジションのようなもの。
●Ozone Rampage(WCG2013 LoL日本代表決定戦優勝)
- Ozone RPG Aotaka選手(Top)
- Ozone RPG tei選手(Jungle)
- Ozone RPG Envy選手(Mid)
- Ozone RPG Mmeron選手(ADC)
- Ozone RPG Dejiwo選手(Support)
●DetonatioN FM(tesports Presents LoLオンライントーナメント優勝)
- Det FM Yutaproid選手(Top) ※オンラインでの参加
- Det FM Anelace選手(Jungle)
- Det FM Ceros選手(Mid)
- Det FM Gorira13選手(ADC)
- Det FM Maa選手(Support)
●Rascal Jester(Vプリカ Presents LoLオンライントーナメント優勝/JCG グランドチャンピオンシップ 2014優勝)
- RJ Arfoad選手(Top)
- RJ Rainbrain選手(Jungle)
- RJ apaMEN選手(Mid)
- RJ Rkp選手(ADC)
- RJ Lillebelt選手(Support)
●沖縄の虎(League of Legends JAPAN LEAGUE CHALLENGER Tournament優勝)
- Honekawasuziemon選手(Top)
- Bakudanx選手(Jungle)
- Yung選手(Mid)
- R0J0選手(ADC)
- RealGirlSupport選手(Support)
このリーグは,上記4チームが毎週さまざまな組み合わせで試合を行い,その結果に応じて得られる勝ち点の合計によって優勝が争われる。この辺りはいわゆるプロスポーツを想像してもらえば分かりやすいと思うのだが,1試合につき必ず2ゲームを行い,1勝1敗の場合は引き分けとなる,いわゆるBest of 2――BO2形式を採用している点は少し特殊かもしれない。それでは,開幕戦として行われた3つの対戦カードを見ていこう。
●1試合目:Rascal Jester VS Ozone Rampage
1ゲーム目はShyvana,Viという強力なInitiator(戦闘の口火を切る能力の高いチャンピオン)を選択したRascal Jesterに対し,Ozone Rampageは一瞬で敵の懐に飛び込める能力を持ったチャンピオンがLee Sinのみと,自分からは仕掛けにくい構成を選択。Ozone Rampage側としては,Supportのdejiwo選手操るLuluが,火力源であるZiggsやLucianを,如何にして守るかが焦点となりそうなチャンピオン選択となった。
お互いのJungler(レーンではなくJungleを主戦場とするチャンピオン)によるGank(Jungleなどから奇襲をかける定番戦術)がなかなか決まらない,静かな立ち上がりだったものの,約10分ほどが経過した辺りで動きが。apaMEN選手とRainbrain選手が自陣側のエンシェントゴーレム(ジャングル内にいる中立クリープの一種で,これを倒したチャンピオンは一定時間ボーナスを得られる)を狩りに行ったことを察知したOzone Rampageは,お返しと言わんばかりに,4人がかりでドラゴンを倒すことに成功。しかし,体力の低い状態でそのまま居残っていたEnvy選手が,マップを下ってきたapaMEN選手とRainbrain選手によりキルされ,ファーストブラッド(ゲーム中での初キル)を与えてしまう。
ここから均衡が崩れ始め,Rascal Jesterは各レーンのタレット(砲台)を次々と破壊,さらに要所でキルを取ったapaMEN選手のKha'zixがどんどん育っていくという展開に。キルやタレット破壊ができていないOzone Rampage側は,獲得ゴールドの少なさから来る装備の差によって集団戦で十分な火力が出せず,Midのインナータレットで行われた集団戦に敗北するとともに,サレンダー(降参)を選択。1ゲーム目はRascal Jesterの勝利となった。
勝利して勢いに乗るRascal Jesterは,2ゲーム目もapaMEN選手がKha'zixを,Rainbrain選手がViをチョイス。対するOzone Rampageは,TopのAotaka選手がRenektonを,Jungleのtei選手が最近流行の兆しを見せているPantheonを選択するなど,1ゲーム目よりも序〜中盤戦で試合を動かしやすいチーム構成を取った。
その試合内容は,1試合目とは打って変わって激しいキルの奪い合いとなった。Rascal Jester側はBotレーンでキルを取ると,その獲得経験値差を活かし,先にLv.6になった瞬間に,強力なアルティメットスキル(以下,Ult)を使った攻勢に出るお手本のようなプレイでリードを広げていくも,Ozone Rampage側のタワーダイブ(タレット下にいる敵に攻撃を仕掛けること)に対し,無理な反撃を狙ったところから逆にキルを奪われてしまう。そこからはtei選手のPantheonが,Ultを使った素晴らしいGankでキルを重ねていき,Ozone Rampage側が若干優勢となる展開に。
●2試合目:沖縄の虎 VS DetonatioN FM
1ゲーム目は,Ziggs,Varusというポーク能力(地形を利用したけん制能力)に長けた構成を選ぶ沖縄の虎に対して,DetonatioN FMは敵集団を分散させるスキルを持つGragas,Lee Sen,Alistarといったテクニカルなチャンピオンで固める布陣となった。
