インディーズゲームの小部屋：Room＃283「Tiny Barbarian DX」

　E3の話題で盛り上がっている世間を横目に，ひたすらファミコン風8bitゲームを遊んでいる筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第283回は，StarQuail Gamesの「Tiny Barbarian DX」を紹介する。本作は，名もなき主人公を操作して冒険を繰り広げる横スクロールアクションだ。新しいゲーム機が発売されても，ぶっちゃけもう置く場所がないです。お金もないけど。


　PlayStation 4やXbox Oneの新作ゲームの映像を見ていると，家庭用ゲーム機のグラフィックスが「もう，こっちが現実ってことでいいんじゃね？」というレベルに達してしまった感もあるが，今回紹介するのは前フリにもあるように，レトロな雰囲気が満載の8bitアクションゲーム。これぞドット絵！　と言わんばかりのちまちましたキャラクターに，音数は少ないながらも心踊らされる勇壮なBGMと，まるでファミコン時代のゲームを見るかのようだが，そうそう，こういうのでいいんだよ，こういうので。


　本作の主人公は，上半身裸のコナン風の戦士。コナンと言っても名探偵ではなく，「コナン・ザ・グレート」や「コナン・ザ・バーバリアン」に出てくる蛮族のほうであり，すなわちロバート・E・ハワードによって生み出されたアメリカン・ポップカルチャーの英雄のことである。ただし，本作の主人公に名前はなく，ストーリーも不明。バーバリアンが大暴れする理由と言えば，父親のかたきを取るとか，囚われの美女を救うといったあたりが定番だが，そうした状況説明は一切ない。もしかすると，ただ暴れたいだけという可能性すらある……いや，ないかな。


　主人公の操作は，方向キーで移動，Zキーでジャンプ，Xキーで攻撃というシンプルなもの。画面左上にある赤いゲージが体力を示しており，敵の攻撃を受けて体力をすべて失うと直前のチェックポイントからやり直しとなる。主人公の武器は最初から持っている剣一本のみで，都合のいいパワーアップなどは登場しない。敵のほうは槍を投げたり，魔法を放ってきたりと飛び道具を使ってくるが，こちらはひたすら接近戦あるのみ。バーバリアンたるもの，常にこうありたいものだ。


　ちなみに，ステージ中にあるコインはただの得点アイテムで，これを集めて武器を買い替えたりといった要素はない。バーバリアンは買い物などしないのだ。また，どこからどう見ても肉！　といった感じのアイテムは体力回復アイテムなので，こちらも見つけたら忘れずに拾っておこう。ひびが入った壁は，剣で破壊できる場合があり，コインや肉が手に入ったりするので，気になる場所は剣でどついてみるといいかもしれない。


　ゲームには全部で4つのエピソードが収録される予定で，現在は「The Serpent Lord」と題された最初のエピソードがプレイできる。戦いに敗れ，囚われの身となった主人公が自力で自由を取り戻し，敵の本拠地とおぼしき宮殿（？）に乗り込むというストーリーが描かれているが，詳しいことはよく分からない。だが，とにかく剣を振り回して押し寄せる敵を打ち払い，ひたすら突き進むのだ！　これぞ古き良きアクションゲームの神髄である。


　ゲーム内容は非常にシンプルだが，難度はそこそこ高く，何よりプレイしていて，純粋に楽しい。まるで，子供の頃に好きだったゲームを押し入れから引っ張り出して遊んでいるような懐かしさがあり，ゲームの面白さとは何かをあらためて思い出させてくれる。そんな本作は，公式サイトにて9.99ドルで発売中。一度ゲームを購入すれば，残りのエピソードが実装された際に無料のアップデートも受けられるので，興味を持った人はぜひどうぞ。

■「Tiny Barbarian DX」公式サイト

http://www.tinybarbarian.com