業界動向
Access Accepted第327回:2011年ゲーマー向けアイテム購入ガイド
2011年も,残すところあと数週間。アメリカのゲーム業界は今,「ホリデーシーズン」の真っ最中。11月〜12月の2か月間で年間売り上げの半分以上が期待できるとあって,さまざまな量販店やオンラインショップで大々的なセールが行われている。熾烈な値引き商品の争奪戦が行われているようだが,今週は,いつものように筆者がちょっと気になっているゲーマー向けアイテムを紹介したい。ゲームとはあまり関係ないようなアイテムばかりかもしれないが,心ひかれる人も多いのではないだろうか。
ブラックフライデーの狂乱
11月の第4木曜日は,17世紀から続く祝日「感謝祭」(サンクスギビングデー)である。その翌日は「ブラックフライデー」と呼ばれ,クリスマスまで続く「ホリデーシーズン」の始まりの日とされている。ホリデーシーズン真っ只中の現在,さまざまな特価セールを狙ってアメリカの消費者は駆け回っている。
ちなみに,その日が“ブラック”と呼ばれるのは,何か暗い出来事があったからではなく,どんな店でも黒字を出せるほど客が集まるという意味でだ。最近はブラックフライデーそのものがイベント化しつつあり,その日に限り真夜中から,あるいは朝4時から営業を開始する量販店も登場してきた。もちろん,感謝祭の夜を家族と過ごせなくなる店員達の反発は激しく,あるチェーン店では店員がストを起こしてニュースにもなった。
事実,Microsoftは2011年のブラックフライデーだけでXbox 360を80万台,日曜日までの3日間の合計で96万台も売ったほか,3種類のゲームが同梱されているのに通常価格より50ドル引きというKinectバンドル版を75万台売りさばき,同社としては史上最高となる販売記録を達成したという。
また,このホリデーシーズンに「ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D」もしくは「スーパーマリオ 3Dランド」をバンドルした2種類の3DSを発売した任天堂は,ブラックフライデーから日曜日までの3日間で96万台を販売したと発表。さらに,最近あまり新作がリリースされなくなったWiiも,「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」効果なのか,50万台売れたという。どちらも,アメリカのホリデーシーズンのパワーを感じさせる話だ。
こうしたニュースには感染力があるようで,とりたてて何か買う予定があったわけでもない筆者も,新製品情報を見たり,特価セールのお知らせを読んだりするたびに,つい買いたくなる。財布の紐も緩みがちになるこの季節,今回は,恒例となったゲーマー向けグッズの紹介をしたい。いずれも,必ずしもゲームに関係があるものばかりではないとは思うが,ゲーマー心を刺激しそうなアイテムを選んでみた。
■Normandy SR-2 Ship Replica
価格:29.99ドル
公式販売サイト:http://www.darkhorse.com/Products/17-311/Mass-Effect-Alliance-Normandy-SR-2-Ship-Replica
非常に精巧に作られているが,全長はわずか6.25インチ(約10センチ)と小ぶりで,本棚を飾るにはちょうどいい感じだ。敵方であるリーパーの,あの巨大イカのようなSovereignを出してくれれば,セットでさらに売れたと思う。
■Commodore 64 Replica
定価:349ドルから
公式販売サイト:http://www.commodoreusa.net/CUSA_Home.aspx
Commodore 64は,日本では泣かず飛ばずのマイナーな存在だったが,ファミコンが市場を圧倒する前の1982年から1986年までの5年ほど,アメリカを中心に大ヒットしたホームコンピュータだ。「Lode Runner」や「Castle Wolfenstein」「Karateka」といった名作が,Commodore 64向けに制作され,ゲーム業界にインパクトを与えた。
そんなCommodore 64がCommodore USAというメーカーの手によって復活し,「Commodore 64 Replica」という名称で発売されたのだ。外見は,まさにCommodore 64そのまま。
もっとも,さすがに8ビットパソコンというわけではなく,内部的にはMini-ITXマザーボードを使用したPCで,Windows上でエミュレータを動かすことになる。
ケースとカードリーダーだけで349ドルというものから,Core i7-2720QM/2.20GHzと2TBのHDDを内蔵したものまで,3種類ほど用意されている。最上位のUltimate仕様は1499ドル(OSとグラフィックカードなし)とやや割高な印象だが,Commodore 64に思い入れのある人には魅力的かもしれない。
■Assassin's Creed: Desmond Hoodie
定価:90ドル
公式販売サイト:http://store.ubiworkshop.com/desmond-hoodie-white-with-eagle/
筆者の息子は11歳だが,「Assassin’s Creed」シリーズになぜか詳しい。筆者の知らないうちにプレイしているのだろうかと,ちょっと気になるが,どうやら彼は次のハロウィンでエツィオになりたいらしい。これまで常に「正義のヒーロー」コスチュームばかりを選んできた息子も,そろそろダークなチョイ悪親父に憧れる年頃になったということだろうか。
とはいえ,さすがにあれだけ凝ったエツィオの衣装を販売しているサイトはなく,それも子供向けとなると皆無だ。もっとも,デズモンドの着ている割とシンプルなトレーナーなら,Ubisoft Entertainmentの直営ショップUbiworkshopで販売されている。新作「Assassin's Creed Revelations」がリリースされたばかりで人気があるのか,この原稿を書いている時点では売り切れ状態だが,シリーズファンなら一着持っていてもいいかもしれない。
■Xenon(Tron Lightcycle)
価格:55,000ドル
公式販売サイト:http://evolvemotorcycles.com/?page_id=564
2010年に公開された映画「トロン: レガシー」では,進化したライトサイクルが多くのファンの話題になったが,アメリカには「よし,これを作ってみよう」という勇気ある技術者がいたようだ。2011年11月に開催されたミラノ国際モーターサイクルショーに出展されたのが,ニュージャージー州をベースにするEvolve Motorcyclesの「Xenon」。
基本はリチウム電池を搭載した電動バイクだが,最高時速100マイル(160km/h),最長走行距離も100マイル(約160km)という性能を誇る。タイヤの横幅が32インチで車体も長いので,小柄な日本人が実際に乗りこなせるのか心配だが,これで街中を走れば目立つこと間違いなし。もっとも,代理店でもない限り,日本からの購入はかなり難しいだろう。
■The Walking Dead Figurine
定価:一体16.99ドル
公式販売サイト:http://shop.amctv.com/categories/9861-the-walking-dead
最後はゲーム関連アイテムではないが,ゾンビ好きの筆者が現在ハマっているテレビシリーズ「The Walking Dead」(邦題: ウォーキング・デッド)のフィギュア。日本では,FOXチャンネルで第2シーズンが放送中だが,ゾンビだらけになった世界でのサバイバルが描かれるほか,重厚な人間ドラマが魅力的で,アメリカでも大ヒットしている。
原作であるコミックスをベースにしたフィギュアがリリースされていたこともあるが,今回紹介しているのはテレビドラマ版だ。ドラマの制作を行うAMCが監修しており,製造を担当したのはMcFarlane Toys。筆者のお気に入りのキャラクター,ダリル(左から2番目)がボウガンで狩ったリスをぶら下げているところまで再現されているのが,なんともニクい。ゾンビも実際にエピソードに登場していたもので,名前こそついてないが,見覚えがあるという人も多いだろう。
著者紹介:奥谷海人
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,北米ゲーム業界に知り合いも多い。この「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年に連載が開始された,4Gamerで最も長く続く連載だ。バックナンバーを読むと,移り変わりの激しい欧米ゲーム業界の現状が良く理解できるはず。
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