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Access Accepted第538回:ゲームとIoTについて考える
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印刷2017/05/29 12:00

業界動向

Access Accepted第538回:ゲームとIoTについて考える


 最近,よく耳にするようになったのが“IoT”という言葉だ。これはInternet of Thingsを略したもので,これまでPCやスマホなどが接続されていたインターネットに,それ以外のさまざまな機器がつながるというコンセプトを意味している。我々ゲーマーにとっては昔からなじみのある概念だが,今や多くの家電がインターネットにつながり,これまでになかったようなサービスを提供するようになったのだ。今回は,そんなIoTをゲームにからめて考えてみたい。


生活の隅々にまで浸透しつつあるIoT


 2016年10月21日,アメリカの家庭ならどこにでもあるデジタルレコーダーがハッキングされ,そのレコーダーにインフラを提供していた企業がインターネットを介してサーバー攻撃を受け,結果としてTwitterやAmazon.com,Redditといったサービスが一時的に停止するという事件が起きた。多くの人は,PCならまだしも,レコーダーがそうした大がかりなハッキング行為に利用されるとは思ってもいないはずだ。十分認識しないうちに,我々がインターネットによってつながっていることを印象づける事件でもあった。

IoTをイメージさせるうまい画像がなかったので,サーバーインフラを提供する企業,Dynの公式サイトに掲載されているアートをお借りした

 バズワードとしてここ数年,よく聞かれるようになったのが「IoT」(Internet of Things)という言葉だ。日本では「モノのインターネット」という言い方もあるようだが,要するにPCやスマートフォンだけでなく,車,監視カメラ,万歩計,そして体重計など,日常の電化製品がインターネットにつながり,より高度な機能を発揮するようになったということだ。
 さまざまなセンサーや通信モジュールが安価かつ大量に生産され,さまざまな製品に導入されている。

 電気・電子工学分野の国際的な学会であるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineer)に提出された報告書によれば,2020年までには300億台のIP(インターネットプロトコル)対応のIoT機器が世界で使用されるとしている。いずれは自動販売機がインターネットにつながり,買った缶ジュースのカロリーが飲んだ人に伝えられるような日もやって来そうだ。

 もともと,IoTというコンセプトは自販機から誕生したという。カーネギーメロン大学がプロジェクトとしてコカ・コーラの自販機を改造し,その日の在庫状況や適正温度に保てたかどうかといった情報をインターネットを介して外部に報告させるようにしたのが最初らしいのだ。
 また,IoTという用語は,マサチューセッツ工科大学のケヴィン・アシュトン(Kevin Ashton)氏が,1999年に発表したレポートに記した,「Internet for Things」という言葉が起源だとされる。アシュトン氏は,北米の大手企業P&Gに務めていたが,在庫管理を自動化したいという動機からマサチューセッツ工科大学の特待生となり,RFID(ICタグなどの無線機器)を開発したという経歴の持ち主だ。


ゲームおけるIoTの可能性


アメリカで2000年に開催された「Pokémon 2000 Stadium Tour」の様子。この子供達が大きくなって,十数年後に「Pokémon GO」の大フィーバーを巻き起こしたのだ
 ゲームとIoTの関係は,任天堂の携帯デバイスと「ポケットモンスター」の進化をみれば分かりやすい。ゲームボーイ向けにリリースされた初期のポケモンでは,ほかの人とポケモンを交換するために相手の同意を得たうえで,ケーブルを使ってお互いのゲームボーイをつなげる必要があった。
 それがゲームボーイアドバンス世代になると,ワイヤレスアダプターを使ってそばにいる複数のプレイヤーと通信が可能になり,Nintendo DS世代では,インターネットを介して不特定多数のプレイヤーとポケモンの交換ができるようになった。
 PCはふつう,IoTデバイスには含まれないが,PCゲーマーもかなり早くからインターネットでのプレイに慣れ親しんでおり,ゲームボーイの絶頂期の1990年代頃には,すでにPCではLANからインターネット対戦を行っていた。

