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Access Accepted第465回:独自の映像表現を追求する新作ゲーム作品
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印刷2015/07/06 12:00

業界動向

Access Accepted第465回:独自の映像表現を追求する新作ゲーム作品

画像集 No.001のサムネイル画像 / Access Accepted第465回:独自の映像表現を追求する新作ゲーム作品

 E3 2015のようなビッグイベントで紹介される大作タイトルのほとんどは,最新技術を使ったリアルなグラフィックスが売りとなる。まるで写真のようなキャラクターや風景には,しばしば驚嘆させられるが,それとは別の「リアルさ」を追求するゲームも少なくない。それがゲームという表現形式の懐の深さに通じると思うのだが,今回は,そんなユニークな表現に挑んだ5つのゲーム作品を紹介したい。


リアル「ではない」グラフィックスのゲーム


 2015年6月にロサンゼルスで開催されたゲームイベントE3 2015には,まるで映画の一部であるかのようなグラフィックスで多くのゲーマーを熱狂させた新作が登場した。それがDICEが開発を進める「Star Wars バトルフロント」だ。2月9日に掲載した本連載の第449回で紹介した「フォトグラメトリー」という技術を使い,驚くほどリアルなゲーム世界を実現していたのだ。

 「フォトグラメトリー」はもともと,建築や測量分野において発達してきた技術だが,上記の記事で筆者は「小規模な開発チームが低予算でゲーマーを驚かせるグラフィックスを作れる技術」であるとした。しかし,Electronic Artsはその技術に大手パブリッシャならではの潤沢な予算と人員を投入し,驚異的なグラフィックスを実現してみせたのだ。
 役者の表情と動き,そしてセリフを同時に収録するモーションキャプチャーの進化型,「パフォーマンスキャプチャー」は現在,大作タイトルの標準的なキャラクター表現になりつつあるが,このフォトグラメトリーはそれに続く標準になるかもしれない。

画像集 No.009のサムネイル画像 / Access Accepted第465回:独自の映像表現を追求する新作ゲーム作品

 しかし,筆者がE3 2015に参加してもう一つ感じたのは,こうした「リアルさ」とは異なる方向性を追求した作品が,とくにインディーズタイトルを中心に盛んに生み出されていることだ。「Star War: バトルフロント」では,それがゲームなのか映画の一場面なのか,慣れていない人には判別しがたいほどの映像が描き出されていたが,それとは異なる,例えば昔のアニメにしか見えないグラフィックスでアピールするような作品の数々に魅力を感じたのだ。

 ほかの作品とは明らかに異なるユニークなゲーム画面に,筆者はつい「これはいったい,どんなゲームになるのだろうか?」という,ワクワクするような気持ちになってしまった。今週は,こうした独特の表現手法がゲーマーの知的好奇心を刺激してやまない,5つの作品を紹介したい。

フォトグラメトリーを使い,一見すると映画のワンシーンのようなゲーム画面を生み出した「Star Wars バトルフロント」。ムービーが公開されたあと,「これは本当にゲームのシーンなのか?」という驚きのツィートが飛び交ったのも記憶に新しい。リアルさを追求するタイプのゲームでは今後,標準的な技術になっていく可能性も十分にあるだろう
画像集 No.002のサムネイル画像 / Access Accepted第465回:独自の映像表現を追求する新作ゲーム作品


■South Park: The Fractured But Whole
 2013年にリリースされた「South Park: The Stick of Truth」のデモを初めて見たのは3年前,E3 2012でのことだ。小学生が主人公でありながら社会風刺だらけのアニメとして,アメリカでは大人向けの時間帯に放送されている「サウスパーク」。アニメを忠実に再現したデモ画面は,プレイヤーをたちまちその「サウスパーク」の世界に引き込んでくれたのだ。
 その続編としてUbisoft Entertainmentから制作発表が行われた「South Park: The Fractured But Whole」も,前作の雰囲気をしっかりと継承しており,筆者としては非常に楽しみだ。前作はファンタジー風の戦士達を演じたちびっ子ギャング達だったが,今回はスーパーヒーローものになっており,原作者のマット・パーカー氏によれば「さらにエッジの効いた作品」になるという。

