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Access Accepted第443回:プレイヤーがゲームに感情移入する「エンパシーゲーム」
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印刷2014/12/08 12:00

業界動向

Access Accepted第443回:プレイヤーがゲームに感情移入する「エンパシーゲーム」


 ゲームに対するプレイヤーや制作者の見方が成熟したことや,インディーズゲーム市場の拡大によって,これまでなかった自由な発想やテーマの作品が増えてきた。そんな中,現在の欧米ゲーム市場では,「エンパシーゲーム」という呼ばれる作品にスポットライトが当てられつつある。「エンパシーゲーム」とはいったいどのようなスタイルのゲームなのだろうか。今回は,そんな「エンパシーゲーム」を紹介しつつ,気になる作品群をいくつか紹介したい。


よりパーソナルにプレイするエンパシーゲーム


 「エンパシー」(empathy)とは,イギリスからアメリカに渡った心理学者,エドワード・ティチェナー(Edward Titchener)氏が今から100年ほど前に生み出した言葉だと言われている。日本語に訳せば「共感」や「感情移入」で,つまり「他人の気持ちを感じる能力」のことだ。類語として「シンパシー」(sympathy)があるが,こちらが正確には「相手が苦境にあることを理解する能力」であるのに対し,より広い意味を持った言葉であると考えれば良いだろう。

 この,英語を母国語とする人でもニュアンスを理解するのが難しい単語を使った 「エンパシーゲーム」という言葉が,昨今の欧米ゲーム業界でよく使われるようになってきた。「アドベンチャーゲーム」や「パズルゲーム」のようなジャンル名ではなく,「歴史ゲーム」や「教育ゲーム」といった,サブカテゴリー的な名称だが,最近の欧米生まれの作品には,病気や自殺,差別や依存症,絶望など,人間の本質に関わる現実の社会問題をテーマにしたエンパシーゲームが増えている。

Access Accepted第443回:プレイヤーがゲームに感情移入する「エンパシーゲーム」
 海外でも「泣けるゲーム」というような話題で必ず出てくるのが,ゲーム史上に燦然と輝くスクウェア(現スクウェア・エニックス)の名作「ファイナルファンタジーVII」におけるエアリスが死んでしまうシーンだろう。日本のゲームには「MOTHER3」「ペルソナ3」「ICO」「ロストオデッセイ」など,プレイヤーの感情に訴えるような作品が昔から存在していた。そうしたエモーショナルなゲームが,ここにきて欧米でも急速に注目を集めているわけだ。

 最近の作品で筆者が思い出すのは,2010年の「レッド・デッド・リデンプション」だ。決して涙を誘うような演出があるわけではないが,命の値段が安い辺境における別れや死,そしてそれを黙って受け入れるしかないドライな人々の生き方に胸を打たれた。

 ジョエルとエリーの関係が印象深い「The Last of Us」や,ゾンビのあふれた世界での大人と子供の苦行を描き,最後に厳しい決断を迫ってくる「ウォーキング・デッド」など,うまいストーリー運びで,徐々にプレイヤーをキャラクターに感情移入させてしまうような作品もある。
 ここにリストアップすると妙に思えるかも知れないが,「Gears of War」で妻への愛を貫いたドミニクの生き方にホロっとさせられたのは,筆者だけではないはずだし,BioWareの「Mass Effect」シリーズで,キャラクターの誰かを犠牲にするような決断を求められて戸惑った人もいるだろう。

ゲームを進めていくうちにキャラクター同士の絆が深まり,それにプレイヤーが共感できるような作品が,エンパシーゲームの王道といえそうだ
Access Accepted第443回:プレイヤーがゲームに感情移入する「エンパシーゲーム」


開発中のエンパシーゲーム


 これまでの欧米ゲームでは,プレイヤーの知識やスキルを高めて爽快感の高いアクションをこなしていくというスタイルが主流だった。FPSであれ,レベル上げの必要なRPGであれ,敵やほかのプレイヤーを上回るテクニック/解法を時間をかけて獲得したプレイヤーが,その報酬を勝利という形で得ていたわけだ。
 ところがエンパシーゲームの場合,プレイヤーに求められるものはアクションスキルではなく,エンパシーを感じられるかどうかというスキルになる。読書や映画鑑賞と同じで,どれだけ物語や登場人物に感情移入できるかということだ。

