インディーズゲームの小部屋：Room＃102「遊星魔境のきみ」

　「インディーズゲームの小部屋」の第102回は，ゲーム制作サークル特殊装甲隊の「遊星魔境のきみ」を紹介しよう。同サークルの作品としては，連載第9回で紹介した「ゾランの使者」以来であり，あれからもう二年も経っていたとはびっくりだ。思えば遠くに来たもんだ……。

　さて，きわめてざっくばらんに説明すると，本作は地球人を操作し，ヨーヨーを振り回したりブラスターを撃ったりして凶暴な宇宙生物をやっつけながら，ステージをクリアしていく横スクロールアクションだ。
　舞台となるのは，宇宙生物の襲撃によって壊滅した小惑星E-66。プレイヤーは“遊星魔境”と呼ばれるこの危険領域の探査に来たエージェントの少女となり，宇宙生物との激しい戦いを繰り広げながら小惑星の最深部を目指すことになる。


　ちなみにこの少女には名前が設定されていないようで，マニュアルの「画面の見方」ではただ単に“地球人”としか紹介されておらず，敵は敵で“宇宙生物”としか書かれていない。そんなの見れば分かるよ！　と突っ込みたくなるすっとぼけたセンスが実に特殊装甲隊らしいが，ゲームは手堅い作りだ。

　キャラクターの操作は，方向キーでの移動に加え，ジャンプ/ショット/ヨーヨーを投げる，の3ボタンで行うというもの。本作の特徴の一つは，このヨーヨーを使ったアクションにある。

　ヨーヨーは方向キーと組み合わせることで投げる方向を変えられ，ショットでは狙えない位置にいる敵を攻撃したり，狭い隙間の向こうにあるアイテムを回収したりできる優れものだ。また，ヨーヨーはストリング部分に当たり判定があるので，敵に引っ掛けるようにして投げると効率的にダメージを与えられる。ヨーヨーの動きにはクセがあり，思いどおりに投げるには慣れが必要だが，早めにコツをつかんでおきたいところだ。


　そして本作のもう一つの特徴となっているのが，ローターを使ったジャンプアクションだ。キャラクターが空中にいるときに方向キーの上もしくはジャンプボタンを押すと頭上にローターを展開し，落下速度を緩めて飛距離を伸ばせるのだ。このローターで敵の弾を防いだり，敵を攻撃したりもできるので，お世話になる局面は多いだろう。


　基本的なゲームスタイルは，ステージのどこか（たいてい右のほうだけど）にある扉を探し，その中で待ち受けるボスを倒して次のステージに進んでいくというお馴染みのもの。しかし，ステージのいたるところに隠し通路や隠し部屋があり，そこでは体力回復アイテムやパワーアップアイテムなどが入手できる。
　これらのアイテムの中でも，とりわけ重要なのは，各ステージに一つずつ隠されている“宇宙ダイヤ”。宇宙ダイヤを取らなくてもクリアはできるが，本作の謎を最後まで解き明かしたい人は，隠し部屋を見つけ出して確実に入手していこう。


　本作では，タイミング重視のシビアなジャンプワークを要求されるシーンが多く，アクションゲームがあまり得意でない人にはやや難しめの難度といったところ。しかし決して理不尽な難しさではなく，ステージクリアごとにセーブもできるので，やり応えのあるアクションゲームを探している人にぜひお勧めしたい。
　特殊装甲隊の公式サイトでは，製品版とは一部仕様が異なる動作確認版が公開されているので，興味を持った人はまずはそちらからお試しあれ。なお製品版は，1470円（税込）にて発売中。動作確認版では物足りないと感じたら，こちらをどうぞ。

■特殊装甲隊公式サイト

http://moetoku.sakura.ne.jp/