 インターネットを介したスマートフォンとの連動も,ゲームでは当たり前のことになっている。
 2013年,Activisionは「コール オブ デューティ ゴースト」向けに“コンパニオンアプリ”と呼ばれるスマホ向けのソフトをリリースした。同年にはUbisoft Entertainmentも「The Crew」「アサシン クリード 4 ブラック フラッグ」向けにコンパニオンアプリを配信し,ゲーム本編のクランやフレンズのアクセス状況,装備や車のセッティング,マップやミッションの下見など,ゲームをしていなくても行えるサービスを開始したのだ。
 その後,Bethesda Softworksの「Fallout 4」やElectronic Artsの「Star Wars バトルフロント」,Bungieの「Destiny」など,欧米の大作タイトルでは当たり前のように用意されるものになった。

「ディビジョン」向けに開発されていたコンパニオンアプリのプロトタイプ。異なるデバイスそれぞれの利点を活かして1つのゲーム世界を作り上げようという面白い試みだった
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 Ubisoft Entertainmentの2016年スマッシュヒット「ディビジョン」ではさらに進んだコンパニオンアプリの使い方が検討されたという。そこでは,コンパニオンアプリを使ったプレイヤーがドローンを操作して偵察を行い,コンシューマー機でプレイしているプレイヤーを手伝うというシステムが考えられており,そのプロトタイプ画像が公開されたこともある。
 最終的にはこのアイデアはゲーム化されなかったが,異なるデバイスを利用して1つのゲーム世界を作るという新しい試みに開発者が挑んでいることは分かってもらえるだろう。2017年3月のGDC 2017では,Climax Studiosが「Lola and the Giant」のデモを行い,コンパニオンアプリを使った複数プレイを公開した(関連記事)。


再び脚光を浴びた「ゲーミフィケーション」


 IoTにからんで最近,しばらく耳にしなくなっていたバズワード,「ゲーミフィケーション」のコンセプトが復活しているようだ。ゲーミフィケーションとは,本来ゲームではないものをゲーム化することで,より多くの消費者に興味を持ってもらおうという考え方で,ワード自体はすでに目新しさを失ったが,現在も広く活用されている。

 ゲーミフィケーションには,最近のスマートカーにあるように,いかに燃料を節約してCO2を減らす運転ができたかを,どれくらいのサイズの熱帯雨林を保護できたかに換算して教えてくれるようなものがある。

 メタボ気味の筆者は,万歩計アプリでは家に置きっぱなしになると言われて,妻から強制的にフィットネスバンドを付けさせられている。これは,歩行量や脈拍変化,カロリー消費だけでなく,就寝状況までトラッキングされ,どれだけ眠ったので,最適な起床時間はこれだという時刻までクラウドデータ化されている。これによって健康管理を,少しでもゲームポイントを増やそうとするような感覚で行うことができる。

スマートデバイスの「FitBit」向けに2016年に公開された「BitRun」。飽きてしまいそうになるジョギングをゲーム化することで続けやすくするという,ゲーミフィケーション型のIoTサービスだ
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 ゲームに関連したハードについて言えば,産声をあげたばかりのVR/AR/MRデバイスはIoTの最前線にあると言えそうだ。オンライン対戦だけでなくバーチャル会議なども実現しつつあり,これからもインターネットを使った各種の応用が考えられていくだろう。
 しかし,2013年12月2日に掲載した本連載の第403回「ソーシャル機能と盗聴疑惑」でも紹介したとおり,勝手にインターネットにつながる機器は,ある種の不安を招くこともあるようだ。ネットを利用した新しいサービスや機能には期待と不安,双方から注意を払って見守っていきたい。

 現代人の生活になくてはならない存在になったIoTだが,インターネットによってゲームが便利になる一方で,個人的には若干の寂しさを覚えなくもない。今ではポケモンの交換は簡単になったが,20年ほど昔,ケーブルでつながった友達のゲームボーイをのぞき込み,ポケモンについて語り合うのも,それはそれで楽しかった。ボードゲームは,プレイをしに相手の家に行くことも含めて1つのゲームだったように思う。
 こうしたことへの反動で,クラウドではなく特定の家族や友達とのみプレイできる,いわゆる“カウチCo-op”システムを実装するゲームがまた増えてくるのではないかとも筆者は思っている。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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