 Sony Computer Entertainment Worldwide Studiosの社長である吉田修平氏は,2014年8月に開催されたgamescom 2014の会見で,「(最新ゲームでは)プレイヤー自身がコンテンツの一部と化しつつある」と話していた(関連記事)。近頃のプレイヤーはゲーム世界で自由に行動できる作品を好む,という趣旨で発言されたものだが,これは,たとえネガティブなものであっても,爽快感以外の何かを求めるプレイヤーが増えているということも意味しそうだ。
 こうした,求められるものの変化は,ゲームが小説や映画のように成熟してきたことを示すのかもしれないが,開発者にとっては,これまで以上にプレイヤーをゲームに同化させる必要が出てくるだろう。

 それでは以下に,最近注目されているエンパシーゲームをいくつか紹介して,今週の連載を終えよう。


 ■This War of Mine

 開発元:11 bit Studios
Access Accepted第443回:プレイヤーがゲームに感情移入する「エンパシーゲーム」

「This War of Mine」公式サイト


 ポーランドの11 bit Studios が11月中旬にリリースした「This War of Mine」は,1992年に起きた「サラエヴォ包囲」をベースにしたゲームだ。日中は敵のスナイパーが動くものすべてを狙撃するという状況の中,プレイヤーがコントロールする市民のグループを,いつになるか分からない救出の日まで生存させるという内容だ。資材や食糧,薬品は常にギリギリの状態で,冬が近づくに連れて体調を悪化させてしまう人や,夜の物資調達で他の住民に襲われ,怪我を負ってしまう人なども出てくる。

 十分に食べ物さえない状態で仲間が病死したときの絶望感は大きく,それを回避するため,ときには善良そうな老人夫婦からさえ略奪することになるが,そうしたことを行うと調達係が意気消沈してプレイにも影響を与える。もちろん,プレイヤーにも苦い気持ちが残ることは言うまでもない。
 戦争を描きながらも,ヒロイックな兵士ではなく,巻き込まれた一般市民の視点に立ったエンパシーゲームとして,プレイヤーやメディアの評価も高い。


 ■That Dragon, Cancer

 開発元:Ryan and Amy Green
Access Accepted第443回:プレイヤーがゲームに感情移入する「エンパシーゲーム」

「That Dragon, Cancer」公式サイト


 「That Dragon, Cancer」においてプレイヤーは,末期がんと闘う幼児Joelの父親を演じることになる。プログラマーのライアン・グリーン(Ryan Green)氏とアーティストのエイミー夫妻の実体験をベースにした作品であり,末期がんを宣告されて以来,4年にわたって治療を続けた息子に対する思いをゲーム化したものであるという。
 治療や投薬の決断,会話内容の選択といったいくつかのチョイスはあるものの,形式としては一人称視点で物語を追っていくというスタイルだ。グリーン夫妻は「同じ境遇にいる人の心の支え」になることを目的にゲームを作ったという。

 プレイヤーは,がんとは何か,死とは何かをまだ理解できないJoelの治療に付き添っていく。病院の池のまわりをJoelと散歩したりなど,つかの間のひとときも描かれるが,人影のない病院の廊下で不意に詩を暗唱したり,祈りを口にしたり,言葉にならないうめき声をあげたりなど,父親としての心情が痛いほど伝わってくる。
 「今日は泣き止まないな。……でも仕方ないさ,こんな部屋に誰もいたくない」という独り言が印象的な本作は,OUYA版はすでにリリースされており,現在PC版が開発中だ。


 ■Life is Strange

 開発元:DONTNOD Entertainment
Access Accepted第443回:プレイヤーがゲームに感情移入する「エンパシーゲーム」

「Life is Strange」公式サイト


 2014年8月に開催されたgamescom 2014で制作が発表された「Life is Strange」PC/PS4/PS3/Xbox One/Xbox 360)は,19歳の少女を主人公としたエピソディック形式のアドベンチャーだ。時間を巻き戻す能力を持つ主人公Maxineが,5年ぶりに生まれ故郷の港町に帰ってきたところから物語が始まるのだが,セルシェーディングによるグラフィックスノベルのようなタッチも魅力的だ。カプコンからリリースされた「Remember Me」を手掛けたフランスのDONTNOD Entertainmentの新作であるだけに,かなりの作り込みが期待できそうだ。

 少女MaxineにはChloeという幼なじみがいるが,彼女の父親は謎の失踪をしており,さらに,唯一心を開いていたクラスメートのRachelまでもが行方不明になったせいで,再会したChloeはずいぶん荒れてしまっている。
 プレイヤーは,「好きな人達が,みんな自分から離れていってしまう」と悩むChloeの心を開かせていくことを念頭に置きつつ,彼女をうまく誘導できるよう,時間を巻き戻していくことになるのだ。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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