連載
インディーズゲームの小部屋:Room#281「Dust: An Elysian Tail」
本文を書くより,面白い前フリを考えるほうに時間をかけている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第281回は,Humble Heartsの「Dust: An Elysian Tail」を紹介する。本作は,記憶を失った主人公が魔法の剣とその守護精と共に,己のルーツを求めて冒険する横スクロールアクションRPG。手描きの2Dアニメーションで表現されたグラフィックスと爽快なアクションが見事に融合した,完成度の高い一本だ。ちなみに,今回は面白い前フリが思いつきませんでした。ごめんなさい。
本作は,Epic Gamesの前身であるEpic MegaGamesの「Jazz Jackrabbit 2」(1998年)でアートワークやカットシーンを手掛けたアニメーターのDean Dodrill氏が,ほぼ独力で3年半の期間をかけて制作し,2012年にXbox LIVE アーケードにて発売した同名タイトルをPCに移植したもの。Jazz Jackrabbit 2に参加した以外はゲーム開発に携わった経験がなく,プログラミング自体もXNAとMicrosoft Visual Studioを使って,まさに“Hello World”から独学で身に着けたというから驚きだ。
そんな本作最大の魅力は,まるでディズニー映画を見ているかのように滑らかな2Dアニメーション。その手描きならではの温かみのあるアートワークと,メリハリの利いたアクションに,ひと目で心奪われることは間違いないだろう。率直に述べて,一人で作ったとは思えない驚嘆すべき完成度の高さだが,筆者がここで万言を尽くすよりは,下に掲載したムービーを見てもらうほうが早いと思う。うん,実に合理的な判断だ。
本作のストーリーは,過去の記憶がない主人公のダストが,人の言葉を話す伝説の剣アーラと,剣の守護精であるフィジットと共に,自分が何者なのかを追い求めて冒険するというもの。ゲーム内容は横スクロールタイプのアクションRPGで,剣を使った近接攻撃とフィジットの魔法による遠隔攻撃,そして特殊攻撃のダストストームを使い分けて敵と戦っていく。ダストストームは剣を振り回して渦を作り出すという技で,フィジットの魔法と組み合わせることで威力がアップする。
ボタンを連打するだけで連続攻撃が決まる戦闘は爽快で,華麗な空中コンボも簡単操作で繰り出せる。アクションゲームの難度としてはやや低く,大量に出現する敵をばっさばっさとなぎ倒せるなど,とにかく気持ちよく遊べるのが特徴だ。キーボードとマウスでの操作にも対応しているが,元はXBLAタイトルということもあり,Xbox 360コントローラでのプレイをお勧めしたい。
ダストは敵を倒して経験値を獲得することでレベルアップし,体力や攻撃力,防御力などを強化できるほか,さまざまな武器や防具なども装備できる。メインストーリーのほかにサブクエストも用意され,そのすべてが日本語に翻訳されているのも嬉しいところ(音声は英語のみ)。一つ一つのゲームシステム自体はオーソドックスだが,それぞれが丁寧に作られており,上述したアートワークと相まって非常に高い完成度の作品に仕上がっている。そんな本作はSteamで14.99ドルにて発売中なので,アクションRPGファンはぜひどうぞ。
■「Dust: An Elysian Tail」公式サイト
https://www.facebook.com/DustAnElysianTail- この記事のURL:
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