連載
インディーズゲームの小部屋:Room#29「The Ruins Of The Lost Kingdom」
リアンツ帝国とゼメア教国。二つの大国による,いつ果てるとも知れない戦乱の時代に,霧深き闇の地で突如として発見された謎の遺跡。戦乱によって祖国を失い,行き場を求めた多くの者達が,この遺跡に希望を,もしくは野心を見出し,ハンターとして集い始めた。しかし,この地に導かれたのはハンター達だけではなかった。リアンツ帝国とゼメア教国もまた,この遺跡に何かを見出していたのだ。両国はこの地に派兵し,遺跡を占有しようと争い始めたが,やがてそれも収束し,リアンツ帝国,ゼメア教国,そしてハンター達を含む関係は微妙なバランスをとり始めた。そして遺跡の発見から数か月後,また一人の冒険者がこの遺跡に足を踏み入れた……。
本作には,物語のメインとなる「シナリオ」モードのほかに,酒場でクエストを受けて冒険に挑む「フリー」モードや,レベルや制限時間など,与えられた条件の中でさまざまな目的を達成し,そのスコアを競う「ミッション」モードといった,いくつかのゲームモードがある。どのモードから始めてもいいが,まずは本作の世界観やゲームシステムに慣れるため,シナリオモードからプレイするのがいいだろう。シナリオモードでは主に,ある人物を探して遺跡にやってきた,フェルテスという名の冒険者の視点を通じて,遺跡の探索を行っていくことになる。
冒険の舞台となるのは,遺跡の中に自然発生的に形成された街,「アビスターナ」と,その周辺に広がる遺跡群。アビスターナには至るところに遺跡への入り口があり,この街で準備を整え,さまざまな依頼を受けて遺跡に挑んでいくというのが大まかな流れだ。遺跡は,塔,城,地下墓地,岩窟など,さまざまなエリアに分かれており,その内部はモンスターが徘徊する危険地帯となっている。本作では,街にいるNPCに声をかけて,2人まで仲間にできるので,遺跡にお出かけのときは忘れずに連れていきたい。
本作の見どころの一つは,数多く用意された武器,魔法,スキルを駆使して行う,軽快なアクションにある。基本的な連続攻撃は,ただタイミングよくボタンを押すだけでも出せるが,ゲームに慣れてくれば,武器による攻撃で敵をひるませたところを,スキル攻撃で空中に浮かし,魔法でとどめを刺すといった,さらに華麗な攻撃を繰り出せるようになるだろう。公式サイトで公開されているプロモーションムービーでは,多彩なスキルと魔法を駆使した,豪快な連続攻撃シーンが見られるので,ぜひそちらをチェックしてほしい。
また本作では,武器や防具などの装備品の強化システムにも力が入れられている。街にある鍛冶屋では,使い込んだ装備品の基本性能を上げる「強化」,宝箱や敵からのドロップなどで集めた素材を使って,新しいアイテムを作る「精錬」,アイテムに任意のスキルや魔法を組み込む「合成/分解」など,さまざまなカスタマイズができるのだ。本作では敵がお金を落とさないため,お金稼ぎは敵が落としたアイテムの売り上げに頼る局面が多くなる。しかしこれらのアイテムは装備品の強化にも必要になるので,売り払って新しい装備を買うか,取っておいて手持ちの装備品を強化させるかが悩みどころだ。
実は,各モードで獲得したアイテムやレベルなどは,同じキャラクターであれば,ほかのモードへそのまま持ち越せるので,シナリオモードで鍛えたキャラクターで,フリーモードをプレイするといったこともできる。また,アイテムだけならば,街のあちこちにある「倉庫」を使って異なるキャラクター間で受け渡しできる(ただし,お金がかかる)。フリーモードやミッションモードでは,クエストの報酬としてお金やアイテムがもらえるので,シナリオモードと並行してプレイするのも一つの手だ。
現時点(2008年2月15日)での最新バージョンでは,シナリオモードは5章まで実装されており,全体で7〜8章が予定されているとのこと。すでに,一度ではとてもすべてを紹介しきれないほどの要素が詰め込まれたゲームなのだが,一部の機能がまだβ版ということで,驚くことに本作はフリーで公開されている。アクションRPGが好きな人は,迷わずプレイすることをお勧めしたい。ゲームのダウンロードは,灯の公式サイトから行える。
最後に,灯では現在,アレンというキャラクターを主人公とした「アレン編」のシナリオを制作中で,こうした追加シナリオの一部はシェアウェア(1000円程度)として販売される予定。また,現在テスト中の機能として,オンライン協力プレイモードの実装も検討中であるとのこと。シナリオの追加も含め,今後の発展が楽しみなタイトルだ。
■灯 公式サイト
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