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印刷2012/01/23 16:16

業界動向

Access Accepted第331回:違法ダウンロードと戦うアメリカの不協和音


 ゲームメーカーに限らず,映画や音楽業界にとって,著作権の保護は非常に重要でデリケートな問題であり,アメリカでは違法サイトの取り締まりを目的に新たな法律の制定が進められている。しかし,その内容が曖昧で実効性に乏しいことや,憲法で保障された「知る権利」や「言論の自由」を脅かすとして,あちこちで抗議活動が行われることになった。今週は,アメリカで物議をかもしているオンライン海賊行為防止法案についてレポートしたい。


SOPAとは何か?


 最近,北米の情報サイトなどで目にする「SOPA」とは,「Stop Online Piracy Act」(オンライン海賊行為防止法案)の略で,デジタル化されたコンテンツの不正使用を防ぎ,登録商標や知的財産を守るという目的のもと,現在,アメリカ連邦議会で議論が続いている。

 具体的な標的になっているのは「The Pirates Bay」のようなダウンロードサイトで,これまで,こうした多くの違法ダウンロードサイトはアメリカ国外にサーバーを置いているため,国内法では対処できないという問題があった。
 今回のSOPAでは,アメリカ国内で利用できるサーチエンジンの結果からこういったサイトや海賊版の情報を削除したり,ドメイン名をブロックしたりなどによって一般ユーザーの目から遠ざけることができるようにするというもの。このようにして,少しずつでも違法ダウンロードサイトへのアクセスを減らそうとしているわけだ。

 似たような法律として,1998年にアメリカではデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)が成立しており,これにより,例えば誰かがYouTubeに無断でテレビ番組などをアップした場合,知的財産権を所有する個人や企業が削除要請をすることができるようになった。だが,デジタルミレニアム著作権法には海外における不正利用に関する権限や対処法が明記されておらず,より強力な権限を持った法案としてSOPAが作られたという経緯がある。

「SOPAとPIPAが我々の自由でオープンなインターネットを破壊する」として,2012年1月17日に24時間のサービス停止を行った英語版Wikipedia。これらの法案が効力を持つようになると,GoogleやYouTubeなどにも大きな影響を与えそうだ。中国のインターネット規制をさんざん批判してきたアメリカ政府が,同じことを行うということでもあるような気がする
Access Accepted第331回:違法ダウンロードと戦うアメリカの不協和音

 違法ダウンロードなどへの対処は,クリエイティブな職業につく個人や企業であれば,誰もが必要性を感じているはずだ。しかし,今のところ多くのIT関連企業やアーティスト,そしてゲーム業界関係者がSOPAに反対の立場を取っており,北米時間時間の2012年1月17日には,WikipediaがSOPAに抗議して24時間のサービス停止を行ったり,Googleがサイトの背景を真っ黒にしたりした。また,サンフランシスコやシリコンバレーでは抗議活動も起きている。彼らがSOPAに反対する主な理由は,内容が非常に曖昧で実効性に乏しく,しかも無関係なインターネット利用者が不利益を蒙ったり,インターネットを通した知識の共有に支障が出るというものだ。

 また,SOPAと同じような効果を持つ法案として,PIPA(Protect IP Act/知的財産保護法案)の審議も現在連邦議会で進んでいる。2012年1月24日にはPIPAの採決をめぐる投票が予定されており,これに対する反対運動や署名活動も続けられている(※北米時間の1月20日,採決の延期が発表された)。
 こうした過剰なセンサーシップ(検閲行為)は,アメリカ合衆国憲法にある「知る権利」や「言論の自由」を脅かすというのが反対する人たちの主張だ。紙幅の関係で,ここでは騒動の概要しか紹介できないが,さらに詳しく知りたい人は,各自調べてほしい。


SOPAへの反対運動で揺れる北米ゲーム業界


 アメリカ政治の特徴として,ロビイストの存在が挙げられる。法案の制定などでは,さまざまな権利団体に雇われたロビイストが政治家に働きかけるのが通例となっており,大多数の国民の意見を反映しないノイジー・マイノリティ(騒ぎ立てる少数派)の意見が通りやすいのではないか,という批判もある。
 今回,ロビイストの意を体してSOPAを推進しているのは,テキサス州選出の共和党議員,レイマー・スミス(Lamer Smith)氏と,バーモント州選出の民主党議員,パトリック・リー(Patrick Leahy)氏の二人を中心とするグループだ。彼らにロビー活動を行ったのは,アメリカの映画やテレビ,音楽などのメディア産業で,その中にはゲームESA(Electronic Software Association)も含まれている。ESAとは,毎年6月にE3 Expoを開催することで知られる,北米のゲーム業界団体だ。

北米時間の2012年1月14日には,ホワイトハウスがSOPAへの不支持を表明した

 つまり,ESAは北米ゲーム業界におけるメジャーなメーカーの“超党派”団体であり,運営資金も各メーカーの拠出によっている。ESAは,SOPAを推進するロビー活動に,2011年は19万ドル(約1670万円)を費やしているのだが,反SOPA世論の高まりを受けて,Nintendo of America,Sony Computer Entertainment America,そしてElectronic Artsなどが次々とSOPAに反対する意見を表明しているため,ESAとの意見が分かれるという事態に陥った。さらに,「Gears of War」シリーズのEpic Gamesや「Minecraft」で知られるスウェーデンのMojangなど,北米内外のゲームメーカーがSOPA反対の意思を明らかにしている。

 中でもRed 5 Studiosは,ESAが主催するE3の出展を取りやめ,LFG(League of Gamers)という独自の業界団体の設立を発表。この動きに,ほかのインディーズゲームメーカーが同調することになれば,北米ゲーム業界に不協和音が生じるだけでなく,年間で最も重要なゲームイベントとされるE3の規模が,再び縮小するかもしれない。

 このように,今回のSOPAをめぐっては欧米ゲーム業界で大きな動きが各所で起きている。違法なダウンロード行為が許されないのは明らかだが,今回の,行き過ぎた,あるいは不明瞭な法案に関しては,やはり反対意見が多数を占めつつあるようだ。法制化されるか廃案になるか,今後の動きを注視したい。

著者紹介:奥谷海人
 本誌海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,北米ゲーム業界に知り合いも多い。この「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年に連載が開始された,4Gamerで最も長く続く連載だ。バックナンバーを読むと,移り変わりの激しい欧米ゲーム業界の現状が良く理解できるはず。
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