連載
インディーズゲームの小部屋:Room#390「Nandeyanen!? - The 1st Sûtra」
2015年は土用の丑の日が2回あるが,うなぎはお高くて手が出せない筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第390回は,Tchagata Gamesが開発したスイス生まれの横スクロールシューティング「Nandeyanen!? - The 1st Sûtra」を紹介する。1000年の眠りから覚めた天狗マンを操作して,反乱を起こした妖怪共と戦うのだ。もう,いっそのことうなぎ味のなまずでもいいです。
正直なところ,筆者は今,「またすごいゲームが来ちゃったな」という心境である。本連載の第387回で紹介したスペインからの刺客「Don’Yoku」が縦スクロールシューティングの黒船だとすれば,本作はそれに対するスイスからの宣戦布告(?)であると言えるだろう……。言えないかもしれないけど。もちろん,タイトルの“Nandeyanen!?”とは,日本語の“なんでやねん!?”のことである。それはこっちのセリフだ!
ストーリーは冒頭で軽く触れたとおり,1000年の眠りから覚めた天狗マンが,狸元老によって引き起こされた“大妖怪反乱”を鎮めるため,反旗を翻した妖怪達を倒していくというもの。天狗マンは,英語では“long-nosed goblin”と表記されているが,鼻の長いゴブリンですと……。なんだか,一気に格が下がった気がしないでもない。
ゲーム自体は,比較的オーソドックスな横スクロールシューティングとなっており,天狗マンのお供である3体のミニ天狗,その名も,爺,小僧,大佐を呼び出して戦わせることができるのが特徴。爺,小僧まではいいとして,大佐とは一体……。それはともかく,呼び出したミニ天狗はその場に留まり,3秒後に強力なビーム(?)を放って消滅するという,オプション的な存在だ。
天狗マンの操作は,方向キーでの移動に加え,ショット(通常攻撃),ミニ天狗召喚,ボムの3つのキーで行う。このうち,ミニ天狗の召喚キーを長押しすることで,天狗マン本体からビームを発射できる。いわゆる,溜め攻撃というやつだ。
また,もう1つ面白いのが,召喚キーを押していると天狗マンの周囲に魔法陣が展開され,これに敵弾が接触したときにタイミングよく右キーを入力すると,敵弾を跳ね返せるというシステム。敵弾に囲まれてもうダメ! というときにこれを活用すると,ボムを使わずに状況を切り抜けつつ,敵に反撃もできてしまうのだ。さすがは天狗マン。
ゲーム難度は,Easy,Normal,Hardの3段階あり,Easyモードだと召喚キーを押しっぱなしにしているだけで(右キーを入力せずとも)敵弾を反射できるため,めちゃくちゃ簡単にクリアできてしまう本作。筆者のような初心者天狗マンでも安心して遊べるのが嬉しい……のは確かなのだが,白状すると全3ステージしかないため,クリア自体は実はそれほど大変でもない。
ゲームを一通りプレイすれば分かるとおり,本作のヒロイン的な存在であるミス稲荷はいまだ敵の手中にあり,どうやら物語は続編に続くようだ。なんでやねん!?
ところで,天狗が主人公の横スクロールシューティングと言えば「暴れん坊天狗」だが,本作のビジュアルやストーリーは,1991年にタイトーから発売されたPCエンジン用ソフト「はなたーかだか!?」に影響を受けているそうだ。なるほど,言われてみればタイトルに“!?”が付いているあたりにその片鱗がうかがえる……ような,そうでもないような。というか,そこはやっぱり「暴れん坊天狗」じゃないのか! なんでやねん!?
ほかにも,「がんばれゴエモン」シリーズや「大神」シリーズ,「朧村正」などからも影響を受けているとのことで,まじめな話,本作に登場する妖怪達のビジュアルは,日本人的に見てもかなりいい線まで来ている。また,本作はきっちりと日本語化されており,ほとんど違和感のない文章でストーリーを堪能できる。
ここまで再現しておきながら,なぜタイトルが“なんでやねん!?”なのかという疑問は尽きないが,横スクロールシューティングとしてそれなりに遊べるゲームにはなっているので,興味を持った人は試してみてはいかがだろうか。そんな本作はSteamにて198円で発売中だ。あと,次はぜひ最後までゲームを完成させてください。お願いします。
■「Nandeyanen!? - The 1st Sûtra」公式サイト
http://tchagata.com/games/nandeyanen/- この記事のURL:
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