連載
インディーズゲームの小部屋:Room#52「Toribash」
格闘ゲームなのにターン制というのが分かりにくいかもしれないが,イメージ的には“プロット入力&同時ターン制”のストラテジーゲームに近い。
初期状態では,1ターン=10フレームで,その試合の残りフレーム数は画面の中央上部に表示される。ゲームモードは主に,シングルプレイとオンラインでのマルチプレイ対戦の二つ。前者では任意のタイミングでターンを終了でき,後者では一定時間でターンが進行する。プレイヤーの仕事は,ターンごとにドールの動きを事前に設定することであり,ターンの進行と同時にドールが動き出して自動的に攻撃を行うという仕組みだ。
なお本作は英語版タイトルで,チュートリアルも含めてすべて英語だが,フリーで公開されているうえ,ドールの操作も動かしたい関節をマウスで選択してクリックするだけの簡単さ(キーボードでも操作可能)なので,英語がまったくダメという人でなければぜひ遊んでみてほしい。
ところで,自分の体で想像してみるとお分かりのとおり,強い攻撃を繰り出すにはそれ相応の予備動作が必要だ。本作でも,腕や足をただ前に突き出すだけでは,それこそハエが止まるようなへなちょこパンチしか打てない。キャラクターが次にどのように動くかは,ゴーストと呼ばれる残像のような形で表示されるので,これを目安にあれこれ関節を動かしながら,かっこよく,威力の高い技を模索するのが本作の楽しみだ。
とは言うものの,実際にやってみるとこれが意外と難しい。今回は,筆者が丸一日かけて苦心の末に編み出した,必殺の跳び蹴りムービーをご覧に入れよう。蝶のように舞い,蜂のように刺すこの奇跡の一撃を,筆者は“ジンジャーキック”と命名した。
しかし,たったこれだけの動きでさえ,関節を動かすタイミングを少し間違うと,あさっての方向に飛び上がったあげく,頭から落下して首が取れたり,腕がもげたりと,そりゃもう大変なのだ。このゲームでは,とかく腕や足や首が取れやすいのだ。とりあえず華麗に舞うことには成功しているので,目標の半分は達成したということで今回は良しとしたい。ダメですか,やっぱり?
筆者もこの,唯一無二(これしかできない)の必殺技ジンジャーキックを引っさげてマルチプレイに参戦してみたが,焦って操作がうまくいかず,対戦相手や観戦者から「なんてこった」「ブレイクダンスか」「控えめに言ってクレイジーだね」などといった,賞賛の嵐を受けたことを報告しておく。やはり実戦は練習とは違うということか……。このほかにも,さまざまなMODや,色違いの体のパーツなどのゲーム内アイテムが用意されているので,これらもちょっとしたお楽しみ要素として押さえておきたい。
■「Toribash」公式サイト
http://www.Toribash.com/- この記事のURL:
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