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インディーズゲームの小部屋:Room#351「Kraven Manor」
最近は主に,古めかしい写真機を使って怨霊を撮影しまくっている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第351回は,Demon Wagon Studiosの「Kraven Manor」を紹介する。本作は,不気味な洋館に迷い込んでしまった主人公を操作して,館からの脱出を目指すというホラーアドベンチャーだ。やっぱり,ゾンビより幽霊のほうが怖いですね。あと,濡れてスケスケは素晴らしいと思います!
本作の舞台となるのは,Kraven Manorと呼ばれる無人の洋館。この館の持ち主であったWilliam Kravenは表向きは人格者だと見られていたが,実はオカルトに傾倒しており,ここで密かにおぞましい実験を行っていた。プレイヤーはこの館に迷い込んでしまった主人公となり,出口を求めて館内を探索することに。よりにもよって,なんちゅうところに足を踏み入れてしまったんだ……。
本作は一人称視点のホラーアドベンチャーで,操作方法はW/A/S/Dで移動,Eキーで調べる,Fキーで懐中電灯のオン/オフといった感じ。また,Shiftキーを押しながらの移動で,一定時間走ることもできる。ジャンプはできないが,一般的なFPSとほぼ同じ操作なので,遊び方で戸惑うことはないだろう。
主人公が最初に駆け込んだ玄関ホールには館の模型が置かれた台座があり,探索中に見つけた新たな館のピースをこの台座にセットすることで,それに応じて館の構造が変化するという仕組みになっている。
ゲームの流れは,館のピースを見つけ出して台座に置き,それによって新たに出現した部屋を探索していくというもの。館の内部は非常に美麗なグラフィックスで描かれており,ところどころに血の付いた何かを引きずったような跡があるなど,不気味な雰囲気が満点。そして,館のあちこちに残されているメモや写真を見つけることで,この館にまつわるエピソードや,Williamの狂気に憑りつかれたような思想が徐々に明かされていくのだ。
そんなWilliamの狂気の産物が,主人公に襲い掛かってくる動くブロンズ像である。主人公には戦う手段がないので,これに出会ってしまったら逃げるしかないのだが,その時に重要になってくるのが懐中電灯の使い方。ブロンズ像には暗闇の中で活動するという特徴があるので,もしこれに襲われたら懐中電灯の光を当て続けながら後退して距離を取ろう。
しかし,相手はほんの少し目を離した隙に急に距離を詰めてくる場合もある。ふと振り返った瞬間に目の前にブロンズ像が迫っていたときの怖さといったらもう……。こんなに心臓に悪い“だるまさんが転んだ”は初めてですよ。
模型を使って館の構造を変化させるというアイデアは秀逸だが,それがあまりうまく活かされておらず,結局のところは「模型を使って部屋を出現させる」「その部屋でまた別の模型を見つける」という繰り返しになってしまっている点はやや残念ではあるものの,じわじわとまとわりつくような恐怖と,不意に現れるブロンズ像というメリハリの利いたホラー体験が味わえるので,ホラーゲームが好きな人はぜひどうぞ。そんな本作は,Steamにて980円で発売中だ。
■「Kraven Manor」公式サイト
http://www.kravenmanor.com/- この記事のURL:
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