連載
インディーズゲームの小部屋:Room#318「Strike Vector」
会社の自販機に100円玉を入れるたびに返却口からそのまま突き返されて悶絶している筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第318回は,Ragequit Corporationの「Strike Vector」を紹介する。本作は,2つのモードに変形可能な戦闘機,Vectorを操作して空中戦を繰り広げるオンライン対戦型FPS/TPSだ。この自販機,ちょっと判定厳しすぎるよ!
Vectorの基本操作は,W/A/S/Dで移動,マウスで照準,マウスの左右ボタンでそれぞれの側に装備した武器で攻撃というもの。AまたはDキーを素早く2回押すとバレルロールが行えるので,敵のミサイルを引き付けてから繰り出すとロックオンを振り切ることもできる。そして,Spaceバーでジェットモードとホバーモードという2種類の形態を切り替えられるのが特徴だ。ベクターマシンは3機揃うと創聖合体できるが,残念ながらVectorに合体機能はない。まあ当たり前ですね……。
ジェットモードは速度を重視した飛行形態で,敵を追跡するときや攻撃を振り切るのに適しており,もちろんそのままドッグファイトに持ち込んでもいい。もう一方のホバーモードは,機体を変形させて空中での静止が可能となるモード。物陰に隠れて敵を狙い撃ちしたり,ジェットモードとホバーモードを連続で切り替えて素早く方向転換したりといった使い方ができる。ホバーモード中でもゆっくりと移動できるので,入り組んだ地形を慎重に進むときにも有効だ。
本作では,機体のカスタマイズ要素も充実している。左右それぞれの武器を自由に装備できるだけでなく,各武器に2つの特性(連射速度や静粛性の向上など)を与えられるので,組み合わせの幅はかなり広い。さらに,Vector本体の特性や,ここぞという時に使えるスペシャルアクションも好きなものを選択できるので,あれこれ試して自分好みの組み合わせを見つけよう。また,機体の性能はとくに変化しないものの,機体の外見やカラーリング,ノーズアートなども変更可能だ。
ゲームは基本的にオンライン対戦に特化した内容で,DEATHMATCHとTEAM DEATHMATCH,チームに分かれて拠点の争奪戦を行うDOMINATION,敵を撃墜して相手の賞金を奪い合うBOUNTY HUNTERという4つのゲームモードがある。実戦に出る前にソロプレイで練習したいところだが,練習マップではBOTすら出てこないので,戦いはぶっつけ本番でやるしかない。DEATHMATCHやBOUNTY HUNTERなら,いくら倒されても周りに迷惑をかけないので,慣れないうちはこれらのモードで遊ぶといいかもしれない。
本作で特筆すべきは,その圧倒的なクオリティのグラフィックス。まるで空中に浮かんだ石油採掘プラントや工場を思わせるマップは細部までとことん作り込まれており,複雑に入り組んだ地形の合間をびゅんびゅん飛び回りながら繰り広げる空中戦は爽快のひと言。筆者の場合,気を抜くとあっという間に地形に激突してしまうのであまり大きなことは言えないが,Xウイングがデス・スターに突入するシーンのようなスリルが存分に味わえて,思わず病み付きになってしまう。
ただ一つ残念なのは,プレイヤー数がまだまだ多いとは言えないこと。対戦相手が見つからないということはないが,もっとたくさんのプレイヤーが参加して,さらに盛り上がってほしいと思える作品だ。あと,できればBOTくらいは導入してもらえると個人的には嬉しいかな。そんな本作はSteamにて24.99ドルで発売中なので,普通のフライトコンバットでは物足りないと感じている人はぜひお試しあれ。
■「Strike Vector」公式サイト
http://www.strikevector.net/- この記事のURL:
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