序盤からお互いにキルし合う派手な展開となったこの試合。DetonatioN FM側はキルをタレット破壊やドラゴンといったオブジェクト奪取に繋げられず,中盤から徐々に沖縄の虎が優位を確保してゆく。しかし,DetonatioN FMもCeros選手の操るGragasの見事なUltで敵集団を分断,各個撃破していく戦術がうまくハマり,一気に逆転を果たす。
DetonatioN FMはその優位を活かし,4人でのバロンナッシャー狩りと同時に,テレポートを持つYutaproid選手がBotレーンをプッシュするという戦略を取ったものの,沖縄の虎の的確な集団戦により,Yutaproid選手のテレポートが間に合わず,沖縄の虎は誰一人倒れることなくエースとバロンナッシャーを獲得し,総獲得金額は再び逆転。そのままバロンBuff(バロンナッシャーを倒した際にチーム全員が受けられるボーナスで,一定時間各種ステータスが向上する)を活かした大攻勢へ。DetonatioN FMはタレットを守りつつ,沖縄の虎のバロンBuffが切れた瞬間に集団戦を仕掛けたものの,Yung選手のZiggsを瞬殺することに失敗。再度誰も倒れずにエースを獲得した沖縄の虎が,ネクサスを破壊して勝利をもぎ取った。
続く2ゲーム目では,DetonatioN FMはMidのCeros選手にとって「もっとも自信があるチャンピオン」と言われるZedを選択したほか,Jungleには相手に気取られることなく移動できるEvelynnを配置するなど,がらりと構成をチェンジ。1勝して波に乗る沖縄の虎は,1試合目とは打って変わって瞬間火力に優れたチャンピオンで固めるチーム構成となった。
序盤戦は,Midでは沖縄の虎のYung選手が優勢となるが,DetonatioN FMも負けじとBotで優位を築くといった,お互いに食らい付いていく展開に。中盤戦では,ドラゴンをめぐる戦いが焦点となったが,ここでDetonatioN FMのSupportであるMaa選手が,素晴らしいタイミングでThreshのUltを発動。沖縄の虎の面々の移動時間を稼ぐ頭脳プレイを見せ,ドラゴンをしっかり確保したのち,続く集団戦ではZedが大活躍してキルを多数もぎ取る。
●3試合目:Rascal Jester VS 沖縄の虎
この日最後の組み合わせとなる3試合は,すでに1勝を果たしているRascal Jesterと,1分けで繋いだ沖縄の虎が激突。Rascal Jester側はMidに非常に強いと目されているYasuoを置き,Yasuoとの組み合わせで強みを発揮できるXin Zhao,Namiを入れていく,Yasuo中心のチーム構成となった。対する沖縄の虎は,強力なInitiaterであるShyvana,Viに,味方の移動速度を向上するスキルを持つKarmaを組み合わせた,自分達から仕掛けやすい構成で対抗する。
Vi,そしてXin Zhaoと,どちらのチームも序盤から高い戦闘能力を発揮するJunglerを擁しており,どちらのGankがうまく決まるかが焦点となった。まずはRascal JesterのXin Zhaoが先んじてMidでキルを奪うものの,沖縄の虎のViも負けじとCeros選手操るYasuoをキル。ここからはBakudanx選手のViが勢い付き,さまざまな場面でどんどんキルを奪っていく展開に。逆にあまりキルに絡めなかったXin Zhaoは,獲得金額でViに大きく遅れを取ってしまったことから,その後の集団戦でほとんど活躍できないという苦しい展開となった。沖縄の虎はその差を活かして,各種タレットにプレッシャーを掛けてさらに優位を広げていき,最後は若干無理矢理な形で集団戦を開戦。Rascal Jester側も素早く反応して対応したものの,あまりにも育っていたViの前に4人がキルされてしまい,サレンダーを選択。沖縄の虎の勝利となった。
続く2ゲーム目では,1ゲーム目でRascal JesterがしてやられてしまったViを自ら選択。さらにSupportにはLeonaを据えるなど,Initiate能力に優れる構成となった。対する沖縄の虎は攻守に渡ってバランスの良いチームを編成。
序〜中盤戦は,Rascal JesterのJungler,Rainbrain選手のGank,そしてLillebelt選手のLeonaのUltが冴え渡り,ADCであるRkp選手にキルが集まっていくという展開に。また,TopでもArfoad選手のDr.Mundoが序盤の苦しい時間帯をなんとか耐えて逆転,そのままドラゴンを獲得するなどして,Rascal Jesterが大きく優位となる。
公式サイトをチェックしておこう。
なお,「League of Legends JAPAN LEAGUE Winter Season」の優勝チームは,韓国で行われているトーナメント,「NiceGameTV League of Legends Battle」への出場権も獲得できる。ここで上位に入賞すれば,Riot Gamesが定期的に開催している公式世界選手権に参加できる可能性もあるとのことだ。
昨年末に行われた公式世界選手権――“Season 3 World Championship”では,ストリーミング番組の述べ試聴者数がなんと3200万人に到達し,まさに世界規模の盛り上がりを見せているLoLだが,そもそも国内サービスが行われていないこともあり,これまで日本人選手は参加する手段がほとんどなかった。その可能性が少しでも開かれてきたことは,日本のLoLファンにとってなかなかに嬉しい話題といえるだろう。そんな輝かしい可能性を掴むのは果たしてどのチームなのか。日本のLoLファンは,今後の試合展開に期待しよう。
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