インディーズゲームの小部屋：Room＃329「Depths of Fear :: Knossos」

　連休の谷間に泣く泣く平常運転でお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第329回は，Digital Tribeの「Depths of Fear :: Knossos」を紹介する。本作は，ギリシャ神話の英雄テセウスとなって，クレタ島のクノッソス宮殿にある地下迷宮に挑むという一人称視点のアクションアドベンチャーだ。来年の大型連休はぜひ水曜もお休みにしてください……。


　はるか昔，クノッソス宮殿は力ある善良な王，ミノスに治められていた。しかし，ミノス王の息子が異形の姿で生まれたことから，王はすっかり変わってしまった。ミノス王はクノッソス宮殿の地下に広大な迷宮を築き，そこへ自らの息子を閉じ込め，アテネの子供達を生け贄として送り込むようになったのだ。
　だが，アテネの若き後継者にしてポセイドンの子である英雄テセウスは，黙ってこれを見過ごすことを良しとしなかった。今こそ地下迷宮に挑み，異形の子，ミノタウロスを退治しなければならない……。


　神話によると，ミノス王が約束を破ったことに激怒したポセイドンが，ミノス王の后であるパーシパエーに呪いをかけ，パーシパエーと牡牛のあいだに生まれた子がミノタウロスであるとされている。そう聞くと，ミノス王もあまり善良とは言えないんじゃないかという気もするが，そこはそれ。プレイヤーはテセウスとなって，かの名工ダイダロスが作り上げた地下迷宮（ラビュリントス）に単身挑むことに。


　上述したとおり，本作は一人称視点のアクションアドベンチャーで，ゲームを開始するたびに毎回新たにマップが生成されるのが大きな特徴だ。迷宮の入口にはなぜかダイダロスが店を開いており，迷宮内で手に入れた金貨と引き換えに初期装備となる武器を売ってくれる。テセウスは迷宮内で力尽きると，その時持っていたものをすべて失って，またこの店のある場所に戻されてしまう。


　おそらく最初は，金貨1枚で買える棍棒しか手に入れることはできないが，ダイダロスの店で一度購入した武器は壁に陳列され，以降は無料で使えるようになる。また，1つの階層をクリアするたびにダイダロスの店に戻れるので，その時に少しずつ新たな武器を買い増していくといいだろう。


　さて，棍棒とたいまつを手に意気揚々と地下迷宮に足を踏み入れたテセウスだが，そこは言うまでもなく魔物のすみかとなっており，サテュロスやケルベロス，ケンタウロス，マンティコア，グリフィン，メデューサ，ヒドラ，そしてミノタウロスといった伝説の怪物が徘徊している。
　だが，我こそはポセイドンの息子にして，英雄テセウスなり。凡百の怪物など恐れるに足りず！　と思いきや，最初に遭遇するサテュロスがいきなり強い。筆者も何度も返り討ちにされて，思わず変な声を上げてしまったほどだ。おのれ，山羊人間め……。


　怪物と真正面から殴り合うとテセウスはあっという間に死んでしまうため，戦いの基本はヒット＆アウェイだ。たいまつを消して暗闇に身を隠し，敵が近寄ってきたところを見計らって殴る！　そして，すぐに退却だ。実に英雄らしからぬ戦いっぷりだが，こうでもしないと，とても身が持たない。
　どうにかして敵を撃退したら（といっても，敵は一定時間経つと再び出現するのだが），フロアのどこかにある鍵を見つけ出し，下の階層へと続く扉を開けばクリアとなる。迷宮内では，手に入れた本を神像に捧げると，さまざまな神の加護を得られるので，うまく活用してさらに地下深くを目指そう。


　薄暗い地下迷宮のグラフィックスは雰囲気満点で，ひたひたと迫ってくる敵の足音におびえながらの探索はかなりの緊張感がある。4Gamer最強のソロプレイヤー（主に友達がいない的な意味で）と称される筆者でも，長時間プレイしていると緊張感で胃が痛くなりそうなゲームだが，手に汗握る冒険を満喫したいという人には，ぜひお勧めしたい一本だ。そんな本作は，Steamにて5.99ドルで発売中ですよ。

■「Depths of Fear :: Knossos」公式サイト

http://digitaltribegames.com/depths-fear-knossos/