画像集 No.003のサムネイル画像 / Access Accepted第465回:独自の映像表現を追求する新作ゲーム作品


■Cuphead
 この「Cuphead」も,今年のE3で見て衝撃を受けた作品の1つだ。2014年の時点で存在そのものは知られていたが,「ポパイ」や「ロードランナー」など,1930年代のセルアニメを思わせるグラフィックスがそのままの動き回るデモ画面を見て,改めてそのこだわりに驚かされた。
 すべてハンドペイントという開発チームの情熱もすごいが,具体的なモデルはないにもかかわらず,当時のアニメにしか見えないキャラクターデザインや動きにも驚かされる。
 ジャンルとしてはアクションシューティングで,悪魔にギャンブルで負けたカップヘッドマグマンの2人の主人公が,代償として無理やり巨大クリーチャー達との戦いに送り出されるというものだ。絵柄も手伝って,一見するとあまり強そうに見えない敵が次々に登場してくるが,実はそれぞれが非常に強力で,プレイヤーは何度も失敗を重ねながらクリアを目指すという“マゾゲー”になるとのことだ。

画像集 No.004のサムネイル画像 / Access Accepted第465回:独自の映像表現を追求する新作ゲーム作品


■Drawn to Death
 「ゴッド・オブ・ウォー」の生みの親であるDavid Jaffe(デイヴィッド・ジャッフェ)氏による新作シューティングアクションが「Drawn to Death」だ。「ヘビメタ好きな高校生が落書きしたノートの中」というユニークな世界観を持ち,4人のプレイヤーが異なるスキルを持つキャラクターを使って対戦するFree-to-Playタイトルとして,PlayStation 4向けにリリースされる予定だ。
 スクリーンショットからは割と平面的なグラフィックスに見えるが,大学ノートの罫線が,絵画の一点透視図法のパースラインのような役割を持っており,動き出すとしっかりとマップが浮かび上がってくるあたりが見事だ。この大学ノートの持ち主であろう人物の手が,パワーゲージを溜めることでゲーム中に登場するのだが,青白い世界の中で,その手にだけに色が付いているところも非常に印象深い。

画像集 No.005のサムネイル画像 / Access Accepted第465回:独自の映像表現を追求する新作ゲーム作品


■Beyond Eyes
 オランダのtiger&squidが開発する「Beyond Eyes」は,スクリーンショットを見れば分かるように,白い部分が多い,水彩画のような,非常にアーティスティックなゲーム画面だ。
 主人公のRaeは交通事故により目が見えなくなった少女で,その恐怖体験のため家にひきこもっていた。しかし,唯一気を許せるネコが行方不明になってしまったため,勇気を出して外の世界に歩み出していくことになる。
 オブジェクトに近付いて音を聞いたり触ったりすることでプレイヤーが認識できる空間が広がり,白い部分に,例えば木がポップアップしたり,道が開けたり,花が咲いたり,鳥が飛び立ったりするのだ。また,それが何だか分からない場合は,空間やオブジェクトが滲んだ黒や紫で覆われ,見えないものに対する畏怖心が表現される。発売は2015年内で,対応機種はPCとXbox Oneが予定されている。

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■Her Story
 6月にリリースされた「Her Story」は実写映像をメインにしたゲームで,「Steam」に登場したとき,筆者はドキュメンタリー映画がリリースされたのかと錯覚してしまった。こうした実写映像を使った一群の作品は,FMV(フルモーションビデオ)と呼ばれ,1990年代の北米ゲーム業界でちょっとしたブームになった。「Steam」でも“FMV”で検索すると,いくつものタイトルが並ぶが,この「Her Story」はその中でもベストと呼べそうな作品に仕上がっている。
 ゲームの設定は,20年前の殺人事件について,重要参考人である女性に対して行われた証言映像がデータベースの中でクリップごとに散り散りになっているというもの。プレイヤーはそれらのクリップを,女性の発言をもとにつなぎあわせていくことになるのだが,組み立て方によっては事件の様相が異なってしまう場合もあるという。つまり,プレイヤーの編集によって,さまざまな物語が生まれるという趣向になっているわけだ。
 英語版しかないうえに,このゲーム性なのでハードルは相当高いものの,これもゲームの1つの形として読者の皆さんに知っておいてほしい。

画像集 No.007のサムネイル画像 / Access Accepted第465回:独自の映像表現を追求する新作ゲーム作品

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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